二次創作小説(紙ほか)
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- 【夢小説 伊月俊】黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。
- 日時: 2016/03/14 23:03
- 名前: すず (ID: e.PQsiId)
黒子のバスケで夢小説です。
誠凛高校中心です。というか、伊月俊がメインです。
どうぞ、読んでください。
きゅんきゅんする恋愛小説が書きたい!!!!!!
- Re: 黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。 ( No.12 )
- 日時: 2016/03/14 01:39
- 名前: ナッツ (ID: 5SQt.OF5)
更新頑張ってください!応援してま〜す!
- Re: 黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。 ( No.13 )
- 日時: 2016/03/14 11:28
- 名前: すず (ID: e.PQsiId)
ナッツさん
ありがとうございます!
できれば感想などもいただけると嬉しいです!
更新頑張ります!
- Re: 【夢小説 伊月俊】黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。 ( No.15 )
- 日時: 2016/03/19 13:52
- 名前: すず (ID: e.PQsiId)
- プロフ: 第一章
私の頭の中は、依然、糸がこんがらがるように、複雑に絡み合っているだけだ。
「昨日のことは忘れろってどういうこと……? どうして謝るのよ。それって、新しく私と関係を築きたいってこと? そんなの無理よ。あなたは私が誰なのか一発で言い当てたわ。それはつまり私のことを知っているということでしょう……?」
私の昔を知っている人がいないであろう誠凛高校に来たのに……どうしているのだ。
「はい、そうです。俺は鈴野さんが中学一年生の時、月バスに載ったあの時からずっと知っています」
廊下の方からやけに大きな足音が聞こえた。少し速足のその足音は段々、私達のいる教室から遠ざかっていき、それに比例して足音も小さくなり、やがて何も聞こえなくなった。あるのは、私達二人の、小さな息遣いだけだった。
彼の瞳には私を捕らえて離すものかという強い意思が見え、目を逸らすことが出来なかった。彼の瞳は真剣、そのものだった。
「月バスに載った時から知っている……私を?」
「俺が初めて憧れた選手。男とか女とか関係なく」
言葉を失う、ということはこういうことなのかと身を持って体験した。つい最近、言葉を失う、という体験をした人が目の前にいるが、まさか次の日に自分がそうなるとは思っていなかった。私が月バスに載った時は一回きりだ。それも、もう何年も前の話で、特集ページを組まれていたわけではない、「今日の選手」というコーナーの小さな一コマなのに……。
震える声を抑えながら、必死に彼から逃れるため、私も負けじと言い放った。
「それじゃあ、もう言わなくてもわかるでしょう? 私がどうしてバスケットから離れたのか。そうせざるを得なかったのか。月バスなんて言葉、もう二度と私の前で言わないでよ」
瞬間、彼の瞳が一瞬揺らいだ。もう絶対に離すものかと、私を捕らえていた拘束力はほんの少しの緩みをみせ、隙が出来た。言わなくてもいいことを言ったと、思ったのだろうか。しかし、彼の言葉は今の私にとってみればすべて、言わなくてもいいことの部類にしか入らない。
今、この瞬間、逃げる余地が出来た。
彼の横を通り抜けるには、今しかないのだ。
「待って、まだ話は終わってない」
すれ違いざまに、咄嗟に彼は振り向く。
「鈴野さんのことを思っているからこそ、普通に接したいんだ」
私のことを思っているからこそ、普通に接したい……いや、逆だ。
私のことを思っているからこそ、普通に接することなんて絶対に出来ないはずだ。彼は私の気持ちを全く分かっていない。何のために……創設二年の新設校に来たと思っているのだ。
「違うわ、そうじゃない」
扉に手を掛けて、肩越しに呟いた。
「あなたがバスケットボー部所属であるって、わかっていたのよ。昨日、シュート練習をしていたし、カントクって言っていたし、背番号五番のユニフォームもジャージも見えていた」
自分でも驚くほどの、ドライアイスのような冷たい声だった。
「私はバスケットボールから離れたいのに……どうしてバスケットボール部所属の部員と仲良くなれるのよ……もう、話しかけないで」
