複雑・ファジー小説

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キーセンテンス
日時: 2012/02/05 12:29
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: /HF7gcA2)

ボチボチと、細々と書いております。遮犬と申します。温かい目で読んでくださると何よりでございますーっ!
更新再開いたしましたっ。日常シリアスに感動を与えてみたいという思いで書きました。笑えて泣ける。そんな面白い物語にしたいと思いますので、応援宜しくお願いいたします><;


何気無く日常を過ごす少年。少年は、曖昧な記憶の断片を思い出すことも無く、平凡な日常を過ごしていたが、いつの間にか自分自身、そして様々な運命と対峙することとなる——

「貴方にとって大切な言葉は何ですか?」


〜目次〜
プロローグ……>>1
【第一章】
第1話:願いを叶える桜の木
♯1>>2 ♯2>>3 ♯3>>4 ♯4>>5 ♯5>>6
第2話:過去の償い
♯1>>8 ♯2>>13 ♯3>>18 ♯4>>19 ♯5>>20
第3話:不思議な転校生
♯1>>21 ♯2>>22 ♯3>>23 ♯4>>26 ♯5>>27
第4話:突然の困惑
♯1>>28 ♯2>>29 ♯3>>30 ♯4>>31 ♯5>>32
第5話:不思議な手紙
♯1>>35 ♯2>>36 ♯3>>39 ♯4>>42 ♯5>>43
第6話:見えない真実
♯1>>44 ♯2>>45 ♯3>>46 ♯4>>47 ♯5>>48

【第二章】
プロローグ(あとがき付き)……>>50
第7話:記憶のともしび
♯1>>53 ♯2>>54 ♯3>>55



【番外編】
雪ノ木 若葉の日常
>>49


Re: キーセンテンス ( No.3 )
日時: 2011/11/09 00:36
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: ucEvqIip)

賑やかな廊下を通り過ぎ、俺はいつしかいつも通りの変わらない決められた教室の決められた席に肘をついてうな垂れていた。
これも、毎度のことのように繰り返される日常のごく一部。
クラスメイト達は今日も他愛のない話を交わす。噂話なんてのも勿論、その中に入る。

「おい、聞いたかよ?」

俺はそんな噂話の内の一つがふと耳へと入った。
それを話していたのは、噂話が好きそうな眼鏡をかけた男子生徒だった。
細い体で顔もパッとしないもう一人が聞き耳役だろう。

「転校生が来るんだってよ」

という言葉が俺の耳にしっかりと入った。
聞き耳役の男子生徒は「マジかよ〜」などと適当な言葉を発して相槌を上手く取っているように気取っている。
季節は春だ。この時期に転校生、というのは珍しいのかどうかは俺にはわからない。ただなんとなく、不思議な感じがした。
理由は分からないけどな。
ふと俺は大きな願いの叶う桜の木と呼ばれるあの丘の方を見た。
この学校からは到底見えないと思うが、なんとなく見てしまう。それは、朝に会ったあの少女のせいだと自分で自覚してしまっているからだ。

「何だったんだ……」

と、気付かない内に呟いてしまっていた。
俺は願いがあるか、と聞かれた後は——躊躇うこともしなかった。

「願いなんて、とっくに捨てた」

それが答えだった。
これだけは、嘘のつきようがない。いや、嘘をついてはならない。
何度だって俺は願ったつもりだった。でも、願いなんかで何も変わらなかった。祈るだけで、誰も救えなかった。
それが現実だと、俺は知っていたから。だから、こんな皮肉な回答をしたんだろう。

「捨てた、ということは——あったんですよね? 願い」

何故だか少し明るめに言う少女に正直イラっときてしまった。だから振り向こうなんてことは思わなかった。
今の少女の表情は、多分笑顔だろう。そんな偽りの、同情の笑顔なんていらない。
そんなものはいらないから、なんなら時間を返してくれ。と、俺は本気でそう思った。
少女の言葉に足を止めそうになったが、俺はそのまま右手をヒラヒラと左右に振り、丘を降りていった。

「名前、聞くのも忘れてたな……」

いきなりのことだった、というのもあるが何より少し腹が立ってしまったということだ。
そんなことで腹が立つ俺が情けない。それにしてもあの少女は多分、年下なんじゃないか? 同年代であんなに童顔な子はあまりいないだろう。
といっても、もう二度と会わないとは思うけどな。

「おはよ」

脳内に届いたいい声をする少年の声が俺の耳に届いた。その声のする方を振り向くと、そこに立っていたのは身長が高めで眼鏡をかけているいかにもインテリそうだが、イケメンな男が俺を上から見下ろしていた。

