二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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SNS的(非)日常観察日誌2
日時: 2017/09/28 00:00
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=28385

初めまして又はこんにちは、抜間さんです。新しい「SNS的(非)日常観察日誌」に来てくださりありがとうございます。初代スレッドが満スレになったのでこの二代目スレに突入しましたが、初代同様相変わらずマイペースにやっていきますので今後ともよろしくお願いします。
なお、初代スレには参照のURLから飛ぶことができますので、初見の方や過去作を見返したいという方はそちらをぜひどうぞー。


更新日:9月27日


〈もくじ〉

キャラプロフィール >>1

【長文】
・『サバイバルとカオスとバカは紙一重』

・『わすれなぐさ』
Ⅰ:偶然は運命の始まり >>39-45
Ⅱ:束の間の平和 >>50-55
Ⅲ:錆色の雨 >>71-79

【短文】
特に意味のなさすぎる日常小ネタ >>2-7
初代スレからのサルベーシ集 >>18-21
寺坂竜馬殺人事件 >>59-61
スカッとする(はずだった)話 >>86-94
「I love you」の伝え方 >>125-129
イナギャラで銀魂パロ >>155-157
バグズパニック!(前編) >>164-169 ←NEW!

【SNSラジオ】(不定期更新)
※第1回〜第10回は初代スレ参照
第11回 >>138-141

【その他】
突発質問コーナー① >>115-116


〈タグ〉
スマブラ 暗殺教室 パズドラ イナズマイレブンGO 蒼い世界の中心で スマブラ四天王 クロスオーバー ギャグ カオス コラボ 裸族 NL オリジナル設定満載 キャラ崩壊要注意

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「I love you」の伝え方 ( No.126 )
日時: 2017/06/15 00:49
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)


ルキナは意を決してそっとソファから立ち上がると、忍び足でルフレの元へ歩み寄った。そして、彼の真後ろに立ち…


ルキナ「え、えいっ!!!////;」
ルフレ「うぉっ!!?」


思い切って背後からルフレに抱きついた。彼女自身がうぶであまりスキンシップの類を得意としていない事もあり、ルキナの心臓はこれでもかというくらいにドキドキと音を立てている。抱きついただけだというのに顔が燃えるように熱くなるのを感じながらルキナは、ルフレもこれくらいすれば何かしら反応があるだろうと期待して彼の顔をのぞき込んだ。
だが、当のルフレはというと。




ルフレ「…ルキナか。ふぃー、びっくりさせんなよな…;」
ルキナ「…へ?」


背後を取られたことに驚きこそしたものの、そのリアクションは至って平静そのものだった。そのあまりの反応の薄さに、悪戯をしかけたルキナの方が思わず間抜けな声をあげてしまった。

ルキナ「ルフレさん、あの、どうしたんですか…?」
ルフレ「それはこっちの台詞だっつの。いきなりどうしたんだよルキナ…今は仕事中だから、後で構ってやるから待ってろって」
ルキナ「え、あの、私今ルフレさんに抱きついて……え?」
ルフレ「いいからちょっと大人しくしてろって」
ルキナ「きゃあっ!!?」

ルフレはルキナの腕をぐいっと引っぱると、そのまま自分が座ってるソファに引き寄せて彼女を寝そべらせた。ルキナの頭がルフレの膝に来るように位置を調整、所謂膝枕の体制にするとルフレはぽんぽんとルキナの頭をあやすような手つきで軽くたたいた。そしてルキナが大人しくなったことを確認すると、たちまち赤ペン先生に逆戻りしてしまう。



ルキナ(…私、もしかしてルフレさんに恋人として意識されてない…!!?)



一方不意打ちで膝枕されたルキナはというと、ルフレの膝に頭を乗せながらひっそりとショックを受けるという、端から見てもよくわからないシチュエーションに晒されていた。


ーーーーーーー




ルキナ「…というわけなんですけど…あれ、リンクさん?どうして深刻そうな顔でゲンドウポーズをしているのですか?」
リンク「……ルキナ…



お 前 も 察 し て や れ よ !」
ルキナ「えっ!?っていひゃいいひゃいれひゅぅーーー!?;」


はい、あまりにすれ違いまくったルフルキカップルにリンクはルキナの頬をむにーーーーっと左右に引っ張りました。すいません、お前ら恋愛下手にも程があるだろ。つか、ルキナも膝枕されながらひっそりとショックを受けるな。
何がおかしいって、まず何とも思っていない女を膝枕するほどルフレはお人好しではないし、仕事の邪魔をしても怒らずに受け流すのだって、相手がルキナだったからだ。これが他の連中だったらもっと容赦ない対処をされていたことだろう。しかしながら、どうやらルキナは膝枕云々よりももっと気になることがあるらしい。

