二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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白昼夢見聞録
日時: 2011/06/25 10:13
名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)

 はじめまして、PIPIです。

 初投稿なのでへたくそですが、よろしくお願いします。

【登 場 人 物】

 安斎 千尋 Anzai Chihiro
  高1の女の子。高い妖力を持っている。

 外谷場 宗司 Toyaba Souji
  エクソシスト「アシェラ」の一員。千尋の町の担当エクソシスト。

 久住 隼人 Kusumi Hayato
  千尋のクラスメイト。物静か。

 植木 春子 Ueki Haruko
  千尋のクラスメイト。人見知りが激しい。

 陣内 連太郎 Jinnai Rentaro
  町一番の不良少年。かなりの横暴。

 ギルベルト・ウォーカー
  エクソシスト教団「アシェラ」元帥。

 カティア・クロムウェル
  エクソシスト教団「アシェラ」7番隊隊長。

 セレヴィ・オルレイン
  犯罪組織「キメラ」リーダー。  

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Re: 白昼夢見聞録 ( No.40 )
日時: 2011/07/10 17:14
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 怯んだところで一気に畳み掛けられる。

 足をすくい上げられ、気づけば世界が反転している。そう思えば、次の瞬間背中に激痛が走る。やっと、自分が床に倒されたのだと気付くころには、喉元にナイフを押し当てられていた。

「正直に答えろよ。お前は何者で、誰に雇われて、何の目的でここに来た?」

 檸檬が真剣なまなざしで久住を睨みつけた。

 久住は頭をフル回転する。この危機的状況を打開する手立てを。

 頭に残るのは、マリアの言葉。

 今回の相手が蜜柑と檸檬だといったとき、最初にマリアが言った言葉を思い出す。





『もし、ヤバイ!って思ったら、素直に答えなよ。そうすれば助かるかもしれないよ』

「あの二人がそんなに甘いかな?」

『何もしないよりはいいんじゃない?』





 仕方ない、素直に答えるか。

「え・・・っと、僕は天道虫って呼ばれてて・・・」

「天道虫?・・・ああ、あのとてつもなく不幸を呼び起こす天才?」

 変な覚え方をされていたことにショックを受けるが今はそれどころじゃない。

「まあ、そうですね。えっと、市長さんを拉致して来いって言われて来たんですけど・・・」

「拉致?あの市長を拉致するなんて、物好きもいるんだな。で、誰に言われた?」

「僕は、依頼主は分からないんですけど。ああ、マリアなら知っているかも」

 すると、檸檬の表情が変わった。

「マリア?」

「え?はい、柏木マリアって人が僕の雇い主なんですけど」

 檸檬は心底面白そうに、でも笑いをかみしめて蜜柑に向き直る。

「おい、蜜柑。マリアだってさ。こいつの雇い主」

 蜜柑は、むすっとした表情で淡々と答える。

「分かっている。聞いていた」

Re: 白昼夢見聞録 ( No.41 )
日時: 2011/07/12 19:39
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

