二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 英雄伝説Ⅵ・Ⅶ 無限に続く軌跡へ
- 日時: 2012/08/15 11:28
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: NtGSvE4l)
こんにちは。厨二病です。
このお話は「英雄伝説空の軌跡」「英雄伝説零の軌跡」「英雄伝説碧の軌跡」と言う知名度の低いRPGの外伝的なお話(別世界の時点で外伝もクソもねーじゃんとか言う奴はグーで殴るよグーで)です。
知らない人は、ウィキで調べて。
知ってる人へ
ストーリーは、SC・ちょい3rdと零・碧の順番で進めます。
ゲームの内容に少し変更?したストーリーになってるため、メチャクチャになる可能性もあります。そうなったら勘弁して。
オリジナルキャラは主人公だけ。(たぶん)
キャラクター
セシラル・ワイスマン 男 18歳(零、碧では20歳)
唯一のオリジナルキャラ(そうでも無かった).眼鏡設定は無しにしてくれ。一人称は「私」
小国リベールのボーズ地方で遊撃士をやりながら暮らしている。棒術使い。D級遊撃士。
女性のような顔(エステル・ブライトの母レナ・ブライトによく似ている)をして声も高くて大人しい性格の為、初対面の人にはよく女性と間違えられる。そしてその度にへこむ。
得意な物は、料理とピアノ
ある人物と同じ名字だが・・・
大事な事書くの忘れてた。
髪の色は、ちょい茶色で顔は可愛いとかそういうのじゃなく単に美人。
その他(空の軌跡)
エステル・ブライト(16歳) 空の軌跡の主人公
ヨシュア・ブライト (16歳) 空の軌跡の準主人公
シェラザード・ハ‐ヴェィ(23歳)
オリビエ・レンハイム(25歳)
クローゼ・リンツ(16歳)
アガット・クロスナー(24歳)
空の軌跡編
>>1プロローグ
>>2市長の依頼
>>3峠の土を昇って
>>4マレーシア孤児院
>>5暴走夫と手配魔獣
>>6第5話特に何も無い平凡な1日
>>7第5話特に何も無い平凡な1日・そして
>>8第6話始まりの軌跡新たな仲間
>>9第7話世にも奇妙なルーアン物語前編
>>10第7話世にも奇妙なルーアン物語中編
>>11第7話世にも奇妙なルーアン物語後編
>>13第8話《ahtfact》調査前に
>>14第9話《ahtfact》調査開始
>>15第10話 無限と空の軌跡
無限の軌跡編
>>16 少女の暮らす世界
>>17第11話大した変わらない世界
>>18第12話戦闘〜新しい希望
>>20第13話とりあえず王都に行こうお茶会への誘い
>>21第14話狂ったお茶会
>>22第15話迷い・遊撃士と《身喰らう蛇》
>>23第16話思い出はずっと心に在り続ける
>>24第17話命よりずっと大切な物
>>25回想
>>26第18話 守るべきもの
>>27第19話 無限という名の軌跡
>>28最終話 想いは新たな道へ
>>29後日談
零・碧の軌跡編
>>30零の軌跡・碧の軌跡編キャラ紹介
>>39解説
>>31プロローグ
>>32クロスベル警察パート1
>>33クロスベル警察パート2
>>34クロスベル警察パート3 挨拶巡り
>>35クロスベル警察パート4 題名未定
>>36 妹登場
>>37 後付けサイコー
>>38 仕事前のひと時
>>40 警備隊演習への参加要請・開始前
>>41 警備隊演習への参加要請 in 捜査二課
>>42 山積みの書類と軽くスル-された重大なイベント
>>43 弟分登場
>>44 散歩
>>45 偽ブランド業者の摘発
>>46 小ネタ的な何か
>>47 コリン少年の捜索
>>48 コリン少年の捜索2
>>49 秘密の問い
>>50 内容の無い殺し合い
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.21 )
- 日時: 2012/02/04 22:57
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
第14話 狂ったお茶会
