複雑・ファジー小説
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- 俺だけゾンビにならないんだが
- 日時: 2013/08/20 22:05
- 名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: 7NLSkyti)
ゾンビ物です。
残酷な表現が苦手な方はお気をつけください。
荒らしや誹謗中傷などはちょっと止めてください。
誤字脱字を見つけましたら、教えていただけるとありがたいです。
不定期更新、急に更新止まるかも。
中編くらいを想像しています。
目次
第一話「俺だけゾンビにならいんだが」>>1>>3>>5>>6
第二話「血肉内蔵脳漿の中を進め」>>8>>10>>13>>14>>15
第三話「こびりつく悲鳴」>>16>>18>>21>>25>>27>>30>>32>>35>>36
第四話「ゾンビよりも疲れる対人関係」>>37
- Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.43 )
- 日時: 2013/08/25 20:49
- 名前: しずいよあけ (ID: P/sxtNFs)
- 参照: パソコンが調子悪く、しばらく更新速度が落ちます
俺は曖昧な返事をすると、トラックのドアを開いて中に飛び込んだ。その瞬間、俺がドアを閉めるか閉めないかという所で、トラックが勢い良く走りだす。目の前のゾンビを轢きながら猛スピードで進んでいく。
運転席に座っているのは四十くらいの男だった。黒髪を短く切り揃えてあり、鍛えているのか身体付きはとてもガッチリとしている。膝の上には刃の部分に赤茶色の染みができた手斧が置かれていた。俺の足元に置かれている金属バットも同じように赤茶色くなっている。
男はポケットから携帯を取り出して誰かに掛け始めた。。最近はすっかり見なくなったガラパコス携帯だ。
『おい! 何故今止まった! 到着はまだだっただろう!』
通話が繋がった瞬間、男が何か言うよりも早く、男の怒鳴り声がした。男はそれに眉を顰めながら、俺を拾ったという旨の説明をする。
『あぁ!? 勝手な事するんじゃねえよ! 人助けするのは勝手だが、俺達を巻き込むんじゃねえ!』
「勝手な行動を取ったのは謝る。しかし、こんな時だから私達は助け合うべきだろう」
男の言葉に相手は怒鳴るが、男はそれを相手にせず「もうじき到着する。備えておいてくれ。直前に電話する」と言い、電話を切った。
男は小さく溜息を吐くと、携帯を膝の上に置く。
「急に言われても困ると思うが、あまり説明している暇がない」
「は、はあ」
男は俺を見ないまま、早口で喋る。
「私達は今ホームセンターに向かっている。もうじき到着するだろう。ホームセンターには大量のゾンビがいるが、仲間がそれを引き付けてくれている」
トラックに乗る前にホームセンターでゾンビを右側に引き付けていたのは、この男の仲間らしい。予想通りホームセンターから出入りする為の行動だったようだ。
「これからトラックで建物に近付き、入り口の目の前で停車する。そしたらすぐにトラックから降りて、入り口を目指すんだ。詳しい事は無事ホームセンターの中に入れたら説明する」
トラックが坂を下り、ホームセンターの敷地内に入った。大半のゾンビは右側に集まっているが、何匹かはこのトラックの音に気が付いたようで、こちらに向かって歩き出した。トラックの向かっている先にも、何匹かのゾンビがいる。トラックは前にいるゾンビに構わず突き進む。車体にゾンビが激突し、体液をぶちまけて吹っ飛ぶ。何度も車内が揺れる。
男は運転しながら片手で膝に置いてある携帯を取ると、どこかに通話を掛けた。繋がると男は何も言わずに通話を切り、携帯をポケットの中に突っ込む。
「いいか。止まったらすぐに降りるんだぞ」
トラックの進む先に、小さな業務用の扉が見えた。どうやらあそこから中に入るという事らしい。トラックは建物のギリギリまで近付き、その扉を車体で覆い隠すような止め方をした。事前に打ち合わせをしていたのか、トラックを止めるとその扉が開いた。中で女が俺達に手を振っている。