「・・・とにかく、お前らはあの市長が欲しいわけだ」

「・・・別に欲しくないけど、アイツの依頼みたいだから」

 千尋は、顎で久住をさす。

「俺らも仕事だからな。仕方ないが護らなくてはならない。この意味が分かるか?」

「ようは、力づくで奪えってことでしょ」

「そうじゃない。終わりだという意味だ」

 そういうと、蜜柑はすばやく千尋の間合いに入り、蹴りでバットをはじく。バットが床に落ちる音が部屋に響いた。

 あっけなく武器をもがれた千尋は驚き、そのまま蜜柑の後ろ蹴りをくらってしまう。

 倒れた千尋に容赦なく、ポケットから拳銃を取り出して千尋に向ける。

「やめろ!!」

 叫んだのは久住だった。

「彼女は・・・関係ない。僕だけ殺してくれ。彼女は見逃してくれ」

 久住が必死に叫ぶが、乗っかっている檸檬はけらけらと笑う。

「かっこいいな、おい。でも、そういうのは、たいがいシカトされるんだぜ?」

 対する蜜柑は—————拳銃を床に落とした。

「・・・え?」

「?おい、蜜柑?どうした」

 蜜柑は、顔を真っ青にして膝をぶるぶると震わせている。

「・・・ぅ・・・あ・・・が・・・・」

 言葉にならない声を発して苦しんでいるようにも見えた。膝をカクンと折り、腕をついて苦しんでいる。

「・・・あんた・・・・」

 千尋には見えていた。銃を構えた瞬間———蜜柑の体に悪魔が入って行った。

 蜜柑は悪魔に憑りつかれたのだ。

 カクン・・・

 蜜柑は、意識を失ったかのように、倒れた。

「!?っおい、蜜柑」

 檸檬は、久住を放って蜜柑に駆け寄る。

 次の瞬間、人が変わったかのように、蜜柑が檸檬の首を絞めた。

「!!ッ・・・ガッ・・・みか・・・・」

 苦しみながら、檸檬は懐から拳銃を取り出して、蜜柑の腕を撃つ。何の躊躇いもなく撃った。

 パン

 しかし、蜜柑は腕にまったく痛みを受けていないように、攻撃をやめない。首を絞める力は弱くなるどころか強くなってきている。

「っらああああああ!!」

 千尋は、その隙にバットを取って蜜柑をめがけて思い切りぶん殴る。

 その瞬間、蜜柑から悪魔が苦しげに離れていき、蜜柑は今度こそ力を失ったように倒れこんだ。

 倒れそうになったところを檸檬が支える。

「おい!蜜柑!しっかりしろよ」

「・・・ぅ・・・?・・・っつ!!」

 蜜柑は、ぼんやりと目を開けると、腕の痛みに気が付き顔を歪める。

「〜〜〜〜!!・・・な、何が起こったんだ・・・?」

 腕を押さえながら、檸檬に尋ねる。檸檬は驚いたように蜜柑を見た。

「何が起こったって・・・お前、何も覚えてないのかよ?認知症か?」

「はぁ?そんなわけないだろ。ていうか、俺は誰に撃たれた?」

「ああ、俺が撃った」

「・・・なんで撃ったんだ」

 恐ろしい表情で睨んでくる蜜柑におびえたのか、檸檬は必至で弁解し始めた。

「いや、だだってさ、お前がいきなり首を絞めてくるからよぉ・・・。俺も必死だったんだ。悪ぃ」

「何バカなことを・・・!」

 蜜柑は檸檬の首をよく見る。すると、確かに誰かに首を絞めつけられたような跡がある。

「・・・俺が・・・やったのか・・・?」

「?・・・ああ」

 蜜柑は考え込む。

 自分に自覚はない。しかし、証拠がある。檸檬が嘘を?いや、この状況下でうそをつくような奴じゃないし、第一何のメリットもない。

 何が起きた?

Re: 白昼夢見聞録 ( No.42 )
日時: 2011/07/22 13:48
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 蜜柑たちが混乱している中—————。

 一人だけ周りに流されず行動しているものがいた。

「っらああああ!!!」

 千尋はバットを強く握り、蜜柑の腹を思い切り突く。振り回して攻撃したほうが効くのだが、攻撃の相手は蜜柑ではなく悪魔だからだ。

 蜜柑は完全に油断していて、あっさりと千尋の攻撃を受ける。あまりの突然な攻撃に呻き、よろめいてしまうが、しっかりと間合いを取って拳銃を構える。

 しかし、ここでおかしなことに気付いた。拳銃を構えているのにもかかわらず、千尋はこっちを見ていなかった。明らかに危機的状況だというのに、千尋はどこか宙を睨みつけていた。

 なぜなら、蜜柑をバットで突いたときに悪魔が出てきたのだ。

 蜜柑は、まさか、とおもいながら恐る恐る千尋が睨みつけている方向を見る。もちろん、千尋に警戒を払ったままだ。

「千尋!」

 久住が呼ぶ声がした。

 すると、久住は閃光弾を放って、目くらましをした。

Re: 白昼夢見聞録 ( No.43 )
日時: 2011/07/22 14:09
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

