二次創作小説(紙ほか)
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- とある神鳴流剣士の転生譚
- 日時: 2018/01/05 01:28
- 名前: マメツキ (ID: 6A538sbk)
どうもこんにちはこんばんはおはようございます。はじめまして、マメツキです。
このお話はネギま!のオリジナル男主が色々と転生して行く微傍観系小説です。
書く遅さにつき亀更新です。
とりあえず、これは違うだろ、駄作かよとか思われましても生暖かい目で見守ってやってください。
尚、マメツキの自己満足の為に書き走っていきますのでご容赦ください。
マメツキは感想等には泣きついて狂喜乱舞します。
捏造てんこ盛りです許せる方のみどうぞ初見さんいらっしゃいです。
以上、わりとウェルカムなマメツキでした。
設定。
小原 錺(こはら かざり)
麻帆良学園男子高等学校に所属する明日菜達の三つ上な高校三年生。神鳴流につき関西人。
剣道部にして保健委員。
特徴として赤目でつり気味の鋭い眼光と揺れる一本のアホ毛。右目下の小さな泣きボクロがチャームポイント。
ネギま!の例に漏れず美形と言うかイケメン。
クールで落ち着き払っているが、実は現代からの転生者なので精神年齢は既に三十路越え。今更女子中学生ごときにきゃあきゃあ言う(精神)年齢でもない。故に麻帆良の御意見番としても活躍。
故に『麻帆良の御意見番』と若干の男子高校生に与えられるべきではない二つ名が存在する。
麻帆良の男子生徒でも人気の高いイケメンであり、フェロモンがすごいエロイケメン枠。ラッキースケベは発動する前に元を断つ紳士。捏造設定により男子高等部の制服は中等部の持ち上がり。
野太刀『霧雨』を所持。竹刀袋に常備。タカミチの居合い拳の元となった元祖居合い抜きの名手。実力は青山鶴子と同程度。宗家青山家の分家の次期当主でもあるかなりハイスペックな元一般人。
アルビレオとは何か通じ合うものがあるのか仲良くしている。なんか重力剣貰ったんやけどどないしよう。これ本来近衛刀太が持たなあかんやつちがうん、とか思ってたけど刀太くん主体の話はパラレルワールドの話やから大丈夫なんか良かった、とか言いながらちゃっかり重力剣(黒棒)をアルから贈呈された。基本的に黒棒は使わない所謂宝の持ち腐れ。
赤っけのある黒髪に柘榴色の瞳。身長は185cm、体重は平均。
なんやかんやで巻き込まれた原作完結後。
ではどうぞ!
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.27 )
- 日時: 2018/01/28 23:33
- 名前: マメツキ (ID: xzgxaqDS)
「ねえ、錺って前世の日常の話が聞きたい」
帰宅してリビングに入ると、ソファーで休んでいたらしいカカシからそんな問い掛けが飛んできた。
俺が『ただいま』と帰宅すると必ず彼女が家にいて「おかえり」と返してくれるようになってもうじき出産を控えた時だった。
三代目にカカシが懐妊したことを告げると、彼女の体のことや育児のことを考えて3年の休暇を与えてくださったわけだ。本当に頼りになるよなあと思う。そうして移り住んだ一軒家でカカシは休養を取っている。最近の護衛の激務に追われてあまり家に帰れない俺の代わりにカカシの友人の女性陣が遊びに来ているらしい。ホンマ情けなくてすまん。実質、同期に報告した日からがカカシの休みだ。当然家にいるので任務用の服は着ていない。とりあえず俺的には私服に身を包んだカカシがかわいくて辛い。
唐突なその問い掛けにぽかんとしていると、カカシが隣をぽふぽふと叩くのでとりあえず腰を落ち着ける。
9年前のあのとき口寄せでエヴァを呼んだあとから自然と避けるように前世の話は出なかったので久々で驚いた。9年ぶりか。なんか懐かしいな。
まぁ思うことはひとつだが。
『今更やな』
「俺も言ってて思った」
カカシも言ったあとそう思ったらしい。今更過ぎてどう説明すればいいかがまったくわからない。