王都グランセル西街区
「また砲撃の音が」
数分前から王都の港に爆発音や戦車が砲撃した音が一定の間隔をあけながら鳴り響く。セシラルはその音の元へ必死に走るが道が複雑すぎて辿りつけない。それでも音の元へと向おうとする彼はある1本道に出た。彼はその道を走った。前を向きながら
不安と疑問に満ちた彼自身の頭は今にも破裂しそうだが、彼にとってはそんな事はどうでもいい。走り続ける彼の目に人影が映った。よく見ると人影の正体はエステル、それだけではない。他に十数人いた。しかし数人が膝を地に付け残った者は全員横になって倒れている。膝を付いていたのはエステル、シェラザードと神父らしき男、女王の親衛隊の服をきた女性。そして1台の大型の戦車が配置してある
「うふふ、導力停止現象を起こせなくても所詮貴方達の力ではこの《オルグイユ》には勝てませんわ。さあ道を開けなさい」
聞こえてきたその声にはスピーカらしき言葉にしにくい音と小音のノイズが混じっている。恐らくこの声はあの戦車の中から発しているのだろう
苦しそうな表情をしたエステル達、気を失った十数人の人間、大型の戦車、さっきの言葉、この状況で分かる事はエステル達とあの戦車は戦闘をしていて戦車が優勢だという事
気ずいたらセシラルは動いていた。考えるよりも先にスワローを持って戦車の方へ走っていく
「セシラル、何でここに、その武器は」
セシラルの存在に気付いたエステルは彼の名を呼ぶが振り向く事は無い
「我が化身よ、命を吹き込むと引き換えにその身体を力へと変えよ」
走りながらそう叫んだセシラルは戦車の後ろに回り込み、飛び付くようにスワローで斬りつけた。普通に斬ったように見えるが斬りつけ空に浮く彼の着地地点にはもう一人の彼が居る。彼が斬りつけた瞬間にもう一人の彼が戦車を斬りつける。彼がもう一人現れ同じように斬りつける。しかしこの場合セシラルは3人居るはずなのに2人しかいない。そう消えたのだ、3人目が出た瞬間に。さらにもう一人の彼が現れると2人目のセシラルは消える。このようにその場には同じ人物が二人存在し、片方が斬りつけるともう一人が現れ斬りつけた方が消える。それを何回も行う事でだんだん速くなっていき、最後には目では追いつけない程になる
「化身鳳凰斬」この技の名前はある男の技の一部を貰った物だ
上記の通り攻撃のスピードが速くなっていき、戦車の装甲を剥がしていく
セシラルが斬りつけるのを止めると残った分身は消滅する。凄まじいスピードで斬りつけられてのだろう、戦車の装甲はボロボロに剥がれ落ち煙を挙げた
「く、何ですの一体。でもまだ、ユリア、遊撃士ども。邪魔が入ったがこれで最後よ。いざ尋常に勝負しなさい」
戦車から顔を出した女とその部下は数カ月まえにクーデーター事件を起こした元王国軍情報部だった
「戦車まで使っておいてムシがいい気がするけど・・でもセシラルが来てくれたおかげで体力も回復したしさっきみたいにやられはしないわよ」
「町中まで砲撃の音が聞こえてきたので気になって駆けつけたのですがまさか戦闘になっていたとは思いませんでした。皆さん大丈夫ですか」
「大丈夫や。でもまさかこんな可愛い子に助けられたなんて信じられないな」
「セシラルと言ったか、助太刀感謝する。さあ無駄話は後でだ。決着を付けるぞカノーネ」
親衛隊の女性がそう言うとすぐに戦闘に入った。でもそれは戦闘と呼べるものでは無かった。セシラルが出した数人の分身が一瞬にして情報部全員を戦闘不能にして消える
「お前は一体・・何者だ」
追いつめられた隊長らしき女性がそう言うがセシラルは答えなかった
「アンタ、もしかして」少しおかしな喋り方をする神父は目を細めセシラルを見るが気付かないふりをしながら話しを反らす
「お、終わったのか?」
「公爵さん」
太い声の持ち主は女王の弟デュナン公爵の物だった
この状況を考えればこんな偉い人が戦車に乗っている理由は簡単に思いつく
「今回ばかりはお前たちに礼を言わなければならんな」
公爵は噂だとろくでなしとか呼ばれているが少なくともセシラルにはその様には感じられない
「あっ、レンは。公爵さん、レンは無事なの?」
「レン」
レン、セシラルはその言葉に異常な反応をした
