複雑・ファジー小説

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スピリッツ (VS七星!! 動き出す野望編) 第47話更新!
日時: 2011/10/26 20:25
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)

はじめまして!!

更新が遅くなるかもしれませんが・・
温かい目で見守ってくれるとありがたいです。

では、よろしくお願いします。



   コメントを下さった読者様リスト!!

王翔様   きなこ様   水瀬 うらら様  コーダ様    ちぇりお様   ステッドラー様
長月様   いちご牛乳様





エピローグ


人の中に必ず宿る力・・・

「スピリッツ」

その不思議な力は、時に人を助け、
また・・大半は武力として使われる。

この力により、平和だった世の中は一変した。
争いが絶えず・・武力による支配を行う国家、「レジスタンス」。

この国家の出現により、
世界の終りが近づいているとさえ思われた・・・


・・だがこの国家に立ち向かい、世界を変えようとする少数団体。

そして、この世界の平和をのぞむ少年の・・


平和のための物語。


  
   登場人物


  団体名、「ナイツオブピース」  
  本部、飛行船「エアロバード」


アキト・・主人公。性格は基本無口で無愛想。
     髪の色は赤色、160cm、年は16歳の男の子。
     武器は主に剣を収める鞘(さや)と特定の時に愛用の剣「オメガ」を使う。
     特殊能力は「身体能力の向上」
     エアロバードの船員。

レイ・・狙撃手。性格はのんきで面倒見がいい。
    髪は黄色、175cm、年は20歳の青年。
    武器は二丁のレーザー銃「ダブルショット」
    特殊能力は「視力の向上」 
    レベル2状態の能力は「時空移動」
    エアロバードの船員。

ホープ・・超人。性格は優しいが割といたずら好き。
     髪は黒、170cm、年は18歳の青年。
     武器は素手と相手のものまねした能力。
     特殊能力は「ものまね」
     エアロバードの船員。

リフィル・・偵察者。性格は積極的で明るいが、怒ると怖い。
      アキトに好意を抱く。
      髪は青色、160cm、年は16歳の女の子。
      武器はないが、風の力で戦う。
      特殊能力は「風」
      エアロバード船員。

セリア・・髪は黒の長め、165cm、年は23歳のお姉さん。
     性格は謎。
     特殊体質で、ある一定の範囲のスピリッツの力を探知することができる。
     エアロバードの指揮官。

     
フェリス・・髪はピンクの長め、160cm、年は15歳の女の子。
      性格は無口で恥ずかしがり屋。
      エアロバードの操縦士。

ジーク・・髪は茶色、180cm、年は29歳のおじさん。
     性格は明るくて、しっかりしている。
     エアロバードの操縦士。


アイカ・・レイの恋人らしい。

イブ・・サンライズタウンで出会った女の子。
    剣の腕は一流だが、ドジっ子


  団体名、「レジスタンス」
  本部、「光の宮殿」


ジーオス・・七星の一人。強敵。

グリード・・七星の一人。数少ない上級ランクの超人。
      アキトと深い因縁がある。

ハデス・・七星の一人。レイと深く因縁がある。

カムイ・・七星の一人。いつも全身を鎧で身を包んでいる。
     飛行船、「キングジョージ」を保持している。
     サムライ隊のリーダーでもある。
     愛する人、「リイナ」を救うために戦っている。
     特殊能力は「分身」

スリス・・金山基地のリーダー。
     顔を汚されることをひどく嫌う。
     特殊能力は「雲」。姿を自在に消せる。

グロア・・ポルン町の管理者。
     ポルン町に恨みを持つ。
     武器は右手の大きなカニのはさみ。

ジョット・・元レジスタンスの兵士。
      殺すのが生きがいだと言う最低な人間。
      特殊能力は「創造」。なんでも思った物を作り出すことができる。

ツツジ・・・能力を使い好き勝手に暴れていた能力者。
      自分の能力に絶対的な自信を持っている。
      特殊能力は「土」。地面などの土を自由に操って戦う。



  団体名、「ヒューマン」


プロト・・レジスタンスと組んだヒューマンが作った最悪の殺人兵器。
     武器はさまざま。



  団体名、「ゲイボルグ」


ベルゼブル・・・ゲイボルグをまとめ上げるリーダー。性格は、めんどくさがりで戦闘大好き人間。
        髪は白銀でクセ毛。身長は170cm。年は19歳。
        能力は「空想」。。持続時間は基本は3分、長くて5分。
        オーラの色は黒で、普通とは違う特殊な色を放つ。

