複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第47話更新!
- 日時: 2011/10/26 20:25
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
はじめまして!!
更新が遅くなるかもしれませんが・・
温かい目で見守ってくれるとありがたいです。
では、よろしくお願いします。
コメントを下さった読者様リスト!!
王翔様 きなこ様 水瀬 うらら様 コーダ様 ちぇりお様 ステッドラー様
長月様 いちご牛乳様
エピローグ
人の中に必ず宿る力・・・
「スピリッツ」
その不思議な力は、時に人を助け、
また・・大半は武力として使われる。
この力により、平和だった世の中は一変した。
争いが絶えず・・武力による支配を行う国家、「レジスタンス」。
この国家の出現により、
世界の終りが近づいているとさえ思われた・・・
・・だがこの国家に立ち向かい、世界を変えようとする少数団体。
そして、この世界の平和をのぞむ少年の・・
平和のための物語。
登場人物
団体名、「ナイツオブピース」
本部、飛行船「エアロバード」
アキト・・主人公。性格は基本無口で無愛想。
髪の色は赤色、160cm、年は16歳の男の子。
武器は主に剣を収める鞘(さや)と特定の時に愛用の剣「オメガ」を使う。
特殊能力は「身体能力の向上」
エアロバードの船員。
レイ・・狙撃手。性格はのんきで面倒見がいい。
髪は黄色、175cm、年は20歳の青年。
武器は二丁のレーザー銃「ダブルショット」
特殊能力は「視力の向上」
レベル2状態の能力は「時空移動」
エアロバードの船員。
ホープ・・超人。性格は優しいが割といたずら好き。
髪は黒、170cm、年は18歳の青年。
武器は素手と相手のものまねした能力。
特殊能力は「ものまね」
エアロバードの船員。
リフィル・・偵察者。性格は積極的で明るいが、怒ると怖い。
アキトに好意を抱く。
髪は青色、160cm、年は16歳の女の子。
武器はないが、風の力で戦う。
特殊能力は「風」
エアロバード船員。
セリア・・髪は黒の長め、165cm、年は23歳のお姉さん。
性格は謎。
特殊体質で、ある一定の範囲のスピリッツの力を探知することができる。
エアロバードの指揮官。
フェリス・・髪はピンクの長め、160cm、年は15歳の女の子。
性格は無口で恥ずかしがり屋。
エアロバードの操縦士。
ジーク・・髪は茶色、180cm、年は29歳のおじさん。
性格は明るくて、しっかりしている。
エアロバードの操縦士。
アイカ・・レイの恋人らしい。
イブ・・サンライズタウンで出会った女の子。
剣の腕は一流だが、ドジっ子
団体名、「レジスタンス」
本部、「光の宮殿」
ジーオス・・七星の一人。強敵。
グリード・・七星の一人。数少ない上級ランクの超人。
アキトと深い因縁がある。
ハデス・・七星の一人。レイと深く因縁がある。
カムイ・・七星の一人。いつも全身を鎧で身を包んでいる。
飛行船、「キングジョージ」を保持している。
サムライ隊のリーダーでもある。
愛する人、「リイナ」を救うために戦っている。
特殊能力は「分身」
スリス・・金山基地のリーダー。
顔を汚されることをひどく嫌う。
特殊能力は「雲」。姿を自在に消せる。
グロア・・ポルン町の管理者。
ポルン町に恨みを持つ。
武器は右手の大きなカニのはさみ。
ジョット・・元レジスタンスの兵士。
殺すのが生きがいだと言う最低な人間。
特殊能力は「創造」。なんでも思った物を作り出すことができる。
ツツジ・・・能力を使い好き勝手に暴れていた能力者。
自分の能力に絶対的な自信を持っている。
特殊能力は「土」。地面などの土を自由に操って戦う。
団体名、「ヒューマン」
プロト・・レジスタンスと組んだヒューマンが作った最悪の殺人兵器。
武器はさまざま。
団体名、「ゲイボルグ」
