二次創作小説(紙ほか)
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- とある神鳴流剣士の転生譚
- 日時: 2018/01/05 01:28
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
どうもこんにちはこんばんはおはようございます。はじめまして、マメツキです。
このお話はネギま!のオリジナル男主が色々と転生して行く微傍観系小説です。
書く遅さにつき亀更新です。
とりあえず、これは違うだろ、駄作かよとか思われましても生暖かい目で見守ってやってください。
尚、マメツキの自己満足の為に書き走っていきますのでご容赦ください。
マメツキは感想等には泣きついて狂喜乱舞します。
捏造てんこ盛りです許せる方のみどうぞ初見さんいらっしゃいです。
以上、わりとウェルカムなマメツキでした。
設定。
小原 錺(こはら かざり)
麻帆良学園男子高等学校に所属する明日菜達の三つ上な高校三年生。神鳴流につき関西人。
剣道部にして保健委員。
特徴として赤目でつり気味の鋭い眼光と揺れる一本のアホ毛。右目下の小さな泣きボクロがチャームポイント。
ネギま!の例に漏れず美形と言うかイケメン。
クールで落ち着き払っているが、実は現代からの転生者なので精神年齢は既に三十路越え。今更女子中学生ごときにきゃあきゃあ言う(精神)年齢でもない。故に麻帆良の御意見番としても活躍。
故に『麻帆良の御意見番』と若干の男子高校生に与えられるべきではない二つ名が存在する。
麻帆良の男子生徒でも人気の高いイケメンであり、フェロモンがすごいエロイケメン枠。ラッキースケベは発動する前に元を断つ紳士。捏造設定により男子高等部の制服は中等部の持ち上がり。
野太刀『霧雨』を所持。竹刀袋に常備。タカミチの居合い拳の元となった元祖居合い抜きの名手。実力は青山鶴子と同程度。宗家青山家の分家の次期当主でもあるかなりハイスペックな元一般人。
アルビレオとは何か通じ合うものがあるのか仲良くしている。なんか重力剣貰ったんやけどどないしよう。これ本来近衛刀太が持たなあかんやつちがうん、とか思ってたけど刀太くん主体の話はパラレルワールドの話やから大丈夫なんか良かった、とか言いながらちゃっかり重力剣(黒棒)をアルから贈呈された。基本的に黒棒は使わない所謂宝の持ち腐れ。
赤っけのある黒髪に柘榴色の瞳。身長は185cm、体重は平均。
なんやかんやで巻き込まれた原作完結後。
ではどうぞ!
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.5 )
- 日時: 2018/01/08 01:37
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
中忍試験本戦が始まった。俺はどうやらシード枠なので、始まるまでにまだ余裕がある。カカシは既に控え室へと行ってしまった。
隣のミナト先生に「カカシが心配かい?」と問われたが、『……いや、カカシが負ける訳ないんで』と自信満々に返しておいた。
中忍試験と言っても所詮はまだ下忍、実力があるやつとないやつははっきりと目に見え、カカシが勝てるのも当然かとなかなか見ごたえないもんやなぁとか思いながら手すりに肘をついて壇上を見下ろして居た。中々酷いように思われるが、前世が前世だ。仕方ない。
カカシも一回戦を無事勝利し観客席に帰ってきた。愛しの我が友よ。進出おめでとうと一端の祝いを述べていたのだが、次に現れたフードの女に思わず俺は戦慄した。
左の腰に下がる俺の霧雨に似た野太刀に短刀、そして右腰に下げられた黒い日本刀。年は恐らく俺より4倍ほど上、多分20辺りだろうか。……俺はこの気配を知っている。予想が合っているならば、多分俺が一番会いたくない嫌いな奴だ。
「あの人、お前と似たような刀持ってんね」
『……せやな』
「何、気になるの」
カカシにじとりとした視線を投げられたが、アイツが勝てばトーナメント的に俺と当たることになる。