「あぁ、なんだ。五十嵐か」

このメガネのイケメンの名前は、五十嵐 涼(いがらし りょう)。何かと腐れ縁のようなもので繋がっており、いつからかも忘れたが、俺とこいつは友達だ。

「なんだとはなんだ。冷たいな」

と、五十嵐は愚痴に近いものを無表情で言いながら俺の横の席に自らのカバンを下ろした。俺のとは違い、少し膨らみがあるカバンだ。

「今日、確か部活あったな」

大抵無口な五十嵐が俺に部活の有無を聞いてきた。
ちなみにだが、俺も一応部活には所属している。一応ということと、あれを部活と呼べるのかどうかは別として、だが。
五十嵐も俺と同じ、その"部活"に入っている。

「そうだったか? 部活があるかどうかなんて、いちいち覚えてねぇよ。大体、あれは部活とは呼べないだろ」

俺の言葉に、五十嵐は何の反応も示さずにただ顔だけが俺の方へと向いて一言。

「もうすぐ、るいがやってくる」
「何でわか——」

何でわかるんだよ。そう言おうとしたが、俺の目線——五十嵐の後ろにいつの間にかいた人物を思わず凝視してしまったことで自ら言葉を飲み込んでしまった。

「あらぁ〜? おはよう? つ・か・さ」

この聞き慣れた音程の高い声が今の俺にとっては恐怖そのものでしかない。
五十嵐の後ろに立っている人物は手をパキポキと鳴らしながら俺に微笑みかけてくるのだから。

「ま、待てよ! 誰もサボろうだなんて……」
「へぇ〜、サボるつもりだったんだぁ〜?」
「いや、だから……!」
「よーし。おい。逝くぞ」
「逝くって、どこに……?」

俺は胸倉を掴まれ、そのまま教室を出ようとする涙。だが——教室のドアの取っ手を掴んだ瞬間、チャイムが鳴り響いた。

「ちっ……! また昼飯の時間ねっ」

女の子が昼飯の時間にボコる約束するって。現代の女の子はとんでもなく末恐ろしいな。
胸倉から手が離され、涙が目にも留まらぬスピードで自分の教室へと戻って行った後に、ため息を吐く。
涙は運動神経、容姿端麗、スタイル抜群という素晴らしい能力で男子から人気があった。当初は、の話だが。
性格は——見ての通り、不良かお前はと聞きたいぐらいの殴りたがり屋。とか本人の前で言ったら体が吹き飛ぶに違いない。そりゃもう、木っ端微塵に。

「黙っていれば、モテると思うんだけどなぁ……」

と、いわれがちだ。確かに事実なので本人もあまり否定出来ない様だが、街でナンパなどをされたら返り討ち(?)にしてしまうらしい。
ケンカ目的で話しかけたわけじゃないのに、涙からすると返り討ちというそうだ。何とも都合の良いことで。ナンパした男子がこの時ばかりは可哀想だと思える。
名前が一条 涙(いちじょう るい)という名前なんだが、涙という名前は"なみだ"とも呼べる。
どこがなみだなんだか。逆になみだを流させる側だろうと思う。

「だから言っただろう」

五十嵐が俺の後ろから呟いた。こいつの勘が面白くないほどよく当たるというのは知っているが、本領発揮は少し抑えて欲しい。
五十嵐の方へと顔を向けてみると、すました顔で俺の顔を見ていた。

「勘弁してくれ。冗談だと思った」
「嘘を言うな。俺の勘がよく当たると、お前が一番よく知っているだろう?」
「……お前には負けるよ」

俺は五十嵐の隣を過ぎて自分の席へと座り込んだ。
始業式が始まり、特に何もないまま二週間が過ぎてほんの少しだけだがクラスメイト達がまた一年生の時のように騒ぎ始める頃合だ。
正直、同じクラスに五十嵐がいてよかったと思う。あまり俺と気の合う友達は少ない。それも、仕方のないことだったんだが。

「今日は、雨が降るな。それも、大雨だ」

五十嵐がいきなり呟いた言葉。その言葉に俺は慌てて外を見る。
ポツリ、ポツリと、確かに小雨ではあるが雨が降ってきている。五十嵐の勘では、大雨になるという。雲行きもそんな感じだった。

(——頼む……! お願いだから……!)

