二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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白昼夢見聞録
日時: 2011/06/25 10:13
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

 はじめまして、PIPIです。

 初投稿なのでへたくそですが、よろしくお願いします。

【登 場 人 物】

 安斎 千尋 Anzai Chihiro
  高1の女の子。高い妖力を持っている。

 外谷場 宗司 Toyaba Souji
  エクソシスト「アシェラ」の一員。千尋の町の担当エクソシスト。

 久住 隼人 Kusumi Hayato
  千尋のクラスメイト。物静か。

 植木 春子 Ueki Haruko
  千尋のクラスメイト。人見知りが激しい。

 陣内 連太郎 Jinnai Rentaro
  町一番の不良少年。かなりの横暴。

 ギルベルト・ウォーカー
  エクソシスト教団「アシェラ」元帥。

 カティア・クロムウェル
  エクソシスト教団「アシェラ」7番隊隊長。

 セレヴィ・オルレイン
  犯罪組織「キメラ」リーダー。  

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Re: 白昼夢見聞録 ( No.20 )
日時: 2011/07/06 19:30
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 自分たちのことは、自分たちで何とかしろ、か。

 千尋はずっと、外谷場の言葉を考えていた。

———何とかしろって言われても、するつもりもないし。

 外谷場をチラ、と見る。相変わらず、小さな寝息を立てて眠っていた。

「・・・まったく・・・」

「無防備な男だ」

 上から、自分の声にかぶって聞こえてきたので即座に振り返る。

 すると、昨日の女性———カティア・クロムウェルがいた。

「・・・なんであんたがここにいるのよ」

Re: 白昼夢見聞録 ( No.21 )
日時: 2011/07/06 21:09
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

「本当に冷めた反応だな」

「あんたに言われたくない」

 カティアに冷めた反応、と言われるのは本当に心外だった。

「ああ・・・。あんた、もしかしてあのバカを引き取ってくれるの」

「バカ?ああ、宗司のことか。本部は、こいつのことは放ったらかしだから、気づいてからでも遅くない。最も、責任はギルベルトがとることになるだろうがな」

「ギルベルト?」

 すると、露骨に嫌そうな顔をした。どうやら、千尋に説明するのが嫌らしい。

「アシェラの元帥・・・いわば、トップの人間だ。それが、ギルベルト・ウォーカー」

 ふぅん、と相槌を打つ。

「・・・外谷場って、てっきりお節介なヤツだと思ってた」

 不意に、そんな言葉がぽろっとでた。千尋自身、驚いている。

「・・・あいつは、お節介な奴じゃない。ただ、目的のためならなんだってする男だ。仲間を犠牲にすることも、自分を犠牲にすることも」

Re: 白昼夢見聞録 ( No.22 )
日時: 2011/07/07 17:47
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

「犠牲・・・ねぇ」

 ふと考える。もしも、自分が命の危機に晒されていたら、外谷場は自分を犠牲にしてでも助けようとするのだろうか。

 いや、すでにそうしようとしていた。

 初めて会ったとき、悪魔に襲われたとき。少なからず、外谷場は死ぬ気だったんだろう。それくらい、必死に価値ある方向へと、千尋を導いた。

 ————馬鹿馬鹿しい。

 自分のために命を張るなんて馬鹿げてる。自分にはそこまで価値があるとは思えない。

「それより、お前は人の心配ばっかしていないで、友達の心配でもしたらどうだ?」

「はぁ?あたしがいつ、人の心配を・・・って、友達?」

 怪訝そうな顔をする千尋に対し、カティアは眉をひそめた。

「なんだ、知らなかったのか?あの、春子とかいうガキ、数人の女子に暴行を受けていたぞ」

Re: 白昼夢見聞録 ( No.23 )
日時: 2011/07/07 17:56
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 暴行?春子が?