ベルゼブル・・・ゲイボルグをまとめ上げるリーダー。性格は、めんどくさがりで戦闘大好き人間。
髪は白銀でクセ毛。身長は170cm。年は19歳。
能力は「空想」。。持続時間は基本は3分、長くて5分。
オーラの色は黒で、普通とは違う特殊な色を放つ。
マリ・・・新人だが、ベルゼブルの側近として仕事ををしている。性格は明るく、勇敢。
髪は長めの黒のストレートで、眼鏡をかけている。身長は167cm。年は18歳。
身体能力は悪く、ドジだが、わりと頭は良いらしい。
物語
第一章、(戦争鎮圧編)
第1話 >>1 第11話 >>14 第21話 >>36
第2話 >>2 第12話 >>21 第22話 >>37
第3話 >>4 第13話 >>24 第23話 >>38
第4話 >>6 第14話 >>25 第24話 >>39
第5話 >>7 第15話 >>26 第25話 >>40
第6話 >>8 第16話 >>29 第26話 >>41
第7話 >>9 第17話 >>30 第27話 >>42
第8話 >>10 第18話 >>31 第28話 >>43
第9話 >>11 第19話 >>32 第29話 >>44
第10話 >>12 第20話 >>33 第30話 >>45
第二章、(VS七星!! 動き出す野望編)
あらすじ・・・>>46
第31話 >>47 第41話 >>73
第32話 >>48 第42話 >>76
第33話 >>50 第43話 >>79
第34話 >>53 第44話 >>80
第35話 >>54 第45話 >>81
第36話 >>55 第46話 >>82
第37話 >>65 第47話 >>83
第38話 >>69
第39話 >>70
第40話 >>71
番外編
パート1(300参照記念)・・・>>59
第一回人気投票の結果・・・>>73
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第42話更新! ( No.79 )
- 日時: 2011/10/16 21:46
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第43話 「分身。」
立ちはだかるカムイの圧倒的威圧。
今までに戦ってきた敵とは桁違いだ。
「いくぞッッ!!!!!」
カムイはそう叫ぶとゆっくりと深呼吸し、
「はぁぁーーー・・・・」
カムイの体が二つに分かれていく・・。
「!?」
アキトたちは目を疑った。
目の前には・・・・カムイが三人。
「まさか・・・・分身!?」
ホープがそう言うと、
「その通りだ。我の能力は分身。自分と同じ強さの分身を作ることができる。」
たった一人でも手こずっているアキトたち。
三人となれば、もはや絶望的。
「なら・・・僕だって!!」
ホープはそう言うと、カムイの能力をコピーし自分の分身を一人作った。
だが・・・
「無駄だ。」
カムイがそう言った直後、ホープの分身は霧のように消えた。
「・・!?」
なぜ・・・コピーができない!?
「お主の能力はコピーか。だが残念なり。この能力で作った分身たちを常に頭に意識をしていなければ、その分身は消えてしまうのだ。」
「・・・なるほど。」
ホープは苦笑する。
「・・・えらいご丁寧に教えてくれるな。余裕なのかねぇ?」
レイがそう言うと、
「心配するな。話したところで我の勝利は変わらぬ。」
「・・・へぇ?」
レイはキッと睨む。
ーーエアロバード内ーー
通信機ごしで会話を聞いていたセリアは、
「・・やばいわね。」と呟く。
「ホープはなぜ分身を使えないんだ?」
ジークはセリアに聞く。
「簡単よ。常に分身に意識を置いたまま戦うなんて普通は不可能よ。脳の柔軟さ、そして何より途切れない集中力がなければ無理ね。あの子と互角の天才かもね・・・。」
「・・あの子?」
セリアの言葉に、不思議そうな表情を浮かべるフェリス。
ーーキングジョージ内ーー
「さあ!! もう余計な説明は無用なり!!!」