ルキナ「うー…やっぱり抱きつきは軽率だっただでしょうか…;」
リンク「賭けてもいいぞ、それはない。というか、この場合お前がどんなスキンシップしようが問題ではない(キッパリ)」
ルキナ「えっ!?じゃあどうしてあんな反応されたんですか!?」
リンク「…まあ、あれだ。あいつ元がそっけない態度目立つし、好意とか賞賛もはっきり伝えないタイプだもんな……それでついついそっけない態度になっちまっただけじゃないかって俺は思うんだが…それじゃあ納得いかないか?;」
ルキナ「うぅ………」
リンク「…なぁルキナ、その…やっぱり不安になるのか?」
ルキナ「…何がですか?」

ルフレにはっきりと好意を伝えてもらえないことが。そうリンクがそっと問いかけると、ルキナは一瞬びくっと不安げに眉を潜めたのち、観念したようにおずおずと頷いた。
そう、うぶだろうが恋愛ビギナーだろうか巨乳キラーだろうがルキナとて女だ。恋人に自分を意識してほしいという気持ちは当然持っているし、恋人の傍にいれば否応なしに意識してしまいドキドキしてしまう。加えてルキナは、自分とは違って「好き」という気持ちをあまり表に表さないルフレが自分を意識する姿が見てみたかった。自分がもっと積極的になれればルフレも自分に夢中になってくれるだろうか…そう考えて、思い切ってルフレに抱きついたのだ。だが、結果はご存じの通り。ルフレは自分を受け流すどころか頬を赤らめることすらしなかったので、ルキナは不安になってしまったのだ。

「自分ばかりが彼を意識しているのではないか、一緒にいてドキドキしているのは自分だけなのでは」…と。


リンク「うーん、難しい問題だよな。相手への好意の伝え方なんて色々あってもいいも思うし、あいつがルキナのことを好いているのは間違いないさ。…でもまあ、ルキナはまだ恋愛初心者なんだし、だからこそ回りくどくない好意…もっと言っちまうと「好き」や「愛してる」みたいな直接的かつわかりやすい言葉とか、あるいは行動をルフレにして欲しいんだろ?」
ルキナ「はい…。ルフレさん、ああゆう性格ですから元からそういう言葉を言わないタイプだというのも、私をいつも気遣っていることもちゃんとわかってるんです。でも…やっぱり、あんな反応をされると不安になってしまって…」
リンク「でも確かに、あいつの場合はその伝え方に問題ありきだから困るよな。SNS団でもオリマーやロゼッタがフォローするレベルだし;」

リンクは苦笑を交えながらも、ルキナの言葉にうんうんと納得したように頷いた。
…というのも、剣士組の先輩であるリンクからしてみても、ルフレの愛想のない姿は見ていてこう…ぶっちゃけると「うわなんだこの軍師先生くそめんどいなオイ」と思う時が多々あるのだ。というよりも、ルキナに限らず誰に対しても無愛想でそっけない態度をとりがちなルフレはフォックスほどではないにしろ周囲との誤解や衝突を生むことも多く、それと同時にルフレの言葉足らずな部分をクロムやオリマーやロゼッタがフォローするのも、SNS団では決して珍しい光景ではないのである。…いやまあ、一応ストレートに感情をぶつけてくる場面もあるにはある。だが、そのほとんどはツッコミやマジギレの時だ。それも、主にクソガキとか裸族とか裸族とか裸族とかに対しての。
…ああ、いつだったか、以前もアキラ100%痛タイツバージョンとやらを披露してルキナを気絶させた裸族に、放送禁止用語一歩手前の罵倒の言葉を浴びせながらトロンを10連発くらいぶちかましていたっけか、とリンクは遠い目でいつぞやの出来事を思い返す。いやはやその時のルフレのマジギレっぷりたるや、せめてその率直さと感情の分かりやすさを1%でもいいからルキナとの逢瀬の時間に発揮してやれよお前、と思わなくもないレベルであった。


ルキナ「そうなんです!!ルフレさんは言葉がいちいち足りないんですよ!ていうか、ルフレさんったらひどいんですよ!この前だって……って聞いてますか!!?」
リンク「おいおい、聞いてるからまずは落ち着け……ってつかどさくさに紛れで耳をひっぱるなひっぱるないだだだだだだ!?」


