二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集)
- 日時: 2012/06/23 23:55
- 名前: さくら (ID: ZFblzpHM)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/19/
真昼のプールでイルカが魅せた夢。(イルカは花冠を着けていたの)
*参照、さくらの小説一覧
[about.]
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このスレッドは、さくらが運営する「桜の図書館」の生まれ変わり。
題名はたまに変わります。時期不定期。私の気まぐれです。
世間ではそれを「勝手」と言う。ってね!はい。
題名などは多々のお題サイト様からお借りしています。キャー素敵!
長篇、短篇気まぐれに書いていきます。
気まぐれ気まぐれってもう本当五月蝿いですね、すみません。
[sakura.]
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*さくら (13.♀)
inzmとfate大好きな中一。
熊本県出身で熊本県育ち。熊本県熊もっとっけん。・・・ウケない只のギャグです。
好きなキャラは、拓人、京介、フィディオ、円堂、王牙。ギルガメッシュ、ランサー、セイバー。
最近はシュウ君にハマって来た。やられた。
頭良くない、運動神経良くない、美少女違う、神文違う、駄文おk。
他にも、輪るピングドラムとか、APHとか、アザゼルとか好きです。カキコに入り浸りたい。愛してる。
[menu.]
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|long.
◎World End TinkerBell*. (世界を忘れたティンカーベルの唄声は)
View of the world (世界観) [>>002]
序章‖桜花繚乱 [>>044]
A章‖鴻鵠飛翔
prologue.ⅰ 鴻鵠飛翔 >>047
episode.AA 気まぐれなガブリエラ >>040
episode.AB 強欲ステラ >>041
episode.AC よくあるエニグマの白昼夢 >>060
episode.AD タータンチェック色の愛 >>065
episode.AE 溺れる人魚姫 >>069 new!!
◎Crimson
∟円堂達が闇に溺れる。私は必死になって闇の沼の中から円堂達を探した。でも見つかんなかった。
first* >>106
01.連想の限界 >>107
02.残骨灰かぶりの末路 >>108
03.邪魔なものは縛るタイプ >>109
04.人工アリスの白昼夢 >>110
05.痩せ兎と穴掘り猫 >>111
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エレクトロニック*.
∟狩屋と初々しいケンカップル。
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切り裂く白祈に機械仕掛けのきみは何を想うの、 (バダップ) >>018-020
世界が消えてなくなるまでの3秒でキスを交わそう (晴矢) >>021-022
愛して居たという証など抱き合った冷たい温度だけで十分じゃないか (シュウ) >>29-32
ワンコインプリーズ! (剣城) >>34-35
まるで自分が君の音世界に溶けてしまったかのような、 (シュウ) >>72-73
落雷インターバル (剣城) >>77
|Plan.
>>045 たとえるならパーティで泣きながらキスするみたいに、 (Valentine/円秋)
>>054-056 卒業の春、君を攫って一生逃げられたら良いのに。 (Graduation/円豪鬼)
¦落書き
>>36
[kiss!!.]
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御題‖涙星マーメイドオライオン様
Made in Alice*様
(随時更新致します。)
(題名などに使わせて頂いています。素敵御題どうも有難うございます。)
お客様‖(名前が載って無かった場合はお知らせ願います。)
>>夜桜様 >>桜花火様 >>めーこ様 >>伊莉寿様 >>漆黒様 >>風風様
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[others.]
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0623’ Crimson+1
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- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.109 )
- 日時: 2012/06/18 19:33
- 名前: さくら (ID: ZFblzpHM)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/21/
03.
『花城、お前もサッカーやってみないか?』
『え、わ、私・・・っ!?』
此れは…、夢?