次の相手やからなと告げると、「へえ、錺があの人の勝利を確信するほど強いってことか」とミナト先生に納得してもらえた。それにこくりと頷いて黒い日本刀に注目する。あれはきっとひなだ。
妖刀『ひな』。気をしっかり持たなければとり憑かれてしまう厄介な代物だ。しかしそのリスクの分、強力な太刀である。取り憑かれただけで、その一人に一度神鳴流が全滅させられそうになったこともあるほどなのだ。
あれは確か素子さんが主な使用者だったと思うのだが、と考えてふと思い出す。……確か、原作でも見て、前世でも刹那が言っていた筈だ。墓守り人の宮殿で、月読が持ち出していたと。思い出せなきゃ原作知識も宝の持ち腐れ言うやつか。
そこまで考えて闘技場を見ると、ちょうど相手の攻撃でフード女のフードがぱさりと落ちたところだった。
フードの中に隠されていたさらりと流れる金色の髪、赤い髪紐、ギラギラ獲物を探して輝く目に眼鏡。……完全に『祝 月読』。厄介なのが転生してたな……と顔を歪める。
しかし、ずいぶんと年上だな。15も上とは、少し違和感があるが……。どちらにせよバトルマニアのあいつのことだ、とっくに俺のことはバレているに決まっている。刹那もほどほどに、俺にもかなり執着していたからな。神鳴流最強だった鶴子さんを負かしたからだろう。厄介なのに目をつけられたとあの頃は思っていた。
食い入るように月読を睨んでいたら、あちらも俺の視線に気付いたらしい。笑顔ではあはあと急に呼吸を荒げて刀をべろりと舐め、明らかに俺を見ている。正直鳥肌立った。ぶわっと。隣のカカシも少し異様だと気づいたのだろう、肩を少し揺らした。反対側のミナト先生もその異常性に眉を潜める。
何かに集中していると見てチャンスと踏んだのだろう相手の下忍は月読にとびかかるも、それは一瞬で終わってしまったのだった。
「……ぅふ、邪魔せんといてくださいな」
その一言を呟いて、月読は野太刀を抜かず、鞘で腹を殴打する。返り討ちにあった下忍は勢いよくひゅんと吹き飛ばされ、背後の壁に激突した。
結局そいつは起き上がることなく気絶し、月読の勝利が確定される。月読はパッと振り向いて野太刀を持ったまま頬に手を当てほうと俺を見つめて息を吐いた。ぞぞ、と明確に背を何かが這う感じがして、肩をすくませる。
もう耐えられないとばかりに俺はさりげなくミナト先生の後ろに回った。
「なに、どうしたの」
『いや……』
「……それより、あの人めちゃくちゃ熱い視線、錺に送ってきてるけど。……知り合い?」
ちょっと不機嫌そうなカカシはあの熱視線を不愉快に思っているのだろう。声が低めだ。
月読が闘技場から去ったところで『まぁちょっと、神鳴流関係で』と呟くとふうんと返される。
親戚? と先生に問われ、『いや、親族やのうて……ちょっとした知り合い程度です』と返答した。
「どんな感じの人なの?」
『……一言で表すなら変態ですわ』
「……えっ」
「えっ?」
呆然とする先生と、少し間があったカカシ。俺は二人の様子に気付きつつスルーして真剣な顔で告げた。
『生粋のバトルマニアで。金で動くんやなく、戦場と血を求めて依頼を受けて剣を振るう。強者と当たるたびに興奮してああなるんや』
両腕を擦りながらそう言えば、背後から「よぉわかっとりますなあ」と甘ったるい雰囲気を宿した猫撫で声が全身の毛を逆立てる。
バッと振り向けばニコニコした月読が俺たちの後ろに居た。何てこった、接近に気付けなかった。コイツ怖い。
「次の試合、楽しみにしとりますえ。殺す気で行くので、覚悟して掛かってきてくださいな。……まぁ、ちょっとくらい殺しても……♪」
『……』
「錺、戻ってきて」
「……ん! 殺すのはちょっと認められないかな、あくまでもこれは試験だからね」
にこっと笑ったミナト先生にきょとりとした月読だったが、同じようににこりと笑ったあと、「それもそうどすなぁ……『試験』ですもんなぁ」と呟いた。
「ほな、挨拶もここまでで。……ウチ、アンタとの本気の死合い、前はできひんかったんで……楽しみにしとりますからね……セン・パイ」
それを言い切って月読は瞬動でその場を去った。俺はというと最後のセンパイのところでゾッとして硬直している。
「……なんか、すごい知り合いだね」