……だが、かといってルフレの気持ちは理解出来ないのかといえば、決してそんなことはなく。
先ほどはボロクソに言いはしたものの、ルフレという人物は決して見た目通りの冷酷な人物ではない。その端整ですました顔の裏に秘められた軍師としての強い誇りやプライド、それから自身の采配を信じて動く仲間へ抱く強い気持ちをリンクは知っているし、仲間として信頼だってしている。恋人であるルキナへの態度だって、一見すれば突き放すような態度に見えるが、その視線はいつもルキナを追っており、彼女に何かあった際には真っ先に駆けつけ、常にルキナを気遣い的確なフォローをしているのだ。まあとどのつまり、多少頭でっかちではあるものの、彼がルキナに抱く愛情が深いものであることは、周りから見れば一目瞭然なのである。…ただし、その分かりづらい好意を受け取るルキナ自体が恋愛初心者であるために愛情が伝わりきっておらず、色々とすれ違いを起こしていることは、現在のお悩み相談室さながらの状況を見ても明らかであろう。
だったらルキナに合わせてもっと素直に自分の気持ちを表してもいいじゃないか、と思わなくはないが…おそらくは元々の素直になれないルフレの性格に加えて、何事にも一歩下がって状況を見据える立場でなくてはならない、言わば軍師としての性もあってなかなかそうもいかないのではないか、そうリンクは分析していた。いやはや、なんとも厄介な職業病である。

「I love you」の伝え方 ( No.127 )
日時: 2017/06/15 00:28
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)


リンク(……あいつも如何せん好意の伝え方がやたら回りくどいというか、不器用というかな。つか、あのルキナが自分から抱きついた時点で察してやれよ!!…なんにせよ、感心はしないな。恋人に「愛されてると実感したい」だなんて不安にさせる男は。さて、この悩みはどう解決したものか…)


リンクはずきずきと痛む耳をさすりながら、悩める後輩カップルの恋路をどう軌道修正したものか考える。それからすっかり冷めたティーカップに口をつけながら、ふとルキナのいる方向に視線をさ迷わせ……



リンク「…あ……」
ルキナ「…?どうかしたのですか?」


つい声を上げてしまった。その声に気づきキョトンと首をかしげるルキナに誤魔化すように何でも無い、と慌てて生返事を返すも、一度目についてしまったそれを意識するなという方が難しい。いくらなんでもタイミングよすぎないか、と一人心の中でツッコミを入れる。
さて、この下手したら修羅場一歩手前の妙に気まずい心境をどうしようか。平静を装いながらリンクはそんなことを考え…



リンク(……よし。こうなったらちょっとからかってやるか)



…何をどうしたらそんな発想にたどり着いたのか、そんなぶっ飛んだ結論を叩き出した。
まあ、ちょっとばかし意地の悪い気もするし良心が痛まない訳ではないが、ルキナがこれだけ本気で悩んでるんだ、ああゆう頭でっかちにはこれくらい思いきってお灸をすえてやってやった方がいい薬になるだろう…リンクは目の前でしょんぼりするルキナを見据えながら心の中でそう言い訳をし紅茶をぐいっと飲み干す。

それからおもむろにカップをかちゃりと置くと、偶然見つけた風を装いながら「ん?」とルキナの口元に視線を向けた。

リンク「…ん?ルキナ、口の横に食べかすついてるぞ?」
ルキナ「え?本当ですか?やだ、ごめんなさいはしたなくて…;」

すると先輩の企みなど当然知るわけ無いルキナは、騙されてるともつゆ知らず、有りもしない食べかすを急いで拭おうとテーブルの上の紙ナプキンに手を伸ばす。
…しかし、その手がナプキンを取ることは出来なかった。


ルキナ「…え、リンクさん?」
リンク「いや、いい。そのままじっとしてろ」

何故なら、ルキナがナプキンを取るよりも先に、リンクの左手がルキナの右手を掴んで制止したからだ。驚きのあまりルキナの動きが止まったのを確認するとリンクは手をパッと離す。そして、テーブルに身を乗り出し…



ルキナ(……え?)




