複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

俺だけゾンビにならないんだが
日時: 2013/08/20 22:05
名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)

ゾンビ物です。

残酷な表現が苦手な方はお気をつけください。
荒らしや誹謗中傷などはちょっと止めてください。
誤字脱字を見つけましたら、教えていただけるとありがたいです。

不定期更新、急に更新止まるかも。

中編くらいを想像しています。

目次

第一話「俺だけゾンビにならいんだが」>>1>>3>>5>>6
第二話「血肉内蔵脳漿の中を進め」>>8>>10>>13>>14>>15
第三話「こびりつく悲鳴」>>16>>18>>21>>25>>27>>30>>32>>35>>36
第四話「ゾンビよりも疲れる対人関係」>>37

Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.48 )
日時: 2013/09/08 01:24
名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)


 シャワーから浴びた後、俺は浅井さんに連れられて二階にやってきた。いつもそこでご飯を食べるんだそうだ。
 向かう途中、浅井さんからこのホームセンターに何があるかを教えてもらった。ここには殆ど来たことが無いから、中にどんな物があるかは知らなかったからな。
 まず一階。入り口の近くには自転車が並べてあり、周囲には空気入れや鍵などの自転車関連の道具が置かれている。自転車の幾つかは入り口を塞ぐために使われているようだ。自転車コーナーのすぐ前方には、マッサージチェアー、ダンベル、バーベル、ベンチなどといった身体関連の商品が置かれている。浅井さんは暇な時、そこで筋トレをしているらしい。後は植物を育てるための土や肥料、種や花などが置いてあるコーナーと、鉄や木材、用具品が置かれているコーナーがある。鉄パイプやハンマー、手斧や芝刈りバサミ、小型だがチェンソーなどといった武器に使えそうな物が豊富に置いてある。後は従業員用に休憩室やシャワールームがあるくらいだ。
 そして二階。二階には電化製品や家具、後は奥の方に幾つかカーテンやカーペット、階段やテレビ、キッチンなどがあるモデルルーム的な物があるそうだ。そして簡単な料理が出来るキッチンが従業員の休憩室にあるらしい。店内の炊飯ジャーやオーブントースターを休憩室に持って行き、そこで一部の女性が料理を作ってくれているらしい。俺を庇ってくれたトヨさんも料理を作る一人の様だ。
 そして後は立入禁止となっている屋上だけだ。現在、屋上に一階の植物関連の物を持って行き、土や肥料、大根やラディッシュなどといった食料になりそうな植物の種を利用して、栽培を試みている様だ。
 それにしても、思っていたよりもこのホームセンターには色々な物が揃っている様だ。残念ながら店内にはガムや飴、ポッキーなどと言ったお菓子や乾パンなどの非常用食料が少しだけしか無かったようで、食料だけは外に調達しに行かなければならないが。食料の問題は今日トラックに乗っていた人達が近所のスーパーから食料を調達してきた事で、今の所大丈夫らしい。といってもこれだけの人数がいれば、しばらくすればまた外へ行かなければならなくなるだろうが。

Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.49 )
日時: 2013/09/08 22:01
名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)
参照: 書き溜め消失…

浅井さんの説明が終わる頃に、俺達はご飯を食べる場所に到着した。
 従業員用のキッチンがある部屋のすぐ近くに、全員で食事が取れるように大きな机が並べられており、人数分の椅子も揃っている。
 椅子にはすでに何人かの人が座っており、さっきの茶髪の女や、狐目の男もいた。茶髪は俺を露骨に睨み、鼻を鳴らしてそっぽを向いた。狐目の男はそんな彼女に苦笑しながら、俺に小さく頭を下げてきた。さっきも茶髪の隣にいたし、この男は茶髪の彼氏か何かなんだろうか。
 浅井さんに促され、俺も席の一つに座る。浅井さんは俺の左隣の席に腰をおろした。右隣にはトヨさんが座るらしい。他の人に俺が疎まれているから、配慮してくれたのだろう。
しばらく待っていると、他の人もゾロゾロやってきた。殆どが男だ。ほぼ全員の女の人はキッチンで食事を作っているから、残りの女は今キッチンにいるのだろう。
 つーか、茶髪の女はなんで料理しないんだよ。何か他に仕事でもあるのか?
 何人からの視線を受けて居心地悪くしていると、ドアが開いて料理の乗った皿を持った女の人が出てきた。その中にはトヨさんの姿もある。いい匂いがする。
 
「はいはい、お待たせしましたねー。出来ましたよ。さ、皆で食べましょう」

 全ての皿を机に置き終わると、トヨさんが自分も席に座りながら朗らかにそう言った。何人かの男は料理を運んできた女の人達に礼を言うが、中にはムスッとして何も言わない奴もいる。茶髪は何も言わなかった。
 