どうしようかと唸る俺に少し頬を膨らませて肩に寄り掛かってきたカカシはぽつりと呟いた。
「……俺さ、独占欲すごく強いの。ほんとはね、……まあ、男ならまだ良いけど女の子の忍と錺が一緒に任務するのですらかなり嫌なの。……俺、錺に関してはすごく拗らせてるから。俺の知らない錺が居るのは、嫌だ」
あぁそう言えばカカシは小さい時からこうだったと思い出した。思えばあのときから片鱗はあったのか。
カカシの言葉の数々がばきゅんばきゅんとどこかのハートに突き刺さるのを感じながらぶすくれる彼女の髪を指ですく。
あれから9年。今世の俺はチャクラがある代わりに魔力がないから記憶を見せる魔法が使えない。エヴァを呼び出すにも一応最強戦力として第4次忍界大戦にきっと必要になるし、最強過ぎるからか10年単位でしか呼べないから任期をまだ満たしていない。というか一日あれば世界破滅に導けるようなチート易々と喚ぶわけにもいかない。使いどころの難しいやつだな。
残るは口頭での説明になるのだが。
『エエけど……俺説明下手やねんなあ』
「……ちゃんと話してくれるなら、俺はそれでも別にいいよ。錺なんだから」
いつか聞いたその言葉に少し照れ臭くなって笑みを漏らした。
『前エヴァに見せてもろたんとあんま変わらんと思うけど……せや、学園祭の話聞いたか?』
「……触りと結末の魔法がばれなかったことだけ(ほんとは執事って格好したの見たけど)」
『そか、ならその話したるわ』
**
「錺さん!」
「お兄様ぁっ!!」
『……なんや?』
学園祭最終日。今年は異常気象のせいで22年に一度の世界樹大発光が一年速まったらしく、目に見えない警備がよりキツくなっている。理由として世界樹の魔力の付近で願い事をすると何でも叶ってしまうと言うなんとも妙なことが起こる。何でも、は語弊があったか。世界征服や金が欲しいギャルのパンティおくれとかそんなものではなく、尊敬されたい、人気者になりたい、好きなあの人と付き合いたい、相手に何々をしてほしい。といったちゃちなものだ。そういうわけで魔力の付近で告白すると本当に叶ってしまうのでそれを阻止する為である。それと同時に、超鈴音の捕獲も含んでいるが。
そうして竹刀袋に霧雨を忍ばせて、クラスの出し物には参加せず見回りをしていたわけで。
聞き覚えのある声に呼び止められ、気だるげに振り返ると焦った顔をした妹分とその護衛半人前剣士が俺を見つめていた。
『どないしたんや……?』
「あんなっ、あんなっ、超りんがなっ、火星人言うて攻めてくるねん!」
『お、落ち着けお孃……。桜咲、ちゃんと説明してくれ』
「は、はいっ!」
要するに、学園内五ヶ所の世界樹の満ちるスポットに超鈴音の開発した火星兵器軍団が攻めてくるらしい。ネギの案で麻帆良のみんなに最終日イベントとして撃退すると言うようだ。学園長から俺には召集の知らせは来なかったようだ。ハブってんのかそうかそうか。若干心寂しく思いながら、まぁ、知ってはいたがこの時間軸はアタリの方かと胸をなで下ろし、可愛い妹分の頭を撫でて快諾した。
のだが。
『い、嫌や! 着ーひんからな! 絶対着ないからな俺は!』
「小原先輩! 我が儘は駄目よー! 先輩のクラス執事喫茶って聞いてわざわざ学園の女性がたくさん集まったのに! 先輩居なくてがっかりしたんだから、最終日ぐらいサービスしなさーい!」
『ぎゃあああああ! 嫌やあぁぁぁぁ!』
なぜか女子更衣室に引っ張り込まれたと思ったら着替えを済ませた女子たちが、各々燕尾服や様々な学生服を手にして立ち構えていた。
必死に嫌々と頭を振って抵抗していた俺だが、流石の男子高校生でも女子十何人に抑え込まれると抵抗も無駄と言うか。服を剥ぎ取られて残念な結果に終わった訳である。精神年齢を考えるとコスプレだ。俺は! 君らの! 着せ替え人形と違うぞ! 言っても無駄なのは理解してる。