「行け!」
「は、はい!」
俺は足元の金属バットを握りしめ、ドアを開けて外に飛び出した。男はトラックの鍵を抜くと、俺の後に続いて外に飛び出る。一番近くにいた俺はすぐに扉に辿り着き、中に入り込む。それに続いて男も入ってきた。
トラックの後ろが開き、中から三人の男が出てきた。二人は両手に物が大量に積まれた買い物かごを手にしており、もう一人は長い鉄の棒を持っている。買い物カゴを手にした二人が最初に走りだし、それを守るようにして棒を持った男が後ろを走る。
音を聞きつけたゾンビがトラックの陰から姿を表し、三人を追いかける。
「クソがァ!」
男は立ち止まり、罵声を吐きながら棒でゾンビの頭を殴打した。内容物が外に飛び出し、ゾンビは地面に倒れる。男はそれを見届けるよりも早く走りだした。買い物カゴを持った二人が扉の中に跳び込み、走ってきた男がそれに続く。
「よし、閉めるよ!」
俺達に手を振っていた女性はそう叫んで扉を閉める。その周囲にいた人達は椅子や机などといった家具を扉の前に積んでいき、あっという間に塞いでしまった。
その様子を見た、この場にいる俺以外の全員が安堵の溜息を吐いた。何人かはヘナヘナと座り込んでしまった。
- Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.44 )
- 日時: 2013/08/27 20:19
- 名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: P/sxtNFs)
しばらく全員放心した様に黙っていたが、しばらくして我に返り、座っていた人達がゆっくりと立ち上がる。そして持ってきた買い物カゴについてどこに保存するか、などという話をし始める。その間俺は突っ立ったまま、何を言ったらいいか分からずに黙っている。
しばらくして、トラックの後ろ側から出てきた、棒でゾンビを倒していた男が視線を俺に向けてきた。
「なぁ、んでそいつはどうするんだ?」
その言葉に、周りにいた人達は一斉に俺に視線を向けてきた。殆どの人は今気付いたようで、「あれ、誰こいつ」と言った表情を浮かべている。
「ああ、彼はゾンビに襲われていた所を助けたんだ」
運転席にいた男が周りの人に、俺を助けた経緯を説明する。それを聞いている人達の反応はあまり良くない。どうやら歓迎はされていないみたいだ。俺だって来たくて来た訳じゃないんだぞ。
話を聞いていた何人かは男に文句を言い始めた。しかし男は「こんな時だから助け合うべきだ」と電話でいていた時と同じ台詞を返す。
中にいた茶髪の女性は舌打ちして俺を睨んできた。その隣に立っている彼氏らしき、狐の様に細い目の男はそれをなだめながらも、俺にいい感情を向けていないのが分かる。
「ちょっと、それぐらいにしなさいよ。大丈夫だったかい?」
肝っ玉母ちゃんという表現がよく似合うような、太いおばさんが険悪な雰囲気になっている人達を止めた。さっき扉の中から俺達に手を振っていた人だ。その人は俺のすぐ横にやってきて、ポンポンと肩を叩いてくる。
彼女が出てきたお陰で、言い争っていた人達はバツの悪そうな表情を浮かべて黙った。
「ありがとう、トヨさん。それじゃあ、これから調達班はこの子と一緒に着いてきてくれ。噛まれていないかどうかをチェックするから、他の人はその間に調達してきた物を保管しておいてくれ」
俺を連れてきた男は、全員が黙ったのを確認するとそう指示を出した。何人か不満そうな表情を浮かべたものの、結局何も言い返す事無く去っていく。この男はリーダーなのだろうか。
トヨさんと呼ばれた女性はもう一度俺の肩を叩くと、その場から去っていった。
それから俺は男に連れられて、トラックに乗っていた他のメンバーと業務員用のシャワールームという場所に連れて行かれる事になった。
「済まなかったね。皆こんなことになって気が立っているんだ」
「あ、いえ……俺の方こそ、助けてくれてありがとうございます」
歩きながら、男の人と会話をする。他の三人はと言うと、カゴを持っていた二人は何やら会話をしていて、棒を持っていた男は何も言わずに歩いている。ぼっちか?