カムイと分身は一斉に突進する。
カムイ自身はアキト、そして分身二体はレイとホープそれぞれに行く。
「やばいぜ・・・。」
レイは距離を置きつつ、ダブルショットを連射する。
だが剣ではじかれつつ、徐々に距離を詰められる。
「やっべ・・・」
カムイ分身は一気に距離を詰め・・・・
レイの体を切り裂いた・・。
「ぐッ・・・・アアああッ!!!!」
レイの左肩からななめ右下の腹から、赤い液体が飛び散る。
体が倒れ、そのまま壁にもたれかかる。
「レイィ!!! ・・・くッ!!」
ホープはレイに気がいってる間に、カムイ分身に詰められる。
そして、カムイ分身の横切りは、ホープの横腹をとらえた。
ポタポタと落ちる赤い血。
「ぐッ・・・・うぅ・・」
片膝をつくホープにカムイ分身は容赦なくホープを蹴り飛ばす。
地面に倒れこみ気を失うホープ。
「レイ!! ホープ!!」
アキトはカムイの攻撃を防ぎつつ、痛みと戦いながらも食らいつく。
だがやはり動きが鈍っている。
カムイは一瞬の隙をついてアキトのオメガを弾き飛ばす。
「うっ・・・・。」
「終わりなり・・アキト。」
カムイは剣をアキトに向け言う。
アキトに・・・もう術はない。
「アキト・・・これがお主らの実力。我を超えずして、どう救うというのだ?」
「くっ・・・。」
「だが・・・・話だけはしてやる。」
カムイはゆっくりと口を開く。
「私は・・・愛する者を救うために戦っている。」
「・・!?」
「だが・・・私には救えない。わが王は強すぎるのだ。刃向うことは許されん。刃向えば・・・彼女も私も死ぬだろう。」
カムイは悲しそうに語る。
「だが我が戦い続ければ、彼女は生きられる。牢獄の中でも幸せに・・・だ。」
「なに!? ・・・本当にそう思うのか?」
「何・・?」
アキトは反抗するように言う。
「本当に彼女は幸せか!? 違う!! 彼女もきっとお前と一緒にいたいと願うハズだ!!!」
「黙れッ!!!! 主に何が分かる!? 私が刃向えば・・・」
「それでもッ!!! お前のことを待ってる!! それに約束を守るという確証もないッ!!!」
アキトはカムイに精いっぱい叫ぶ。
「・・・どうすればいいと言うのだ!? 我には・・これ以外に救う方法はみあたらない!!!」
「お前の恋人を・・・俺たちが救ってやる!!」
「敵であるお前たちを・・・・信用などできん!!!!」
「なら・・なぜお前が救いにいかない!?」
アキトの言葉にカムイは黙る。
そしてまた口を開く。
「私が戦えば・・・負けることは分かっている。」
「それは試してみなければ分からない!! なぜしてもいないのに決めつける!?」
「もういいッ!!!!!!」
アキトの言葉をかき消すようにカムイは強く言い放つ。
「お主らには関係はない。一人づつ我が始末する・・。まずはアキト・・・主からだ。」
カムイは分身を消し、アキトにゆっくりと剣を向ける。
「くそッ・・・アキトッ・・!!!」
レイは絶望していた。
仲間を救えないことに。
意志とは裏腹に・・・動かない身体。
流れ落ちる赤い血。
レイは「くそッ!!」と地面を叩く。
ふざけんなよッ!!!
こんなとこで終わっていいわけあるかッ・・!!
誓ったんだ・・・・もうアイカみたいな犠牲は出さないって・・。
動け・・・動けッ!!!!!!
「・・・!?」
どこからか声が聞こえる・・。
いったいどこから・・!?
レイ・・・。
仲間を・・・・そして鎧の彼を救ってあげて。
あなたしか・・・・救えないから。
ああ。そうか。
奴はまだ・・・間に合うんだよな。
俺が奴を救わねえとな。
戦わずして逃げて後悔しないためにも・・。
そして奴の愛する人を・・・失わないためにも。
ありがとう・・・・。アイカ。
「さぁ・・・アキト。お主を断罪してくれるッ!!!!!」
「くッ・・・・」
カムイは剣を振り上げる。
アキトは死を覚悟した・・・。
「断罪ッ!!!!!!!!」
カムイは剣を振り下ろす・・・・!!!!