結局はグレーのワイシャツに赤いループタイ、そして所々赤いラインの入った黒いジャケット、下は黒のズボンに決定。前髪も半分後ろに引っ張られて桜咲とは反対の半デコにセットされて終わった。首もとがキツくてループタイを緩めてワイシャツのボタンを外すと流石学園一色気のある男と言われたのをよく覚えている。どういうことや。
あーあーあーとほろりと一粒涙を溢して気を取り直した。最年長がみっともないところを見せられんし。
**
『そんで。開き直って麻帆良を守るいうことを大義名分にして暴れまわったんや』
「……暴れ回ったの」
『暴れまわったんや』
ちょっと遠い目をして告げるとクスクスと肩を揺らして笑われた。可愛いが許さん。かなり恥ずかしかったんやぞあれ。
「……変化でそのときの服装見せてー」
『……、……う』
「ね、おねがーい」
『ぅ、ぐ……』
はあと大きくため息を吐いた。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.28 )
- 日時: 2018/01/31 00:30
- 名前: マメツキ (ID: xzgxaqDS)
それからまぁ紆余曲折で。めでたく子供が誕生した。なんと女の子である。目の前の病室から聞こえてくるあのカカシの悲鳴に待機室にいた俺はその扉の前をうろうろしていて、呼ばれたときにはずっと手を握っていた、ような気がする。もう娘も嫁も無事だったことに安堵してちょっと目の前が滲んだショックでよく覚えていない。とりあえず娘が可愛すぎてどうにかなりそうである。天使。名前に関してはカカシの案で『錺』『カカシ』を混ぜて『カカリ』とすることになった。センスが良い。
「あ、父さん……!」
『ん¨んんっ』
娘が四歳になった今、アカデミーから帰宅したカカリが俺を見つけて、てってってと駆けてくる。眠そうなたれ目にふにゃりと笑む娘に悶えている俺。娘大好きになる過保護な父親の気持ちが今ならよぉ分かるわ、超分かる。カカシ似の目付きと前髪、俺似の髪色にアホ毛に紅色の目。多分この子カカシに似てきっと美少女になるぞ。
久々に休みが取れたので読み掛けの小説をソファに座って読書していた訳だが。
如何せん、俺がとても忙しい。黄色い閃光が亡くなった今の木ノ葉の里で、現在最も攻撃力を持つのは紛れもなくこの俺だ。それに、第三次忍界大戦が数年前に終わってるとはいえこのご時世、任務で瀕死の怪我して帰ってくるやつもいる。その度に医療忍者でもある俺が毎回かりだされる。
休みを、ください……死ぬ……。少年期仕事人間だった奴が何を言うって感じやけどな!
そういう訳で、あまり家に居れないのだ。俺を見つけては無邪気に駆け寄ってきてくれる娘が可愛い。愛しい。好き。
しかし、本当に聞き分けのいいこである。聞き分け良すぎてもうちょっとわがままいってほしいくらいだ。俺たちが忙しいのをちゃんと分かってくれているからだろうが。本当に出来た娘である。
ホンマにカカシには苦労を掛けとる。今は多分下忍試験やっとるわあの子。ナルトの代まで合格者出ないって話やったから多分カカシのとこの下忍は全員不合格やろな。
コーヒーテーブルに本を伏せて、寄ってきたカカリの頭を撫でる。ぴょんぴょん跳ねるアホ毛が俺そっくりだ。アホ毛がそっくりとかなんだそれ。
へにょ、と笑うカカリに微笑んで『おかえり』と言うと「ただいま」と幼げな声が返ってくる。
こんなに癒し系の女の子なカカリだが、やっぱり俺のと言うか俺達二人の血を色濃く継いでいた。既に血継限界を発現させているし、身体能力や知力も高く剣才もかなりのもので。カカシが張り切って雷遁を基礎から既に教えている。アイツきっと雷切覚えさせる気だ、絶対そうだ。そんなわけで実は先生から飛び級の話が来ている。
『カカリも飛び級して五歳で下忍かー。そんな急がんでもエエのに』
「……やーだ。……わたしも、父さんと母さんみたいに12歳までに上忍になるのが目標なんだよ」
嫌? と俺を見上げて首をかしげる可愛いカカリにカカシがなんか仕込んだかと疑いたくなる。どこでそんな高等テクニック覚えてきたお前。
