二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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キングダムハーツ リグレットストーリー【完結】
日時: 2015/08/23 18:10
名前: リラ&LIaya (ID: VbQtwKsC)

始めましての方は始めまして!!
このたび、ライヤさんと合同話を書く事になったリラと申します!!
この話はライヤさんと私の小説の世界観を混ぜた話なのでよろしくお願いします!!
まずは私が話を書いていきます。

序章—全ての始まりと干渉した時間—>>1-5
第一章—壊された日々と世界の異変—>>8-17
第二章—光と闇を巡るそれぞれの想いと力—>>19-24
第三章—後悔のはじまりと再び砕けた心—>>25-55
第四章—停止した街と航海—>>57-63
第五章—闇に葬られた氷の故郷と真実の出会い—>>64-77
第六章—取り戻す希望と進む光—>>78-84
第七章—本当の思い出と過去への区切り—>>85-155
第八章—理想と現実の狭間(ゆめ)で—>>156-176
断章1—破壊神の降臨による大騒動(別名・ⅩⅢ機関の受難)—>>177-183
断章2—幻想曲との再会、世界の意思の託したモノ—>>184-204
断章3—驚愕の出来事と触れ合う二人の心—>>205-227
最終章—光と闇と後悔の終焉、大いなる心と世界へ謳え—>>228-288

人物紹介編—>>6-7

—状況報告—

完結しました!今まで本当にありがとうございます!!

リズ「こんなアホに付き合って下さって助かりました」

レイシャ「主人公って大変なんだなと学べた良い機会でした」←

何でアンタたちは、そうも対照的なの!?

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Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.170 )
日時: 2014/09/10 17:13
名前: ライヤ (ID: LZQ7Wo2E)

レイシャの本当の想いに気がついたカヤはリズに向かってきたレイシャを間に入って受け止めた。双方が驚いて動きを止めている間にカヤは思いっきり叫んだ。

「お前に力がないなんて思ったことはないぞ!!!」

その言葉にレイシャがぴくりと反応し、カヤを睨みつける。

「気つけなくて悪かった。ごめんなレイ」

カヤが言い切ると、レイシャはその言葉に目を見開いて競り合いをやめた。それを見計らってレイシャを抱きしめる。

「だからなんだ。謝罪の言葉なんていらない」

「俺たちは、お前に力が無いなんて思ったことは一度もない。俺たち——俺とアイズはレイに助けられた。そしてここまで来ることができた」

「綺麗事だッ!結局力が無いからみんな傷つけてしまった。力があったらこんなことにはっ」

カヤの行動と言葉に戸惑いと困惑を隠せずにしどろもどろになりながらレイシャは反論する。
それを聞いて、カヤはレイシャと目線をあわせて話を続けた。

「レイがそう言っているのは、本当は羨ましいからだろう?守れなかったのが悔しいからそう言っているんだろう?」

「…俺は、そんなこと」

カヤの言葉に下を向いたレイシャは小さく震えた声で言うが、だんだん声が小さくなって最後の方は聞き取ることができなかった。

「お前、人のことは深入りしてくるくせに自分のことは本当に何も話さないからな」

レイシャは「だからレイ」というカヤの言葉に顔をあげる。

「これからは俺たちにも話してくれよ!親友だろ!俺たちはそんなに頼りないか!?」

「…ッ」

「やっとレイの本音が聞けたな」

「うん。ありがとう…カヤ」

レイシャは声を殺して泣き出した。カヤはそんなレイシャの頭を撫でて優しく語りかけた。
笑いながらレイシャはお礼を言うと闇となって消え、代わりに別の影から学生服を着たレイシャが出てきた。
それを確認した瞬間、リズがレイシャを抱きとめた。