- Re: 【夢小説 伊月俊】黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。 ( No.16 )
- 日時: 2016/03/19 14:37
- 名前: すず (ID: e.PQsiId)
- プロフ: 第一章
私立誠凛高校バスケットボール部、IH東京都予選リーグ出場、第六位。つまり、全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会、通称ウィンターカップ東京都予選にはもう出場が決定している。夏に結果を出した上位八校だけが、東京都予選に出場出来、その内の上位四校が決勝リーグ出場。そこで、上位二校に入ればウィンターカッップ東京代表として出場決定。だから、今俺たちが日本一になるためには、その二校の椅子をもぎ取らないといけないわけだ。今は九月上旬——予選まで、あと一カ月たらずしかない。
体育館一階、一番端の角部屋——そこが、誠凛高校バスケットボール部の部室だ。創設二年目ということもあり、最初は綺麗を保っていた部室であったが、(当たり前の話)全員男なもので、創部当時の綺麗な部室はたった三日で跡形もなく消え去ってしまった。
俺は右手で制服の学ランのファスナーを下げながら、自分のロッカーを開ける。
もう七時だというのに、太陽は完全には沈みきっておらず、陽の光がカーテンから少しだけ零れていた。
「もう話しかけないで……か」
憧れの人からの「話しかけないで」ほど、辛いものはない。
「おい、伊月」
大きな足音を立てて半裸の日向がずかずかと部室にやってきた。どうやら、水浴びでもしてきたらしい。
「なんだよ」
「今日のパスはなんだ? 全然入ってなかったぞ」
日向は俺の右隣にある、自分のロッカーから無造作に制服を取り出すと、練習着を脱ぎ出した。
日向に言われなくてもわかっていた。正直に言うのであれば、今日は練習に身が入らないであろうということも、体育館に入る前からわかっていた。頭の中で、彼女の言葉がわんわんと鳴り響き、練習している仲間の声を常にかき消してしまう。
日向と俺は、バスケ部の中で一番付き合いが長い。俺は実際のプレイに顕著に表れるようなタイプではないが、日向には何か特別なことがあったらすぐにばれる。だから、練習中、日向は何度か俺に声を掛けようとしていたことを知っている。何度も、何度も、口を開けては閉じ、開けては閉じを繰り返していた。
待っていてくれたんだと思う。
俺がいつもの俺に戻るのを、練習に身が入るのを。しかし、結局は最後まで入れず、日向に指摘されてしまった。最後の最後まで、彼女の言葉が忘れられなかった。
「ごめん、もうすぐでウィンターカップ予選なのに、次からは締まっていくよ」
自分でも覇気のない声だと思った。日向は眉間に皺をよせながら、眼鏡を取った。練習着を脱ぐのに邪魔なのだろう。そして、そのまま自分のロッカーの二段棚の方に置く。
何か喋ろうと日向が口を開けた時、
「あっちぃい……いやあ、あついよー」
扉を大きく開け放ち、入ってきたのは二年、フォワードの小金井慎二——コガだった。「今日の練習メニュー、殺人的すぎるよーそれよりも伊月! よかった! 聞きたいことがあったんだよー」
コガは俺の左隣にある自分のロッカーを開けた。
「なあ、伊月のクラスに転校してきた帰国子女がいるだろう? 知ってる?」
屈託のない表情で、喋りかけてくるコガ。
「……ああ、いるな」
知っているも何も、今、俺は丁度その彼女のことで頭が一杯だ。
「話したことあんの?」
「俺の隣の席だ」
「え!? じゃあ、話したことあるんだ! どんな奴? めちゃくちゃ美人らしいけど、本当なの!?」
「まあ……美人だな。っていうか、なんでそんなこと知ってるんだよ」
- Re: 【夢小説 伊月俊】黒子のバスケ 誠凛高校バスケ部。 ( No.17 )
- 日時: 2016/03/19 13:31
- 名前: すず (ID: e.PQsiId)
- プロフ: 第一章
「そりゃあ、すぐに噂は広まるよ! だって帰国子女の転校生だぜ?」
噂が広まるのが早いからなのか、お前の情報網がすごいからなのか、どっちかわからない。
「ねえ、ねえどんな奴? 話した感じ、どんな奴?」
話した感じ……か——もう話したくないって言われた後にその質問は精神的にきつい。
「ど、どんな奴?って……まだ、一言くらいしか喋ってなくて——」
しかし、俺の言葉は途中で遮られ最後まで喋ることは出来なかった。
「こぅうら! 早く着替えんかい! 部室閉めるぞおお!」
誠凛高校男子バスケットボール部カントク、相田リコが躊躇なく部室に、突撃し、コガの背中にハリセンチョップをお見舞いする。
