二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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白昼夢見聞録
日時: 2011/06/25 10:13
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

 はじめまして、PIPIです。

 初投稿なのでへたくそですが、よろしくお願いします。

【登 場 人 物】

 安斎 千尋 Anzai Chihiro
  高1の女の子。高い妖力を持っている。

 外谷場 宗司 Toyaba Souji
  エクソシスト「アシェラ」の一員。千尋の町の担当エクソシスト。

 久住 隼人 Kusumi Hayato
  千尋のクラスメイト。物静か。

 植木 春子 Ueki Haruko
  千尋のクラスメイト。人見知りが激しい。

 陣内 連太郎 Jinnai Rentaro
  町一番の不良少年。かなりの横暴。

 ギルベルト・ウォーカー
  エクソシスト教団「アシェラ」元帥。

 カティア・クロムウェル
  エクソシスト教団「アシェラ」7番隊隊長。

 セレヴィ・オルレイン
  犯罪組織「キメラ」リーダー。  

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Re: 白昼夢見聞録 ( No.1 )
日時: 2011/06/25 10:22
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

 もしも、幽霊があなたの隣にいたら、どうする?

 声にならない悲鳴を上げて、逃げ惑う?平常心を装って、友達になろうと話しかける?このまま時が過ぎ去るのを待ち、気づかないふりをする?

 そうじゃない。

 そういうことを聞いているんじゃない。

 ただ、幽霊がそこにいるから—————だから?

 幽霊がいたら、何かが変わる?何が変わる?

 少なくとも、彼女は何も変わらない。

 幽霊がいる。だから?

 だから、彼女は変わらない。


 白昼夢見聞録

Re: 白昼夢見聞録 ( No.2 )
日時: 2011/06/25 10:41
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

「安斎千尋ぉ?」

「そ。安斎」

 妙な雰囲気を醸し出している青年に、学生たちは戸惑う。

 青年の妙な雰囲気を醸し出しているのは服装だ。オレンジ色のニット帽子から見える黄緑色の髪、大きなサングラス、黒白のネックウォーマーにお世辞でも良いといはいえない柄のチョッキを身に着けている。

「どこにいるか知っている?」

 青年の問いに学生たちは、顔を見合わせ気まずそうに口を開いた。

「やめといたほうがいいって。あいつ、マジでおかしいから」

「おかしい?」

「この先をずーっと行ったところに廃ビルがあるんだけど、多分そこににいると思うぜ。でも、絶対に入るなよ?入った瞬間、いきなりバットで殴られるからさ」

 そういって、一人の学生を見る。その学生は、目の上にたんこぶを作っていた。青年は、なるほど、と相槌を打つ。

「ありがとよ」

「お、おい、まさか行く気か?」

「まさか。痛い目遭うのは勘弁だって」

 青年は自嘲気味に笑うと、学生たちに手を振り去って行った。

Re: 白昼夢見聞録 ( No.3 )
日時: 2011/06/25 10:57
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

「ここか・・・」

 先程、学生たちには「行かない」と答えていたくせに、青年は天邪鬼のように廃ビルへとやってきた。廃ビルの外見を眺めて、深い深い、ため息をつく。

「んじゃ、お邪魔しまぁす」

 ふざけたような言い方だったが、真剣な表情だった。

 カツン・・・

 青年の足音が、廃ビルに反響して伝わる。その音は、まるで青年を追い出そうとしているかのように、恐ろしく響いた。

 ブォッ

 一瞬の風の音。

 続いて視界に入ったのは、お札を何枚も貼り付けた棒状の物———お札を張り付けていたせいで、それがバットだと気付くのに時間がかかった。

「おおっと」

 青年は華麗な身のこなしで、バットをよける。

 しかし、よけたところでバットの攻撃は止まない。むしろ、その攻撃のスピードを上げていた。青年は、バットの動きに合わせて避けて、後ずさる。大きくバットが振りかぶったところで、青年は強く地面をけって、間合いを取った。

 ようやく視界は良好になり、バットを振り回す張本人の顔を拝むことができた。

 セーラー服の金髪美女。こう聞いたら、誰もがうっとりするよな可憐さを想像するだろう。しかし、彼女の右手には、先ほどのお札が大量にはられたバットが握られていた。可憐さはあっても、うっとりする要素はどこにもない。

「お前が、安斎千尋か?」

 青年はヘラリとした表情で、尋ねる。

「—————だから?」

 女———安斎千尋はいつものように、セリフを返した。

 いつものように、両目を爛々とぎらつかせ、睨みつけて。

Re: 白昼夢見聞録 ( No.4 )
日時: 2011/06/25 11:56
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

「俺は、お前とやりあうつもりはないんだけど」

「じゃあ、出てけ」

「そういうわけにもいかず」

「出てけ」

 青年は、表情こそ笑ていたが、困ったように再度、ため息をついた。

「お前、他の奴らには見えないものが見えてるんじゃないか?」

 千尋は、ピク、と反応した。

「・・・だから?」

「そのお札の張ってあるバットが何よりの証拠だ。誰からもらった?」

 千尋は、ギリ、と歯をかみしめる。

「だから何なんだって言ってるんだ!」

 千尋は、地面を強くけりだし、一瞬で青年の間合いを詰める。大きくバットを振りかぶる。青年は、やはり無駄な動きもなく、その攻撃を避けた。

 次の攻撃に移ろうと千尋が身構えたとき———。

「———!」

 千尋と、青年の動きが止まった。

「・・・来たか・・」

 千尋は、後ろを振り向く。

 そこにいたのは、巨大な化け物。

 頭はヤギのようで、巨大な角が二つねじ曲がっている。二足歩行で、全長は5メートルはあるのではないだろうか。真っ赤な目を光らせて、鋭い牙がのぞいている。

「でかいな・・・。お前が手におえられるような奴じゃない」

 青年は、千尋にいったが千尋はその言葉を無視して化け物に飛びついていった。

「はぁぁっ!」

 ドスっ

 頭部を狙ったつもりだったが、するどい怪物のアッパーが横から飛び込んできて、それを防御するだけの形となってしまった。

 再度、攻撃に移ろうとするが、一撃一撃怪物の攻撃がでかいため、なかなか攻撃に移れない。

「っぐぅ・・・」

 激しい攻撃に一瞬ふらついたところで、怪物が千尋を容赦なく殴った。

 勢いで吹っ飛ぶ千尋。意識が遠のきそうになったが、なんとか前を向き直る。すると、すでに目の前に怪物が迫っていた。

「・・・っ・・・」

 千尋は、フラフラになりながらもバットを構える。

「ま、よくやったほうだよ」

 青年の声が耳に入った瞬間。

 怪物の周りが突然光りだした。そして、次の瞬間光の中からたくさんの武器が出てきて、体を貫いた。

 怪物は苦しげにもがく。無駄な抵抗にも見えた。

 青年を見る。青年は先ほどと変わらぬヘラリとした表情で、怪物を眺めていた。

「さて、問題です。なぜ、お前『悪魔』は負けてしまったのでしょうかねぇ?」

 怪物は呻きながらも、青年に最後の抵抗をしようと右手を振り回した。その右腕はあっけなく、光の中から現れた武器にまた貫かれる。

「正解は————この俺、外谷場宗司が相手だったからです」

 怪物の体が突然ひかりだしたかと思うと、パッと消えてしまった。

 残ったのは、唖然とする千尋と、ヘラリとした表情のままの外谷場の二人だけだった。


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