二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 白昼夢見聞録
- 日時: 2011/06/25 10:13
- 名前: PIPI (ID: 42M2RXjr)
はじめまして、PIPIです。
初投稿なのでへたくそですが、よろしくお願いします。
【登 場 人 物】
安斎 千尋 Anzai Chihiro
高1の女の子。高い妖力を持っている。
外谷場 宗司 Toyaba Souji
エクソシスト「アシェラ」の一員。千尋の町の担当エクソシスト。
久住 隼人 Kusumi Hayato
千尋のクラスメイト。物静か。
植木 春子 Ueki Haruko
千尋のクラスメイト。人見知りが激しい。
陣内 連太郎 Jinnai Rentaro
町一番の不良少年。かなりの横暴。
ギルベルト・ウォーカー
エクソシスト教団「アシェラ」元帥。
カティア・クロムウェル
エクソシスト教団「アシェラ」7番隊隊長。
セレヴィ・オルレイン
犯罪組織「キメラ」リーダー。
- Re: 白昼夢見聞録 ( No.35 )
- 日時: 2011/07/09 22:42
- 名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)
数日後、久住と千尋は待ち合わせをした。
「・・・あのさ、蜜柑と檸檬にバットひとつで敵うと思う?」
千尋が準備してきた武器はバットひとつ。あまりの浅はかな考えに早くも不安を覚える久住。
「大丈夫だって。ていうか、私はこれしかないし」
「相手は銃を使ってくるんだよ?」
「ここは日本よ?銃刀法違反で逮捕されるっての」
「いや、それ以前の問題があの二人にはあると思うんだけど」
ため息をつきながら、自分のバックを開ける久住。
そのバックの中には拳銃が入っていた。
「!!・・・ここは、日本よね?」
「そうだよ。でも、銃を購入する裏ルートなんてこの世には何万とあるからさ」
そう言って、弾倉を詰め、一つを千尋に渡した。
「・・・いらない」
「持っていたほうがいいって、絶対。確かに、僕だって君に誰かを殺させるようなマネはさせたくないけど、これは自分の身を護るためでもあるんだ。蜜柑と檸檬だって、普通に使ってくる」
千尋は、一瞬ためらったが、銃を手に取る。
重かった。
「・・・大丈夫?嫌なら、やめていいんだよ」
「・・・・・・バカにしないでよ。一度やるって言ったらやるんだから」
千尋は、その銃をベルトに挟んで上着で隠す。
「今日は、市長室で一人のはずだから。・・・ああ、護衛二人も入れて三人だけど。とにかく、チャンスはそこしかない」
「餌なんじゃないの?普通、市長が一人と護衛が二人なんて、待ち伏せしているとしか思えないんだけど」
「二人の強さは、業界ではかなり有名だから、誰もそんな無謀なことしないよ。だから、そこを突く。僕らには、それしかできないんだ」
久住は半ばあきらめているようだった。まるで、今日自分の命が終わるかのように。
「・・・・・やっぱり駄目だ」
「え?」
「君はまきこめない」
本心のようだった。
「死ぬかもしれない。いや、絶対死ぬ。だから、君は頼むから帰ってくれ」
「それじゃあ、あんたは死ぬことになるじゃない」
「・・・・・でも・・・」
「でもじゃなくて。最初っから死ぬ気で行くならこんなことやめな。あたしは死ぬ気がない。だから、大丈夫」
「・・・理由になってないよ」
と、ここで久住の携帯電話が鳴った。
『もしもし?隼人?』
「マリア。聞いてくれよ、昨日話したクラスメイトが全然諦める気ないんだけど」
『じゃあ、いいんじゃない、別に。死んだらその人の責任ってことで』
「ダメだよ、そんなの」
『じゃあ、君が守ってあげればいいじゃない』
「市長を拉致しながら蜜柑と檸檬を退け彼女を護るのかい?無理だ、できっこない。ていうか、相手が蜜柑と檸檬の時点でもう勝ち目なんてないんだよ」
『まあまあ、やれるだけのことはやって、ダメだったら降参してみればいいじゃない』
「あの二人に降参なんて効くのかい?」
『まだ、やってもいないんだから。それに君は、いままでありえないハプニングを呼び起こしてきたんだから、今回も何とかなるって』
「ありえないハプニングって、全部不幸ハプニングじゃないか」