先生、それは言わないで欲しかった。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.6 )
- 日時: 2018/01/09 00:40
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
そのあと、カカシが再び闘技場に向かい、ミナト先生としばらくだべって俺の出番を待っていた。カカシの試合はもちろんカカシの勝ち。ホント五歳ながら前世の知識もないのにすげーなと感心する。俺は絶対無理。あれが世に言う天才とやら。
センパイと呼ばれる由縁を聞かれもしたが、それはまた機会があれば話すとさらりと避ける。流石に前世の知り合いだったときは俺の方が年上だったとか言えない。
そしてそのときはやって来た。ミナト先生やカカシに勝ってくるわと告げてやって来た闘技場。ざりざりと靴で地面の擦りながら腰の霧雨を確かめて前を見据える。
「……試合の合図で開始ですえ、センパイ」
『……』
元々そうだろうよと悪態をつきながらふと疑問を小声で口にした。
『お前はどうやってここに来たんだ』
俺が最も聞きたかったことだ。俺は恐らく一夜にして暗殺されたとかそんなもんだろう。神鳴流最強張ってると色々各方面から恨まれごとを買いやすい。精神的にかなり疲労していた俺はめんどくさくなったに違いない。
ただ、月読は違うはずだ。俺の知らないところで殺されてましたなんてことだったら断言は出来ないが。
「……ああ、会いたい人が居るー、言うて、理由は言わずにアルビレオさんに飛ばしてもろたんですー。まさか全くの異世界に出るとは思いませんでしたがー」
『……それは、』
「心残りどす、それさえなくなればうちは向こうに強制送還。アンタと一戦交えたい、そんな思いで飛んできたんです。センパイはもう死んどるんで向こう行くんは無理ですけどね」
そう言うことかと溜め息を吐き、ちょっと不思議そうな顔の審判にどうぞと目で挨拶し、刀に手を添えた。
月読もぞくぞくとばかりに背を震わせながら二刀流の構えを取る。
『そんなに言うならセンパイが完封したるわ、祝 月読』
「減らず口を」
開始の合図で月読が飛び出した。恐らく瞬動、入りが完璧だ。それを目に俺は落ち着き払いながら、霧雨を抜いた。ずばば、と一直線にこちらへ来ていた月読に居合い抜き、無音剣を避ける術はなく幾つも切り傷を作り後ろへ転がる。
俺は印を結び大きく息を吸った。
『火遁・豪火球の術』
ぼうっと大玉ほどの火球が勢いよく口から飛び出し月読へと向かっていく。その隙に俺は霧雨を抜いて鞘を放り投げ火球を追い掛けるように走り出した。
月読が護符でこの類いを無効化するのは読めている。俺は瞬動で上へと飛び上がり、火球ごと技名を叫んで特大のそれを振り抜いた。
『神鳴流奥義、新・雷光剣!』
「雷光剣!」
雷を帯びたそれ同士はガカッと白い光を一面に散らしてぶつかり合う。ぶわりと爆風が巻き起こり俺が態勢を崩した。風の勢いが強すぎて忍靴が脱げる。
あ、不味い。足場が不安定な今、攻撃の利点はアイツにある。
「もろたっ!」
『ッ!』
飛び上がって来た月読の上からの一閃を受けて、どかっと地面に叩き付けられる。結構な高さからだ、背中が叩き付けられ、息がつまった。その衝撃で霧雨がからんからんと大きな音を立ててあらぬ方向へ滑っていく。これは流石にヤバいぞ俺。それを好機とばかりに飛び出してきた月読は腕を大きく振りかぶる。
その瞬間、視界の隅に審判が目を見開き止めに入ろうとしているのが見えた。あ、あかん、負けたら終わりや、中忍になれん。
タイミングよく投げ捨てた鞘が目に入った。
『残念やな!』
さっき靴が脱げていて良かった。足の指で鞘を握り、刀を受けて動きの止まったその刃を素手で握り締め、そのまま足を振り上げる。
ガンッと気持ちのいい音が月読の顎を打ち抜いた。
「かふっ、うっ、」
『脳が揺れたな!』
反撃である。ちょうどよく分身の術で取りに行っていた霧雨が返ってくる。最早膝ががくがくの彼女に俺は一歩踏み込んだ。
『神鳴流奥義、百花乱れ桜!!』
目にも止まらぬ連撃に月読は吹き飛び、笑みを浮かべて気を失った。終わってしまえば存外あっけない最後だ。