「!?」
カムイの剣はアキトの前でピタッと止まる。
「・・・なんだ!?」
カムイは殺気の方向を向く。
そこには、ポタポタと赤い血を垂らしつつも、立ち上がっているレイがいた。
「オオオォォォォォーーーーーーーー!!!!!!!!!」
今までにないスピリッツのオーラがレイを激しく取り巻く。
そしてレイは・・・・・・覚醒する。
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第43話更新! ( No.80 )
- 日時: 2011/10/21 18:44
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第44話 「覚醒の時。」
「オオオォォォォォーーーーーーーー!!!!!!!!!」」
レイの周りを取り巻く激しいスピリッツの量、激しく吹き荒れる風圧。
カムイはもちろん、アキトもただ呆然とするだけしかできなかった。
「な・・・・何が起きたというのだ!?」
圧倒的スピリッツを目の前にし、思わず出た言葉。
カムイは激しく首を横に振り、
「ばかなッ!? 奴のどこにこんな力が・・・?」
カムイはうろたえる。
先ほどの力とは桁違い。
味方であるアキトでさえも状況がつかめていない。
だがアキトは、
(ここは・・・・・まずいな。レイ・・・頼む。)
すぐにその場を離れ、気を失ったホープを抱え、二人と距離を置く。
「・・・・はぁぁぁッ・・・・。」
レイを取り巻く赤いオーラ、そしてそれと交わるように取り巻く白いオーラ。
今のレイに取り巻くオーラは二種類。
これを見たカムイは、
「二種類のオーラ!? まさか奴は・・・・・。」
「・・・・カムイッ!!!」
「!?」
目の前にいるのは、紛れもなく先ほどまでボロボロだったレイ。
だが、レイの力強く呼ぶ声に、一瞬背筋をヒヤッとするカムイ。
「これからだぜ・・・・勝負はよォ!!!!」
レイはダブルショットを取り出し、構える。
「・・・よかろう!! 何をしたのかは分からんが、お主はわが剣で葬ってくれるッ!!!!!」
カムイは二刀流の剣を構え、突進する。
そしてそれと同時に、カムイは2人の分身を作る。
「断罪ッ!!!!!!!」
カムイと分身二人はあらゆる方向に散らばりつつ、一斉に襲いかかる。
「行くぜッ・・。見せてやるッ!!!! 新しい力をなぁ!!!!!」
レイはそう言うと、空中に飛び上がる・・・。
「!?」
「行くぜ・・。」
レイはゆっくりとダブルショットを構える・・。
「乱れ撃つぜぇぇぇッッーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
そしてレイは高速で回転しながら、あらゆる方向に撃ちまくる。
左右上下とあらゆる方向に撃ちまくる。
だが、敵には一発も当たらず、むしろ当たる気配さえしない。
「!?」
カムイには意味が理解できなかった。
(やけくそになったと・・・そういうことか?)
カムイはそう考えていた。
だが、答えはすぐに分かった・・・。
「!!!!」
カムイは気付いた。
奴の撃ったレーザーは・・・・・壁に当たっていない。
「・・・ッ!!!!!!」
カムイは今の自分が置かれている状況を一瞬で理解した・・・。
カムイの全方位を包み込む数えきれない数のレーザーが・・・・・
全てカムイの方に向かってきていることを・・・!!!
「なッ・・・!!!!!!!」
「チェックメイト・・・・!!!!!」
レイの小さい呟きをかき消すように、爆発音が鳴り響く。
「ぬッ・・・・・・があァァァーーーーー!!!!!」
カムイは悲鳴に近い声をあげる。
レイはふうっ、と息を吐き、ゆっくりとダブルショットを下す・・・。
ーーエアロバード内ーー
「・・・これはッ!!!」
「!?」
セリアがいきなり大声を上げるので、驚くジークとフェリス。
「な・・・なんですかい!? いきなり大声で・・。」
「・・・・・・。」
大声を出したと思えば、いきなり黙り込むセリア。
そして・・・・
「レイが・・・・覚醒したわ。」
「覚醒・・・・?」
セリアはどうやら、自分の特殊体質でレイのスピリッツを感じ取ったようだ。
「覚醒とは、つまりスピリッツの進化。今まで解放してきたスピリッツをレベル1とするなら・・・・覚醒はレベル2。これを解放したとき、今まで解放していたレベル1の能力に、さらにもう1つ新しい能力が生まれるの。簡単に言うなら・・・能力が2つに増えるのよ。」
「じゃあ・・・・レイは強くなったんですか・・!?」
フェリスはセリアに尋ねる。
「・・・圧倒的にね。何かきっかけがあったようね。」
「まさか・・・勝てるかもしれないのか?」
「焦らないでジーク。まだわからないわ。」
ホッとするジークに、喝を入れるように言うセリア。
「レイ・・・勝負は早めに決めなさい。でないと・・・・あなたが持たないわ。」
ーーキングジョージ内ーー
爆発の煙が辺りを覆う・・・。
「・・・・・すごいな・・。」
レイの圧倒的力を見て、言葉を漏らす。
カムイの生死はまだ煙で分からない。
だがレイは、まるでまだ生きていることが分かっているように語りだす・・・。
「お前も俺らに教えてくれたからな。教えてやるよ。俺の新しい能力・・・・それは時空移動だ。俺が意識した対象物を、どこでも意識した場所に飛ばせる能力だ。」
レイはその場に座り込み、また口を開く。
「さっきの全方位攻撃・・・・あれは俺が撃った弾を全部お前の周りを囲むように意識して瞬間移動させたんだ。しんどかったけどな。」
「・・・・なるほど。」
「・・!!!」
煙の中から聞こえてくる声・・・。
やはり、カムイは生きていた・・・・!!!!
