複雑・ファジー小説
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- 時雨の刀【完結しました!】
- 日時: 2012/04/16 16:33
- 名前: Sky ◆M7x9jXIufw (ID: 5fqeGTW2)
嗚呼、此処は何処だろう?
“私”という名の存在は【自分の意志】を持たない、持てない。
“私”という名の存在は貴方に【命令】されなきゃ動けない。
「おい、お前お茶を汲め」
「分かりました、御主人様」
「おい、お前服を脱げ」
「分かりました、御主人様」
“御主人様”が言った通りに体を動かす“私”という名の存在
感情を持たない。
けれどーーーー。
「おいっ!大丈夫か!」
現れた男の人達に手を引かれ、“私”という名の存在は“時雨”という名の存在に移り変わって行った。
私は見つけたーーーー“存在する”という事を。
時雨の刀
- Re: 時雨の刀【コメント欲しい!!】 ( No.41 )
- 日時: 2012/03/28 18:28
- 名前: Sky ◆QS1u8UNLHM (ID: qTh1yy9a)
【第一部】 名を無くした少女と新選組
『最終話』此処に居る
「ありぁーこれぁかーなーり使い古されてるねぇ…でも良い刀だよぉ?」
「直せますか?」
「まぁーねぇー直るよぉ?」
時雨は今、藤堂と松原と沖田と共に鍛冶屋に居た。
先程拾って来た刀を鍛冶屋のおじさんに見てもらうと「研げば良くなる」との答え。時雨が此処までモノに執着するのは初めてだったので、皆驚いた。(特に近藤)
時雨はじっと刀を見つめると、鍛冶屋のおじさんは一息ついて
「今は海外じゃ、ぺいんてぃんぐやらでざいんやら何かおかしな物があってのぅ…あれじゃったらタダで嬢ちゃんの刀に名前彫ってあげようか??」
にっこりとおじさんは微笑んだ。いや、おじいちゃんという方が正しいかもしれないが…。
- Re: 時雨の刀【コメント欲しい!!】 ( No.42 )
- 日時: 2012/04/01 11:41
- 名前: 影空 ◆C6ncUqhR7k (ID: 5fqeGTW2)
- 参照: Skyでございます。
+お知らせ+
今回、改名することにいたしました。
理由としては…まぁ、ある場所で僕のHNをパクる上に僕のHNを中傷されまして…あまり抗議をしても意味がないということで、ここではそんなことなかったのですが今回改名することになりました。
新たなHNは、「影空」です。
まぁ、中の人は同じなのであまり変わらないかもしれませんが。これからもよろしくお願いいたします。
- Re: 時雨の刀【コメント欲しい!!】 ( No.43 )
- 日時: 2012/04/02 17:12
- 名前: 影空 ◆C6ncUqhR7k (ID: 5fqeGTW2)
- 参照: http://west7496.blog25.fc2.com/blog-entry-456.html
朔さんに依頼して、望月時雨&沖田総司を描いて貰いました!
三枚目のイラストが描いて貰った物です!!
朔さんありがとうございます!!
- Re: 時雨の刀【コメント欲しい!!】 ( No.44 )
- 日時: 2012/04/03 15:03
- 名前: 影空 ◆C6ncUqhR7k (ID: 5fqeGTW2)
すると、時雨は今までにないような笑みを浮かべて、
「いいんですか!!」
と言った。
ぱぁっと心の中に向日葵が咲いたように笑顔になり、おじいさんに「望月 時雨って彫ってください」などと注文をしていた。
すると藤堂が
「なんでこんな刀選んだよ?もっと良い刀打ってもらえば良いのにさ!」
「…………それは、僕も思った」
すると鍛冶屋のおじいさんは「アンタ等はなってないのぅ…」と目を細めてうんうんと頷く。
「戦場泥棒とか、打ってもらえば良いとか関係ないんじゃ…自分にとって必要な刀を見つけ出す素質がある物だけが戦で勝つ、性能だけで選んでしまえば刀の能力は次第に薄れいつの日か持ち主に従わなくなるからのぅ……」
藤堂と松原はおじいさんの言葉に同意した。刀は侍や武士の命でもあり、良き相棒でもある。自分の命一つ、いつ刀に頼るか分からない状態であるのも確かだ。
すると、時雨は鍛冶屋の一角に様相が施された刀を見つけた。俗にいうレイピアである。
時雨はそれを持ち、軽く二、三度降るといきなり刀を沖田の方に向け
「沖田さん、一戦これで願いますか?」
「……いいよ、おじさん!!これ借りてきます!」
遠くでおじいさんが「いいよー」と軽々しくいいながら時雨の刀を研いでおり、時雨と沖田の戦いが面白そうだと藤堂や松原も表に出た。
鍛冶屋の裏には、野原が広がっており剣の腕試しには最適だ。
そこへ行くと、沖田は刀を構えて時雨を見ている。
一方時雨は、刀を頭と同じくらいの高さに持っていっている。上段構えだ。
沖田が時雨の懐めがけて飛び込んだ瞬間に時雨の上段構えは崩され、沖田の刀を叩き落とすようにレイピアを振りかざした。そして勢い良く体をくねらせると沖田の刀に側にそってレイピアを突いていく。
「!!」
沖田はそれに気づき、後退するが時雨の体は止まらない。左から右へ、レイピアを振りかざす。刀であれば延ばされていても届かない距離を、レイピアの伸縮性だと風のように見えて。
「総司の頬を?!」
「………新撰組の一番組組長が時雨ちゃんに……」
あっさりと斬ってしまう事ができる。
その切れ味に時雨はニヤリと笑みを浮かべる、久しぶりに西洋の刀を持つ事ができてうれしかったのか分からないが、時雨は夢中で刀を振るった。
そして沖田もそれに答えるように、刀を振るい続け気がつけば空が茜色に染まっていた。
- Re: 時雨の刀【コメント欲しい!!】 ( No.45 )
- 日時: 2012/04/16 16:32
- 名前: 影空 ◆QS1u8UNLHM (ID: 5fqeGTW2)
「一回お茶にせんかい、お前等…刀はもう出来上がるからのぅ…」
「本当?!だんごーーーーー!!」
「こらっ忠司、爺さんの団子は俺のだ!」
競り合って鍛冶屋に走って行く松原と藤堂。
時雨は転げ回ったりしてついた葉っぱを払って、レイピアを拾ってからおじいさんに「ありがとうございました」とぺこりとお辞儀をしてから、レイピアを返して総司と共に鍛冶屋の中へ戻って行った。
「今の、若いもんはええのぅ…」
そしてお爺さんが団子を出して、「ちょっとおやつの時間過ぎたけどの」と言った。
藤堂と松原は団子をもくもくと食っていた。
時雨は団子を口に含んで、少し食べずらそうに団子を食べた。
お爺さんはしばらくすると刀を持ってきて
時雨の刀の刃の部分に「望月時雨」と彫ってあるのを確認させた。
すると時雨は刀を頬に当てて
「私の刀…私の存在」
と愛しそうに微笑んだ。
その姿をみた沖田と藤堂達は微笑んだ。
そして時雨は
「私は此処に居ます…私は“人”です」
と笑って、涙を流した。
【第一部】 名を無くした少女と新選組
『最終話』此処に居るー終幕ー