脳裏に浮かぶあの残像。記憶の片隅に忘れ去りたくても、忘れられない消えない過去。
俺の心の鍵はいつでも頑丈に閉まっていて、誰にも開けられないように、固く固く閉まってある。

「嫌な、天気だな」

そうやって少ない信頼の出来る友達にさえも、俺は愛想笑いしか浮かべられない。

俺の心も、ずっとあの光景が、あの大雨の降ったあの日が——いつまでも、離れてくれない。

Re: キーセンテンス ( No.4 )
日時: 2011/07/01 18:17
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: hF19FRKd)
参照: お久しぶりに更新ですb

教科書も何も、教室に置きっぱなしにしているためにいつも俺の机は教科書で詰まっている。
だが、詰まっているばかりで、それが取り出されることは滅多にない。
ノートはちゃんと広げてある。提出する時とかがあれば、五十嵐からノートを借りたりもするが大抵は面倒臭いのでやっていない。
よくこれで進級できたものだと自分でも感心するほどだ。
周りから見れば、俺は出来損ないなのだろう。出席日数を取っていればいいんだろうな、あいつは。と、そう思われても仕方がなかった。
実際のところ、自分でも学校に行っていることがよく分からないことだってあった。何もやるべきことが見つからないのに、行っても無駄なんじゃないかと思い始めてきていた。

しかし、無情にも時は流れていくばかりで、授業という怠惰な時間は過ぎていった。これも日常茶飯事のことなので気にしないのだが。
昼飯時になり、俺は先ほどの授業を寝ていたということもあって長く背伸びをしてから食堂に向かうことにした。
するとその直後、五十嵐が不意に話しかけてきた。

「司、涙が屋上で待っているらしいぞ」
「あぁ……分かったよ」

五十嵐の言葉を面倒臭そうに返した俺は、頭をボリボリと掻きながら教室を出て行った。向かう先は、もちろん食堂。
飯も持たずに屋上に行っても何の意味もない。食堂に行くと、ガヤガヤと賑わいを見せていた。
人混みがあまり好きではない俺にとっては嫌な場所でもあった。人気ラーメン店とか絶対に行きたくないのもそのせいだ。
たかだか人気のパンかなんだか知らないが、それを争うために揉みくちゃになってまで手に入れようとする奴らを見ると正直呆れる。
そこまでして昼飯のパンが必要かと思う。その労働した後にパンを食ったとしてもプラマイ0に近いだろ。
俺は団体をなるべく避けながら歩いていた最中、ふと騒がしい声の中から気になることが聞こえた。

「転校生が来るんだってよー」

三、四人の男がうどんか何かを目の前に広げて嬉しそうに話している。その話は転校生が来るとかいう話のようだった。そんなにお前ら転校生が珍しいかよ。
勉強ばかりの生活に転校生とかいう話題しか話すことがないっていうのは悲しいことだと思った。
聞いていない素振りを見せながら、俺は自動販売機へと向かう。
この人混みを押し切ってまでパンを買おうとは俺は思わない。面倒臭いし、第一アホらしい。それなら今は飲み物で腹を膨らませておこうと思った。
自動販売機の中から90円の安い紙パックのカフェオレを2,3個買う。今日の昼飯はこれだけだと思うと切なくもなるが、あの人混みに紛れるよりマシだ。帰る時に近くの定食屋に寄って食べればいい。
俺はそのまま足取りを屋上へと向けて歩き出した。




「おっそ〜〜いっ!!」

いつもの怒鳴り声が俺の耳に響く。屋上へ行くと毎度のこと聞くのがこの声だ。これもいつもと変わらず、俺はゆっくりと声のした方へと歩み寄って行く。

「遅いって、まだそんなに時間経ってな——」
「うるさい! 黙れ! こんな美少女待たせておいてなんだその態度ゴルァッ!」

言い訳を毎度のことするが、結構事実を述べているつもりだ。実際に教室から7,8分程度しか経っていない。
涙にこのようにしてボロカスに言われるのも、もう慣れて来た頃合だ。涙の他に女の子が他に二人ほどいるのも。

「あああ、あのっ! えっと、そのっ!」

何故か俺の顔を見て赤面しつつ、バタバタと両手を左右に振っている女子は、雪ノ木 若葉(ゆきのき わかば)。
いつもまったりしてて、話しかけると慌てる変な子でもある。

「おー連休明けで久しぶりー」

と、明らかにゲームと思わしきものを忙しなく指を動かしているロングヘアーの女子は、北條 真希(ほうじょう まき)。
俺とは一年生の時に同じクラスで、意外と話などがあったために結構仲が良い。
ゲームが大好きな奴で、面白い奴でもある。
この三人は大体同じように時間を過ごしている。ゆえに昼時もこうやって集まって食べているみたいだ。
何故俺がこの三人と待ち合わせなことをしていたかというと、原因は例の部活というものにあった。

「あんたねー、部活ぐらい来なさいよ」
「あれは部活とは言わないだろ」
「言うわよっ! 誰がなんと言おうとあれは部活なのよっ!」

涙は自信満々に胸を張りながら言うが、俺にとってはあれは部活といえたもんじゃない。
何せ内容が意味不明なのだから仕方ない。遊びを尊重し、遊ぶことを徹底する部。それが——