ああ、夢だ。何故なら此の情景に私は見覚えがあるからである。此れは、多分、私がサッカーを始めた理由になる会話だった。
「彼」とこういう風にちゃんと話したのは、此れが初めてではないだろうか。私と「彼」は同じクラスだった。だが入学して間も無く私は病気で入院してしまった為、友達が余り出来なかった。
多分、私はサッカーに惹かれたんだと思う。そして、「彼」にも。病室をこっそり抜け出し河川敷の前を歩いていた時に、「彼」と「サッカー」を見つけた。
もう、普段“光”を浴びない私には眩し過ぎたんだと思う。少し眩暈がした。真っ白な病室で大人しく寝ている日常。こっそり抜け出したあの時、私に唯一の「楽しみ」が出来た。
それから毎日の様にこの河川敷へ通う様になった。途中医者にも止められたが、聞かなかった。それだけ私は「彼」と「サッカー」に心酔してしまっていたのだろう。
ほら、今日も彼が自由自在にサッカーボールを操っている。
『サッカー、したいのか?』
「彼」は私の事を「花城」と呼んだ。「花城」は私の氏だ。
多分、覚えていてくれたのだろう。喋った事も無い私の事を。ただ同じクラスになっただけの、私の事を。
だから、あんな綺麗なサッカー。
『私に、…でき、る…?』
『ああっ!!絶対出来るさ!』
彼は満面の笑顔で私にこう言ったのを覚えている。
『お前の瞳、すっげえ綺麗』
“サッカー好きな目だな!”そんな事を本気で言う彼に、私は少し笑ってしまった。
それからは早かった。彼とサッカーをして行く内に忽ち病気は完治し、学校にも行けるようになった。私の事をもう忘れてしまったであろうクラスの皆は、そんな悲しい事は無く、円堂君を中心に駆け寄って来てくれた。大好きになった。サッカーも、クラスも、学校も、円堂君も。
二年に進級する時、やっと、それが恋だという事を知った。
私は、円堂君に恋している。
そしてそれは円堂君も同じだったらしく、正式に円堂君と付き合い始めたのは何ヶ月か前。
とても楽しかった。嬉しくて、愛しかった。
こんな平和な日々が続くと良いのに。
だけど。
『…“アイツ”の好きだったサッカー、俺がぶっ潰す』
円堂は変わってしまった。“代わってしまった”と言った方が此の上正しいのではないか。
私の知っている円堂は、死んだ。代わりに違う人格が円堂を蝕んだ。否、円堂は死んでないんだけれども。
その違う円堂は昔の円堂とは正反対だった。陰と陽。そんな感じだった。大好きだったサッカーを、人を傷つけるだけの道具に使い、仲間も傷つける。みんなみんな、かわってしまった。
何故だ。エイリア石だ。あれは壊れてしまったはずなのに。
そして今の円堂は、昔の円堂を妙に毛嫌いしていた。
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
偽円堂が言った、アイツ。多分円堂の事だろう。
“アイツのものだったお前は、必ず俺が奪う”
全ては今日、始まった。
大好きだった貴方の事を大嫌いになった日。
だから、私は円堂のサッカーを取り戻す。すると絶対に皆が元に戻るって、信じているから。
私に出来る事。———それは、サッカーを、皆を護る事だ。
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
此の夢の中で、私はどんな事を考えただろうか。
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
“アイツの好きだったサッカー、俺がぶっ潰す”
「——い、おいっ、 お前、起きろっ!」
誰?聞き覚えのある声。まさか、円堂?
嫌だ、夢から覚めても円堂なんて考えられない。あはは、こんなんじゃ、本当に護れるのか、先が心配。
「起きろっつってんだろっ!!!」
バチンっ!!!
彼は私に思いっきりビンタした。ちょ、私女の子!
余りにもの痛さに薄ら瞳に涙を浮かべながらも瞳を衝動的にこじ開けた。あ、し ま っ た !
だが目の前に居たのは、円堂、 では無かった。
夢見る前に一度見た、あの紅い髪。頭には花を咲かせていた。
誰・・・?
あ、思い出した。
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.110 )
- 日時: 2012/06/18 19:34
- 名前: さくら (ID: ZFblzpHM)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/21/
04.
燃え滾る様な紅い髪の毛を持った男の子の頭の上には、見事なまでに立派なチューリップが咲き誇っていた。否、そんな堂々と咲かれても。
何故この目の前の男の子は“頭の上で”チューリップを栽培しているのだろう、
今の流行なのか?
否、おい待て。そんな事実があって溜るか。
この目の前の男の子は別として、誰が悲しくて頭の上でチューリップ育てなければならんのか。
下手して花を摘み取り(捥ぎ取りとも言う)でもしたら、その部分だけ“禿げる可能性もあるんだぞ”。
「ってお前、バーンじゃないか!エイリア学園の!」
「お前、今絶対失礼な事考えてたろ」
「えっ。別にそんな」
必死に誤魔化す。くそっ、コイツ中々鋭いな!