マリ・・・新人だが、ベルゼブルの側近として仕事ををしている。性格は明るく、勇敢。
     髪は長めの黒のストレートで、眼鏡をかけている。身長は167cm。年は18歳。
     身体能力は悪く、ドジだが、わりと頭は良いらしい。



    物語 

  第一章、(戦争鎮圧編)


第1話 >>1    第11話 >>14    第21話 >>36
第2話 >>2    第12話 >>21    第22話 >>37
第3話 >>4    第13話 >>24    第23話 >>38
第4話 >>6    第14話 >>25    第24話 >>39
第5話 >>7    第15話 >>26    第25話 >>40
第6話 >>8    第16話 >>29    第26話 >>41
第7話 >>9    第17話 >>30    第27話 >>42
第8話 >>10   第18話 >>31    第28話 >>43
第9話 >>11   第19話 >>32    第29話 >>44
第10話 >>12  第20話 >>33    第30話 >>45


  第二章、(VS七星!! 動き出す野望編)

     あらすじ・・・>>46


第31話 >>47   第41話 >>73
第32話 >>48   第42話 >>76
第33話 >>50   第43話 >>79
第34話 >>53   第44話 >>80
第35話 >>54   第45話 >>81
第36話 >>55   第46話 >>82
第37話 >>65   第47話 >>83
第38話 >>69
第39話 >>70
第40話 >>71



    番外編

パート1(300参照記念)・・・>>59


第一回人気投票の結果・・・>>73

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第23話更新! ( No.39 )
日時: 2011/07/30 21:33
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第24話  「愛を奪われた青年 過去編(レイ編) 後編。」


「おい・・隣町がレジスタンスに襲われたらしい・・。」

夜、ルイシティの民衆は騒ぐ。
それに対して、一番驚いたのは・・レイだった。
顔は真っ青になり、民衆をかぎ分け、走り出した。
息を荒くして・・町を勢いよく飛び出し走る。

嘘だ・・・。
そんな馬鹿な!!
レジスタンスが・・・なぜいきなり!?

レイの頭で疑問が回り続ける。
隣町に続く夜の道を、ひたすら走る。

アイカ・・アイカは無事なのか・・?
無事でいてくれ・・・アイカ!!



隣町についたレイ。
だが・・目の前に飛び込んだ光景は・・非情だった。

燃える家。
倒れる人々。
静かな音。

これだけで状況説明は十分・・というぐらいだ。

レイは走り回る。
たった一人・・・愛する人を探して。
レイは片っ端から探していく。

ただただ、燃える音しかしない町。
夜のくせに燃える炎によって、明るい街。
人の声はもちろんない。
この事件の張本人、レジスタンス兵はもういない。

レイはひたすら探す。
だが見つからない。
レイの心を絶望が支配する。

アイカ・・・どこにいるんだ・・。
生きているなら・・返事をしてくれ。

そう願ったその時・・。

レイ・・・・。
ここにいるわ・・。
ここに・・。

レイは何かを感じた。
声ではなく・・・何かを。

「・・・アイカ!?」
レイは走り出す。
声じゃなく、心の声を頼りに・・。

(ここからだ!! ここから聞こえる・・。)

木材の山の前で、レイは立ち止まる。
そしてすぐに、木材を手でどけていく。
木材で手を切って、手から血が流れる。
でも今のレイは何も気にしなかった。
ただ・・・木材をどける。


「アイカ!!!!」
木材をどけていくと、そこにはアイカがいた。
頭から大量の血が出て・・生きているのか分からないぐらいだ。
レイは木材の山からアイカを救い出す。

「大丈夫か!? アイカ!! アイカァーー!!」
レイは必死に揺さぶる。
それに気づいたのか、アイカはゆっくりと、少しだけ目を開ける。

「アイカ!! よかった・・無事で・・・。」
レイは目を開けたアイカを強く抱きしめる。
目にうっすらと涙を浮かべて。

「レイ・・・」
アイカはふっと微笑む。
「アイカ・・・大丈夫だ!! お前は助かる・・。」
レイがにこって笑って言うと、
「・・・ううん・・私は・・もう・・駄目よ。」
アイカは静かに言うと、
「何を言っているんだアイ・・・。」
「もう・・・意識が・・失いそうなの・・。だから・・きい・・て?」
アイカは話を続ける。