「"遊びの音色"は同好会サークルだけどね! 部活は部活なのよっ!」
「その理屈自体が意味不明なんだよ。顧問もいないのに何が部活だ。同好会すらも無理な話だろうが」
「う……! や、やかましいっ!」

悔しそうに地団駄を踏んでいるが、その光景は何度も目にしている。変わっているのは話している内容ぐらいだ。
毎回のように俺が涙を負かして、このようにイラつかせているのが現状。まあ、結構これが面白いんだけどな。

「あ、ああああのっ! 暮凪君っ!」
「お、おう……。どうした? 雪ノ木」

相変わらずもの凄く緊張している感じで話しかけてくる雪ノ木。雪の木は男性に対してこのように緊張してしまう何か精神的なものがあるらしく、毎度のことのように俺と五十嵐や他の男たちに緊張している。
それと顔が赤くなっている、というのもまた面白いとは思うが、男たちはそれらがとてもよろしいらしく、密かに人気が高い。

「ち、ちゅんっ! ……ちゃ、ちゃんと! 部活には、き、来たほうが……」
「あぁ、そうだな。わりぃ」

今噛んだな、なんて思いつつも俺は苦笑しながら言葉を返した。
部活といっても同好会どまりの内容が遊びが主なふざけたものなのだけども。
前の活動なんて色々面倒だったな。最近テレビで鬼ごっこみたいなことをしているのを見た涙がやりたいと言い出してやった都市内鬼ごっことか。あれは最終的に雪ノ木が見つからなくて探し回って終わった記憶があるぞ。
とにかく、くだらない内容が多いものばかりなわけだ。そんな体力だけが無駄に減る部活をして俺は時間を無為に過ごしたくない。——といっても他にやることもないのは事実なわけだが。

「つーかーさー!」
「あ? 何だよ、涙」

俺が返事をした瞬間、目の前に何かが過ぎった。それは——足。
どうやら涙が回し蹴りを放ち、それが俺の目の前を過ぎったそうです。って、待てぇぇっ!

「落ち着けっ! ご乱心か!」
「はぁっ!? 昼飯時に覚えてろって言ったでしょっ!」
「そんな昔のことを掘り返してどうするつもりだ!」
「今日の出来事でしょうがっ!」

お前空手か柔道かしてたんじゃないかというぐらいの運動神経の良さで拳と足を俺に向かわせてくる。
必死に避けるも、遂に逃げ場を失い、そして——

「天誅〜っ!」

そんな言葉と共に俺に衝撃が走り、気を失わざるを得なくなってしまったのだった。




あれは、とても辛い日だった。
俺にとって、一生忘れることが出来ないほどの、辛い、辛い一日。
たった一日だけで、あんなにも心を閉ざすに十分なものを与えられるものだと、俺は世界を恨んだほどに。
それは、残酷な一日だった。

「はぁ……はぁ……!」

俺は走っていた。約束を守るために。
背中でグッタリと、まるで死んでいるかのように青白い血色をして俺におぶられているたった一人の女の子を守るために。
守る、それは俺がただ思っていただけなのかもしれない。誰かがそれを否定すれば、それはそうではなくなる。
結局は価値観で人は見ている。誰かがあの人は嫌だといえば、そんな印象受ける。
そうやって人は人の見定めをする。それを親父を見て早く知った俺からすると、とても息苦しくて、全てを投げ捨てたかった。

——しかしそれは、ある女の子に会って世界は色を失っていたというのに、一気に色を取り戻していったんだ。

Re: キーセンテンス ( No.5 )
日時: 2011/07/02 10:01
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: hF19FRKd)

「ありがとうって、どんな意味?」

突然聞かれた疑問に俺は戸惑ったのを覚えている。それはそう、あの女の子に聞かれたんだった。
深く、一つ一つの言葉の意味なんて考えたことはなかった。それは昔も今も同じように並立してそうだろう。そして、未来も。
ありがとうの意味なんていわれても、それは単純に感謝の意味じゃないのかと答えてみた。

「ううん。違う」

何を知っているというのだろう。この不思議な女の子は。
崖の上で揺れる木の葉と共に、手作りのブランコに乗っていた女の子は揺られながらポツリ、と笑顔を残した。




「う……」

どうやら俺は気を失っていたみたいだ。おかげで"消えかけているはずの過去"を見てしまった。
本当に過去にあったことなのかは分からないが、自分が幼少期の時代に会っているみたいだった。それは、目線が彼女と同じ目線の位置に存在したから。
だからといって女の子の話し相手をしている男の子が俺と限られたわけでもない。誰か、別の男の子に俺が乗り移ってるだけかもしれない。
でも、そうだとしたら、何故俺はそんな夢を見るのだろう。そしてそれは、本当に夢なのだろうか。