 閃光弾の光も消え失せたころ。

「・・・・・・。」

「逃げられちまったな、蜜柑」

 久住と千尋の姿はどこにもなかった。

 事実上、蜜柑と檸檬は依頼を失敗したのだ。この業界で仕事をこなせなければ、捨てられる。暗黙の了解だ。

 それなのに、檸檬はどこか生き生きとしていた。

「ま、生きてりゃこういうこともあるって、絶対」

「・・・何を根拠に言っているんだ」

「あれ?お前知らねーの。なんとかアンダーソンって奴が昔言った名言なんだってさ」

「また、トーマスか」

「違ぇよ。実在したんだって、そういうやつが」

「というより、なんでお前はそんなに興奮していられるんだ」

「そういうのは俺の十八番なんだよ。ていうか、お前、アレ、見た?」

 アレ、というのは分かった。




「ああ———————俺の頭上にいた、化け物か」




「そう、それ。あの千尋とかいうやつがお前の腹を突いた瞬間にでてきてさ。なんだよ、あれ。お前から出てきたみたいだったぞ?」

「俺から?」

 それには気付かなかった。

「ひょっとしたらさ、さっきのお前の意味不明な行動は、全部あの化け物のせいなんじゃないのか?憑りつかれていたっていうか」

 蜜柑は少し考えた後に自分の考えを口にした。

「まあ・・・よく知っていいるアイツらに確認すればいいじゃないか。丁度、この以来の始末もつけようと思っていたんだから」

「ああ、仕事!」

 思い出したかのように、檸檬は言った。

「そういえば、あの市長大丈夫かよ。流れ弾に当たって死んでたりしないか?」

「さあな」

 仕事のことがかかわっているというのに、ひどくどうでもいいような気持になっている蜜柑は自分自身に笑った。今はそれより、あの化け物について知りたくてしょうがない自分がいるらしい。

「おーい、市長ー」

「ここだ」

 ひどく落ち着き払った市長の声に驚く二人。市長は、机の物陰に隠れていた。この市長にそこまで臨機応変に動けると思っていなかったのでさらに驚かせた。

「無事だったのか」

「おかげさまでな」

「てか、なんかキャラ変わったみたいだな」

「あー、仕事の件だが」

「?」

 ここで市長が思いがけない言葉を発した。



「この仕事は、無しにしてくれ」

Re: 白昼夢見聞録 ( No.44 )
日時: 2011/07/22 15:32
名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)

「なんで逃げたのよ」

「だって、君の命が危なそうだったから」

 閃光弾を使って逃げたことに不満のある千尋を、久住は一所懸命なだめていたところだった。

「人の所為にしないでよ。どうせ、あんたは逃げたい口実を作りたかっただけでしょ」

 千尋が皮肉めいた言葉を発すると、久住は困ったような顔をして頭をかいた。

「・・・えっと、ごめん・・・。確かに僕も逃げ出したい気持ちでいっぱいだったからさ。逃げたい口実を作りたいっていうのもあったかもしれない・・・けど、やっぱり僕には君の命までかけて戦うことはできなかったんだ・・・と思う」

 意外にしっかりと自分の意見を言ってきた久住に少しだけ反応する。

「・・・その言い分だと、私の命はあんたに握られてるっていう風にしか聞こえないんだけど」

「え?そ、そう?」

 困惑する久住はどこか子供っぽくて、笑える。

「で、この仕事どうするの?失敗しちゃったじゃない」

「い、いや、まだ失敗って決まったわけじゃないし、とりあえずマリアに連絡を取ってみる」

 そういって、久住が携帯電話をポケットから取り出した時

「じゃあ、その仕事のことについて、教えてもらおうか」

 どこからか聞いたことのあるような声がした。

 サングラスに派手な風貌——————葛原だ。

 がばっと千尋は起き上がる。

「なんであんたがここにいるのよ」

「お前を護ることが俺の仕事なんだから、仕方ないだろ?それに、俺がどこにいようと、お前には関係ないはずだ」

「だったら、私たちの話にもあんたは関係ないはずでしょ」

「いや、これは個人的に気になるからさ」

「消えろ」

 久住がじっと葛原を見ているのに気づく。

「ああ、紹介が遅れたな。俺は、葛原宗司。よろしく」

「あ、は、はい、あの、久住です。えっと・・・もしかして、千尋さんのボディーガード・・・」

「あんた、本気で言っているんだったら、ぶっ飛ばすよ」

「まあ、落ち着けって千尋。俺だって、そう思われるのはものすごく心苦しいんだ」

「だから、消えろ」


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