「そのレンとはなんだ」
「女の子よ、白いドレスを着た」
エステルは公爵にしつこくレンと言う少女に聞くが知らないと言う言葉しか返ってこない
「白いドレスを着た少女・・まさか」
何か知っている。エステルはそう思ったのだろうか
「セシラル何か知ってるの」
と聞き返した
「・・情報部の隊長さん。導力停止現象を発生させる《ゴスペル》を貴方に渡したのは白いドレスを着た少女ですか?」
「そうですわよ」
セシラルの言った事は当たった。でもエステルには信じられなかった
「そんな筈無いじゃない。ギルドにはアンタ達が連れさらったって言う起き手紙があったのよ、この期に及んですっとぼけるんじゃないわよ」
「ギルドから連れさらった?」
「そうよ証拠があんのよ」
「そ・・・そう言う事だったのね」
意外な反応にエステルは驚く
「うふふ、あはは」
「カノーネ一体どうした」
親衛隊のユリアがそう聞き返す
「これが笑えずに居られるものですか、閣下の為に数々の陰謀を成し遂げて来たこの私が、あの娘ごときに利用されるなんて」
小娘、セシラルとカノーネの言う事が本当ならばその少女は・・
「そんな所に居ないで出て来てください。《殲滅天使》レン」
セシラルは近くにある倉庫の屋根を見た。そこには月の光を背に向け輝く少女が立っている
「こんばんわ。セシラルはお久しぶりね」
「レン何やってるの危ないじゃない。待ってて今そっち行くから」
この状況をまだ理解できていないエステルはレンに気を使う
「その必要はないわ、だってここが一番いい席だから。お茶会を開いた主人として当然の権利だと思わない?」
「レ回りくどい説明をしないでまず執行者としてやるべき事をしたらどうです」
セシラルは冷静な態度で話を進める
「何年たっても真面目ね裏切り者さん。それとも最強の狩猟兵さんの方がいいかしら?まあいいわ。それじゃあ、執行者NO.ⅩⅤ《殲滅天使》レン。ちょっと品が無い呼び名だからあんまりこの名で呼ばないでね」
執行者、ウロボロスと言う組織の幹部にあたる存在。能力があれば子供だろうと何だろうとなれる
「じゃあそろそろ帰ろっと。来て《パテル=マテル》」
巨人が大地を歩くかのように地面が揺れる音がする。その音は次第に大きくなりレンの元へとやってくる。やってきた巨大機械人形はは巨人そのものだった
「なあ!」
驚くのは当たり前だ。いくら全てのエネルギーの代わりが務まる導力でも高さ二十メートルほどもある機器など動かせる筈がない
「目標を発見」
音に釣られるかのようにシードたちもやってくる
「みんなピッタリに来た。もっと話したい事があるけど今日はここまで。では御機嫌よう」
レンがそう言うと巨人はレンを手に乗せ空を飛んでどこかへ去って行った
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.22 )
- 日時: 2012/02/04 22:54
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
「御機嫌よう」
そう言ってレンを手に乗せた機械人形「パテル(パパ)=マテル(ママ)」はどこかへと飛んで行った。
その後
遊撃士協会グランセル支部
「あの子は貴方の事を裏切り者とか狩猟兵と言ってたわね。どう言う事だか説明しなさい」
遊撃士協会の2階のテーブルに座らされたセシラルの周りをウロボロスの件について調べていたエステル達に囲んでいたなか強気の口調で銀色の長い髪を持った遊撃士シェラザードがそう質問する。しかしセシラルは口を塞いで何も話さない。
「ねえセシラル、どうなのレンが言ってた事ってホントなの?。ねえ」
「本当・・・です」
セシラルは口を小さく開けてエステルの質問に答えた。
「私は元《身喰らう蛇》の狩猟兵、その中でも可能な限り身体を強化された狩猟兵です」
セシラルは暗い過去を皆に打ち明けた。もちろんその中にアネラスも居る。この言葉にエステルとアネラスは驚く。
「何故ウロボロスを抜けたの?」
シェラザードは冷静に話を進める。
「嫌だったんです」
この言葉を返すまでに十秒程間が空いた。
「嫌?何が?」