「私・・幸せ・・だったよ? レイにあえて・・。」
「・・おい・・アイ・・カ?」
アイカはレイの頬にそっと手を添える。
「レイ・・ごめんね・・。・・・本当に・・・ごめん・・ね。」
アイカの目から涙があふれる。

「レイ・・・幸せな・・世界を・・・作って?」
「アイ・・カ・・。」
レイは悟った。


これが・・別れの・・言葉・・?
そんなの・・ありえねえ!!
なんでだよ・・・せっかく・・・会えたのに・・。


「みんなが・・安心・・して・・住める・・世界を・・お願い・・。」

・・やめろ。
言うな・・。

「私が今度・・・生まれてきても・・・安心して生きれる世界・・。」

それは・・・違うだろ・・。
今じゃない。
お前は・・生きなきゃいけねえんだよ。

「レイ・・・私の誕生日なのに・・・ごめんね・・。」

お前は・・・俺と・・・。
俺とこれからも過ごすんだっ・・!!!


「私は・・・幸せ・・・・・でした・・・。」

「そんな・・・そんなこと・・今言うんじゃねえぇぇーー!!」

レイは声を震わせていう。
涙も・・・止まらなかった。


「・・・・レイ・・最後に・・・言わせて・・。」

アイカは微笑む。
そして、レイの耳にそっとつぶやく。



愛してる・・・レイ・・・。



そして・・・アイカはそっと目を閉じる。
鼓動が・・・・・完ぺきに止まった。
その顔に・・・優しい微笑みを残して・・・・・。


「アイカァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


レイはひたすら叫ぶ。
愛する人を・・強く抱きしめて、泣き叫ぶ。

泣き叫ぶレイのポケットから、箱が転がり落ちる。
中身は・・・婚約指輪だった。


きれいに輝く婚約指輪。

だがそれが・・・彼女の手に輝くことはなかった。

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第24話更新! ( No.40 )
日時: 2011/07/31 23:14
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第25話  「始まりの時 過去編(レイ編)」



あれから何日たっただろう・・・
いつもと変わらぬ日常が繰り返されてる。

あの事件から・・・何日たったんだ・・?


悲しみ、絶望、心の痛み・・・
あらゆる心の病が、彼をズタボロに傷つけた。

愛する者を奪い・・・
言いたいことも言わせてくれなかったこの世界を・・・

彼には愛することなんて・・・
ましては普通に生きていくことさえもできなかった。
ひたすら渦巻くこの思い・・・
吐き出すこともできなかった。


ある日、家のベットに寝ころんで、ひきこもるレイの前に・・
二人の人が訪れた。
その二人の内、一人の女性は言った。

「私はセリア。突然だけど・・・・私たちと来て。」
・・と。

レイはチラッと二人を見る。

・・冗談じゃない。
いきなりあらわれて、何を言っている。

レイはキッとにらむ。
その眼は・・すべてを憎むような目。
それを見たセリアはそっと口を開く。

「・・あなたはある事件で恋人を失った。違う?」

レイは驚いた。
なぜ・・しっている!?
こいつが・・なぜ!?

「あなたのことは町から聞きました。」
「俺たちがここに来た理由を話そう。」
もう一人の男性、ジークは口を開く。

「俺たちは・・・レジスタンス反対団体、ナイツオブピースだ。」
「レジスタンスから世界を守るための団体よ。まだ2人だけど。」
ジークとセリアは説明を続ける。

「そのためには、強いスピリッツを秘めた人間が必要なの。」
「そして俺たちは・・お前を一人目に選んだ。」
レイのキッとにらんでた目が少しずつゆるくなっていく。

「・・私の体はちょっと特殊なの。私はある範囲までのスピリッツの力を探知できます。あなたの心から、大きなスピリッツを感じました。」

セリアがベットの近くにしゃがみこんで、
「・・・スピリッツの力は心の強さ。心に何かしらの衝撃があったとき、人の心の力は覚醒する。あなたも・・そうなのね?」
セリアは優しく問いかける。