私はまだ少し重い身体を慌てて起こした。だがそれもそうだ。
何故なら、起きたらベッドの上に寝かせてあり、目の前には見知らぬ男子、おまけに昨夜の記憶が全く無い。
別に疚しい事を考えて居る訳でも無いし、況してや期待して居る訳でもない。
何故彼が頭の上でチューリップを栽培しているのかは置いといて。
「はっ、安心しろよ。別に捕って喰ったりはしねえよ」
「ぁ…、」
「お前は胸も尻もちと足りんからなぁ。接吻の味も知らない若造ちゃんだよな」
「し、失礼な!」
女の子目の前に何を言うかこいつは。どんなケダモノだ。
ベッドからふと見えた空は、綺麗な夕焼け色をしていた。如何やら今日一日、殆ど眠っていたらしい。本音はもう死ぬまで目を覚ましたくなかったけど。
此処は、おひさま園。
×
それからグランこと、基山ヒロトと、ガゼルこと、涼野風介も後から続いて此方に来て、詳しく今回の状況を説明してくれた。
円堂達があんなになった訳。雷門中やお母さんに何があったのか。全て話してくれた。
「全ては、エイリア石の所為だよ」
「エイリア石…?で、でも、あれは消滅したんじゃ…っ、」
「其れがしてなかったんだ。君達雷門イレブンが僕達ジェネシスに勝利して、エイリア学園は無くなった。だけど研崎が幾つかのエイリア石の欠片を持ち去ってたんだよ。」
その後、私はジェネシス戦で負った怪我の為、一週間安静として入院していた。だから其の後は詳しく知らない。皆が全然お見舞いに来てくれなかったから、可笑しいとは思っていたけど。皆忙しかったんだ、そう片付けていたけど。
当時、吉良星二郎の後釜を狙っていた、研崎竜一は持ち去った最後のエイリア石の欠片結晶を晒し、風丸率いる“ダークエンペラーズ”を結成させた。それが最後の戦いだったらしい。雷門イレブンは、監督の指揮を瞳子監督から響監督へと戻し、ダークエンペラーズと激突。
ダークエンペラーズは初代雷門イレブンの面々を中心にして出来ていた。風丸、染岡など、離脱して勧誘された恐れもあるらしい。
「円堂君達は、勝った。同時に風丸君達の心も救ったんだよ、一度はね。僕は、その時円堂君達の試合を見てた。だけど、最後円堂君は敗れたんだ」
“円堂君達は、勝った。同時に風丸君達の心も救ったんだよ、一度はね”。この言葉が妙に心に響いて、無意識のうちに聞き返す。
一度は、って、如何いう意味?試合を2回したの?タイムトラベルでもしたの?本当何なの?話の辻褄が全く合わないんだけ、ど…。
「円堂君が、風丸君の首に掛かってたエイリア石を引き千切ろうとしていた、その時。エイリア石が再結晶した」
エイリア石の再結晶。一つの欠片結晶を元にして復元されたエイリア石の結晶。
「さ、いけっしょうって、まさか、」
「勿論そのエイリア石は一番近くに居た円堂守に感染した。…取り付いたと言った方がしっくり来るかな」
変わって風介が話を続ける。彼等は元エイリア学園。それも、マスターランクチームを率いる主将であった。エイリア石の事は頭に叩き込まれている為、その生態から増殖まで全て、良く知っている。最も、今まで明かされた事実しか学んでいないが。
エイリア石は、再結晶するとランクが一上がるらしい。今まで成せなかった感染増殖。そして、取り付き洗脳能力が高くなっている。
洗脳された人間は、力に満たされた様な快感を得て、戦闘能力など数々の能力が開花、アップする。
「つまり、円堂守は洗脳された。あんな石ころにな、もうアイツは、今までのアイツじゃねぇ。」
「そんな、」
「君の母さんが可笑しくなったのも、多分そのエイリア石の所為だろう。エイリア石は、欠片を肌身持っていないと洗脳されない訳じゃないからね。多分、今頃町中に広がっていると思うよ。勿論、感染する人と感染しない人が居るから、君も私達もこうやって正気のままで居られるんだけど」
「だから、お前が円堂を救ってやれ。今のアイツにお前が如何見えてるかは知らんが、アイツ等を救ってやれんのはてめえだけだろ」
頭の上にチューリップを咲かせた人間にしては、今とても良い事を言ったと思う。
勿論、あんな変なお母さんの居る家に戻る勇気も無い為、当分安心出来そうな此処で寝泊りする事に決めた。
偽お母さんはお父さんを殺していた。あんなに仲良かったのに、あんなに愛し合っていたのに。絆ってのはこんなに簡単に壊す事が出来る。
とても、怖い。そう思った。
230618
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.111 )
- 日時: 2012/06/23 23:52
- 名前: さくら (ID: ZFblzpHM)
- 参照: http://nanos.jp/10sakura/page/21/
05.