ここで我が弟、簪を引き合いに出そう。比較することになるが、決してけなしている訳ではないから安心しろ。簪はロック・リーやネジと同い年の現在9歳だ。うちはのサスケのように何事も一番、かつ素晴らしくこなしているが、まだアカデミー生である。そして、その5つ下のカカリが飛び級をする。ここで言うとカカリの非凡さが際立つのだ。流石俺達の娘。
別に気持ち悪がることでもないし、むしろ誇りに思っている。
『むしろ誇らしいわ』
「やった……!」
ふにゃー、という擬音が似合う笑みを浮かべたカカリはパッと時計を見て俺の手から抜け出し鞄を放り投げて「もう時間だからいってきまーす」と俺に手を振った。
若干の寂しさを感じるが、まぁ遊ぶ行動範囲を狭めるようなことはしない。好きなようにのびのびやらせる、カカシと決めた家の方針だ。
ぱたぱたと出ていったカカリはきっと雷遁でもやるんだろう。頑張って雷切覚えようとしているし。俺はというと、気を扱う瞬動や、単純な剣術しか教えて居ない。というか、神鳴流を教える気がない。俺が『教える』気がない。あれは本来あちらの世界の技術で、俺はまぁ仕方ないとして口外すべきことではないと言うのが第一だ。しかし、カカリは剣才に溢れている。技術を盗んでいくならまた別だ。カカリもそれを理解しているから、よく俺が鈍らないように神鳴流をぶちかますところを観察している。あいつ既に斬岩剣覚えてるからな、天才か。俺でも見て盗むとか無理だわ。
話は一気に変わるが、ナルトについてだ。俺はまだ会ったことも遠目で見たことすらないのだが、ずいぶんとやんちゃしているようである。噂は近辺でもよく聞くしな。全くいい方向のものではないが。流石に食べ物を売らないとか公園の水も飲まさないとか正直うちの里の人達ちっせぇとか思ったわ。食べ物を売らないとか飢え死にするぞ。公園の水とか公共のやつなんだから飲ませてやれよ。
助けたいが以前の命令で助けに入れないのもまた事実。本当に、原作知識持ってても無駄なだけだな。
『さて』
小説を読む気も失せたし、鍛練しとこ。と霧雨を手に俺は立ち上がった。
.
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.29 )
- 日時: 2018/02/01 01:38
- 名前: マメツキ (ID: KT01wHai)
数年後。聞いて驚け見て笑うな感心しろ。
我が娘、カカリが8歳で上忍入りした。俺でさえカカシより一年早い11歳だと言うのに、8歳。我が娘ながら凄まじい才能である。カカリはカカリで人を殺すことに葛藤を抱いたようだが割りきったらしい。早くね? 老成し過ぎじゃね愛娘。良いけど。
とは言え、そんな中でもへにゃりとした笑みが崩れないのは素晴らしい。俺の同期たちもやんややんやと癒しとして可愛がっている。もっとやれ。甘やかしてやれ。
病院と任務と家とを繰り返している俺だが相変わらず剣の鍛練だけは怠っちゃいない。最早俺の忍としての存在理由となりつつある剣士。そしてその剣士たる理由がカカシとカカリである。鈍ったら剣聖の名が廃るというものだ。
そして今日。早めに病院から解放された俺は、任務で家を開けているカカリを心配しつつ。
「錺! ねぇちょっと聞いて!」
玄関がしまるまではのらりくらりとしていた愛しのカカシが、ガチャンと鍵を閉めた途端どたばたとソファに座っていた俺に飛び付いてきた。おおうどうしたカカシ。
自分でも驚き、と手をわたわたぱたぱたさせて、全身でそれを表現している目の前の可愛い彼女を俺とカカリ以外誰がカカシだと思うだろうか。一時期冷血カカシとまで言われた彼女を。まったくもってかわいらしい、好き。お互い今年で27になると言うのになんだこの可愛い女性は。俺が綱手様の若作りの術を何の間違いか覚えてから多分見た目は25ぐらいから変わらず、カカシもかけてほしいとごねたので、仕方なく俺のチャクラを込めて印を焼き付けた。そうして彼女の背中にその印があるため俺たち二人とも若々しい。とりあえず手ぇぱたぱたさせるんやめよ? 胸も一緒に揺れとるから、な?