「関係の無い、罪の無い人々を傷つける事をです」
この後も何度も質問をされたが本当の事を話し、自分の過去を打ち明けた。ただ質問に対する事だけを。
第15話 迷い・遊撃士と《身喰らう蛇》
皆が聞きたい事は全て聞き終わった。
「もういいわ。貴方の過去も今までやってきた事も教えた貰った」
シェラザードがあまり宜しくない表情で言う。
「で、これからどうするの?」
エステルは苦い表情をしながらも少し微笑んだ顔で聞いた。
「それは・・・」
当然答えられる筈もない。ウロボロスに居た事を知られては信用を失ったも同然だからだ。
「だったら一緒に行こうよ。ウロボロスをぶっ潰しに」
セシラルにとっては思いもよらない言葉だった。彼にとってはとても嬉しかったが反面悲しかった。自分は本当に彼女から心配されているのか、役に立てるのか、そう考えると嬉しさを悲しさが覆うようになって行った。
「ごめんなさい。私は一緒には行けない。ただでさえ皆さんがマークされているのに私が居るともっとややこしい事になる。・・・だから一緒には行けません」
この答えは正しかったのか?そんなのは誰も知らない。断れるとはまったくもって予想していなかったエステルは唖然とし無言で遊撃士協会を出るセシラルを見ている事しかできなかった。
《身喰らう蛇》に関わってしまった彼の心は暗く果敢無い物になってしまった。
第15話 迷い・遊撃士と《身喰らう蛇》
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.23 )
- 日時: 2012/02/05 16:00
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
作者「今の内容的にはゲームで表すと4章の始まりだけどこの話からは一気に飛んで6章の始まりまで飛ぶよ(そのあとにすぐに終章に飛ぶけどね)あと作者の気が変わらなければ空の軌跡編はもうそろそろで終わりだよ。それじゃ」
あの日、自分のほとんどの過去を伝えた私はボーズへ向かって走った。船に乗らなかったのは居所を知られたくないから。
カシウス・ブライトの元から去った義息子は漆黒の牙ヨシュア・アストレイだろう。彼もまた私のように《身喰らう蛇》から逃げていたのだろう。しかし私と違って彼は立ち向かった。たった一人で。誰にも迷惑をかけずに。私も彼のように強くなりたい。そして《身喰らう蛇》と向き合う。狩猟兵としてではなくアネラス・エルフィードに恋をした一人の遊撃士として。
第16話 思い出はずっと心に在り続ける。
あれから何日経っただろうか。セシラルはボース市の.ヴァレリア湖畔の宿に着いたら軽く休息を取り≪結社≫の研究施設潜入に忍び込みある男の目的を聞きだすつもりだった。そして今彼はついさっきその宿に着き休息を取っている。久々にボースへ帰ってきたが前以上に変に感じた。ここまで来るのに何度か魔獣に遭遇したが、どの魔獣も脅えて、こちらを避けている。それだけじゃない。緑色の巨大な竜を見かけたのだ。《身喰らう蛇》に居た頃も見た事も聞いた事も無い。資料にも載っていない。これが魔獣が脅える理由なのか。あの竜に脅えているのか。深く考えるうちに宿の椅子に座りながら寝てしまった。
「あっ起きた。お爺ちゃん起きたよ」
「ここは一体。貴方は誰」
「私はアネラス。ちなみに歳は14よ。きみは?」
「えっ、」
「早く早く」
「せ、セシラルです」
「セシラルって言うんだ。女の子みたいな名前だね」
「見ただけで私の性別が分かるのですか?」
「うん。私可愛い物には目が無くて、その可愛い物を見極める能力があるから」
「ちょっと変わっていますね」
「えー、そうかな」
「でも羨ましいです」
「なんで」
「個性があるから・・・ですかね」
「お客さん。お客さん」
真っ暗な世界の外から声が聞こえる。
「やっと起きた。こんな所で寝られると困りますよ。寝るならベットで寝て下さい」
彼は起きた後、すぐに壁に掛けてある導力時計に目を向けた。どうやら寝ていたのはほんの数分だったようだ。
まだ意識がしっかりしないので冷たい水を1口飲むと、受付の人にボートの使用を許可して貰いすぐにボートに乗り、結社の研究施設潜入へ向かった。