戦わないといけない。みんなを助けなきゃならない。
私は一人、おひさま園の皆の反対を押し切って雷門中に登校した。だって、幾ら偽物でも其処にいるのは“彼等”だから。私の大好きな人達だから。きっと心の奥で悲鳴をあげてる。
黒い沼があった。円堂も風丸も豪炎寺も鬼道も吹雪も、みんなみんな気を失ってその黒い沼に溺れていく。最初は見てる事しか出来なかった。私がみんなを助けようとして下手して溺れたら怖いからだ。沼は汚いから、服が汚れて臭くなるのは御免だった。
どうせ皆は自分の力で這い上がれる。それだけの力を持っているから。
だけど皆はどんどん溺れていく。何の抵抗もせずにゆっくりと溺れて沈んで死んでゆく。それが怖かった、同じくらい怖かったけど、真っ先に身体が動いた。自分が助けなきゃ。やっぱりよく考えてみると、一人になるのは嫌だった。
私は袖を捲って沼に入る。どぷっどぷっ、と脚が底なしの沼に溺れてるのが分かる。私は躊躇問わず飛び込んだ。誰かを見つけなきゃ。深い深い底に沈んでく。そして漸く手に何かが触った。
腕だ、誰かの腕だ。残りの息を振り絞り、私は上陸した。けど。
だけど私が持ってたのは、たった一本の細っこい骨だけだった。
「あっれーまた来たの?サクラちゃん」
「・・・吹雪、」
好きで来た訳じゃねえよ、黙れ。
だけど全く怖く無かった。最初に来た時とはまるで違う。怖くない、そう、全然怖くない。だから雷門に足を踏み入れることが出来たんだと思う。
この前と違って丸っきり人気がない。おいおい他の奴らはどうした、勉強は?義務だろ?って私も行ってないから言えないんですけどね!
そうしたら吹雪が校舎の前に立っていて。右手に釘バットが握られているのは見なかった事にして。
「あ、もしかしてやっと僕等の仲間になる気になった?あれから結構探したんだけど全っ然見つかんなくてね、本当、何処に居たのかなあ?」
「退いて。」
「君の家、悲惨な事になってたねえ。あー本当、悲しい悲しい。君のお母さん、サクラちゃんにまで捨てられたって凄い形相でサクラちゃんの事探してたよ?今度会ったら殺されちゃうかも。」
「退いて!」
「だってもし僕が退いたら君何するの?僕達を殺しちゃう?」
「退けっつってんだろ!」
「無理だと思うよ。今の君の力じゃあ、絶対に。それに、そう簡単に円堂君の所には行かせられないなあ。あの人の所に行きたいんならまずは僕を倒してから行け!って、良く言うでしょ?」
「黙れ、」
「 い や だ 」
ああああイライラするムシャクシャする。何で言う事聞いてくれないの、何で退いてくれないの。私皆を殺したりしないから。どうしてそう決めつけるの!?
もうこうなれば強行突破だ。私は退こうとしない吹雪を無理やり押し退けて、走り出した。
けど。
あ、れ?
「だから行かせねえつってんだろ。」
あ、れ?横を見れば吹雪が居る。あれ、でも私動けない。腕を掴まれてる。誰に?分からない。吹雪はそんな私を見て楽しそうに腕を降っているから多分違うだろう。ってか吹雪ちょっと表出ろや。何だその態度。
壊れたロボットの様になった首をギイ、と動かすと其処には吹雪が居た。
否、吹雪は居るよ?うん隣にね。だけど私が言っている吹雪は後ろに居るの。あれ?それじゃあまるで吹雪が二人居るみたいじゃないか!うん、だから二人居るんだよ!
