BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- プリキュアのGL小説。(あきいち多め)
- 日時: 2017/08/17 20:32
- 名前: シーチキン (ID: TeXDu9yk)
初めまして、魚が大好きなシーチキンと申します。
今回、気分転換という理由でこちらの方に百合、すなわちGLを書くことにしました。
基本的にはプリキュアを書こうと思っております(というかプリキュアの百合書くために来た)。
創作や他アニメも書くかもしれません。
〜書く予定のもの〜
キラキラ☆プリキュアアラモードより
あきら×いちか(あきいち)
ゆかり×いちか(ゆかいち)
あきら×いちか×ゆかり(あきいちゆか)
魔法つかいプリキュア!より
みらい×リコ(みらリコ)
創作も書く予定。
などなど、プリキュア中心でいく予定です。それにしてもプリアラ、一貫しすぎてない?いちかちゃん受けで。趣味バレバレやん。
リクエストは創作のみ受け付けております。よろしくお願いします。m(_ _)m
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.45 )
- 日時: 2018/02/15 14:04
- 名前: シーチキン (ID: 4ejw0jz1)
***
……ヒソヒソ。
「ねぇ、またあきらちゃん男子とけんかしたんだって」
「えぇ、そう言えば、……君怪我してたよね」
ああ。ほんとに女子って、ひそひそ話好きだよなあ。ヒリヒリ痛いほっぺに耐えながら、俺は窓の外を見る。こんな俺の気持ちとは真逆に、空は綺麗に晴れてる。おかしいだろ。
チラッて見れば、女子たちは引いていく。男子たちはこっちを睨んでくる。みんな弱いんだよ。ちょっとイラついたから軽く殴っただけでわんわん泣いてさ。バカみたいだ。先生はいつもあっちの味方しかしない。怒られるのはいつも俺。
だいたいはあいつらが悪いのに。俺のことからかったりしてくるから。そう言っても、先生はあーだこーだ怒る。
……こんな強気で言ってるけど、本当は悲しい。もっとみんなと喋りたいのに、もう喋れない。心が痛い。
「大丈夫?」
話しかけられて横目で見る。女子だった。
「……なに」
「ほっぺ、痛いの? ばんそうこう貼ってあるね」
見かけない顔だった。ひそひそ話する女子ではない。
「別に、なんだっていいじゃん」
「痛いなら、痛いの痛いの飛んでけー! ってしなきゃ!」
「別に痛くないし」
そう返すと、女子はニッコリと笑った。
「なら良かった!」
俺の頭の上には、はてなマークがいっぱい並んでた。なんでこんなに話しかけるんだろう。なんで笑顔になるんだろう。
「……あんた、誰」
「私? 私はね——」
俺も中学生か。クラスも変わって、嫌な奴らはほとんどいない。嬉しい。でも、あの子もちがうクラス。悲しい。
周りと話そうにも、人との接し方なんて知らない。周りも、俺のことを気にしないから、一人でもいいや。あの子は元気だから、きっともう友達を作ってるんだろうな。
廊下に出てみる。人がいっぱいで正直進みたくないが、あの子を見つけたかった。
「……いた」
話しかけようと手を伸ばすと、誰かと話している最中だった。友達だろう。手を引っ込めて、何となく、俺は陰に身を隠す。
「剣城さんって、顔かっこいいよね。友達だったんでしょ?どんな人だったの?」
俺の話か。あの子は笑った。いつもと、違う笑い方だった。
この後、予想だにしない返答が、俺の耳に届いた。
「何言ってんの? 友達なわけないじゃん」
頭が真っ白になった。息が止まった。嘘、だろ?