「よお。まだやるのかカムイ?」
挑発するように言うレイ。
煙は晴れ、姿を徐々に現すカムイ。
その姿に・・・・一切鎧は着けていなかった。
さっきの攻撃ですべて剥がれてしまったようだ。
「・・・なんだ。顔はなかなか渋くてイケメンじゃねえか。」
鎧をとったカムイは、見た目の年は30代で、髪は黒。身長は190センチぐらいだ。
「・・お主が初めてだ。私の鎧を外したのは。」
「・・・そりゃ嬉しいこった。だがまあ・・・そろそろ決着つけようぜ?」
カムイはふっ、と少し笑みをこぼす。
レイも同じく笑みをこぼす。
「主と戦えたこと・・・感謝しておる!!!」
「いくぜぇッカムイ!!!!」
そして戦いは・・・・決着へ。
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第44話更新! ( No.81 )
- 日時: 2011/10/24 21:08
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第45話 「リイナ。」
スピリッツ、「レベル2」。
この力を扱えるのはこの世界に数えるほどしかいない。
この力を発動させたものは今までの力とは別に、新たな力を得る。
それはオーラにも現れる。
また、オーラには二種類ある。
赤のオーラは{身体的機能の上昇}、そして、白は{補助能力の追加}を表す。
もし仮に、自分のもともとのオーラが「赤」であり、新しく得た能力が「白」の能力であるなら、その人は二つのオーラを持つことになる。
また、新しく得た能力が同じであるならば、オーラの色は変わらない。
だがその分、体力の消費、身体のダメージは大きい。
長時間続ければ、死に至ることもある。
この内容は、天才と呼ばれた男、「レイリー」が書いた、スピリッツの覚醒についての本に書かれたものである。
セリアは昔が読んだその本の内容を思い出した。
レイは・・・・やはり天才だった。
私が見込んだ通りだった。
レイの新しい能力である「時空移動」は、多分ホープやアキトには扱えない。
数学能力、空間能力、そして何よりも頭の柔軟さがずば抜けるレイだからこその能力。
だけどその分、脳に負担がかかるはず。
長い戦いは避けないと・・・・。
「・・・セリアさん?」
「!!」
セリアは声に気付き、ハッと我に返る。
フェリスが心配そうにこっちを見ていた。
(どうやら考え事をして気付かなかったみたいね・・。)
セリアは苦笑しつつ、
「ええ。大丈夫よ。それよりも・・・そろそろリフィルの出番よ。」
「もうですか!? まだやれるんじゃ・・・。」
ジークはセリアに言うが、セリアは首を横に振る。
「長居は無用よ。レイも長くは持たないから。もうゴーサインを出していいわ。」
「了解!!!」
ーーキングジョージ内ーー
「ぬおおおおおォォーーー!!!!!」
カムイは大きな雄叫びと共に、分身を2体・・・ではなく、4体呼び出す。
「・・まだ出るのか!? さすがだな・・。」
「全力で主を叩くッ!!! 覚悟ォォーーー!!!!」
5人一斉にレイに飛びかかる。
レイはゆっくりと構え、
「何人こようが全部狙い撃ってやらァ!!!」
辺り一面に乱れ撃つ。
放たれたレーザーは途中で消え、
「今度は上かッ!!!!」
カムイが上を見て言う。
そこには雨のように落ちてくるレーザーの嵐。
「避けらんねえぜ? くらいなァッ!!!!」
降ってくるレーザーで、次々と消えていく分身。
だが・・・
「おおおォォォーーーーーー!!!!!!!!!」
上から降り注ぐレーザーの嵐をもろともせず、ただレイに一直線に突っ込んでいくカムイ。
カムイはレーザーに当たり、傷つきながらも、勢いは全く落ちない。
「なッ!? こいつ・・・・玉砕覚悟かッ!!!!」
だんだん距離は詰められ、追い込まれたレイ。
接近戦になれば、レイに勝ち目はほとんどない。
「くッ・・・まじかよ・・。」
「この覚悟がなければ・・・・リイナは救えんッ!!!!!」
「!!!」
カムイの熱い思い・・・。
身体が血だらけになりつつも、
カムイの純粋な気持ち・・。
そうだ。俺にだってあるッ!!!