途端、ぷつりと月読が消え、見たことのない女が現れた。
ただ倒れている。先程の大戦闘で巻き起こった被害もない。ただ女が気を失って倒れていた。
「勝者! 小原錺!」
のち、大勢の人に月読のこと及びさっきの試合を聞いてみるが、みんながみんな「君の居合い抜きで終わった」としか言っていなかった。カカシや先生もである。まさかそんな。いや。
まあいいか。
そんなこんなあったわけだが、俺、及びカカシ(は原作通り)は中忍へと昇格した訳である。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.7 )
- 日時: 2018/01/09 01:44
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
中忍になってから五年、今日で10歳である。確か今日、同期が卒業して、それで……ああ、オビトとリンがうちの班に入ってくる。ここは人数の関係上ファイブマンセルで任務をこなしていくらしい。
一人少ないとか思ってたら今度は一人多くなった。変動に差はないよなーと呑気に考える。ほんと、最近常々子供って楽だと思い知るわー。
本日の先生と二人の顔合わせに顔だけでも出そうと思ったのだが、カカシに三人で演習場に来るらしいから先に言って訓練始めとこうと引き摺られてやって来た。もう少しやさしめに引きずってくれ、首が絞まる。
三年前、木の葉の誇った白い牙、はたけサクモさんが任務よりも人命を取り、忍の掟を破ってからは里のみんなや、挙げ句助けた仲間にまで攻め立てられ気を病んでしまい、亡くなられた。
その時のカカシのショックは計り知れないだろうと思われる。ネギの時のようにナギが死んだと思ったら生きていた、なんて奇跡パターンもない。そしてカカシはそれ以来、掟に固執するようになってしまった。忍になってしまったが故に擁護が出来ないもどかしさは当人でない俺でも痛いほど分かる。まだカカシも俺も七歳の時である。
なんと言うことか、里の人々は死んで責任を取ったなんて勘違いして英雄だなんて言い出した始末。もちろん全員が全員そういうわけではない。その残った冷たい目はカカシに向けられるようになってしまった。
散々サクモさんに頼ったのはどこの誰たちだとその口を縫い付けたい。
はたけサクモには何回かカカシ経由で話したことがある。そりゃまあカカシの父親だから友達として会うのは当たり前だと思うのだが、初対面で一度家にお邪魔したことがあったのだが、驚くことに号泣された。ああ、この人にうちの父親と似た匂いを感じとってしまった、ごめんなさい。親バカなんだね。まあ自分の娘息子を可愛いと思うのは当たり前か。もうちょっと安心させてやれよカカシ。
サクモがその目で見たカカシの友人は俺が初めてだったらしい。……まぁカカシもカカシで周囲に近寄るなオーラ出しまくってたからな。手裏剣の投げ方教える出来事がなけりゃ俺もきっと接点はなかったはずだ。付け足すとばかりにサクモさんに娘をよろしくされた訳だが……友人としてやろ? ……そうやろ?
ついでに。もう精神的年齢がかなり年いってきた俺でも彼には憧れる何かがあった。イケメンやったし。強かったし。話して分かるがいい人だったし、必要な優しさも持っていた。正直本気で憧れたものだ。カカシにも言ったことはないが。
最近人前で笑うことも少なくなってきた彼女に俺が出来るのは初めての友人としてそばにいてやることだと葬式で泣きもしなかったカカシを見て漠然とそう思った。
きっとミナト班で笑顔も増えてくるだろう。あっ、めっちゃ精神に傷跡残す出来事が何個かあるわ、ヤバイ。
先生? ミナト先生も尊敬しとるよ。クシナさん語りを抜けばそりゃね。
そう言えば、俺は最近医療忍術にも向いていることが判明した。ネギま時代は医療とかに腑抜けるならひたすら剣剣剣!って感じで脇目も振らず木刀振るってたけど、今ならこのかお嬢のお陰で医療がどれ程大切かよく分かる。今世の目標は医療忍術を極めることにしよう。もちろん剣はより研鑽を積んで前世の俺を越えてみせる。オールマイティな忍者になりたいね。
「……錺、俺のはなし聞いてんの」