こいつは・・・知っているのか?
俺の・・この・・力を・・。

レイはすっと立ち上がる。
そして少し息を吸い、

「スピリッツ・・解放・・。」
レイの体から、赤いオーラが流れ出る。

「・・・やっぱり。スピリッツのコントロールが・・。」
「できてますね。色は・・赤のようだ。」
セリアとジークはそっと言う。

「・・この力はなんだ? ・・・これを使うと・・目がよく見える。」
「目?」
レイの発言にセリアは首をかしげる。
「・・ああ。・・はるか遠くまでな。」
「・・・視力の向上ね。」
「・・・!?」
セリアのつぶやいた言葉に、レイは疑問を浮かべる。

「あなたの能力は・・視力の向上よ。レイ・・。」
「・・能力?」
「お前がスピリッツを解放したときに現れる特殊能力のことだ。」
ジークの説明に、微妙な反応を見せる。

「ちなみに教えておくわね。オーラの色には意味があるの。」
セリアは説明を続ける。

「赤のオーラは{身体的機能の上昇}よ。」
「そして、白は{補助能力の追加}だ。」
セリアとジークはそれぞれ説明する。

「身体の機能のどこかが上昇するのがこの赤いオーラの特徴。」
「・・それ以外を白のオーラと思え。」
セリアとジークの説明を聞いて、レイが口を開く。

「・・そんなことは・・今はいい。」
レイは続けて言う。

「俺は・・彼女に言われた。この世界を・・変えてほしいと。」
「・・・・。」
レイの言葉に黙って耳を傾けるセリア。

「もう・・・繰り返したくねぇんだ・・・二度と・・。」
失うのは・・・・もうたくさんだ。

「俺は・・世界を変えたい。あいつらを・・・つぶしてえぇ・・!!」
グッとこぶしを強く握るレイ。

「・・・俺はあいつらを倒せるのか? 俺が世界を・・変えれるか?」

レイは真剣な表情で言う。

「・・あなた次第よ。私があなたをサポートするわ。」
セリアは言った。
「・・・上等だ・・。俺を・・連れて行きやがれ・・!!」
「・・いい覚悟ね。死ぬ覚悟は?」
セリアの問いかけに、レイは躊躇なく答える。


「ねえよ。俺は死なねえ・・。アイカの約束を・・果たす日まで。」
レイはグッと握ったこぶしをセリアたちの前に突き出す。




「俺の名はレイ。行こうぜ。・・・奴らを潰しによ。」


そして悲しみの青年は、今日も戦場を荒らす。
奴らを根絶やしにする・・・その日が来るまで・・・。



アイカ・・・・待ってろよ・・。
いつか・・・作ってやるから。
お前が望む平和を・・・俺自身の手で・・・!!!


だから・・・待っててくれ・・・・アイカ・・・。

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第25話更新! ( No.41 )
日時: 2011/08/02 00:48
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第26話  「殺し屋 前編。」


ピー、ピー、ピー!!
船全体に緊急ミッションの警報が鳴り響く。
作戦会議室に、船員が集められた。

「先に言っておくわ。これから行うミッションは・・・。」
集まった4人の船員は、セリアの話に耳を傾ける。

「・・・レジスタンスと関係ありません。」
セリアの言葉にしばらく沈黙する一同。
緊急ミッションだから、てっきりレジスタンス関連と思っていたため、一同は不思議に思う。

レイがおほんと咳払いをして、
「・・・・で、どういうことだ?」
と尋ねる。

「ある村からの依頼よ。周辺に山賊が現れているらしいの。」
「そいつらが村を困らせている・・と。」
「ええ。」
ホープが言うと、セリアがうなづいて答える。
「でもなんでわざわざそんな依頼受けるの?」
リフィルが質問すると、
「お金稼ぎよ。報酬がなかなかいい額なの。」
「・・金ですか・・やっぱり。」
セリアの答えにリフィルはため息をつく。

「ところで・・どこでそんな情報手に入れたんだ・・?」
アキトが首をかしげて尋ねる。
「ネットワークよ。最近、この依頼有名なの。何人も挑戦してるらしいけど、みんな失敗してるらしいの。」
「・・たかが山賊相手にか?」
「分からない。それは現場次第ね。」
セリアが言うと、「了解した。」とアキトは言う。