「何かあればすぐ怒って、それだからいつもひとりぼっち。先生に言われたから話しかけただけで、友達でもなんでもないよ。ほんと、一緒にいるの辛かったもん」
『私とあきらちゃんは友達だよ!』
『ほんと?』
『うん! 約束!』
——ヤクソク。
『友達なわけないじゃん』
——ウラギリ。
声が遠のく。視界が真っ黒になっていく。
ああ、そうか。そうだよな。どうせ。
——人間なんて、皆そんなものだ——
そう思えば、馬鹿みたいにはしゃぐ男子達も、廊下で話す女子達も気にならない。興味無い。関係無い。
孤独が、一番楽で、苦しくない。
それからだろう。いくら晴天であっても、俺には、いつも太陽は雲に隠れたままに見えた。
 
***
目を開ける。窓から溢れる光は、俺を起こすようにかかっていた。全く、嫌なものを思い出してしまった。悪夢とも呼べる、昔の記憶。もう顔も名前も覚えていない少女が起こした、俺が狂った原因である出来事。だからほら。窓から外を見れば、明るいはずなのに。俺が見れば、外は薄暗い。太陽が雲に隠れているかのようだ。
(……でも)
この結果の方が、楽なのかもしれない。そうやって一人を選んだことで、俺は気楽に生きている。いや、別の結果でも気楽に生きるのだろうけど。
俺は満足している。満足している、はずなんだ。
(ああ……苦しい)
息が苦しくなり、喉に手を当てる。思い出してしまったのが悪かった。気にしなかった、気にしようとしなかったことを、考えてしまう。
俺はあの日から、孤独を心に決めて生きてきた。誰とも深く関わらない。
そう決めたのに、今じゃこうして店で働いている。引っ越した家の隣の少女に誘われて。あの子は特別だ。何故だか、あの子との関係は断ち切りたくはないと思った。いつも笑顔が絶えない、元気なあの子。それなのに。
——あの子も、結局は同じなんじゃないのか? ——
「……違う」
そう考えてしまって。パキパキと、心にヒビが入る。ああ、誰か。どうかお願いだ。
「俺を、助けてくれ……」
「助けてやろう」
突然声がして、俺は辺りを見回した。
「誰だっ⁉」
「私が、お前を苦しみから助けてやる」
「まさか……その声は、」
暗闇から姿を現したのは、俺らプリキュアの敵。
「ノワール……!」
不気味に笑うと、ノワールは両手を広げる。咄嗟にスイーツパクトを構えると、ノワールは言った。
「そう構えるな。私はただ、お前を助けに来たのだよ」
「助け……?」
「そう。お前のその複雑な苦しみ……私には痛いほどよく伝わる」
「……冗談はよせ」
ノワールの言動に、ビブリーやシエルちゃんが闇に染まったんだ。俺も染まるわけにはいかない。
「本当だ……。辛い過去と今を重ね合わせてしまったから、信頼している仲間でさえ疑ってしまう……。そうではないのか?」
『あきらさんが好きだから、笑顔になってほしいんです!』
『友達なわけないじゃん』
様々な記憶、声。混ざり合い、頭の中で反響する。
「うぅ……」
膝から崩れ落ちる。頭を押さえ、声が聞こえないようにする。
「大丈夫だ、お前が助かる方法はある」
視界が黒く染まる中、俺はノワールを見た。手が差し伸べられる。
「さぁ、私の手を取りなさい。嫌な記憶もろとも、お前の力で壊すんだ」
「壊す……?」
気が付けば、俺は手を伸ばしていた。全てを壊し、忘れられるというのなら。
ノワールの手を取る。俺の意識は闇に呑まれた。
俺がここに来る意味は? あの子たちといる意味は? 人と、距離を近づける意味は?
スベテ、ナイダロウ?
「闇に呑まれし孤独の狼よ。記憶を喰らい、全てを破壊するがいい!」
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.46 )
- 日時: 2018/02/15 14:05
- 名前: シーチキン (ID: 4ejw0jz1)
***
「あきらさん! 宇佐美いちかが来ましたぞー! って……いない?」
勢いよく扉を開けてキラパティに入る。しかし中は薄暗く、あきらがいる気配がない。
「おかしいな……来るときにゆかりさんから言われてたのに」
一度外に出て辺りを見回す。あきらだけではなく、他に人っ子一人見当たらない。不思議に思っていると、前から誰かが歩いて来るのが見えた。
「あれは……あきらさん!」
待ち望んでいたあきらに笑みが零れるが、何故か変身している。
「どうしたんですか? まさか、来る途中に敵に……っ!」
何かがおかしい。いつもと様子が違う。それに、変身しているショコラの衣装も色などがいつもと違っていた。警戒しながら話しかける。
「あきらさん、一体何が……」
キャンディロッドを握っている右手を構え、ショコラは黒く染まったキラキラルエネルギーを放った。いちかではなく、キラパティ目掛けて。