俺だってッ・・・・!!!
「負けるわけにはッ・・・・いかねえぇんだァーー!!!!」
レイは魂を込めて、わずか3メートルほどの距離にいるカムイの心臓に向かって撃つ。
だがそれを・・・・カムイは間一髪のところで急所をまぬがれた・・・!!
はず・・・したッ・・だと・・。
「断罪ッッ!!!!!!!!!」
カムイはレイに向かって剣を振り上げる・・・。
「まだだァァッーーーー!!!!!!」
「・・・アキトッ!?」
アキトがカムイとレイの間に割って入り、カムイの剣を受け止める。
そしてもう一方の手に鞘を持ち、
「アキ・・ト・・!!! お主ッ・・!!!」
「俺がッ・・お前を救うッッ!!!!!!!!!」
アキトのカムイの顔面に向かって・・・・
「でぇえええええぇーーーーいいいいいッッ!!!!!!!!!!」
力いっぱい殴り飛ばした・・・!!!!!
カムイは吹き飛び、勢いよく地面に叩きつけられる・・。
「これで・・・・終りだッ・・!!!」
アキトは膝をつき、地面に倒れこんだ。
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) ( No.82 )
- 日時: 2011/10/25 22:01
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第46話 「カムイ。」
体が・・・・動かない。
起き上がることもかなわぬ。
どうやら今頃になって、
ダメージが来たようだ。
・・・・無念なり。
我の願いもここで終わりか・・。
すまぬ、リイナ・・・。
「・・・!?」
身体が勝手に・・・起き上がる!?
いや、アキトが我を抱えているのか・・。
「・・何のつもりだアキト?」
我に情けを・・・かけておるのか?
それなら必要ない。
私は・・・もう彼女を救えないのだからな。
「アキト・・・・我に情けをかけてるつもりなら・・」
「違う。お前をまだ・・・救えていない。」
「・・・??」
何を・・・言っておるのだ!?
我は勝負に敗れた。
このまま死ぬと・・・そう覚悟していた。
これ以上何をしようと言うのだ!?
「カムイ。アキトは最初に言ったはずだぜ。お前を救うためにここに来たってなぁ。」
レイは斬られた傷をおさえながら、カムイとアキトに近づいていく。
「お前の大切な人・・・俺らが救ってやるよ。」
「・・・何!?」
レイの言葉にカムイは驚く。
「お前言ったろ? 俺を倒せぬやつに何が救える・・てな。じゃあお前を倒した俺たちは・・・お前を救えるはずだ。」
「・・しかしッ!!」
今まで敵として戦いあった者からの意外な言葉。
もちろん、先ほどまで本気になどしていなかった。
油断させるための口実とさえ思っていたのだ。
だが・・・彼らの口からの言葉は本気だった。
戸惑うカムイ。
だが・・・信じられずにいるカムイ。
本当は・・・助けてほしい。
それが本音だ。
だけど・・・・そうすれば自分も彼らも命が危ない。
(なんだ・・・・我は誰の心配をしておるのだ。)
自分と奴らは敵。
そんなことは分かっている。
でも・・・・・なんでだろうな。
お主たちには・・・死んでほしくないのだ。
自分のために命を無駄にしてほしくない。
理由は・・・分からない。
戦いの中で、我の気持ちが変わったのかもしれんな。
だから・・・・・・・・・・
「我は・・・・お主たちには・・・・・・・・」
「しかしも我もクソもあるか!! 俺らが救ってやるっていってんだ。おとなしく救われやがれッてんだ!!!」
「・・・ッ!!!!!」
レイの言葉が・・・カムイの心を揺さぶった。
今までにない何かがこみ上げてくる・・・。
「お前はもう・・・・・戦わなくていいんだ。」
「・・・・!!!!!」
レイがカムイに言い放った言葉。
カムイは確信した。
信じていいんだ・・・と。
そう思うとなぜか安心できた。
そして自然と・・・涙が出た。
溢れて止まらなかった・・。
「・・・すまぬッ・・!!!!」
ただこう言うしかなかった。
それを聞いたレイはフッと笑みをこぼし、
「お前の未来は、俺らがかならず作ってやるよ。」
そう言い放った。
そうしてると・・・
「・・・・来たみたいだな。」
カムイを抱えたままアキトは言う。
「・・?」
「もう一人の仲間が準備を終えて迎えに来たみたいだぜ。」
訳が分からないカムイにレイは少し苦笑いしながら、
「脱出だぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
そう叫ぶと同時に・・・・
ピーーー!!!!!