「ったく……」

ボリボリと頭を掻いて起き上がる。周りは白を基調とした部屋で、何度もお世話になったりしている感じのする保健室だった。
俺は保健室の一角にある白いベッドの上で横になっていたようだ。道理で居心地がどことなく良いと思った。
だからだろうか。あの夢をまた見たのは。いや、場所は関係ないか。いつからあの夢を見始めたのかさえもハッキリはしていない。
ただ、なんとなく見始めた。そんな感じだった。

「あら? もう起きたの?」

まだ若い20代ほどの女性の姿が目に入った。女性は私服の上から白衣を着て、髪はセミロングでヘアピンをしているなんとも若々しい女性だった。
この女性こそが保健室の先生である園咲 雲雀(そのざき ひばり)先生。俺も何度か此処にはお世話になっているためか、園坂先生とは話し相手になれるほどの親しみはある。

「俺、何で此処にいるんすか」
「覚えてないの? また涙に昇天されちゃったんでしょ?」

クスクスと笑いながら言う彼女は、同年代からすればとても魅力的なんだろうと思う。確か、まだ独身だったと思うが。
園咲先生に言われた通り、俺はゆっくりと記憶を遡らせた。昼の時間に涙が俺に蹴りを……。あれで俺は気絶しちまったわけだ。道理でいい夢を見ないはずだ。

「どうせ涙の気に障るようなことでもしたんでしょ?」
「いや……あれは、何ていうか、部活動じゃないものを部活動と言っただけで……」
「禁句ワードね。部活動だと思っているものを反対されたから気に障った、なんてあの子には満更でもないでしょ?」

薬品等を片付けながら再び園咲先生は笑った。俺にとっては笑えない、一環の不幸だ。
遊びの音色とかいうふざけた名前で、同好会的なことをしている涙だが、俺も好き好んでそんなところに入ったわけじゃない。
心身共にダルい生活を送っていたところに涙が誘ってきて、断るも強制的に入部させられたわけだ。
遊びを基調とした部活動、なんて初めて聞いた。もっと熱血になって頑張っている他部活を見てみろ。汗に塗れて必死に練習してるじゃないか。
俺たちの流す汗を思い出せ。遊びで、だ。それと比べたら他部活がどれほど健全なものかがよく分かる。
俺はため息を吐いて、ふと園咲先生に聞いてみた。

「今、何時ですか?」
「自分で見なさいよ。……3:00ぐらいね。そろそろ放課後に突入しそうな時間帯かな」
「俺どんだけ寝てたんすか……」
「約2時間ね」

全く、ただでさえ授業受けていないと赤点取るほどの点数なのに。
俺はベッドから出て行こうと自分にかかっている布団をどける。

「もう大丈夫なの?」
「えぇ、おかげさまで。長い時間すみません」
「毎度のことじゃない」

慣れている、という感じに園咲先生は言ってくれた。迷惑かけっぱなしだな、本当に。
俺はそんなことを思いながらも、傍にかけてあったブレザーを手に取り、保健室を後にするのだった。




俺が戻る時には、既に放課後に突入していた。皆散開しようと準備を始めていたりしていることが分かる。
俺が教室に入るとなると「大丈夫?」「何かあったの?」何て言葉が多少なりとも投げかけられたが、俺は全てに対して「あぁ、ありがとう」というこの言葉のみで返して行く。
たった一人だけ騒々しく動かず、微動だにしていない男に目掛けて俺は歩み寄っていた。

「五十嵐、まだ此処にいたのか」
「今授業は終わったところだ。今の今まで寝ていたのだろう?」

本を読んでいた五十嵐はポンッ、と音を鳴らして本を閉じてゆっくりと俺の方へと向き直った。眼鏡が相変わらず端正な顔立ちにお似合いだった。

「まぁな。それも全部涙のせいなんだけど——」
「誰が私のせいって〜?」
「う……」

どこから湧いてきやがった。俺の肩に手が置かれ、女とは思えない力で握ってくる。俺の肩を潰す気かこの野郎。
勿論、その正体は涙だった。平然と別クラスにずかずかと入ってきやがって。少しは恥じらいのようなものを見せてみたらどうだ、と言いたいところだが、言うと必ずよからぬことになるのでグッと抑えておくことにする。

「……まぁいいわ。今日はあの願いの叶う桜の木のところに集合って言ったでしょ」
「よくねぇ、まず俺に謝れ。んでもって俺は行かない」
「黙れ、お前に謝る意思は私には抹消されてる。んでもって、来ないと拉致るぞ」