しかし、狙いが上手く定まらなかったのか横にずれると、残念そうにチッと舌打ちをする。俯いていた顔を上げると、いちかの背筋が凍った。
光の灯らない赤い目は、まるで獲物を狩る狼のように細く鋭く。睨むようにいちかを見た。
「……あ、あきら、さん?」
震える足を何とか踏ん張り、いちかはあきらの前に立つ。
「クゥン……」
鳴き声が聞こえ横を見ると、クリスタルアニマルオオカミがいちかに助けを求めるように鳴いていた。いちかが持ち上げると、耐えられなかったのかクリスタルに戻ってしまった。
「どういうことですか、あきらさん」
ショコラは数秒いちかを見つめると、やっと口を開いた。
「……す」
「え……?」
キャンディロッドを構え、ショコラはもう一度言い放った。
「全て、壊す」
「きゃあっ!」
吹き飛ばされ、一回転して木にぶつかる。口に入った砂埃を咳で吐き出しながら、よろよろと立ち上がる。力の差は歴然としていた。ボロボロなホイップとは違い、ショコラには傷一つ無い。
「なんで、ですか……」
痛む肩を押さえ、ホイップは聞く。
「なんで、壊そうとするんですか……キラパティには、皆の、あきらさんの思い出だってあるのに」
思い出。その言葉にショコラは反応した。
「……思い出なんて、いらない。思い出が、俺を苦しませる……だから」
ショコラは牙を向き、言い放った。
「俺は全てを壊す」
キャンディロッドを振り上げると、エネルギーを溜めてから一直線に放つ。ホイップも己のキラキラルエネルギーを放ち防御するも、防ぎきれずにまたも飛ばされる。
「やめてください! 思い出が苦しめるって……楽しい思い出だってあるじゃないですか!」
以前の記憶が頭を過る。楽しい思い出。だがそれも、人と関わることにより出来た思い出。
「俺は孤独を選んだ。それなのに、今こうして人と関わり、苦しんでいる……」
苦しそうに、ショコラは言う。
「やっぱり、人と関わるなんてこと、しなければよかったんだ」
その言葉を聞き、まるで冷たいナイフが心臓に突き刺さったかのような痛みと苦しみがホイップを襲った。自然と涙が溢れてきて、どうしようもなかった。
気付かなかった、気付けなかった。あきらの気持ちに。無理をさせてしまったんだと、ホイップは己を叱った。あきらは言っていた。俺はあまり人と関わりたくないんだ、嫌な記憶があるから、と。それなのに、同じプリキュアだから、家が隣だからと、半ば強引にあきらと共に行動していた。あきらの優しい性格からして、強く言えなかったのだろう。馬鹿なことをしてしまったと、ホイップの涙は止まらない。
でも。だからといってあきらを一人には出来ない。シエルとジュリオの過去、自分自身の体験を通して分かったことは、孤独からは何も生まれないということ。だから。
「それでも私は、あきらさんを一人には出来ない。させない」
ロッドを構える。ショコラは怒りを露にする。
「集まることで辛い思いをするなら、俺は一人で生きる。だから、記憶もろとも全て壊す!」
「関わることの苦しみは私には分からない。でも、関わることの良さは分かるから。私はこの思いをあきらさんに伝える!」
走ってくるホイップに、ショコラはロッドを構える。たとえ特別な存在だったとしても。苦しむ理由になるのなら壊す。
ロッドを振り上げると、攻撃してくるのかと思いきや、突然両手を広げた。
「なっ……」
背中に回る両手。全身に伝わる温かい人の体温。冷たく凍ったショコラの心が、ゆっくりと溶け始める。
「なにを、して……」
自分を包む温かさに、ショコラは硬直する。
「あきらさんに、伝わってほしいんです。私の気持ちが」
「俺には、そんなもの伝わるわけがない。伝わる、はずが」
つぅっと、ショコラの頬に一筋の涙が流れた。慌てて拭うも、止まることはない。
「馬鹿な……なんで、俺が」
「私の気持ちが伝わったみたいで良かったです」
「やめろ、俺は、孤独に……」
関わることで出来た深い溝。これ以上掘り下げないためにも孤独に生きてきたというのに。こうして人の温かさを感じてしまえば、また苦しむこととなる。それは、嫌なんだ。
「お願いだ……俺を、一人にさせてくれよ……」
「それは、出来ません。あきらさんを一人にしたら、また苦しむことになります」
ホイップはショコラの目を見て微笑む。それは、いつもとは少し違う笑みで。
「私はあきらさんが大好きです。だから一緒にいたい。その代わり、絶対にあきらさんを一人にさせないし、苦しい思いもさせません」
その言葉に、ショコラは安心したのか、その場に泣き崩れた。
孤独という盾を取った狼に寄り添うのは、狼を愛する一匹のウサギだった。