「いってえええ! カントクいってええよ!」
「さっさと着替えなさい! いつもいつも体育館の鍵返すの遅いって愚痴言われるのは私なんだからね! 日向と伊月もさっさと着替える!」
ふぅと息を吐き、ハリセンを男らしく構え、手でパンパンと軽く鳴らすカントク。
「くぅ……伊月! 後でその美人転校生の話聞かせろよ!」
と、コガは猛スピードで練習着から制服に着替えると、逃げるようにこの場から立ち去った。相当カントクのハリセンが痛かったらしく、悲痛な声が廊下にまで響いていた。
「あのスピードをバスケにも応用してくれればいいんだけどなあ……」
俺は制服のズボンを履きベルトを締めながら呟く。
「ったく、何の話してんのよ。なぁにが美人高校生よ。どこのどいつよ!」
カントクのハリセンが肩に構えられ、額に青筋が浮かぶ。
「な、名前は——鈴野凛音っていうやつで、だけど俺たち、別にその」
「美人転校生の話なんかしないで、さっさと手を動かせばそれで——ちょっと待った。鈴野凛音?」
カントクの手が止まり、ハリセンの動きも止まった。
同時に俺たちの手も止まる。
「そう——鈴野凛音」
「す、すずのりんねって……!? もしかして、あの鈴野凛音……!?」
カントクの口がぱくぱくと動いているだけで、言葉になっていない。
「カントク、なんでそんな驚いてんの……?」
ベルトを締めながら日向が呟くように問う。
「手を止めるな! さっさと出ないと部室閉めるよ!」
「は、はい!」
俺たちは、カントクに急かされるまま、部室の鍵閉め、体育館の全ての施錠を終えると職員室に鍵を返し、校門に向かった。体育館から出た後も、カントクの表情は冴えないままだった。
外に出ると、もう太陽は完全に沈みきっており、風も大分冷えていた。嫌というほど聞かされた蝉の鳴き声も、気づけばもうすっかり聞こえなくなり、まだ練習を続けている外競技の運動部が続々と部室棟に帰ってきていた。
「まさか……伊月くんが凛音の名前を知っているなんて、思わなかったわ」
カントクは、唐突に切り出した。俺と日向は、カントクの歩調に合わせながらゆっくりと進む。
「俺も思わなかった。カントクも知っているんだったら、今日の朝にでも言っておけばよかったな……」
まあ、朝の俺はなぜ彼女が昨日学校にいたのか、考えすぎて落ち着いて喋れたかどうか甚だ疑問だが。
「その、鈴野凛音って誰だ? 伊月のクラスにやってきたただの帰国子女じゃないのか?」
日向はまだ読めておらず、当然の質問を俺たちに繰り出す。
「ええ、ただの転校生じゃないわ。彼女の名前は鈴野凛音。小学校六年生まで日本で暮らしていたんだけど、両親の都合で中学校一年生に渡米。その時は、まだ凛音は並みの選手だった。並みといっても、アメリカの雑誌には載るくらい実力ではあったのよ。でも、その程度だった。しかも、身長は当時百六十五センチのスモールプレイヤー。だけど、とあるきっかけでバスケの才能が開花し、中学校三年間のU—15州代表で優勝の成績を収め続け、自分の所属しているチームも優勝に導いた」
俺の家には彼女が載っている雑誌や新聞記事が山ほどある。中学生の時、数少ないメディア露出を真剣にかき集めていた……憧れの選手。
「凛音の才能が開花した原因は、WNBAで活躍していた女性選手が、SGからPGにポジションの変更をさせたこと。今まで三点シューターとしてなら、まあ道はあると言われていたけど、そうじゃなかった。凛音の能力は、PGのポジションで真価を発揮する、周りを生かすことが出来るプレイヤーだったの」
「つまり、シュートも打てるPGってことか?」
「いいや、日向。そんなもんじゃないんだ」
彼女の試合を見ればよくわかる。
確かに元々SGだけあって、外からのシュートも決めていくけれど、彼女の本当の意味での強さはこんなもんじゃない。
俺は鞄の中からとある雑誌を取り出した。いつもロッカーの中に入れてある、唯一の雑誌——彼女のことが一番多く書かれてある雑誌。
常に持ち歩いているわけではないが、部室のロッカーには常に置いてある。
日向は、折れ目がついてあるページをぱらぱらとめくると、音読を始めた。
「コート全体を俯瞰的に見る、広い視界。仲間を最大限に生かすことが出来るパスワーク。完璧なリズムは完璧な流れを作り出すことが出来る」
俺が……性別の垣根を越えて初めてPGとして憧れた選手。
「最もWNBAに近い選手……既にいくつかのチームとも契約済み。スポンサー契約はU—15過去最多の十社以上……す、すごい。こんな選手がどうして誰にも知られずに新設校にやってきたんだ……!」
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