どれだけ自分勝手な発言なのだろう、この娘は。
腕を組んで、足をコツコツと一定のリズムを刻みながら苛立ちを露にしている涙はそのまま口を開いた。

「これは部長命令よ」
「お前いつから部長だっけ?」
「生まれる前からよっ! いいから来なさい! ほら、五十嵐も手伝って!」

生まれる前から部長って……。お前はどれだけ遊びたいんだとつっこんでやりたい。
兎にも角にも、五十嵐も俺を連れて行く側に回った以上、俺に反抗の意思はもう消え失せていた。

「わーったよ。分かったから、離せ」
「それでいいのよ、それで」

納得したようにうんうんと頷き、満足そうに微笑む涙。本当に自分勝手だな、このバカ娘は。
正直のところ、行きたくない。何故よりにもよってあの願いの叶う桜の木なんだ。

「何でまたあそこに行くんだよ」

俺は不意に呟くようにして言うと、涙は俺の顔を見つめて嬉しそうな声で言った。

「その桜の木に、噂の転校生がいるっていう話なのよっ!」
「転校生? ここのか?」
「そうっ!」

嬉しそうに話す涙は放っておいて、俺は転校生というキーワードと、桜の木のキーワードを思い出す。
転校生、桜の木……? もしかして——

「よし、行こう」
「そうそう! そうこなくっちゃ!」

俺は何故か、朝に会ったあの少女を思い返していた。まだいるはずもないのに、何故だかいるような気がしてならない。
そして教えてやりたい。願いの叶う桜の木など——どこにも存在しないことを。

Re: キーセンテンス 参照100突破 ( No.6 )
日時: 2011/07/20 22:33
名前: 遮犬 ◆ZdfFLHq5Yk (ID: hF19FRKd)

学校の屋上から見える例の桜の木の咲く丘へと向かった。
自転車で行けば、何ら苦になるような距離でもない。とはいっても、道中最中ペダルを漕ぐのが段々と重くなっていく感じが何ともいえず、嫌な汗が額から流れ落ちていくのを感じながら自転車を漕いで来た。

「何ー? もうバテたの? だらしないわねー」

バテたのではなく、これは例の嫌な汗のせいでバテているように見えているだけなのだが、涙がそのことに気付くはずもない。俺がこの場所へとあまり行きたくないことさえも知らないのだから。

「あんま運動してねぇからな」

俺は適当なことを言って誤魔化した。正直、嫌な予感しかしないが、あの少女に会えるということがこんなにも息苦しいことなのかと自分でも驚いた。
朝には必ず行くこの場所だが、こういった放課後の時間である午後の時間帯に行くのが嫌だった。

隣で憎たらしくも涼しい顔をしている五十嵐といつの間にか居たような気がする雪ノ木と北條と並んで巨大な桜の木を見上げていた。

「んーいつもながらよく咲いてるねー」
「ほ、本当だね……わ、私帰る方向逆だから屋上でしか見られなかったけど……き、綺麗だね〜……」

北條は腕を組んでうんうんと頷きながら言うが、雪ノ木はオドオドしながらも惚れているように顔が少し赤くなりつつもポーッと桜の木を見上げていた。

「ほらほらっ! 4人共っ! 早く来なさいっ!」

一人、元気いっぱいの涙は既に丘の中間地点辺りまで登っていた。
この丘は結構斜面に作られており、距離も少しある。しかし、丘下からでも十分に見ることの出来る桜の木は綺麗という言葉だけで表しきれないほどだ。
一番上に行くだけでも少しの肉体労働になるというのに……もしかしたら、自転車でここまで漕いで来たことよりもこっちの方が労働かもしれない。
よく自分でも毎朝ここを登っているもんだと感心してしまうほどだった。

「はぁ……行くか」

俺たちは何をするわけでもなく、たった一人のいるかどうかさえも分からない少女に会うためにこの丘を登るわけだ。
これでいなかったとしたら……時間は返してくれるのだろうか。
一歩ずつ、着実に上り始めた涙除く俺たちは、登るごとに息の乱れも少し増えてくる。特に雪ノ木が、だ。