最早綱手様と比較しても大差ないほどに育ったカカシの胸はベスト越しでも揺れているのがよくわかる。やめよ?
「ちょっと聞いて錺!」
『聞いとる聞いとる』
「俺、下忍試験初めて合格者出したんだケド! どうしよう!」
あ、ナルトか。すとんと納得した。カカシから聞くに、今年はうちはの生き残りのサスケと、ミナト先生の子もとい化け狐の子ナルトを担当せねばならなくなったらしい。なんか大役任されたなカカシお前。最後の女の子はサクラ、サスケに恋する乙女だと言う。
うちはかー。イタチの事情は知っている。イタチは暗部にいたからカカシからわりと教わることは多かったらしいので、よく俺のところにも来ていた。アイツ自身神鳴流に興味があったっぽいが、そんなのお構いなしに甘味屋をつれ回したのはいい思い出だ。アイツ意外と甘いもの好きだったなあ。サスケはちらっと見た程度だが流石兄弟似通った顔立ちしてたわ。
どうせお前は名前以外教えてへんのやろ、と苦笑いしてカカシに言うと流石錺と口布を下ろした素顔でにんまりと微笑まれた。可愛いいいいい。
「さーすが錺。俺のことよーく理解してくれてるネ」
『それ誇ってエエか?』
「むしろ誇って欲しいー」
カカリがいないからかいつにもまして甘えたなカカシの髪を撫でてから、『面子大変やろうけど担当上忍頑張りや』と応援の言葉をかける。
隣に座ったカカシがぐりぐりと俺の肩に額をぶつけているが手加減はしているだろう。…多分。
カカリが生まれてから、母親たるようにしてたからなあ。別にカカリが邪魔な訳じゃなくむしろ可愛い可愛いとカカシも親馬鹿発揮してるが、甘える時間は格段に減った。こういうとこでわりと反動来てるなコイツ。
「あーどうしよ先生できる自信ない。育てるって大変」
『ミナト先生そう考えるとすごいなー。15歳ぐらいか? はー、はや』
「ほんとにネ」
『一回ぐらい合格出して担当上忍やっても良かったかもしれんな』
「任務舐めてる半端なやつを忍にするわけにはいかないの、錺も分かってるでしょ」
『痛いほど』
愚の骨頂だったか。ワントーン下がった声色に同意しつつそんなことを思う。
とうとう原作入ってきたか。さて、どうしようかな。
『怪我したら許さん』
「…そうそうないと思うけど、大丈夫だよ」
『ホンマに怒るからな』
「やめて」
錺怒ると理詰めだから怖いし、威圧感出るから。とカカシに言われたが流石に怪我されて怒らない旦那はそうそういないんじゃなかろうか。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.30 )
- 日時: 2018/02/02 00:45
- 名前: マメツキ (ID: KT01wHai)
カカリside
唐突に。私はお父さんとお母さんが大好きである。父と母を嫌いな子なんて相当な出来事がなければ早々居ないだろうとは思うけど。
現在上忍の私の目標は父、小原 錺だ。私は家で黙々と素振りしたり神鳴流を打ったりしてるのぐらいしか戦闘は見ていないが、お父さんと同期のアスマ兄ちゃんや紅ねえがあれはチートだってよくぼやいている。
私の家の血継限界である『気』を歴代の小原家で初めて完全に使いこなしたの天才児。気を使う瞬動や虚空瞬動は入りと抜きが完璧過ぎてほぼ瞬間移動みたいらしい。瞬身もそんな感じがするけど、あれは遠距離移動用って感じで、瞬動術は戦闘特化みたいなものだ。私も瞬動はお父さんに教えてもらってできるけど入り抜きが雑って言われた。移動の時ざしゃって音するもんね。
剣の抜刀速度はほぼ音速で、居合い抜きは光速に近いと言う。お父さんが一歩も動かなくても気がつけば敵は全滅何てこともザラみたいだ。
ほとんどが見切れない速度の居合い抜きワンパンで倒してしまうけど、純粋な剣術でも付け入る隙はないよう。そこに瞬動なんて加わると手も足も出ないだろう。相性が良すぎる。
忍術、幻術、医療でもまんべんなくトップレベルの技術を持つお父さん。言われてみると本当にチートだ。それでも、その剣術以外の全てを努力で培ってきたのだから、すごい。
しかし、私はそんな父をとても尊敬している。母だってそうだ。父と同時期に下忍になって中忍になって。上忍は父の方が一年早かったみたいだけど。あの写輪眼まで片目だけど所持している。純粋な技術も素晴らしく、『もし俺を努力を地を行く天才言うんやったら、カカシは本物の混じり気のない天才やな』と父さんも言っていた。
任務が休みで完全なるオフの日。私はお気に入りの白のワンピースにパーカーを羽織って里を闊歩していた。……闊歩かな?