『……すまん、別のことに集中しとった』
「別のこと?」
全く話を聞いていなかったことにちょっと頬を膨らませながら別のことの部分に興味を持った。よしよし意識が逸れたぞ。
『俺、医療忍術もやるつもりやからオールマイティに忍術使いたいなあて』
「……ふーん、錺なら出来んじゃないの?」
『マジか。お前が褒めるとかホンマに稀やぞ』
「ねえちょっとそれどういう意味」
『あとカカシ』
「まだ話は終わってな……ん!?」
目を見開いて固まるカカシにそりゃいきなり自分の名前が出てきたら驚くよなと思いながら『お前ちょっと前ぐらいからあんま笑わんなってきたから』と付け足す。
最近本気で美少女になってきたカカシを見てサクモさんに娘をよろしくされた理由が少しわかった気がした。あれか、この美少女に悪い虫がつかないようにしてくれと。そういうことか。美少女俺っ子とか珍しいしな。未来を見越してカカシが美少女になると分かってたサクモさんすげー。
笑わんなってきたから、と言う言葉に反応して「……そう?」と首をかしげたカカシが可愛すぎる。将来美人になると言う俺の予想はあながち間違っちゃいないかもしれない。
サクモさん、俺はがんばりますよ。
『おん。やから、俺がそばにおったらななぁて』
「……あっそ」
『え、冷たい』
興味ないと言うばかりに背を向けたカカシに反抗期かとショックを受けつつ、訓練を切り上げて集合場所へと向かう彼女を追いかけた。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.9 )
- 日時: 2018/01/09 23:55
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
カカシと共に集合場所へ向かうとそこにはミナト先生とゴーグル少年と顔のペイントが可愛らしい女の子が俺たちを待っていた。
オビトが想像以上にオビトだったのは言うまでもない。リンなんだあれ可愛いぞあの子。原作でもちょろっとオビトの想像でカカリン要素あったしリンはカカシが好きだったみたいだし、わりとお似合いだったのではないだろうか。違う、ここのカカシ女の子だわ。
自己紹介もそこそこに俺たちは先生の説明の元鈴取り合戦を開始しようとしたのだが、なんと言うことか俺とカカシは先生にお前達は見学ねとはぶられた。えっ、先生えっ。
反論しようにも笑顔で阻まれて言うに言えない。この人普段にこにこしてるわりに怒ると超怖いからな。ホンマ怖いからな。ここはおとなしく言うこと聞いとこう。五十ウン歳の心の弱さよ。うーんかなしみ。
カカシは会話する気が無いようで、木陰に座っている俺の隣に腰を下ろして眠そうに観戦している。
しかしまぁ、見てて思うがやっぱり新人二人の動きが『ああ、新米やなあ』と微笑ましくなる。リン思うが女の子らしいよね。カカシはどちらかと言うとクールな感じの美少女だが、リンはなんと言うかほんわかした可愛らしい女の子、と言う雰囲気が強烈だ。自分で言っててほんわか強烈ってどういう意味や。
オビトがあの子に惹かれるのも分かるわあ、とファイトの視線を送っておいた。ここのカカシは女の子だからリンが同性愛者じゃない限り望みはあるぞオビト。行け行けオビト! 押せ押せオビト! ヤバイ俺オビト超応援してる。
とか俺的内なる錺の脳内会議炸裂させてたら先生が勝ったらしい。表情から見るに二人とも合格やろうか。やべえ全然見てなかった。
内なる何かならサクラよな。内なるサクラがしゃーんなろーだってばよ、このウスラトンカチ! ……あれ、あかん混ざった。
ウスラトンカチって負けず嫌いって意味らしいね、サスケ理論。
合格を言い渡されてえっと口をあんぐり開けたあと喜びにうちひしがれる二人を眺めながら馬鹿なことを頭で繰り広げる。うちひしがれるの使い方違うなこれ。完璧違うわ。
最近俺ボケて来たかなとか考えてたら「錺ー! カカシー!」とリンが満面の笑みで手を振ってきた。
オビトの腕をワシ掴み、パタパタと駆けてくる姿は最早天使とみまごう可愛さ。3-Aでは宮崎ぐらいしかこういうタイプ居なかったしな。後半超アグレッシブになったけど。基本3-Aは恋愛的目線じゃ最後までそういう目で見れなかったな。ネギへのあの猛烈アピールをしんどく思ったからな。あれは誰だって疲れると思うねん俺。