「馬鹿!本当に心配したんだから!自分のこと抱え込みすぎなのよ貴方!!」

「…ごめんなさい。姉ちゃん。それからみんな、ありがとう」

お礼を言ったレイシャを見て、やっとみんな力を抜いたのであった。

「俺たち殆ど何もできなかったけどな」

「カヤとリズの見せ場だったよな」

「ま、誰だってひとつぐらいこういうことはある。だが本当に良かった」

「レイ、俺たちだって頼れよ」

「あぁ、ごめんな…カヤ」

グラッセ、ムーン、マーベルもこちらに集まった。そ
して、カヤは安心した顔で笑った。

「レイ、みんなも…聞いて 私の話。私は、ヴェントゥスの半身として生まれた」

レイシャはその言葉で顔が若干歪む。しかし、今度は逃げようとはせずに耳を傾けていた。それを確認して、リズは再び話し始める。

「私がそう言われる由来はね、父さんと母さん——ロクサスとナミネの情報を介して生まれた【ヴェントゥスのノーバディ】なの」

その場にいた全員が驚いた。

「でも、私は父さんと母さんの子供であって、レイシャの姉であることには変わりないのよ!」

リズはニコリとみんなに分かりかける。その笑顔のあと「だから」と言って、レイシャに向き直った。

「次は——レイ、貴方の抱えていることを私たちに教えて。今までどんなことを思ってきたのか。レイシャ…貴方の本当の正体(こと)——」

「…知っちゃったんだね」

「まだ内容は知らない。だから…話して、レイシャ」

リズが真剣な言葉で、レイシャははかない笑顔で頷いて静かに語りだした。

「俺は、人工ノーバディ——作られた者なんだ」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.171 )
日時: 2014/03/26 20:13
名前: ライヤ (ID: cSy8Cn7x)

「俺は人工ノーバディ——作られた者なんだ」

静かに告げたレイシャの言葉に、予想していなかった言葉を突きつけられた。

「俺は、ロクサスとナミネの遺伝子を混ぜて作られた。だから一応血は繋がっている。でも、姉ちゃんのように生まれたわけではない」

周りは悲しい気持ちになったが、それでも顔に出すことはしない。語っているレイシャの方が辛そうだったから。そこで、ふとムーンには疑問が浮かんだ。
人工で作られたということは機関が心の闇を最初から作り出そうとしたのではないか

「え、ちょっと待て、それならお前の『純粋な闇の心』は・・・」

「やっぱり気になるよね。俺自身そうだったもん。
でも、別に最初っから作ろうとしたんじゃないよ。生まれてから判明したってのは本当。副産物なのか、何か意図があってそうなったのかはわからないんだ」

しかし、ムーンの意図を読み取ったレイシャは否定した。意図はなかった。副産物かどうかすらわからない。
苦笑しながらレイシャは自分の心について知っている情報を伝えた。

「・・・ねぇ、レイシャ。あなたはいつからそのことを知っていたの?どう思っていたの?」

リズが優しい声で訪ねてきた。その顔はとても悲しそうで、心配していて。
それだけでレイシャの心は暖かくなっていくのがわかった。それを噛み締めて一度目を伏せると、優しい顔でみんなを見渡した。

「少しだけ、話すよ。昔のこと」

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.172 )
日時: 2014/12/01 04:16
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)

「あれは・・・碓か3歳ぐらいの時のこと。偶然夢でヴィクセンの研究室にある資料庫の場所を知ってね。ずっと疑問に思っていたことを調べに行ったんだ」



「僕って、存在しちゃいけなかったんじゃないのか?」

レイシャは、ひとつの資料を目の前に開き、涙を流しながらつぶやく。
様々なところに忍び込むために磨いた人払いと声が周りに聞こえないようにする魔法を使っているため、誰も来ない。

なぜここにいるかというと、遡ること今朝——


「・・・はっ!」

レイシャは自分のベッドで目を覚ました。そして、夢で見た内容を思い出した。

「・・・なに?今の夢」

夢で見えたものは機関の城で、資料が一括にしてまとめられている場所のこと。行き方まで鮮明に残っている。

「(もしかしたら、僕が知りたいことがわかるかもしれない・・・!)」

それを思い出して真っ先に思ったのは、レイシャ自身がいつも疑問に思っていることを調べられるかもしれないということ。
調べたいことは多すぎるため、まずは最優先したい2つのことを考えた。