と鳴り響く警報機。
「なッ・・・・!? 何が・・?」
「・・・カムイ。今から言うことを驚かずに聞け。」
「アキト・・? お主・・・」
「今からこの船は・・・・墜落し粉々になる。」
アキトの言葉からとんでもないことを聞いたカムイ。
「墜落とはどういうことだ!?」
「カムイたちを・・・・死んだことにする。」
「・・?」
アキトの言葉の意味をいまいちつかめないカムイ。
そりゃそうだ。
いきなり墜落やら死んだことにするやら・・・訳が分からない。
「お前たちが死んだことになり、俺らが独断でお前の大切な人を救ったとなれば・・・・レジスタンスはお前も彼女も追ってこないはずだ。」
「・・・。」
アキトの説明に言葉を失うカムイ。
確かに・・・・それなら彼女を救えるかもしれない。
「俺らの指揮官に・・・感謝するんだな。あの人は天才だからな。」
レイはニコッと笑って言う。
「・・・レイ。アキト。お主らは・・・・」
「おおっと。話はあとだ。まずは脱出だっ!!!!」
レイがそう言っていると、
「レイ、アキト!! 待たせてごめんね♪」
リフィルが司令室の入口から飛んできた。
実はリフィルは今までずっとキングジョージ内にいたのだ。
だが彼女は、セリアの命令で他のサムライ隊のメンバーを説得し、キングジョージにある緊急の小型船で地上に避難させていたのだ。
サムライ隊はもともとカムイと一緒だった。
戦いたくなかったのだ。
だが、昔からの仲間であるカムイの願いのためを思い、いままで戦っていたのだ。
だから、もう戦わなくていいんだと説得すると、彼らは快く避難してくれた。
なぜなら彼らはカムイの大切な人を救えたなら・・・
もう戦う必要もなくなるからだ。
そしてみんなが避難した後、起爆装置を発動させ、ここまで来たということだ。
「リフィル!! グットタイミングだ!! 早いとこ俺らを連れて脱出してくれ!!!!」
「了解♪」
「僕も大丈夫だよ。」
「ホープ!? 大丈夫か!?」
レイは心配そうに聞く。
いつの間にかホープは目覚めていた。
ホープはアキトたちに近づき、にこっと笑って、
「心配しないで。僕もちゃんと活躍しないとね。」
「・・・無理すんなよ?」
「レイに言われたくないね。」
「何ィー!? ・・・あ、やべ。」
レイの体がだんだん傾いていき、地面に倒れる。
「・・言わんこっちゃない。無理しすぎ。」
ホープはレイを担ぎ、風の力で宙に浮く。
「さっ。脱出だよ。」
「オッケー♪」
リフィルはアキトとカムイを担ぎ、ホープはレイを担ぎ、急いで飛び立つ。
キングジョージを抜け出し、エアロバードに向かって飛んでいく。
キングジョージは派手な音とともに爆発する。
破片が星のように地上に降り注いだ。
その爆発音はまるで・・・・・
一人の男の戦いの終わりを告げているようだった・・・・。
- Re: スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) ( No.83 )
- 日時: 2011/10/28 20:56
- 名前: ベクトル (ID: j553wc0m)
第47話 「平穏。」
キングジョージは墜落。
そしてアキトたちはエアロバードに帰還。
約束通り、一人も欠けることなく・・・・彼らは帰ってきたのだ。
カムイを無事説得し、サムライ隊を全員避難させるというミッションは完璧にクリアした。
だが・・・彼らのミッションはまだ終わっていない。
カムイの大切な人を取り戻すのもミッションの一つだ。
無事帰還できたことに喜ぶ暇もない。
しかし彼らにすぐ行動してもらうのは無理だった。
彼らは傷を負っている。
このミッションが行われたのは・・・一週間後だった。
作戦は単純。
強行突破だった。
だが今の彼らには、もはや普通のレジスタンス兵など敵ではない。
蹴散らしながら、牢獄にいたリイナさんを助けることができた。
カムイの事、そして事情を話すと彼女は泣きながら喜んだ。
そして・・・あっさりミッションは成功した。
そして今、彼らは無事にリイナさんを連れて、カムイとサムライ隊の仲間の所に戻ってきた。
カムイとリイナさんが久しぶりに再会する・・。
二人が会うのは何年ぶりなんだろうか。
「リ・・・リイナ・・!!!」
リイナを見たカムイの顔は笑顔で、ホッとした様子だった。
久しぶりに見た愛する人・・。
彼女が・・・目の前にいる。
「カムイッ!!! カムイィーーー!!!!!」
「リイナァーー!!!!」
二人は・・抱きしめあった。
久しぶりに感じる温もり。
やっと会えた二人。
もう・・・戦う必要もない。
「イヤッホォー!!! よかったなァカムイィ!!!」
「奥さん大事にしろよォ!!」
「今度はさらわれんなよォ!!」
「もう俺は戦いはごめんだからなあ!!」
サムライ隊・・・いや、仲間の温かい祝福。
そうだ。彼らがいたから・・・
我は・・・ここにいるのだ・・!!!