『とりあえず、やってみなよ。なんかさ、今回の仕事、何とかなる気がするんだよね、直感的に』
- Re: 白昼夢見聞録 ( No.36 )
- 日時: 2011/07/09 23:22
- 名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)
とある高層ビルの最上階。
一番高級な部屋に、男が3人いた。
「いやぁ、君たちのような有能な部下に護衛されるとは感激だ」
市長の言葉に、少しくせっ毛のある髪の男———檸檬が露骨に嫌そうな顔をした。隣のキリッとした顔立ちの男———檸檬は無表情で市長の言葉を受け流す。片手には小説を持っていた。
「まったく、私の部下と言ったら情けなくてね。命を張ることに恐怖を抱いている。奴らにはそれしか生きる道がないというのに、その道すら拒んでいる」
こいつはあれだな、と檸檬は考える。ゴードンだ。ちからもちだけどじしんかじょう。こいつにピッタシだ。
- Re: 白昼夢見聞録 ( No.37 )
- 日時: 2011/07/10 13:26
- 名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)
「この年になってくるとね、いろんなものが見えてくる。こいつはダメだ。あいつはあれが足りない、とかな。そういうことが見極められる人材こそ、上に立つのにふさわしい」
じゃあお前はふさわしくないな、と檸檬は鼻で笑った。蜜柑も呆れているのだろう。静かに息を吐いていた。
「君たちもこの市にいられることを感謝したまえ」
「ええ、そうですね」
蜜柑は、檸檬が絶対に答えないと思ったのか、短く素っ気なく答えた。
あくまで、自分たちの仕事は護衛だ。なにも市長のご機嫌をとるようなまねはしなくていい。
「ていうかよ、なんで今日に限ってあんたの部下が一人もいねぇんだよ」
檸檬の口調に蜜柑が睨みつけた。いくら気に食わない相手だからと言って、依頼主にそんな態度でいてはもらえる報酬ももらえなくなる可能性が高いからだ。
しかし、市長はそんなことも気にせず、むしろ楽しそうに笑った。
「実はね。君たちにこの話をすれば、彼らは全員おこると思って帰らせたんだ」
「話?」
少し興味を持ったところで—————一気に落胆した。
「実は・・・・・君たちには私の正式な社員として働いてもらいたい」
「いやだ」
「檸檬」
即答する檸檬をたしなめる蜜柑。
市長のほうも、即答されるとは思ってもいなかったようで、何回か咳き込む。
「悪い話じゃないだろう。もし君たちが私の正式な社員になれば、最初に渡すはずの報酬額を、毎月もらえることになる。どうだ?」
「それって、あんたに自由を奪われるのと一緒じゃねえか。俺は金より自由を選ぶね」
「最初の依頼は、一か月間市長の護衛だったはずだ。それ以上は受けられない。最も、最初の依頼が市長の正式な社員になる、だったら今頃違う依頼を受けていただろうけど」
二人があまりにも消極的な答えを出してきたので、うなる市長。
「それに、市長にはまだ部下がたくさんいるはずだ。そいつらを頼ればいい」
「いや、あいつらが100人いても君たちのほうが断然使える。だかた、君たちを雇う代わりに奴らを解雇するつもりだったんだ」
まるで、古いおもちゃより新しいおもちゃを欲しがる子供のような意見だった。
こんな市長だったら、暗殺されてもおかしくない、と二人は思い始めていた。
「ホラ、倉木だったっけ?あいつは有能そうじゃん。ハーヴィーみたいだ」
「は、はーぶ?よくわからんが、アイツはダメだ。利益のことしか頭にない」
鏡を見ろ、と言いそうになる。
「とにかく、その依頼は断る。それから、報酬は約束通りもらう」
「・・・・・正式な社員にならないと、報酬はやらん、と言ったらどうする?」
「何?」
おい、おっさんふざけてんじゃねぇぞ、と檸檬が言おうとしたその時だった。
ガチャ
ドアが開いた。
今日は誰もいないはずだ。それ以前に、市長室にノックもなしで入ってくる無礼講がいるはずもない。
「ん、誰だ?」
強めの語調で市長がドアに向かって言った。
蜜柑と檸檬は警戒しながら様子をうかがう。
「誰だといっているんだ!」
市長が足を踏み出してドアを開けた主を怒ろうとする。
「バッ・・・行くなっ・・・」
「檸檬、右だ」
パリィィィィン!!