「やはり、プリキュアになってしまったものを闇に染めるのは難しかったか……まあいいだろう」
その声は、闇と共に消えていった。
***
「ほんとにすまなかった、いちかちゃん」
「もう、そんなに謝らなくてもいいですってば」
闇のオーラが解かれたあきらは何度もいちかに謝る。あんなに攻撃をしてしまったんだ、それ相応の罰は覚悟していると、キャラが崩壊しかけるほどに。
「大丈夫ですって。それに、レアなあきらさんの泣き顔が見れたので私としては嬉しいというかなんというか……」
これから一生見れないであろうあきらの泣き顔が見れたのだ。あれくらいなんてことないといちかは言う。
「それに、直撃してもあんまり痛くなかったですよ? 多分、あきらさんが敵になっても優しいせいですかね」
また出てきた優しいという言葉に、あきらは首を傾げた。
「なあ、優しいって、なんだ? 俺は、優しいのか?」
その問いに、いちかはうーんと唸る。
「すごい哲学ですね……でも、あきらさんはとっても優しいですよ! 私が保証します!」
「なんだそれ」
得意げないちかに、自然と顔が緩む。
「やっぱり、いちかちゃんは特別だな」
その表情にドキリとしながら、いちかも笑った。
END
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.47 )
- 日時: 2018/02/24 08:03
- 名前: 苺 (ID: b4ou33H1)
いつもニヤニヤしながら読ませてもらっています
小説を頑張って書いて下さいね
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.48 )
- 日時: 2018/02/25 20:08
- 名前: シーチキン (ID: JT0cxu6k)
苺さんコメントありがとうございます! まさかそのようなお言葉を貰えるとは……! これからも頑張っていきたいと思います!
- Re: プリキュアのGL小説。(あきいち多め) ( No.49 )
- 日時: 2018/02/25 20:17
- 名前: シーチキン (ID: JT0cxu6k)
湯船に浸かりながら考えていたはなほま短編です。後ろの席か。ヨッシャ((ガッツポ-ズ
『授業中の楽しみ』
(……あ)
ふと、前を見て気付く。先程までは先生の話にうんうん頷いていたのだと思っていたはなの頭が、先生の話に関係なく不規則に動き始めた。これはまさかと思ったのも束の間、はなの頭は腕の枕へとゆっくり落ちていった。寝てる。後ろからでも十分に分かった。
さあやが起こしてくれるだろうとほまれは待ったが、板書写しに夢中で気が付かない。マウンテンブルーバードは今頃夢の中を飛び回っているのだろう。規則正しく肩が上下していた。
確かに授業はつまらないからほまれもよく眠ってはいるが、はなが寝る子だとは思っていなかった。勉強出来なさそうな雰囲気があるから、授業を寝ていて大丈夫なのだろうか。
先生が黒板に書いた数式の説明をしている中、ほまれはそっと手を伸ばす。そうしてつぅ、と背中をなぞってやると、はなは突然奇怪な声を上げて立ち上がった。
「うわぁあっ!?」
はなの声に、先生含め生徒全員が何事かと目を向ける。まさかこうなるとは。ほまれは腕で顔を隠し、笑いをこらえる他無かった。
「野乃さん? どうしました?」
「い、いいえっ!? 何でもないです!」
「そうですか。なら、この問題の答えを教えてください」
「へぇっ!?」
ずっと寝ていたから分からないのだろう。冴えきっていない頭を無理矢理回転させて答えを導き出そうとする。しかし。
「わ、分かりません……」
「ちゃんと復習しておいてくださいね」
「はい……。めちょっく……」
ずるずると椅子に座り、得意の口癖を呟いた。
「じゃあ代わりに薬師寺さん」
「はい。そこの答えは5だと思います」
「うん。正解です」
突然さされても難なく答えるさあやを見る。その視線に気付くと、さあやは苦笑いを浮かべるのではなはまた項垂れてしまった。それにしても。
さっきの背中の感触は後ろからだ。じろりと振り向くと、ほまれが肩を震わせて笑っているのが見えた。
「ほまれちゃん?」
小声で名を呼ぶと、ほまれは抑えきれていない笑みをはなに見せた。その笑顔に心がキュンと高鳴るも、じとっとした目は変わらない。
「さっき、イタズラしたでしょ」
「はなが寝てるのが悪いんだろ?」
「うっ……。でも、もうやめてよね!」
恥ずかしそうに顔を赤らめてから前に向き直ると、ほまれはどうしようかと意地悪げに笑みを見せた。
授業中の楽しみが一つ見つかったのだ。そうすぐに手放すわけにはいかないと、小さな背中を見つめて思った。