「お主たちィーーーー!!!!!!!!」
カムイは力いっぱい叫ぶ。
サムライ隊の仲間が、そしてエアロバードのみんなが注目する。
辺りは静かになり、鳥のさえずりさえも聞こえない。
カムイの目からは涙がポタポタと流れ落ちていく・・。
そして心を込めて・・・・、
「・・・ありがとうッ・・・!!!!」
こうつぶやいた。
それは、とても小さい声の感謝の言葉だった。
だけど・・・・
彼らの胸には・・・・深く刻まれた。
後にカムイは仲間に祝福され、久しぶりに笑いあえた。
そして・・・・
「すまなかったな。お前たち。」
カムイがエアロバードのみんなに向かって言う。
別れの時が来たようだ。
「主たちには感謝しておる。」
カムイは深く頭を下げる。
「かてぇなァカムイ。最後くらい気楽にいこうぜ?」
「レイ・・・。」
「じゃあな。達者で幸せにな。」
レイはカムイに背を向けながら、手を振って船に乗り込む。
「幸せにね。カムイさん。」
「またどこかで会おうね♪」
「ホープ、リフィル・・・いろいろすまなかった。」
それぞれが別れの言葉をかけ、次々と船に乗り込んでいく。
後は・・・アキトだけになった。
「・・・・。」
「・・・・。」
お互いに無言になり、ただ見つめあう二人。
「・・・アキト。お前が俺を本当に救ってくれた。感謝している。」
カムイが先に口を開く。
それに対してアキトは、
「・・俺だけじゃない。」
「・・・?」
アキトはエアロバードを見ていった・・。
「仲間が・・・いたからできたんだ。」
アキトはフッと笑い、エアロバードに乗り込んで行った。
「・・・・行ってしまいましたね。」
二人きりになったリイナとカムイ。
エアロバードが飛び立った方向を見て、リイナは言う。
「あの方達は世界を変えようとしてるのでしょう? 大丈夫かしらね・・・」
「心配はいらぬ。」
「えっ?」
カムイの言葉にリイナは少し不思議に思う。
カムイはゆっくり口を開く・・。
「彼らならきっと・・・・・世界を変えてくれる。」
ーーエアロバード内ーー
「ねぇレイ? なんで途中から熱くなったの?」
「はあ!? 熱くなってねぇよ。」
ホープとレイは二人でしゃべっていた。
どうやらホープには気になることがあったみたいだ。
「だって、なんか途中からアキトよりも熱くなかった? 俺が助けてやる!! ・・・みたいなオーラだしてたしね。」
「そんなの俺の勝手だろうが!!」
「・・・やっぱり熱くなってたんだね・・。」
「うっ・・・。」
図星を突かれ、何もいい返せないレイ。
「う・・・うるせぇな!! ほっとけるわけねぇだろ!!」
「・・?」
レイの言葉に首をかしげるホープ。
「あいつは俺と同じ・・・・愛する人に命を懸けるバカだからな。」
レイは苦笑しながらも、その顔はホッとしていた。
アイカ・・・・俺はやっと・・・
お前との約束を果たせた気がするよ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17