何故、自分に光がないのか。
どうして力をコントロールできないのか。子供だからといっても、限度があるのではないか。

レイシャはリズ同様に聡明で、既に自分のことでいくつもの疑問を持っていた。
そして、その疑問をより深めていたのが夢であった。

レイシャの記憶を操る力が覚醒したのは2歳半。それ以降人の記憶を夢で見ることが多くなったのだが、一番多く見てきたのが何十年か前のχブレード戦争の再来を目論んだ者の起こした事件のこと。

そう思っていたレイシャは、齢3歳でありながら早速行動をお越したのだ。


しかし、レイシャを待ち受けていたのは、考えていたことよりももっと残酷な現実だった。

「僕は・・・造られた?」

割合飲み込みの早かったレイシャは、字を教えてもらい、既に読み書きができた。そのために資料の中身をすべて読み解き終わった時、レイシャは絶句した。

自分に関する資料に書いてある内容は、とても信じたくない現実だった。今でも内容は覚えている。



レイシャ・ブラックノーバディ

ⅩⅢ機関No.16

誕生日:3月16日  魚座


ロクサスとナミネの遺伝子を使い、人工的に造ったノーバディであり、彼らの二人目の子供。
調べた結果、【純粋な闇の心】を有している。何故光の力を有する二人の遺伝子からこのような結果になったのかは今後調べればわかるだろう。
しかし、レイシャ自身が闇の力を扱いきれないようで、暴走をすることがよくある。まだ未完成なのだろうか。
感情が豊かなので、いい心の研究対象になり得るであろう。
うまく育てれば『悪意のない【純粋な闇の心】』という、前例のないものが出来上がるかもしれない。


まだまだ続くが、上文を読んだだけでも、様々な情報が乗っている。

「ヴィクセンは、研究対象として優しくしてくれてたのか・・・?みんなも・・・僕が人工ノーバディだから?」

自分がただ純粋にロクサスとナミネの子供でないということを知り、ヴィクセンの優しさが研究のためだと考えたレイシャは頭をハンマーで殴られたような衝撃が走った。

——君はここに何故いるの?——

問いかけてくる何かの声がする・・・いや、これは自分の声だ。

「(わからない。でも、ここに居たい。父さんと母さん、それに姉ちゃんがいるから)」

——でも、君は純粋に二人の子供じゃない——

「(やめろッ僕だって家族にはかわりないんだ!)」

——君はあの三人と違う。同じじゃないよ?——

「(やめろッやめろ!!)」

——だって、君は人工「やめろ!!!」ノーバディだから——

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

レイシャは声の言葉に心が砕けたような気がした。そして、たまらず絶叫して倒れた。


「・・・ここは?」

目が覚めたレイシャは、ボーっとする頭を振って周りを見渡す。少しずつ頭がはっきりするのにつれて思い出し、青ざめた。自分が何をしていたのか。自分が何者なのか。

「・・・!そうだ、僕は!!」

このままではいけない、ここに来たことがバレてしまうと、慌てて資料を元の場所に戻す。
幸いまだ二重にかけた人払いと防音の魔法が効いているようで誰も来ない。さっきの絶叫も届いていないようだ。

「・・・俺は、ここにいてはいけない。存在してはいけない」

一人つぶやき、闇の回廊を出現させると城を出ていこうとする。自分が去った10分後に魔法が溶けるように細工して。

「ありがとう。今まで楽しかった。でも、俺のことは忘れてくれて構わないから」

誰もいない研究室で家族や機関のみんなに言った後、闇の回廊がしまった。


「これからどうしよう。とりあえず、住める世界を探そうかな・・・、誰ともかかわらず、ひとりで——」

そう考えたレイシャは、氷で覆われた街から離れた場所についた。周りには誰もいない、人の寄り付きそうにない場所だが、この世界ならば闇の力を感じるし、自分がいてもバレない。きっと隠れられるだろう。