数分後
「着いた。私が居た頃とは少し違う」
彼の目に映った建物は前の面影を残しながらもまた別の建物に変わっている。でもそんなの5年も経ったら当たり前の事だった。
建物の正面には入口らしき大きな扉がある。セシラルはそれを見て何かを確信した。
セシラルは入口に向かって走るが入口の近くまで来たら建物の西側へ向かった。正面の扉は元々開かない。建物の西側に本当の扉があるからだ。セシラルはそれを知っていた。建物の外見は変わろうとも構造までは変わってはいなかった。セシラルはそこから忍び込むことになった。
もし、セシラルが入口を発見する前にもう一つのボートを発見していたら未来はどのように変わっていたのだろうか。
第16話 思い出はずっと心に在り続ける。 おしまい
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.24 )
- 日時: 2012/02/06 22:36
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
「せいっ」
「やっ」バシーン
「あはは、やっぱりセシラルには勝てないな」
「諦めてたらもう強くなれませんよ」
「うん、そうだね」
「じゃもう一回勝負しよ」
「アネラスさん、今やるべき事が違うような気がしますが・・・」
「いいのいいの。さっ、早く」
「はいはい、一回だけですよ(手加減してあげようかな)」
「よーし私が勝ったら今晩はセシラルの事抱きながら寝るからね」
「やっぱり・・・本気だそう」
「もう一年になるね」
「何がですか?」
「セシラルがお爺ちゃんに助けられてその後に・・・色々あって八葉一刀流を習い始めてから一年ってこと」
「そう言えばそうですね」
「ねえセシラル。内に来る前はどこに住んでたの?」
「それは・・・秘密です」
「えーイジワル」
「でも心の整理が付いたら話します」
「ホントに?」
「本当です」
「じゃ約束だよ」
「約束です」
「帝国に行ってもがんばってね」
「ええ。強くなって戻ってきます」
「セシラルが居ない一年間。とても長いと思うけど待ってるからね」
「なら私は絶対に強くなって、アネラスさんの事を守れるようにします」
「ありがとう」
「じゃあ一年後また会いましょう」
第17話 命よりずっと大切な物
セシラルは《身喰らう蛇》の研究施設潜に忍び込んだがそんな事はあの男が知らない筈無い事は知っていた。
研究施設潜の外の外見は変わっていても中は彼が《身喰らう蛇》に属していた頃とは大差変わらない。変わったと言える事は警備兵が狩猟兵から4年前に開発されていた対人用兵器《ヴォーグル》に変わった事だ。ただ対人用兵器とはいってもセシラルの腰ぐらいの大きさで武器も小型のマシンガンだけというあまりにも貧相な機体である。今となっては旧式の機体になっているのは確かだろう。
狩猟兵に比べると若干不便な為、相当な数が配備してある。それでもセシラルはあっさりと無力化していった。
この状況で最上階まで上がるのは楽だった。道中特定のキ-を使わないと開かない扉もあったがそれは特定のパスワードを打てば開く。こんな感じですぐに最上階まで上がって行った。
《身喰らう蛇》秘密研究施設潜 4階
「着いた。出て来てください。ワイスマン・・・お父さん」
彼が自分と同じ名字の人間を呼ぶと壮絶な笑い声と共に正面の壁が上がる。
「久しいな我が娘よ、いや息子だったな」
壁の先にはいかにも頭脳派と言わせるような見た目の男とその右側にスミレ色の髪を持ち白いドレスを着た少女《殲滅天使》レン。
左側にはピンクの服を着た黄色と薄緑を足した髪をした少年。
「ヤッホーセシラル4年ぶりだね。元気だった?」
ピンクの衣装を纏った少年は明るくセシラルにふるまう。
しかしセシラルはそれを拒んだ。
「一週間程まえに会ったでしょう」
一応返事はしたが、出来るだけ口数は少なくした。
「なーんだ。ヴォーグルに撃ち殺されれば良かったのに。つまんないの」
「ふふ、そう言うな。セシラル、また戻ってくる気は無いか?狩猟兵ではなく執行者として迎えるぞ」