「大丈夫か? 雪ノ木」
「だ、だだだ大丈夫、ですっ! 心配かけてごめ——!」

ふっ、と雪ノ木の体がふらついたと思った瞬間、雪ノ木は倒れこんでいた。俺は急いで雪ノ木の体を起こし、言葉を投げかける。

「おいっ! 大丈夫かっ!? 雪ノ木ッ!」

俺の言葉が届いたのか、雪ノ木はゆっくりと閉じていた瞳を開けて「だ、大丈夫です……すみません……」と、呟いた途端、いきなり立ち上がった。

「わ、わぁっ!! 暮凪君……ッ!」
「え? 俺なんかしたか?」
「い、いいいいえっ! な、何もしてないでちゅ! ……何も、してないですぅ……」

最後の方は噛んだこともあってか、元気無さげに俯き加減のままそう言った。その様子に何故だか北條はニヤニヤして俺たち二人を見ていた。

「……何だよ、北條」
「べっつにー? ふふ、青春かぁ〜」
「はぁ?」

北條は意味深な言葉を呟いたと同時に再び前へと歩き出した。
事が過ぎ去り次第、五十嵐も北條に続いて行こうとする手前、五十嵐は俺たちの方へと振り返って言った。

「暮凪。雪ノ木のサポートは頼んだぞ」
「サポートって何だ。……分かったっての。早く行け、無表情メガネ野郎」

俺の言葉にフッ、と鼻で笑って五十嵐は再び歩み始めた。嫌味な野郎だな、あいつも。俺はそう心の中で思いながら雪ノ木の方へと振り返った。

「なぁ」
「ひっ! ……は、はい、なんでしょう?」
「そんな怯えたような声出さなくても……」
「い、いえっ! す、すみません……」

すぐにシュンとなる雪ノ木の姿がやけに面白く、すぐに笑い飛ばしてしまえて気前がよかった。

「俺が後ろで歩くから、雪ノ木はしっかりと登れ」
「く、暮凪君は、後ろで歩くんですか?」
「あ、あぁ……ダメなのか?」

俺が後ろでサポートすることに何故だか雪ノ木は不服なようで、キョトンとした顔で俺を見つめて言ったかと思えば、すぐに寂しそうな表情になり、呟いた。

「……隣で、歩いて欲しいのに……」
「え? 何か言ったか?」
「へっ!? 私、何か今言いましたっ!?」

驚いた表情で俺を見つめる。何度も瞬きを繰り返す動作が可愛らしく、少し噴出しそうになった。

「いや……俺が知りてぇよ」
「あ、そうですよね……すみません」

雪ノ木は再びシュンとした顔に戻る。何を呟いたのか、俺は気になるところなのだが。

「おーいっ! 二人共早く〜!」

あの乱暴女こと涙が丘の上から手を振り、俺たちを呼んでいた。

「はぁ……んじゃ、行くか。雪ノ木」
「は、はいっ! そ、そうですね」

何ともぎこちない感じで雪ノ木は再び歩み始めて行った。




俺と雪ノ木が丘を上りきると、早速例の転校生を探すという捜索作業に入ったが——

「ん〜……どこにもいないなぁ〜……」

結果、予想通りに誰もいなかった。変な胸騒ぎがしたような気がしたんだが、それは気のせいだったみたいだ。
もう夕焼けが落ちかけているような時刻で、桜の木も色栄えが無くなりつつある。
かれこれ何分、何十分と探したのかも忘れていた頃だった。

「これだけ探してもいないんだ。いくら丘が多少広くてもこれだけ探していないなら諦めろよ」
「ん〜……アポ無しって、やっぱり難しいもんなのよねぇ……」

いやいや、これにアポ取らなくても別にいいだろう。というツッコミが瞬く間に出てきたが、これは抑えておくべきだろう。

「んーじゃあ解散しよっか?」

涙のそんな気まぐれーな一言で本日はこれにて解散となった。これ、本格的に部活とも言えなくなってきたな。まあ、部活じゃないんだけど。
誰もいなくなった丘の上で一人、俺は立ち尽くしながら、いずれかは通報されるかもな、なんて冗談を思い、ふと桜の木を見上げた。
傍で大きく咲いている桜の木は、優雅で、壮大な感じがした。

「願いが叶う、か……」

俺はそんな願いが叶う、なんて言葉に惑わされた人間の一人だ。
願いなんて、祈って叶えられるものじゃない。奇跡なんて、祈っても来ないんだと。
仏や神様なんて言ってるが、俺はそんなのはただの"すがり"だと思っている。現実を逃避したいから、そんな迷信様様なものに頼って日々生きていると思うとチャンチャラおかしく思えてくる。
そんなこんな考えながら、俺はずっと桜の木を見上げていた。——そんな時だった。

「あれ? 今日、朝で会い……ましたよね?」

ふと、思い出させるような少女の声が俺の耳に届いた。俺はすぐさまその声のする方へと振り向いた。
夕焼けが、その声を出した人物の辺りを照らしていた。

「お前……!」
「あ、やっぱりそうでしたっ! 桜の全部大好きな人でしたっ!」

面白い覚え方されてるな。俺はつい、その少女を見て固まってしまっていたが、フッと鼻で笑ってしまえれた。

「楽しそうだな」
「また会いたいなって思ってましたからっ」

嬉しそうに笑顔を作る少女の姿が——あの子と被ったような気がした。

「そうか。俺も、実はまた会いたいなと思っていたところだ」
「本当ですかっ!?」

少女は俺の言葉を聞くなり、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて喜んでいた。無邪気で、何も悪いことは考えてませんっていう感じ。
だが、それは嘘ではなかった。本当にまた会いたいと思っていたのだから、嘘ではないはずだ。