「・・・姉ちゃん、心配するかな」

ふと、家族のことを思い出してしまったレイシャは、これではダメだと、不完全な記憶を操る力で自分の記憶から機関のことや、家族のことをなくしてしまおうと考え、能力を発動させた。

「・・・え?あれ???」

レイシャは力を操っている内に、異変に気がついた。慌てて力を使うのをやめようとしたがその時には既に遅し。
力は暴発してしまい、全ての記憶がバラバラになる音が聞こえたのを最後に、意識を手放した。


一方、レイシャがいなくなったことに気がつき、彼を探していた機関員メンバーは、レイシャとナミネしか持たない記憶の力を感じてすぐに駆けつけた。
そこには気を失ったレイシャが倒れていた。

「レイシャ!おい、しっかりしろ!」

「急いで城に連れて帰るぞ!」

揺すっても目が覚めないレイシャを急いで城に連れて帰る。
そんなレイシャを迎えたナミネは真っ青になった。

「ナミネ?おい、どうした??」

「大変・・・!レイの記憶が全部バラバラになってる。直ぐに繋ぎ直さなきゃ・・・!」

記憶がバラバラになっていることに気がついたナミネが急いで繋ぎ直した。


「・・・ん?ここは・・・」

「大丈夫?レイシャ、私がわかる?」

「うん。お母さん」

目を覚ましたレイシャに声をかけると、しっかりとした答えが帰ってきてほっとした。どうやら最悪の事態は防げたようだ。

「しかし、どうしてあんなところで記憶が全部バラバラになってたんだ?レイシャ、お前は何かしたのか?」

「・・・?わからないや。でも、力が暴走したのはうっすらと僕も覚えているよ」

「そうか・・・。とにかく無事でよかった」

何があったのかレイシャにロクサスが聞くと、本人も覚えてないらしく、首を振った。



「この時、そうなってしまった原因の封印がうまくいったらしくてさ。母さんも気がつかなかったし、俺自身も忘れてたんだ。
でも、しばらくするとそれも弱まってさ。自分が人工ノーバディだということだけを思い出したから、世界巡りをすることで自分の存在理由を見出そうと考えたんだ。
あの時あったことを完全に思い出したのは、碓か5歳の時。
ちょうど落ち着いて、心に余裕が出てきた頃だったよ。」

それは、誰も知らなかったレイシャの物語。

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.173 )
日時: 2014/11/30 16:57
名前: ライヤ (ID: iV.IyZa1)




「それが、レイシャの真実なのね…?」

「うん」

「そっか」

リズはレイシャに問いかけ、頷いたのを見て小さく呟く。

「——姉ちゃんは」

「俺のこと、どうやって知ったの?」

話を聴き終えたリズは、静かに目を閉じて何も答えない。
それを見ていたレイシャは、何かを言いかけたのを首を振ってやめた。
しかし、リズが目で続きを促しているのに気が付いたレイシャは、視線を下に落として再び口を開いた。