 頭によぎるのは、春子の笑顔。

 そして、クラスでいじめの中心になっている数名の女子の顔。

「・・・ッ!」

 千尋はすぐに立ち上がって、バットを手にしようとした。

 —————が。

 脳裏をよぎるのは、この武器で春子を傷つけてしまった情景。手に残る、頭をかち割った感触。そして、女子が叫ぶ「人殺し」の声。

 ———・・・相手は、人間。だから、必要無い。

 千尋は、バットを持っていくのをやめた。

 必要ない、必要ない、必要ない。

 ただ、それだけを頭の中で念じながら春子のもとへ、駆け出した。

「・・・・・。」

 そんな様子を、カティアが見送る。

「やっと・・・行ったか」

 ため息ともつかぬ声でつぶやくカティア。

「これで、邪魔者はいなくなった。なぁ。—————外谷場」

 カティアは、小さく寝息を立てている外谷場に歩み寄った。

 そして、外谷場の顎をクイッと上へあげる。喉仏に鋭く手を置く。少し、横に傾いた外谷場の横顔をじっと見つめた。

「・・・なんで・・・こうなったんだろうな」

 この喉仏をつぶし、息の根を止める。簡単なことだった。簡単なことなのに、手が震える。

「・・・・・」

 カティアは冷静を装う。震えが止まった。

「あのガキが存在する限り、この戦争は止まらない。あの二人は・・・もう、昔のようには戻らないんだ」

 そして

 手にグッと力を込めた。

Re: 白昼夢見聞録 ( No.24 )
日時: 2011/07/07 18:11
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 春子のいじめの原因は、間違いなく自分だ。

 千尋は、歯をぎりっと鳴らす。

 自分のような外れ者と話をしてしまった春子が、いじめを受ける。ありがちなパターンだったが、自分のせいでいじめられる者がいるのは、気に食わない。

「・・・!!」

 千尋の学校の制服が、見えた。複数いる。しかも、女子だ。

 その中には、はっきりと、ガムテープで縛り上げられた春子の姿もあった。

 複数の生徒は、どこかの空き地に入って行った。

 千尋もすぐに追いかけた。




「お前さぁ、なんであの暴力女に話しかけるわけ?」

「空気読めよ」

「てか、キモくない?」

 女子の笑いの混じった暴言が聞こえる。

 春子は、口をガムテープで縛られているので話すこともできない。

「ま、いいや。これから、あんたに罰を与えるから、ちゃんと耐えてよね。そうだなぁ、最初は指、全部ガスバーナーで焼いちゃうか」

「!!?」

 春子は、その言葉を聞いて、一瞬で顔を真っ青にする。

 一人の女子が、ガスバーナーを手に持った。

「じゃ、いっくねー・・・ぎゃふっ!!!」

 ガスバーナーを手にした女子が、いきなり横に勢いよく倒れた。

 誰かに殴られたのだ。

「あ・・・あんた・・・」

「何してんのよ、こんなところで」

 千尋だ。鋭い目つきで周りの人間を睨みつけた。

 春子が、泣きそうな目で千尋を見る。

 千尋は、無言で春子のガムテープを取った。それから————。

「ごめん。春子」

 お辞儀をしながら謝った。

「・・・ちーちゃん・・・」

「あたしのせいで、こんなことになってて。ごめん。でも、今すぐ、片づけるから」

「・・・ちーちゃんのせいじゃないよ」

 見上げると、春子は優しい表情で、笑っていた。

「助けに来てくれて、ありがとう。私は、ちーちゃんを信じてるから」

「・・・春子・・・」

「っらぁ!!」

 女子の一人が、ハンマーを振り上げる。

 千尋は素早く反応して、女子の腹を思い切りけった。女子は、お腹を押さえて、苦しそうに口をゆがめながら倒れた。

「あんたら・・・これくらいで済むと思わないでよね。あたしを怒らせたこと、後悔しろ」

『お前こそ、また私に会ったことを後悔しろ・・・』

 聞いたことのある声。

 まさか、と思い、ひとりの女子を見る。
 
 声のした女子の後ろには、あの時の、天狗のような悪魔が、憑りついていた。


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