窓ガラスが割れる音。
右を見ると、窓を割った主—————久住と千尋がいた。
- Re: 白昼夢見聞録 ( No.38 )
- 日時: 2011/07/10 13:41
- 名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)
最上階のビルに入ったところで、久住が作戦を言いだした。
「まず、僕がこの糸でドアに仕掛けを作る。遠隔操作でドアが開く仕組みになるんだけど」
「ドアに全員の集中がいっているところで窓から突入ってこと?」
「そう。・・・まあ、うまくいくとは思えないけど」
「どういうこと?」
「あの二人がそんな簡単な手に引っかかってくれたら苦労しないよ」
そういう久住の顔色は、確かに不安げだった。
「そうだ、君の両親にはなんて言って来たの?」
「あたし、両親いないから」
すると、ばつが悪いような顔をして久住がすぐに謝った。
「ごめん、無神経なこと聞いちゃって・・・。・・・僕も、両親はいないんだ」
「無い袖は振れないって名言を残したのに?」
「交通事故に遭っちゃって。もう、今はこの世にいないんだ」
もしかしたら、久住は自分の両親が死んでしまったのは、自分の不幸のせいかもしれない、と思っているのかもしれない。
実際、久住は両親が死んだことに悲しみは覚えず、自分の不幸で亡くなったんだ、と深く自分を責めていた。
「・・・今日も、ひどくてさ。ここに来る時に、電車に乗ってきたんだけど、切符が改札口に入らなくて、さらに料金を払うことになった」
「・・・本当についてないね」
日常茶飯事だよ、と久住は自嘲気味に笑った。
「ええと、突入なんだけど」
「私がバットで窓を割るわ」
「いや、きっと防弾ガラスだから無意味だと思う」
「大丈夫。あんたは早くドアを開けて」
久住は何か言おうとしたが、やめた。おとなしく千尋の言うとおりにする。
扉があくと、真っ先に声を上げたのは市長だった。予想通りだ。あの二人が簡単に声を上げるとは思えない。
「・・・・あ」
千尋が小さく声を上げた。
蜜柑がしっかりとこちらを見ていたからだ。檸檬のほうはまだ気づいていないらしいが、もう完全にばれていた。
「もう、突入しちゃうね」
「え?ちょ、待っ・・・」
パリィィィィィィィン
バットを思い切り振りあげて、窓を割る。
全員の視線は、千尋を久住に向かった。
- Re: 白昼夢見聞録 ( No.39 )
- 日時: 2011/07/10 13:56
- 名前: PIPI (ID: Uvcwa5h/)
おいおい、マジかよ、と檸檬は心の中で楽しそうに笑った。
自分たち二人は業界の中でもかなり有名なほうでもあった。だから、わざわざ真正面から自分たちを狙うようなバカはいないと思っていた。
しかし、目の前の男女はそんな自分たちに真正面から立ち向かおうとするバカだった。
檸檬は、自分のナイフを取り出し、久住に向かって突きつける。
対する久住は拳銃をこちらに向けていた。見たところ、二人とも防弾チョッキを着ている。
「なっ何者だ!お、おおおおお前ら!」
さっきまでの威厳に満ちた表情はどうした、と言いたくなった。完全にパニックに陥っている。
「落ち着けよ、おっさん。ちょっと物陰にでも隠れてろ」
パン
銃声。
久住が躊躇なく撃ったのだ。しかし、檸檬は素早く反応して弾を避ける。そして一気に久住の間合いに来ると、ナイフを振り回す。
久住は反応よく避けたが、相手が悪かった。檸檬が一撃だけで済ますはずがなく、連続したナイフの攻撃は見切ることができなく、肩に攻撃を受けてしまった。
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