「あなたの口から聞いて。ウラノスに言われて何かあるっていうのは聞かされたんだけど、内容は全部あなたから」

「…ごめんなさい」

「?」

「俺、このことは消滅するまで他言する気はなかったんだ。父さんと母さん、リズ姉ちゃん、カヤ、アイズ、皆…誰にも心配かけたくなかったのに」

視線を下に向けたままのレイシャは、繰り返し「ごめんなさい」と皆に謝まり続ける。
下を向いていると、何かに包まれた。

「ごめんね、レイ…。今まで背負わせちゃって、つらかったよね自分の知りたくない真実を知って」

それがリズに抱きしめられたのだと気が付くと、リズの暖かさに安心した。

「私を恨んでもいいから…これだけは分かってほしい。
貴方は私の大切な…正真正銘の弟だということを。貴方は、愛されている事を。望まれて生まれたことをね」

頭をなでられて優しいリズの言葉に、自然と涙が出てきた。頭を撫でられるなんて何年振りだろう。

「…ずっと、ずっと考えてたんだ、自分のことを知ってから」

レイシャが本当に小さい声でつぶやいた。

「リクによく言われていたのを覚えてるんだ…。俺を消せって父さんたちに言っていたの…。あぁ、俺は存在自体が悪…いちゃいけないんだなって…。
俺がいたら、皆に迷惑がかかる。
だから、世界巡りをして留まることから…皆から逃げた。人と深く関わることを避けた。
……避けていた、はずなのに。気が付いたら、いつの間にか——変わってた。大切なものができた。守りたいって初めて思った」

心に浮かんだのは、家族、友人、仲間…皆出会い方は違えど、失いたくない——かけがえのない大切な人たち

「なのに、守られるのは俺ばかりで…そのことを知るのは何もかも終わってから……気付いたら大切な人が傷ついてて…俺は、何もできなくて…いつも、傍観者だ…

辛いんだよ!大切な人が傷つくのを見るのはもう…たくさんだッ!

恨んでなんかいない!ただ…ただうらやましかったんだ…優しくて強い姉ちゃんが…俺も、そうなりたくて

——もう、守られるだけは嫌なんだッ!!」

レイシャが今にも泣きそうな顔でいう言葉を。皆は静かに聞いていた。




「レイ、落ち着いた?」

「…うん」

「よし」

涙も止まったレイシャが頷くのを確認したリズは頷いて一歩離れた。
そして、リズと入れ替わるようにカヤが、近づいて「レイシャ」と声をかけた。その顔は、とても真剣な顔をしていた。少し悲しそうにもしている

「俺、お前のことわかっているつもりだった。でも、ここに来て、本当は全然レイの心の中をわかってなかったって思った。」

カヤの言葉を聞いて、レイシャは自分も黙っていたことが申し訳なくて俯く。カヤは微笑み、だからと続けた。

「—お前のことをもっと知りたいんだ。友達になろう、レイシャ」

「あ…」

手をこちらに差し伸べるカヤを見て、レイシャは呆けた。
そのセリフは昔、なかなか警戒を解いてくれないカヤに対して、レイシャが口にした言葉だった。

「レイ、でいい」

そして、泣きそうな優しい微笑みを浮かべ、カヤの手を取った。あの時、カヤが口にした言葉を自分も紡ぎながら。

「…ごめん、カヤ。俺…」

「もういい…レイが無事でよかった」

二人のやり取りを、遠巻きに見ていた四人は微笑ましい光景を見守って、お互い顔を見合わせた。
きっと、レイシャはもう大丈夫。そう確信して

Re: キングダムハーツ リグレットストーリー ( No.174 )
日時: 2014/09/15 20:17
名前: ライヤ (ID: LZQ7Wo2E)

「さて、そろそろレイシャの救出方法を考えないか?」

「あぁ、それなら俺、知ってるよ」

「「「「「はあ!!?」」」」」」

もういいだろうと思ったムーンは、ここに来た目的について提案した。
すると、レイシャがさらりと知っているといったことに、ならなんですぐに脱出しなかったんだといわんばかりの顔で全員が叫んだ。

「いや、思い出したって言ったほうが正しいかも。…お俺だってさっきまで全部忘れてたんだって!(汗」

考え込むようにして言っていたレイシャが、周りの反応に気づいて焦る。なんか皆オーラが…いや、いうのはやめよう。

「それに俺一人じゃ無理だよ!」

「無理?」

「つまり、外側から何かしらアクションが必要ってことか?」

「うん。幸い、俺は完全にこの光に取り込まれなかったからできることだ。それがなければ、俺はこの方法は使えなかったし。多分目覚めることもなかった」

理由を問い詰めると、どうやら外からのアクションが必要らしいが、其れよりも気になることをレイシャが言った。

「完全に取り込まれていない…?だが、お前はここで夢を見ているじゃないか」

グラッセが気になった言葉を聞き返す。
現に、彼はガイアによって現実の彼は光の中で眠りについている。しかし、レイシャは完全に取りこまれていないからこそ、この方法は使えると言った。