別に俺は助けて貰わなくても良かったし、というか助けてくれなかった方が良かったのだが、それでも礼は言っておくべきだろう。
会話をしている内に、この男の人についてある程度聞き出す事が出来た。
名前は浅井桐人。
ゾンビが発生する前は警察だった様だ。
仕事中にゾンビに襲われ、このホームセンターに逃げてきたらしい。中にいた人に指示を出して、ホームセンターを封鎖し、今はここでまとめ役をしているみたいだ。
しかしあの場にいた連中の反応を見る限り、やはりここは一枚岩では無いらしい。この人は「人が助け合うのは当然」だと思っているが、他の人は助けたことで自分に危険が及ぶのを恐れているみたいだ。まあそれが当然だと思うが。俺も自分に危険が及ぶくらいなら、人助けはしないしな。
「じゃあ……悪いんだが、噛まれていないかチェックさせてもらう」
業務員用のシャワールームに到着し、俺は服を脱いで浅井さん達に確認される事になった。一瞬、俺かなりの回数ゾンビに噛まれてるよな、と思ったがすでに全て治っているし、今日は噛まれていないから大丈夫の筈だ。
男に裸を見られるのはいい気分では無かったが、まあ成り行き上仕方ないだろう。俺がゾンビに噛まれていないことを確認すると、ポンポンと肩を叩かれ「中々良い身体しているね」とちょっとウホッな言葉を掛けられた。浅井さんは警察という事で、身体を鍛えていたらしいので、筋肉的な意味で言ったんだと思うが。
俺の身体、つい最近までヒョロヒョロだったのになぁ。
それから、他のメンバーも嫌な顔をしながら、お互いにチェックをしていく。結局、噛まれている人は一人もいなかった。
確認が終わると、ついでにシャワーを浴びていけと言われたので、そうする事にした。浅井さん達もシャワーを浴びる様だが、同時に五人しか浴びることが出来ないらしい。浅井さんが自分は後でいいと申し出て、俺と他の三人が入る事になった。
すりガラスとカーテンで囲まれた個室に入り、シャワーを浴びて一息つく。
さて……ここからどうしようか。様子を見て外に出るのもいいが、思わぬ時間を食ってしまったし、浄水場に辿り着くのが遅くなりそうだ。それに外にはゾンビの大群がいる。移動できない事も無いだろうが、あそこを通って行くのは骨が折れそうだ。取り敢えず、しばらくの間はここに居たほうが良さそうだな。人と接しなければいけないのは面倒だが、あの場面でトラックに乗った俺の自業自得だ。そこは我慢しなければならないだろう。
こうして、俺は成り行きに流されてしまい、ホームセンターでしばらくの間生活する事になってしまったのであった。
- Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.45 )
- 日時: 2013/08/27 22:13
- 名前: メルマーク ◆kav22sxTtA (ID: V8vi7l6T)
はいすいません、ウホッに吹きましたw
シリアスな場面に唐突に現われるギャグに弱い性質です
ひと波乱きそうだが、主人公君大丈夫か?
人よりゾンビに警戒しまくってるような気がするw
- Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.46 )
- 日時: 2013/08/30 00:38
- 名前: 沈井夜明 ◆ZaPThvelKA (ID: P/sxtNFs)
>>45
ウホッ良いコメント
私はついシリアスな場面でも、ギャグやパロディを挟んでしまうという厄介な性質を持っていまして…。
あの死の川のようなゾンビの数をみると、さすがの主人公も出て行く勇気が出ないみたいです
更新が遅くてすいません。
ちまちま書いていますが、眠くて眠くて。
でき次第投稿します
- Re: 俺だけゾンビにならないんだが ( No.47 )
- 日時: 2013/08/30 00:44
- 名前: 羽海 ◆Yre4tHIyxI (ID: TaHLTR3K)
続き楽しみにしてます(´・∀・`)
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