「あのさ、お前は俺の入学している学校に転入してくるのか?」
「貴方の入学している、学校?」
「あぁ。あの学校だよ。ほら、見えるだろ?」

学校の屋上から此処が見えるということは丘からでも見えるということ。なので俺はそこから見える自身の通っている学校へと指を差した。こうして見てみるとなかなかして小さい感じがしないでもなかった。

「あぁ、はいっ。来週から転入します」
「それじゃあ、やっぱり本当か……」
「はい? 何がですか?」
「いや、なんでもねぇ。こっちの話だ」

この少女が転入生だという噂は本当だったようだ。ということは、前からこの少女は目撃されてるということであって……此処に頻繁に来ていた? なのに俺と会ったのは今日だけだったというのはどうも辻褄が合わない気がした。

「私、貴方を前から知っていましたよ?」
「え?」

いきなりの少女からの発言に、俺は少し戸惑った。ゆっくりと俺に歩み寄りながら少女は言葉を続けた。

「毎朝、同じ時間帯に貴方は此処に来てました。私もこの桜の木が好きで此処には前から来てたんですけど、貴方はもっと前から来ていたみたいで……よっぽど桜が好きなんだなぁって思ったんですっ」

なるほど。だから俺と会った時に桜が好きかどうか聞いたのか。
話しながら、気付くと俺の目の前まで近づいてきていた。夕日の光が丁度少女のバックになって眩しく、何だか神々しい感じがした。

「私も、桜は好きですからっ」

嬉しそうに微笑む笑顔に、ますます何か惹き付けられる感じがした。何だろうか、この少女の笑顔は。
どこかで見た感じがして、どこかで俺はこの笑顔に助けられた気がする。でも、思い出せそうで思い出せないもどかしい感じ。

「願いの叶う、なんてロマンチックですよねっ。私、そういうのも好きなんです」

と、桜の木を見上げながら言った。
そこで俺はふと気がつく。この少女に伝えなければならないことを。

「あのな。願いの叶うなんて……」
「はい?」

俺は真剣に顔を変えて、願いの叶うなんて、と言葉を漏らした。
しかし、それから後がいくら考えても出て来ない。いや、出したくないのだろうか?

「願いの叶うなんて……なんですか?」
「いや……願いの叶う、なんてのはな……」

伝えたい。伝えなければ、この子もまた俺と同じように夢見てしまうかもしれない気がした。けど——

「……確かに、ロマンチックだな」
「ですよねっ? えへへ、気が合うんですかね?」

結局、出てこなかった。もっと彼女にとって、残酷な言葉を放つつもりだったのに。

「お前……名前は?」
「私、ですか?
「あぁ。他に誰がいるんだよ」

少女は周りを見渡してから「本当ですねっ」と、少し照れ気味に言った後に俺の顔を見つめて微笑むと、口を開いた。

「私の名前は、潮咲 桜(しおさき さくら)ですっ」
「潮咲……桜?」
「はいっ。覚えててくださいね?」

少女、潮咲は明るくそう言った。
名前に思い当たりなどない。初めて会う感じに何故か違和感が後からついてくる。そんな思いがどことなく残されていた。
名前が桜だから桜の木が好きなのだろうか。単純だな、なんてことを思いながらも俺は桜の木と桜から目を背けて歩みだした。

「あの、どこに行くんですか?」

桜が不安そうな声で俺に声をかけてきたが、俺の歩みは止まることなく、右手を上にあげてヒラヒラと左右に振りながら言い残した。

「またな」

その一言で十分だと思った。
すると、後ろの方から元気のいい、明るい声で、聞こえてきたんだ。

「貴方の名前はっ!?」

そういえば言うのを忘れていたな。俺は後ろ振り返り、どこか不安そうな顔を浮かべる桜に向けて言った。

「暮凪 司」
「暮凪、司……ですかっ! 素敵な名前ですねっ!」

俺は桜の言葉もロクに聞かないまま、再び帰る方向へと足取りを進めて行った。

「また、必ずお会いしましょうねっ! 暮凪さんっ!」

そんな言葉が、俺の背中に届いていたことを逸らしながら、俺は願いの叶う桜の木という過去から——必死で逃げていた。


——END

Re: キーセンテンス 参照100突破 ( No.7 )
日時: 2011/07/08 04:50
名前: ステッドラー ◆7L7/Uupxyg (ID: hAtlip/J)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

↑遅かったじゃないか……♂(久しぶり的な意味で


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