「夢——この世界は…完全に取り込まれていない証拠なんだ」

「…どういう意味だ?」

レイシャの言葉に全員疑問を持ちつつ、説明をマーベルが促す。すると、レイシャはリズを見て微笑んだ。

「この世界は、俺の心が完全に光に取り込まれないように守ってくれている最後の砦。家族が俺にくれた光の結界。世界として存在したのは…多分、俺のせいで出来た副産物だ」

「え…?ちょっと待て、つまりレイシャが取り込まれなかったのはリズやロクサスさんが光をくれたおかげ。そんでもって…このややこしい夢の世界はお前自身が作り出したってことか!?」

「そういうことになるかな。ごめんね☆……ぎゃっ!!?」

グラッセがまとめると、軽い口調で謝ったレイシャが…吹っ飛んだ。

「レイシャ!?(汗」

「おいおいおいリズ、いきなりだな(同じく」

「だって、なんかムカついたんだもん」

吹っ飛んだレイシャに驚いて駆け寄るカヤを横目にマーべルが呟けば、爽やかな顔をしたリズが言った。

「リズ姉ちゃんいきなり殴るなよッ!!!?」

「自業自得よ!それよりもレイ、方法って?」

「…外から、俺を包んでいる光の柱を壊してくれ。そしたら、俺がこの世界を壊す」

「わかったわ。なら、私たちはさっさと外に出ましょう」

復活したレイシャが文句を言う。
どうやらいつもの調子に戻ったようだと思い、リズは笑いながらそれをさらっと受け流した。
そして、真剣に方法を聞く。レイシャも切り替えて光の柱を壊してくれと頼むと、了承したリズが頷き、皆に促すと駆け出す。

「じゃ、レイシャ、後でな」

「必ず目を覚ませよ」

「覚めなかったらまた来るからな!」

一言ずつ声をかけてグラッセ、マーベル、ムーンも後を追った。
その横でレイシャを心配そうに見ていたカヤに気づき苦笑する。

「心配するなよカヤ。俺、もう逃げないから」

「どの口が言う…絶対だな」

「あぁ」

いつものように笑って頷くと、カヤはふっと笑ってから背を向けて走り出した。
それを見送ったレイシャは、後ろからの呼び声に振り向いた。

「……」

「もう、大丈夫だ。ずっと心の奥底ではお前がいたんだな」

振り向くと、そこにいたのはさっきリズたちと戦っていたレイシャがいた。それに微笑みかけ、無言の彼にレイシャは話しかけ、目を閉じた。
幼いころ、よく暴走して大切な人を傷つけたりしていた。それはレイシャの中でいつの間にか大きなトラウマとなり、自分自身も知らないうちに彼を—闇に対する恐怖心を作っていた。

「…俺、怖かったんだな。自分の力が。俺のせいで大切な人が傷つくのが」

「でも、もう恐れない。そうでしょ?」

「あぁ…」

目を開けると、彼はトラウマの原点となった年齢—4,5歳の頃のレイシャの姿をしていた。レイシャの言葉に彼は微笑んで問いかけた。

「俺、ずっと逃げてたんだな…自分の心からさえも。気付かなかった……いや、気づかないふりをしていた
でも、もう【後悔】したくない。今までのこと全部が今の俺を創っている…大丈夫。ちゃんと、受け止めるよ」

それに頷いたレイシャは、心に刻みつけるように彼に覚悟を宣言した。
 ——もう逃げない、己と向き合うと…。


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