混乱して口をパクパクさせている私を見て、面白そうに笑う吹雪と、そんな私に苛ついて来たのか私を睨みつける吹雪。うん、確かに二人居る。私の目は断じて正常なはずだ。だから私の考えに狂いは無い。そう、吹雪が二人居るんだ。
「あ、敦也—。良かった、助かったよ。サクラちゃんお転婆さんだから無理やり通ろうとして僕転びそうになっちゃった」
「ったく士郎、一人で片付けるから俺には見てろつったのに、何だよ俺出て来たじゃんか」
「そんなの知らないもーん。敦也が勝手に出てきたんだしい」
「てめえ、ぶち殺すぞ」
うん、本当について行けない!WAKARANAI!
敦也ってのは、吹雪の弟で何年か前に雪崩事故で死んでたんじゃないの?吹雪の身体借りて完璧を求めてた。そうだ、私吹雪を通してだけど敦也と直接話したじゃないか。
ジェネシス戦の時、敦也と吹雪は一つになって、吹雪は本当の完璧ってもんを見つけたはずなのに。
なんで。
「ああ、サクラちゃんにはよく分かんないね。こいつ、僕の弟の敦也。ほら、敦也も宜しくしな」
「・・・ッチ、」
「敦也もね、エイリア石の力で蘇ったんだよ?エイリア石って熟熟凄いね!力を得るだけじゃなくて死んだ大切な人にもう一度チャンスをくれたんだ。敦也にチャンスをくれたんだよ。ほら、敦也を見て?こうやってまた一緒に居る事が出来るんだ。僕はやっぱり一人じゃない。一人にはならない。だって僕にも敦也にもエイリア石っていう素晴らしいものがあるからね!」
「あ、・・・あぁ、あ」
「ほおら、サクラちゃんにも掛けてあげるー」
「いっ、・・・止めて!」
洗脳されそうになった。うげえ。
何が掛けてあげるーだ吹雪君よお。首絞めてるじゃん何か出て来そう、超気分悪い。吐きそうだからお願い止めて。止めてください止めてください止めてください!
うげええええうげええええおえええええ
「・・・ごほっ、けほ、・・・っはぁ、は、っけほっ、」
「エイリア石って、何でも願いを叶えてくれるんだね!」
230623
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.112 )
- 日時: 2012/07/15 17:09
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: 赤司様まじ赤司様
えー夏の小説大会が開催中らしいですね。
しかも全作品とか^^;
別に絶対に受賞したいという訳では無いですが、このスレッドが良いと思った方は投票お願いします。
日々読者様方の期待に答えられる様に日々誠心して参りますので、これからもこのスレッドを宜しくお願いします。
- Re: 金木犀で創るシャングリラ (inzm/小説集) ( No.113 )
- 日時: 2012/07/26 18:06
- 名前: さくら (ID: noCtoyMf)
- 参照: 今まで黙っててごめん。実は俺、赤司様のハサミだったんだ(バッ
『“———ライヴリーアヴェニューの第一通りで複数の乱闘発生。中には“挑戦者”だと思われる者も確認。・・・只今アサシンから応援を請求されました!シードが何名か向かって下さい。繰り返す。ライヴ———”』
「ふふっ。おーけーよ、今直ぐ向かうわ。」
薄暗い、明かりの付いていない部屋で電子音と少女の声が聞こえた。
黒く大きなヘッドフォンを怠く耳に掛け、虹彩の指は細いコードを絡めつけて遊んでいる。目の前には大きな機械。幾つものコードが張り巡らされ、虹彩はヘッドフォンから聞こえる無線通信の声に妙に楽しそうに笑っていた。
と、まぁ、此処まで条件が揃っているとすると、もう検討がつくのでは無いか。
虹彩はフィフスセクターに現場からの通信を横取りし、現場中継を盗み聞きしていた。勿論、この通信は、虹彩の持つコードに置き換えられておりフィフスセクターには届いていない。
そして、現場から応援を請求した男は、まんまと虹彩をそちら側の人間だと思い込み、『では、即急にお願いします』と言って通信を切った。
これには、一緒に居た梓美とサクラは爆笑である。ジュリアは、何かと気難しそうな顔をしていたが。
「どうしたの?ジュリア」
「否、ちょっとその“挑戦者”という単語が引っ掛かって。“挑戦者”と言うのは、元からこの世界には存在していない人物。この裏で開催された大規模なイベント、魔聖対戦に参加している者たちの事でしょう? つまり、私達。」
