二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケモンメモリアル集
- 日時: 2012/09/13 17:24
- 名前: 霜歌 ◆P2rg3ouW6M (ID: V70KaHly)
はじめまして^^ 霜歌(そうか)という者です。
以前この掲示板で小説を描いていたのですが、
三年前の謎の小説大量喪失事件で行方をくらまし、また戻ってきましたw
その時はポケモンの長編小説を描いていたのですが、それもめでたく消えてしまったので、
今回はポケモンの色々な短編集を描いていきたいと思っています。
感想や批判は大歓迎ですので、どしどしお願いいたします!
このキャラ、この文章やシーンが好き!などといった意見、なんでも受け付けております^^
ちなみに、作者は現在、ポケモンブラックとブラック2をプレイ中です。
ポケダンやポケモンレンジャーの新作、RSリメイク待ちの一人w
※注意
・荒らし、宣伝は禁止です。
・文章を参考にする場合は、一言ことわってください。
・不定期更新、突然消えてまた戻ってきたりします。
・一つの短編が終了しても、次のネタがまとまるまで更新が減る可能性があります。
◇大切なお客様
レッドさん ブレイジング・フレア・ドラゴンさん なずなさん 秋桜さん(感想屋) 紫さん(感想屋)
灼眼さん(感想屋) 月露さん(感想屋)
◇履歴
・2012/09/06 私が町になるとき 執筆開始
・2012/08/31 私とクーちゃん番外編 完結
・2012/08/22 私とクーちゃん番外編 執筆開始
・2012/08/21 私とクーちゃん 完結
・2012/08/12 スレ立て&私とクーちゃん 執筆開始
それでは、下よりどうぞ^^
ζ「私とクーちゃん」
Ⅰ 水たまり——>>1
Ⅱ 青空の出会い——>>2 >>4
Ⅲ はじまりの夕焼け——>>5 >>10
Ⅳ 夕映えのやさしさ——>>13 >>16
Ⅴ さよならの夕日——>>17 >>20
Ⅵ 大空の出会い——>>23 >>27
Ⅶ 陽だまり——>>30
あとがき——>>31
番外編(伝えたいもの、雰囲気等、本編とは関係なし)
>>38 >>43 >>51 >>54
ζ「私が町になるとき」
vetus fabula <いにしえのものがたり>——>>60
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- Re: ポケモンメモリアル集 ( No.1 )
- 日時: 2012/08/12 11:33
- 名前: 霜歌 ◆P2rg3ouW6M (ID: 3TVgjhWp)
Ⅰ 水たまり
「育て屋さん……私の、クーちゃん……は?」
心を振り絞るようにして声を出すと、声とともに熱い塊が込み上げてきた。首の後ろが燃えるように熱く、目頭に力が入る。今にも溢れそうな何かを、私は必死に押しとどめようとした。
育て屋のおじいさんの顔を見上げると、おじいさんも額に皺を寄せて目を光らせている。そして、私の肩にごわごわとした温かい手を乗せ、震える声で言った。
「ごめんよ。おじいさんもおばあさんといっしょにポケモンドクターに診せにいったんだけどね、もう、ダメなんだよ……。よくわからない病気なんだ」
その言葉を聞いた瞬間、激しい思いが込み上げてきて、私は声をあげて泣いた。……泣きたかったのに、泣けなかった。口からは、静かな息しか出てこない。
こんなに苦しいのに、こんなにやりきれないのに。泣くことすら、私は出来ない。
おじいさんが私の頭をそっと撫でたが、私はその手を振り払った。
たとえ身長が小さくても、私はもう十二歳。
よけいな同情なんて、いらない。
そう思えば、ますます目頭が熱くなり、顔が火照ってくる。
「おじいさんのバカ……どうしてクーちゃんを見捨てるの……!」
震える唇で言うと、スカートを握り締めた手が一陣の風に拭われ、ますます冷たくなった。
- Re: ポケモンメモリアル集 ( No.2 )
- 日時: 2012/08/12 12:03
- 名前: 霜歌 ◆P2rg3ouW6M (ID: 3TVgjhWp)
Ⅱ 青空の出会い
私がハハコモリのクーちゃんと出会ったのは、二年前の夏だった。むせ返るような夏の匂いと、虫ポケモンの声が、ゆらめく景色に混ざり合っていた、あの日。あの夏の日、私はお母さんにお使いを頼まれ、隣町への長い道のりを歩いていた。
隣町へは一本道で、あたり一面畑で覆いつくされている。道が続く先、畑のそのまた向こうの方に、隣町の民家がゆらめいて見えた。ときどき生ぬるい風が吹くと、畑の砂がこっちに吹きつける。
雲ひとつない、真っ青な空を見上げると、そのまま自分が吸い込まれ、溶けてなくなってしまいそうだった。
あまりの暑さに不満をこぼしながら麦藁帽子を振り回していた、その時。畑の方から、威勢のいいトレーナーの声が聞こえたのだ。
「ワカシャモ、〝かえんほうしゃ〟!」
「ハハコモリッ!」
ポケモンバトルだ! と思ったとたん、胸が高鳴ってきた。私はポケモンバトルを見るのが好きだ。本気で戦いあうポケモンとトレーナーを見ると、応援せずにはいられなくなる。
声は、畑の中から聞こえてきたように思ったけれど、すぐそばの小さな農家から聞こえてきていた。私の歩いている道から、一本、砂利道がそこの農家へと続いている。
砂利道を通り、農家の庭へ駆け寄ってみると、少し距離を置いて、短パン小僧と少年が向かい合っていた。二人とも額から汗を流している。私と同い年に見える少年のそばには、ハハコモリが戦闘不能になって倒れていて、その前でワカシャモが胸を張って立っていた。ワカシャモの目には、余裕の光がはっきりと浮かんでいる。
私は庭の中にある茂みの後ろにソロソロと隠れ、二人の様子を見ることにした。
短パン小僧がワカシャモをモンスターボールに戻し、倒れたハハコモリを見下ろしている少年に冷ややかな笑みを浴びせる。
「お前には絶対に俺のワカシャモは倒せない。前に負けた腹いせだかなんだか知らないけど、こんなあっちい日にバトルを挑んでくること自体、バカとしかいいようがねーわ」
聞いているこちらまで、胸が苦しくなるような、冷ややかな言い方だった。
少年の様子が心配になって見てみれば、額から伝わってきた汗を顎から垂らしながら、じっと短パン小僧を睨んでいる。
短パン小僧はモンスターボールを手の中で転がしながら、思いだしたように付け加えた。
「ま、せいぜいそのしょぼい虫で頑張りな」
ふんっと鼻を鳴らすと、短パン小僧は立ち去った。暑く、重々しい空気だけが、こもったように流れている。
どうしていいのか、わからない。ここにいることがばれるのも困る。
私はじっとしているしかなかった。
流れ落ちる汗を乱暴に拭い、少年はじっと立ち尽くしている。
「くそ……」
モンスターボールを取り出そうとしているけれど、指が震えているせいなのか、うまく握れないようだ。静かに、モンスターボールがハハコモリのそばの地面に転がった。その瞬間、少年が怒りで顔をゆがめたのが、手に取るようにわかった……。
「こんな、もの……!」
ギシリッと硝子の破片を踏み潰したような音が少年の足元から響いた。はっとしてハハコモリのそばのモンスターボールを見てみれば、ぺしゃんこに潰れている。
〜つづく〜
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