てしてしと歩いて甘味屋に寄ると「あらカカリちゃんいらっしゃい」と声を掛けられ、おまけをもらう。ほくほくした気持ちで笑みを漏らせば頭を優しく撫でられた。
紙袋に購入した団子、手におまけの団子を持ち、里を歩く。
「あ、カカリ」
「! 簪兄ちゃん!」
一年ほど前に下忍になった簪兄ちゃん。お父さんの弟で、私と年は五つしか違わない兄のような存在だ。単純計算してお父さんと簪兄ちゃんの歳の差は……14? おじいちゃんとおばあちゃん頑張ったんだね。まだまだ若々しいんだよなあ。
ぱたぱたと兄ちゃんに駆け寄ると、くしゃりと頭を撫でられ、「久しぶりだなあ」とタレ目な藤色の瞳を弓なりにした。
小原 簪。現在14歳の下忍で、ガイ兄ちゃんを担当上忍に持つ。お父さんが家督を譲ったらしくて、でもおばあちゃんおじいちゃん、お父さんも絶対に継げ、みたいな強制はしていないから、まだ継ぐか決めては居ないみたい。ただ、悩む期間も15歳の誕生日までと言われていた。今年で決めないと。その件で本家はずいぶんごたごたしてるらしい。一部ではまだお父さんが当主じゃないと認めないとか言ってるのを一度聞いたことある。お父さんは俄関せずの態度をとっているけれど。
話は逸れるが、簪の持つ脇差『霧咲』は、私が下忍祝いにお父さんから貰った二振りの短刀『時雨』『五月雨』と兄弟刀らしい。簪兄ちゃんの霧咲はアカデミー入学祝いに当時18歳のお父さんから貰ったと言っていた。すでにその時お母さんのお腹には私がいたみたいだけど。はやい。
「元気にしてたか?」
「うん、すごく元気だよ」
「上忍になったんだって? お前はすごいなあ」
「担当上忍の人から推薦貰ったの、簪兄ちゃんもきっとすぐもらえるよ」
大丈夫。と意気込んで拳を握るとふわ、と微笑まれて「そうだなあ」と相変わらずのんびりした雰囲気をかもしだしていた。
お父さんと簪兄ちゃんははっきり言って似てない。お父さんは子供の頃殺気が雰囲気だったみたいだけど、簪兄ちゃんは優しい雰囲気をしている。お父さんは、絶対的強者のような、まさに刀の刃だと言うか、キリリとした佇まいを外ではしているけれど、簪兄ちゃんはそんなことなくて、ただひたすらに優しい。
またなあ、と歩いていく簪兄ちゃんにへにょ、と笑って手を振った。
次の日。火影様から呼び出しで、とある班の戦力強化として任務についていってやってほしいと任務を任された。
ランクはC。母の率いる第七班の、波の国の護衛任務の助っ人だった。
- Re: とある神鳴流剣士の転生譚 ( No.31 )
- 日時: 2018/02/04 18:39
- 名前: マメツキ (ID: KT01wHai)
翌日。中忍からのベストを着用し、動きやすい服装で短刀二振りを取り出しやすいよう細工した腰のベルトポーチを引っ提げてぱたぱたとやって来た集合場所。
母は既に家を出ていた。きっと墓参りに行っていたのだと思う。お母さんは護衛任務とかなら遅れたりしないから、遅刻の心配はしてないけど。
本来、私は短刀二振りを持っていくつもりなど一切無かった。なぜ持っていくのかと言う理由になるが、出発前、お父さんに「一応持っていっとき」と何回も真剣な顔で年を押されたから。あの顔の時はお母さんも従うようにしているし、きっと何かあるんだろう。お父さんのことだ、何かしら把握しているに違いない。お母さんと私にはかなり過保護な人だから。
『あ』と『ん』の門のところへ到着すると、既にお母さんと依頼人、そして下忍の人達が揃っていた。……え、よりにもよって最後だ私。