「私達合格したよ! これから同じ班だからよろしくね!」
この子は天使か。この世に舞い降りた癒しの女神か何かか。
ぎゅっと握られた手からアロマセラピーか何かが移ってる気がする。この子はマリアかナイチンゲールか何かの生まれ変わりか。
そんな馬鹿げた思考を持ってリンと手を握りあっていると固い棒か何かで頭を小突かれた。
「ちょっと。リンの手いつまで握ってんの」
木に立て掛けてあった霧雨を持った少し不機嫌なカカシだった。柄の尾で頭を小突かれたようだ。
はて、カカシが不機嫌になる理由が全くわからない。あれか、いつまでも可愛いリンの手を握るな馬鹿野郎ってお叱りか。
ぱっと言われた通り手を離せばオビトに襲いかかられた。
「お、おおお、お前えええええ! リンの、リン手をおおお!」
『なっ、なんやなんや!?』
「リンの細くて白い手が折れたらどう責任とるつもりだったんだテメー! ま、まさかリンに惚れた……!? そっから嫁的な意味で責任取るって……!? そうなんだな? そうなんだなー!?」
「えっ」
『思い込みクソ激しいぞなんやコイツ!? えっ、やないわ信じるなカカシ!』
盛大に勘違いをし始めたオビトの誤解を必死に解きながら落ち着かせていく。リンにも一言すまんなと謝罪したところでカカシに目をやると不機嫌度が増していた。だから一体なんや、カカシそんなにリンと仲良かったっけ。
不意に先生が静かだな、と思ってそちらを見てみると此方に手を伸ばしたところで固まっていた。入り方が分からなくなったんだろうな。
俺と目が合うと「そうだよね、子供は子供同士同期の方が話しやすいよね」と分かりやすく拗ねだした。
『せ、先生そんなことないから。大丈夫やから!』
そこからどうにか四人がかりで機嫌を直してもらったはいいが気落ちはしてたので今度からちゃんとミナト先生を仲間に入れてあげようと思う。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.10 )
- 日時: 2018/01/11 00:51
- 名前: マメツキ (ID: 3CxPuX6G)
書いていた分が消えてしまって話がわからなくなりそうなので消えた分の補足。
錺、父に受け継がれてきた口寄せ巻物を受けとる。
ミナト班で口寄せして成功する。
口寄せ獣、エヴァと発覚。
色々と知らない錺の存在があって少し気にくわないカカシ。
錺、ロリババア発言して頭を殴られ気絶。
前世があるとエヴァが公表し、いろいろと訪ねてくる四人に絶対誰にも教えないと言うことで前世の錺を知りたいか、聞いた上で受け入れられるか聞く。
全員了承。さあ、錺の軌跡を辿ろうか。←イマココ
**
広い屋敷。その一部屋である薄暗い和室に、5歳程の少年が胴着姿で正座していた。
ひょこりと揺れるアホ毛に、右の目元の泣きボクロ。当時五歳の小原 錺である。傍らには身の丈よりも大きな野太刀、霧雨を控えていた。
遥か前方の唯一光に照らされた敷居の向こうの人物は遮られて見えやしない。しかし幼い錺はそこにいるのが父だと理解していた。
呼び出された理由はただひとつ。つい先日、神鳴流最強と謡われていた宗家の青山 鶴子に、この幼い五歳の少年が完膚なきまでにその最強を叩きのめしたからである。
「錺。あの神鳴流で過去一、二位の強さを誇る鶴子様に打ち勝つと言う偉業、よく成し遂げた。息子として誇りに思うぞ」
『……勿体無きお言葉です、父上』
その言葉と共に錺は深く頭を下げた。うつむいた錺のその表情は疲労にまみれていた。
父は錺を誇りになど思っていなかった。自分がのしあがる為の道具としか思っていない、自己中心的考えの男だったのだ。
幼いながらに理解していた錺は、課せられる苦行に唾を飲み込んで耐え抜き、今日まで神鳴流剣士を名乗ってきた。
しかし、錺はそれも今日でさよならだと息を吐く。
意気揚々とお前には将来本家の方と結婚せねばならないからなと語る父を、錺は『お言葉ですが』と遮る。
『本家、関西呪術協会長、青山及び近衛詠春様から養子に来ないかとの話を頂きました』