「貴方なら私が断る事ぐらい分かっている筈ですよ」
「念にだ。まあその答えだと・・・お前の想い人の命が危ないけどな」
セシラルの想い人。彼女の事であろう。しかし何故ワイスマンがその事を知っているのか。
「一体それはどうい・・・ぐは」
前にシードにくらわされた不意を突いたような衝撃ががセシラルの背中を走る。
「なに?・・・アネ・・・ラス・・さ・・ん」
セシラルは気絶する前に力を振り絞り後ろを見た。そこにはこの世界の理がおかしくなったような無表情な顔をした彼女の姿があった。
「すまないなセシラル。じき奴らも来るだろう、ドッペルランナーの準備をしておけ」
「了解しました教授」
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.25 )
- 日時: 2012/02/08 23:09
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
回想 蛇の使徒
七耀暦1191年
「寒い。身体が冷たい。怖い。苦しい」
旧ノーザンブリア大公国公都ハリアスクの中心にそびえる大きな長い物体「塩の杭」を見つめる一人の少女が居た。
彼女は数日前からそこに居る。何も食べずに、何も考えずに。
それから数日
少女はまだそこに居続けた。
「ノーザンブリア・・・ここもあの時と変わらないな。ん、あの子は」
たまたまそこを通り掛かったある男は少女を発見した。しかし男が少女を見つけた時にはすでに呼吸が浅く今にも命が尽来そうな状態だった。だがそれに気付いた男は少女を見捨てはしなかった。男は少女を背負うと、アルテリア法国へと向かって行った。
アルテリア法国と呼ばれる場所へたどり着いた男は少女を必死に介抱し少女の命を救った。
「・・・・・こ・・こは・・ど・・こ」
一命を取り留めた少女が目を覚ます。男は少女に気付くとパンを皿に乗せ少女に差し出した。
少女はパンをかじると急に泣き出した。
それからまた数日
「君の名前は?」
男が優しげにそう少女に尋ねる。しかし少女は口を紡いだまま何も言わない。男はもう一度同じ質問をしたが帰って来たのは「分からない」という答えであった。
「分からないのか。自己紹介が遅れたね。私はゲオルグ。ゲオルグ・ワイスマンだ。」
「ゲ・オ・ル・グ?」
「そう。ゲオルグと呼んでくれ」
二人はすぐに仲良くなった。
その後少女はゲオルグに引き取られゲオルグが彼女の保護者になり名前を付けられた。セシラル・ワイスマン。これが彼女の新しい名前だ。
それから何年かが経った。
セシラルはゲオルグに連れられ、赤い鎧をまとった男たちの船に乗せられ、そのままどこか分からない場所へと連れて行かれた。
「セシラル。選んでくれないか?」
ゲオルグがしんみりとした態度で尋ねる。
「何?お父さん」
「このまま私の事を忘れて安全に暮らすか、危険だけれども一緒に暮らすか」
共に暮らす。セシラルは迷う事無くそう答えた。
その決断がセシラルの運命を大きく変える事など彼女自身まったく考えては無かっただろう。
その後、セシラルは蛇の隠れ家で様々な人たちに出会い、強くなり、やがて狩猟兵になった。でも人生が大きく変わるのはこれからなのだ。
少女が狩猟兵として戦っていくのに一つだけ問題があった。それは今の性別。彼女の性別は周りの人間とは違い力も背丈も低くなるようになって居たため、蛇の使徒たちは彼女の性別を反転させ肉体を限りなく強化したのだ。それによって彼女、いや彼は周りとは比較にならないくらい強くなり最強の狩猟兵と呼ばれるようになった。
ヨシュア・ブライトが居なくなってから1年程が経った。
セシラルは今の自分が嫌になった。理由は人を傷つける事が嫌になったなど色々あるが何よりゲオルグ、彼の父の性格の変化が最大の理由だった。彼は戦闘機での脱走を企て、実行した。しかし戦闘機は破壊され墜落した。でも彼は奇跡的に生きていた。だが身体へのダメージが多く、少し歩いた所で倒れこんでしまった。
でも、これが新しい人生の始まりだった。
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