「そうだけど・・・。だから何なの?」
今度はサクラが茶髪の髪を揺らして、聞く。
「今、無線では“中には“挑戦者”だと思われる者も確認”と言ったわね、」
その言葉に、次何かを閃いたのは虹彩だった。
ジュリアとアイコンタクトを取り、今度は虹彩が口を開く。
「その乱闘の中に、私達と同じ“挑戦者”が居るという事よ」
「うーんと、意味が良く分からないんだけど」
「こうなれば私達から出向いた方が早いわ。仕度をしなさい!武器も忘れずにね、」
「あたし達もあの乱闘の中に入るって言うのか?」
「ええ。だけど私達がするのは乱闘じゃないわ。あくまで、狩り、よ。」
「そうね。もうこうなったら返り討ちにするしか無いもの」
最後まで意味の分からないサクラは、首を傾げながら妙に急ぐ虹彩とジュリアの背中を梓美と追っていた。
×
それから数秒後。移動魔法を使った彼女等は、現場とは少し離れた場所で様子を伺っていた。
理由は簡単だ。幾ら移動魔法が便利だとはいえ、乱闘の中に着地する事は出来ない。魔法理論的には着地出来るのだが乱闘のさなか行き成り着地すると何処かしら伸びて来た腕脚が身体に当たるなど、巻沿いを食らってしまう危険があるからだ。
とはいえ、傍観する人ごみの中に居るのもまずい。頭が回る虹彩とジュリアは、此処までを全て計算して、着地場所を少し離れた地点に変えた。
「ほらサクラ、良く見なさい」
「・・・うーん。」
するとサクラは何かに気が付いた様に、声を出した。
「円堂っ!円堂が居るよ!?」
「カズヤ、ドモン、染岡も居るわね。」
「なんで、」
「さぁ・・・?」
ジュリアは分かった様な笑みを浮かべて、サクラが自力で答えを導き出すまで待っている。
そして漸く頭が回ってきたサクラは、同じく此処で漸く分かった梓美と同時に口を開いた。
「「刺客、挑戦者狩り!」」
この答えには虹彩もジュリアも一安心な様だ。
虹彩は数秒考えてから周りにバレない声量で説明を始めた。
まず、この魔聖対戦には元から持っている経験値がある。それに、この世界に来てから戦えば戦うほどプラスされる経験値。経験値はレベルアップに繋がる大切な値だ。簡単に言うと、経験値が高ければ高いほどその分レベルも上がる。レベルが上がれば当然強くなる。
その経験値は、狩りという形でも稼げるのだ。狩りとは、この世界で挑戦者を追う、フィフスセクターのアサシン、シードと、自分の他の挑戦者(チームを組んでいる場合はその仲間を省く)を殺す事である。
一度に貰える経験値の値は様々。狩られる者のレベルが高ければ高いほど、その者の価値が高くなるし、一度に複数の者を狩る場合も、その分人数がかけ算される。
つまり、
(一人当たりの経験値) × (人数) = (貰える経験値)
という事になる。
つまり、経験値が上がれば自分のレベルもステータスも上がり、ランクを超える毎に使える魔法やアイテム、召喚出来る魔獣や称号などの幅も広がり、要するに良い事づくめなのだ。
それに、此処の魔聖対戦はあくまでライバルで殺し合い、最後残ったチーム及び一人の願いを叶えるという。
ライバルは少ない方が良いだろう。
つまり円堂達は、刺客狩りと、自分達が自ら出向き撒いた餌を伝って湧いてくる他の挑戦者と殺りあって少しでもライバルを減らそうとしている訳だ。
流石前回の王者。考えることが違う、ベテランである。
だが其処まで頭が回らなかった虹彩とジュリアではない。もし挑戦者が湧いてきても、湧いてきた挑戦者に負けてしまっては元も子も無いのだ。
だからその逆を付き、少しでも手合わせをしておこうと思っている二人。勝てなくても途中棄権すれば良いし、相手の強さがどの位かも分かれば、対策も練れる。
これ程の実技教科は無い。虹彩は口角を上げた。
「多分私達と同じような事を考えている奴らも居る。十分気をつけなさい。最初から———フルで行くわよっ!」
20AF:( 挑戦者の戦。幕開け、 )
240726
久しぶりのこーしんー。
クロノ分かんない。アーティファクト?何それ美味しいの?
黒バスに浮気してます。もう黒バスに入浸っている。イナズマファンさん裏切ってごめんなさい。
でもちまちまですけど更新もやっていきます。
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