「……な、」
『俺はそれを受けようかと思います』
本家もこの男の横暴さを理解していた。既に錺の戸籍は名字こそ変わっていないものの本家に移動しており、最早この男の手を離れている。
スクッと立ち上がって『今までありがとうございました』と腰を折り、霧雨を手にとっととその部屋を出た錺はほっと息を吐いていた。
ここまで強くなれたのは彼のお陰だが、裏で行ってきた悪行、錺への仕打ち。それは本家及び関西呪術協会の目に留まり、本日付けで彼は法に裁かれることになる。分家の小原家は錺が成人するまでしばし活動を停止するのだ。
そこから。本家の者にしか許されない斬魔剣弐の太刀等を詠春直々に教え込まれた錺は教養として今まで家庭教師で済ませていた勉学は中学校で教えられることとなる。
名を麻帆良学園男子中等部。学園長である爺にコネクションがあり、また、麻帆良も魔法使いなどに溢れていた。
そして紆余曲折。エヴァと出会ったり夜の警備にかり出され剣が猛威を振るうもの、錺にしてはなかなか楽しかったのだ。
当時高校一年の夏、彼はエヴァのロックハウスを訪れていた。
**
『仮契約がしたいんや』
「……はあ?」
突然そんなことを言い出した俺にエヴァは困惑したように声をあげた。まぁそれも当然か。仮契約にも色々と種類があるが、最もポピュラーなのはキスでのパクティオー。
唖然とするエヴァを横目に、今年誕生した茶々丸が冷たい麦茶を運んで来てくれたのでお礼を言って、「貴様、本気か?」と問い掛けてくるエヴァにこくりと頷く。
『勘違いすんな、俺はお前と恋人になんかなるつもりはないで』
「……だとするとお前の目的は……ああ、なるほど、アーティファクトか」
『当たり前やろ』
ズズッとグラスに入った麦茶をソファにどっかり腰掛けながら喉に通していると、エヴァが「別に構わんが、ドール契約か? キスの方は御免だぞ」と話出す。俺は人形やないぞ人形使い。
『いや、手っ取り早く体液契約で頼むわ』
「たっ、!? 体液契約だと!!?」
『そら俺は人形やないねんからドール契約は無理やろ』
「なっ、なななっ」
真っ赤になって慌てる600年を生きる吸血鬼に呆れた様に溜め息を吐き、とりあえずアル……クウネルに教えてもらった契約陣を床にガリガリチョークを滑らせる。
エヴァはばたばた慌てているので今のうちに契約陣の中に移動させて、茶々丸にワイングラスを二つ頼んだ。
『ほら、とっとと済ますぞ吸血鬼』
「こ、ここ、心と準備というものがだな!」
視線を逸らしまくるエヴァを他所に茶々丸から受け取ったワイングラスに親指の腹を噛みきり、ターと流し入れてから、エヴァの手を取り、気を込めた手刀で手のひらを切る。エヴァのすぐに傷は直ったが、血は確保できた。俺とエヴァの血の比較が凄まじい。不老不死羨ましいぞ。
ごくりと一口程の彼女の血を飲み込み、一口とは違ってグラス一杯分の血液が入ったそれをつきつける。
「……まさか」
『ほら飲め』
「貴様、」
『飲めやとっとと、ブン殴るぞ』
「と、歳上を……そこはかとなくからかいおって……!」
『エエから飲めやこのクソボケ!』
「ぶわっ!!!」
ちんたらしているエヴァに俺の血をぶちまけ一滴でも飲み込ませる。途端にまばゆい光と共にカードが出てきてぱしりとそれを手に取った。うん、成功。
顔面から血を滴らせながらプルプル震えているエヴァに嫌がらせのようににたりと口角をあげて撮影していた茶々丸にグッと親指をつきたてるとグッと返された。お前は仲間だ。
そのあと、俺はその顔のままぽそりと呟く。
『ありがとな耳年増』
バンと玄関の扉を開けてダッと勢いよく駆け出した。ドアから投げられたビデオテープをキャッチして茶々丸に手を向けながら手を振って瞬動で飛び上がる。直後、先程まで俺が居たところに氷の竜巻がものすごい威力を伴って地面を抉った。
「かっ、錺貴様ああああ! 次だ! 次にあったらそのアホ毛引っこ抜いて全身の血を吸い付くしてやる! 私は女子供は殺さないが、この呪いが解けた暁には必ずお前だけは私の手で殺す! 殺してやる! 覚悟しろ小原錺!」
おおこわ。
エヴァの叫びはどこ吹く風。ポケットに手を突っ込みながら俺は虚空瞬動でその場を離脱した。