「とりあえず、現場に行ってみましょう。」
セリアがそういうと、船は着陸を始める。


着陸した後、4人は船から降りる。
「そこから北に1キロの地点が、もっとも多発している地域よ。」
セリアは通信機ごしに伝える。
「じゃあすぐ終わらしてしまおうぜ。」
レイが首をコキコキと鳴らして言う。
「みんな。油断はしないでね。」
「了解!!」
セリアが言うと、四人は目的地に向かって走り出した。


目的地に着くと、そこは依頼された村と大きな町をつなぐ一本道の間あたりの場所。
多分村から町、もしくは町から村へ送られてくる食料などを狙って襲うのだろう。
4人はあたりを見渡すが、山賊はおろか、人一人いない。

「・・・やはり、エサがいないとダメなんじゃないか・・?」
「・・言い方悪いよアキト。」
アキトの言葉に、苦笑いしていうホープ。
「ねえ。あれ見て!!」
リフィルが指をさすと、大荷物を乗せた馬車が来た。
「ナイスタイミング!! きっとあれだ。様子を見るぞ。」
レイが言うと、4人は草むらに隠れ、様子をうかがう。
しばらくうかがっていると・・
山賊が近くの草むらから勢いよく出てきた。

「・・・来た。あいつらだ。行くぞ!!」
レイは山賊の姿を確認し、馬車に向かって走り出す。

「食料もらうぜぇぇーーーー!!!」
山賊が馬車を襲い始める。
数は10人程度。
「よし。食料はもらった。逃げるぞ!!」
「ぐわっ!!」
「!?」
山賊が逃げようとしたとき、山賊の一人がレーザーを受けて倒れる。

「そこまでだ・・・山賊野郎。」
レイが次々と狙い撃ち、どんどん倒していく。

それを見た山賊の一人が逃げようとする。
だが、残っていたもう一人の山賊が目の前に立ちふさがった。
「どけよお前!!  俺は逃げ・・・。」
何かを言おうとする前に、立ちふさがった山賊は刀で仲間をさした。
「・・な・・・ぜ・・?」
バタッと山賊は倒れた。

(なんだ・・・こいつは・・? 仲間を刺しやがった・・・。)
レイは嫌な予感がした。
こいつ・・・何かが違う・・と。
いつの間にか、山賊はそいつ一人になっていた。

「やれやれ・・・使えないな。結局俺がやるのか・。」
残った山賊は、顔や姿を隠していたマントをとる。
現れたのはおじさんだった。

するといきなり、
「気を付けて!! スピリッツ反応よ!!」
セリアが通信機ごしに叫ぶ。
「まさか・・・こいつが・・?」
アキトは鞘を構える。

「俺はジョット。・・・殺し屋だ。元・・レジスタンスの兵士。」
「元レジスタンス兵!?」
リフィルは驚く。
「・・なぜレジスタンスを抜けた?」
不思議そうにアキトが尋ねる。

「・・俺は殺し屋。ただ殺しがしたい。レジスタンスなんかにいなくても・・殺しはできる!!」

「・・・ゲスが。」
レイはキッとにらむ。

こんなくだらない考えを持った奴がいるから・・・
世界は・・・変わらないんだ・・!!

最初は退屈そうだったレイの心に静かな怒りがこみ上げる。
「お前は気に食わねえぇ!!」
レイは強く言い放つ。

「ふん・・お前らも・・・殺してやるよ。」
ジョットは刀を向けて、そう言い放つ。

「・・・なんかよかった。退屈せずに済みそう。・・・でも。」
先ほどまでにこっとしてたホープの顔が真剣になる。
「ほんとにレジスタンスには・・・まともがいないね。」
ホープも戦闘態勢をとる。

「私も・・こいつは気にくわない・・!!」
リフィルも怒りをあらわにして言う。

「行くぞ・・・お前を・・・倒す!!!」
「かかってこいガキども。俺がいっぺんに相手をしてやるぞ!!!」

アキト達4人を相手に、ジョットは不敵に笑みを浮かべる・・。

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第26話更新! ( No.42 )
日時: 2011/08/02 10:25
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第27話  「殺し屋 後編。」