「じゃあ食べようか。合掌してくれ」

 食べる前に、浅井さんの言葉に何人かの人が合掌する。やってない奴も何人かいたが、取り敢えず俺も合掌しておく。いただきます、と浅井さんに続いて口にすると、全員が料理に手を伸ばし始めた。
 「お前はあんま食べんなよ」という言葉が篭っているであろう視線を茶髪が寄越してきたので、遠慮がちに食べていると、トヨさんが「遠慮せずにもっと食べなさい。食べなきゃやってけないよ」と笑いながら、背中を強烈な威力で叩いてきた。痛覚が鈍くなっているが、背中に伝わった重い衝撃からその威力が分かる。どんだけ力込めてんですか。
 しばらく食べていると、浅井さんが皆に「じゃあ、今日入ってきた瀬戸川君に皆で自己紹介しようか」と提案する。
 あ、茶髪が露骨に嫌な顔した。
 まあ、やっぱあんま良くは見られてないよなあ。茶髪程露骨じゃないにしろ、何人かの人は嫌そうな顔したし。


 それから、一時間程掛けて、全員の自己紹介が終わった。浅井さんにトヨさんが助太刀したので、結局全員の名前を聞けることが出来た。茶髪は凄い素っ気なかったけどな。
 男七人、女六人。合計十三人がこのホームセンターにいるという事が分かった。そこに俺が合わさって、十四人。かなりの人数だ。こんな狭い所に男女が十四人。一体いつまでこの狂った世界でやっていけるのだろうか。

Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.50 )
日時: 2013/09/09 01:28
名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)

お久しぶりです!待ってましたっw

茶髪が毎回主人公君に何かしでかさないかひやひやしながら読んでおります
ホームセンターはいろいろそろってていいなぁ
ゲーム機器や漫画なんかがあれば至高だけど、業務用品くらいしかないか・・・

Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.51 )
日時: 2013/09/11 00:01
名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)
参照: 書き溜め中

>>47
頑張ります。

>>48
中々規模の大きなホームセンターなので、食べ物さえ調達できれば意外と快適なところですね。娯楽用品は余りありませんが。

Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.52 )
日時: 2013/09/15 22:31
名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)
参照: 週一更新を目指します


 ドロドロとした赤い血が噴き出して、肉塊が飛び散って、脳漿がぶちまけられて、血の混じった赤い泡を口に付けながら歯をむき出しにして迫る屍、誰かの悲鳴、悲鳴悲鳴悲鳴、俺の悲鳴、歩美の悲鳴、血だらけの歩美が土の中から這い出して俺を見上げながら、、、




「ほら、そろそろ起きて」

 誰かに身体を揺すられて、目を覚ます。頭が痛い。
 目を開けると、トヨさんが俺を覗きこんでいた。思わず悲鳴を上げそうになる。
 トヨさんは 「そろそろ朝食の時間があるから、起きなさいね」と言い残して、去っていった。しばらくぼーっとする。
 店内にある時計の針は朝の八時半を指していた。確か九時から全員で朝食だったっけ。
 俺は目を擦って意識をハッキリさせて、ゆっくりとベッドから起き上がる。顔を洗ってこよう。
 それにしても。
 嫌な夢を見た。

 
 夕飯を食べた後、俺は浅野さんに寝る場所を教えて貰った。
 全員、当然寝る場所はバラバラだ。一部の人は同じ所で寝ているらしいが。茶髪と狐目の男は同じ部屋らしい。
 眠る場所といっても、そう数がある訳ではない。特に、鍵が付いている部屋は人数分無いようだ。なので何人かは鍵の無い所で寝ることになってしまう。俺が寝ている所には鍵がない。俺は二階にあるモデルルームのベッドで寝ている。幾つかあるモデルルームの中では一番小さく、鍵も付いていないので余っていたらしい。
 それから、女性全員は鍵付きの部屋だが、男性の半分以上は鍵無しの部屋を使っている。浅野さんの意見で女性には優先して鍵付きの部屋を与えていたらしい。浅野さんは鍵のない部屋で、しかもソファーの上で寝ているようだ。本人がソファーの方が落ち着くと言ったようだ。

 その後、俺は出された朝食を食べた。ベーコンエッグという定番のメニューだった。腐りやすい物から調理している様だ。正しい選択だ。
 その後、浅野さんの指示で俺が持ってきたリュックサックとポーチの中にあった物を提出する事になった。「皆で生活していくのだから、食べ物や医療品は全員で分け合おう」なんて言われたら、断るわけにもいかないだろう。
 クソ、ますますここから出にくくなってしまった。

「あははっ、あんたゴムなんて持ってるけど、使う相手いないんじゃない?」

 茶髪の女、もとい雨伊彩奈が俺が持っていたコンドー○のパッケージを手に取りながら、クスクスと嫌な笑い方をする。そんな彼女を狐目の男、石崎優明が嗜める。
 雨伊と石崎は二人共大学生で、お互いに付き合っている。大学をサボってデートをしている時にゾンビが発生し、このホームセンターに逃げ込んだようだ。

「ねぇ、どうせ使わないんならこれ貰っていい? こんなん要らないでしょ?」
「彩奈、そういう言い方はやめなよ。ごめんね。えと……瀬戸川君」

 コンドー○を手に持ち、自分の部屋に戻っていく雨伊。石崎は俺に頭を下げると、雨伊に付いて行った。
 クソ……確かに使いませんけどね! でも釈然としないね!
 つうか、あの狐目野郎、俺の名前忘れてやがったな。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。