「あ、来たね」
「超ちっこいのぉ……」
「……」
「可愛い〜」
「なんで助っ人なんか」
初対面で依頼人と下忍三人に疑惑の目を向けられた。うわぁ。可愛いっていった桜色の髪の女の子、目が私のこと胡散臭いって言ってる。わりと辛い。
ちろ、とお母さんの方を見ると、苦笑いされて「自己紹介どーぞ」と優しく言われた。
『……遅れてごめんなさい、助っ人の上忍カカリです』
上忍!?とお母さんを除いたメンバーに目をひん剥かれた。……いや、別に慣れてるもん。こういう反応初めてじゃないし、別に良いけど。依頼人は良いとして、下忍の方は忍者なんだからもうちょっと感情コントロールした方が良いよ。
各々に自己紹介をしてもらって名前を確認する。九尾の人柱力、うずまきナルト。うちはの生き残り、うちはサスケ。そして桜色の髪の女の子、春野サクラ。依頼人のタズナ。そして担当上忍のはたけカカシ。お母さんは教え子にバレるまでは名字を隠すようだ。遊んでる……。
「ねぇ……タズナさん」
「何だ?」
「タズナさんの国って波の国でしょ?」
「それがどうした」
いやほんとにそれがどうしただよ。いきなりどうしたの。
歩き始めてしばらく。唐突にサクラさんがタズナさんに知っているはずの質問を問い掛けた。忘れたのか、いや、それはないか。すごく優秀だってことは聞いてるからきっと確認か何かだろう。うん。
最後尾でてしてし歩きながら会話に耳を傾けた。
「ねぇ……カカシ先生……その国にも忍者っているの?」
「いや、波の国に忍者はいない。……が、たいていの他の国には文化や風習こそ違うが、隠れ里が存在し忍者がいる」
有名なのは忍び五大国か。大陸にあるたくさんの国々にとって忍の里の存在は国の軍事力に当たる。つまり、それで隣接する他国との関係を保ってると言う訳だ。かといって里は口の支配下にあるのではなく言ってしまえば対等な立場にある。今回任務に向かう波の国みたいな小さな島国とかは忍の里が必要でない場合もあるから絶対というわけもない。
それぞれ忍の里の中でも特に木ノ葉、霧、雲、砂、岩の五ヶ国は国土が大きく力も絶大なため忍び五大国と称されるのだ。そして火影等の影の名を語れるのもこの五ヶ国のみ。火影、水影、雷影、風影、岩影のいわゆる五影は全世界各国何万の忍者の頂点に君臨する忍者たちだ。
「へー、火影様ってそんなにすごいんだ〜!」
あ、サクラさん絶対疑ってる。試しにお母さんが問いかけると、サクラさんだけでなく他二人も釣れた。疑っちゃダメだよ……。
「木ノ葉隠れで今一番火影に近いのは……ま、今のところは『剣聖』かな」
剣聖? と各々の反応を示した下忍たちに後ろから会話を聞いていただけだけど、少し誇らしくなる。剣聖とは、お父さんのことだ。
「ま……安心して。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ」
「じゃあ外国の忍者と接触する心配はないんだぁ……!」
「もちろんだよアハハハ!」
ぽんとサクラさんの頭を撫でたお母さんを少しばかりじとりと見つめて、気付いてるなぁあれはとひくりと頬をひきつらせる。サスケさんがタズナさんの様子がおかしいことに気づいたみたいだがほっとくことにするらしい。
水溜まり横にした時、ちりりと感じた殺気にちらっとだけ目をやり、お母さんに視線を渡すとこくりと頷かれた。
まあ、連日雨も降ってないのに水溜まりなんてあるわけないよね。不自然すぎる。