「スピリッツ解放ぉぉーー!!!」
ジョットから、白いオーラが流れ出る。
「行くぞ・・!!」

「「スピリッツ解放!!!」」

4人は一斉にスピリッツを解放する。

「楽に殺してやるよ・・・ガキどもが・・。」
ジョットはニヤッとして持っていた刀を捨てる。
「!?」
「こっちのほうが・・・集団向けだ・・。」
すると、ジョットの両手から何かが現れた。
それは・・・ガトリングガン。

「なっ・・!!」
いきなりのガトリングガンの出現に驚きを隠せない。

「血祭りだぁーーー!!!!」
ジョットは両手のガトリングガンを容赦なく連射する。
4人はその攻撃を避けつつ、それぞれ散らばる。

「気を付けて!! 奴の能力は多分作り出す能力だ。」
ホープは大声で叫ぶ。
「そのとおり。俺の能力は創造だぁ!! 何でも作り出すことができる。」
ジョットはガトリングガンを連射しながら言う。

「逃げろ逃げろぉぉーー!!!」
ジョットは笑いながら、攻撃の嵐は止まらない。
「・・甘い!!」
一瞬の隙を突き、懐に潜り込む。
「はああぁぁーー!!!」
右手に持った鞘で腹部に向けて突く。
だが、ジョットの軽やかな動きによって空を切る。
アキトは続けて攻撃を続ける。
その攻撃をかわしたり、ガトリングガンを盾代わりにして守る。

「そこだっ!!!」
レイが放ったレーザーは、左手のガトリングガンに直撃する。
ジョットは壊れたガトリングガンを捨て、アキトのそばを離れる。
「逃がすか!!」
アキトが距離を詰めようとしたとき、
「!?」
アキトに向けて、ジョットは何かを投げた。
それは一見見るとボールのようなものだが・・・。
「アキトォーー!! 離れろ!! 手りゅう弾だ!!!」
そう、正体は手りゅう弾。
三つほどの手りゅう弾がアキトの上空を舞う。

「死になぁーー!!」
ジョットの言葉と共におおきな音を立てて派手に爆発する。
強烈な爆風があたりを襲う。
音が終わり、辺りの草むらが燃える。
「まず・・・一人。」
「・・・アキトォォーーー!!!」
レイは叫ぶ。

「大丈夫だよ♪ レイ。」
「!?」
声の主は煙の中から聞こえる。
その声の主は・・・リフィルだ。
煙が晴れると、リフィルとアキトの姿が現れた。

「リフィル!!」
ホープは安心したのか、ほっとする。
「えへへ♪ アキトを死なせるわけないでしょ。」
「・・・すまないリフィル。」
アキトが言うと、リフィルはにこっと笑う。
「ただ・・ウインドフィールドでもぎりぎりだったかな。」
リフィルは汚れた服を見てつぶやく。

「おのれぇええーーー!!!」
ジョットはまたもや両手にガトリングガンを作り出す。
「しねえええーー!!!」
ガトリングガンを放とうとしたとき、

「ホープ!!!」
「うん!!」
レイとホープはそれぞれ違うガトリングガンを一斉に狙い撃つ。

見事命中し、「ぐっ・・」と言葉を漏らすジョット。

「仕上げだ!! アキトォーー!!!」
「・・・了解!!!」
レイが叫ぶと、アキトは一気に近づき、左手でオメガを手に取る。

「お前のような奴は・・・・俺が切り裂く!!」
「やってみろぉーー!!」
ジョットは壊れたガトリングガンを捨て、二刀の刀を作り出す。
「死ねぇええーー!!!!」
「うおおおおおおぉーー!!!!!」
ジョットの振り下ろした刀を右手の鞘でガードする。

「おらあああーーー!!」
ジョットはもう一方の刀を振り下ろす。
それが、アキトの右肩に食い込む。
アキトはその攻撃に悲鳴一つ上げずに・・・

「でええええええいいぃーーー!!!!」
オメガでジョットの体を貫く。

「があぁ・・・ぐおぉっ・・・ぐっ・・!!」
ジョットは血反吐を吐き、その場に倒れこむ。

「はあっ・・・はあっ・・・。」
アキトはジョットに刺さっているオメガを抜き取り、自分の肩に刺さっている刀を抜き、捨てた。

「・・・人を殺すのは・・こんなに心が痛い・・。」
アキトは自分の胸をおさえながらつぶやく。

「・・自分の愚かさのせいで死ぬことを・・・後悔しろ・・・ジョット。」
アキトはそう言い放ち、バタッとその場に倒れこむ。


「・・・オメガ・・。」

血に塗れたオメガをそっと握りしめ、アキトは意識を失った。

Re: スピリッツ (戦争鎮圧編) 第27話更新! ( No.43 )
日時: 2011/08/03 20:49
名前: ベクトル (ID: j553wc0m)


  第28話  「オメガ」


・・・静かだな。
何もない・・・誰もいない・・・
ただ、真っ白な世界。

いや・・・・誰かいるようだ。

二人組。おじさんとおばさん。
遠くて顔はぼやけるけど・・

・・・なんでだろう。
俺は・・・この人たちを知っている。
でも・・思い出せない。
あの事件のショックで・・・
記憶を失ったせいで。

でも・・・なんとなく感じる・・。
俺に大切なことを教えてくれた気がする・・。
俺に大切なものを与えてくれた気がする・・。
俺にとって大切な人だったような・・・・気がする。


そう考えていると・・・遠くにいるおじさんの声がした



誰よりも自由に生きろ・・・・
お前が信じる道がどんな道なのかを・・・

・・・俺たちは楽しみに待っているぞ。



あんたたちは・・・・まさか・・・・。




「・・・うっ・・・。」
アキトはゆっくり目を開ける。
そこは、光がまぶしい世界。
思わずまた目を閉じてしまう。

「アキト!!!」
声がしたので、アキトはゆっくりと目を開け、辺りを見る。
どうやら、エアロバードの中で、医務室みたいだ。
声がするほうを見ると、リフィルが涙を流しながら、
「・・・よかった・・。よかった・・・。」
アキトをギュッと抱きしめる。

「リフィル・・・少し・・・痛む。」
アキトは包帯を巻かれた右肩をおさえながら言う。
「えっ・・・あ・・ごめんね。」
涙を拭いて、そっと離れるリフィル。

「アキト、大丈夫?」
セリアは心配そうに尋ねる。
「・・・問題ない・・。」
「そう・・・無理は禁物よ。あなたをここまで運んできたリフィルに後でお礼を言っておきなさいよ。」
セリアがそう言うと、アキトは申し訳なさそうに、
「・・そうか。すまない・・・リフィル。」
軽く頭を下げて言う。
「だ・・大丈夫だよ!! 気にしないで。」
「・・・恥ずかしがり屋さんね。リフィル。」
そう言って微笑むと、セリアは近くに置いてあったオメガを手に取り、手渡した。

「はい。一応洗っておいたわ。血でベットリだったから。」
「・・・すまない。」
アキトはそう言い、オメガを受け取る。
「少し疑問に思ったんだけど・・・それはどこで手に入れたの?」
セリアは尋ねると、
「・・・分からない。」
と、首を振って答える。
「ただ・・・名前だけは憶えてる。はっきりと・・。」
「・・・自分の名前よりも?」
「・・ああ。」
アキトはうなづく。

「これは・・・オメガは俺にとって大切なものだ。・・・俺自身よりも。」
「・・・そう。」
セリアは微笑んで言う。
「それがもしかしたら・・・記憶を取り戻すカギになるかもね。」
「・・・だといいが・・。」
リフィルの言葉に、自信なさげにアキトは答える。

「今日はゆっくり休みなさい。回復するまでは、しばらく待機よ。」
「・・・了解。」
セリアは医務室から出て行った。


「リフィルは・・・行かないのか?」
「ふえっ・・!? え・・あ・・。」
顔を赤くし、もじもじとするリフィル。

「わ・・わたしは・・・まだ・・そばにいる・・。心配だし・・。」
赤くなって恥ずかしがっているリフィルを見て、アキトは一瞬首をかしげるが、すぐに首を戻して、

「・・・すまない。リフィル。」
そうつぶやくとリフィルはさらに顔が赤くなり、下にうつむいた。


あの二人は・・・結局誰だったんだろうか・・。
でも多分・・・あれは俺の大事な「記憶」。


いつかは・・・思い出したい。
俺の・・・大切な過去を。


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