次の瞬間には、ルキナの眼前にリンクの顔が迫ってきていた。





ルキナ「ーーー!!??!?あの、リンクさん一体これは…!?;////」

想定外の事態に思わず何かされるのではないかと考え、身体をガチガチに硬くして身構えたルキナだったが、リンクは何をするわけでもなくルキナと一定の距離を保ち続けるだけである。なんとか後ろに下がって距離をとろうにも、イスに座っている状態ではろくに動くことも叶わず、ガタガタと耳障りな音を立てるだけだった。

リンク「安心しろ、取って食おうとか野暮なことは言わないしそんなつもりもないから。いいからあと少しだけじっとしていてくれ」
ルキナ「そ、そんなこと言われてもっ…!?」

ルキナは律儀な性格故か、それとも単に予想外の展開にキャパシティがオーバーしているのか、リンクの放った「じっとしていろ」という言葉通りにひたすらじっとすることしか出来ない。そのため、蒼く透き通った目、艶のある金色の髪、薄く形の整った唇、程よく日に焼けた肌、そのすべてを至近距離でまじまじと見つめてしまう。
リンクに対する恋愛感情は当然これぽっちもないにしろ、不意討ちで整った顔立ちの、しかも先輩とはいえ異性が目前に迫ってきたのだ。目前に異性の顔が迫るというシチュエーションに対する羞恥からルキナの頬にじんわりと熱が集まり、みるみる赤く染まっていったのは仕方のないことだろう。

ルキナ(う、うわ、リンクさんってこうして見るとお綺麗な顔をしてます……髪もさらさらしてて艶があって、それに、睫毛も意外と長い…;///)

そういえばいつだったか、女子組でのティータイム中に恋バナから発展して恋人の容姿の話題になった際、リンクの恋人であるハイラルの王女が彼の顔について「お人形みたいに綺麗」と熱弁してのろけていたな、とルキナはぼんやりとした思考の片隅でふと思い出す。当時は確かに美形ではありますね、と思う程度でそこまで深く意識しなかったが、こうして近くで観察してみればなるほど彼は確かに端整な顔立ちをしている。

ルキナ(……でも、ゼルダさんには悪いですが、ルフレさんだってリンクさんよりもずっとずっと格好いいです……)

…それでも、心の片隅でついそんなことを思ってしまうのは恋人の贔屓目なのか、はたまた惚れた弱みなのか。なんだかんだ言いながらも自分はルフレに弱いんだな、とルキナは他人事のようにぼんやりと考えていた。




リンク「……そろそろ来る頃だな」


と、そんなことを考えているうちに、リンクの顔がすいっと遠ざかる。先ほどまでの真剣な眼差しから一転、ハイラルの勇者はその顔にまるで悪戯を仕掛けた子供のような無邪気だがどこか意地の悪い笑みを浮かべていた。

ルキナ「あの……今のって…えっと……///;」
リンク「はは、驚かせて悪かったな。…それとルキナ、後であの頭でっかちに言っておけ。「あまり意地はってばっかいると、知らない誰かに大切なもん横取りされるぞ」ってな」
ルキナ「え?あのー、それってどういう……」

リンクが放った誰かへの伝言ともとれる発言に、ようやく赤みの引いてきた頬を抑えながらルキナが首をかしげる。意味ありげな笑みと台詞の真意がまるでわからないルキナが、さらにリンクを問い詰めようとした、まさにその時であった。






「……ふーん、ずいぶん楽しそうじゃねーか?」





ルキナの真後ろから、いかにも低く不機嫌そうな声が聞こえてきたではないか。その決して聞き間違えようのない、しかし怒りを孕んだその声にルキナの身体が金縛りにあったかのように硬直する。ギギギと上手く動かない首を動かして恐る恐る振り向けば、そこには…


ルフレ「何をしてたんだ?俺も混ぜろよ…???」
ルキナ「」


はい、めっちゃくちゃ凄みのある顔でこちら…というよりも自身の向かいにいる先輩を睨みつけるルフレがいました。


ルフレ「…………」
ルキナ「る、ルフレさん!!一体……一体いつからそ、そこに……!?;;」
リンク「やっぱり来たな。ようルフレ(・∀・)ノ」

ルフレの顔は、自分が睨まれたわけでもないのにルキナが思わず「ひぃっ!」と身を引くくらいに凄まじく、近くにいるだけでも殺意がひしひしと突き刺さってくる。しかし一方のリンクはというと、そんな殺意を受けても尚怯む様子も悪びれる様子もなく、左手をヒラヒラと振ってルフレを迎え入れた。


ルフレ「ようルフレ、じゃねーよ。お前、ルキナに何をしていたんだ??」
リンク「何もしてないぞ。強いて言えば、先輩として迷えるルキナの相談に乗っていただけだ」
ルフレ「………」
リンク「疑ってるなら本当かどうかをルキナから聞けばいいさ。…それよりもお前、いいのか?」
ルフレ「あ……?」
リンク「ここにいるとルキナが俺に何されるかわからないぞ?さっきはお前に邪魔されたが、俺だって二度も同じ失敗はしないさ。さっさとルキナを捕まえてかっさらえばどうだ?」

「I love you」の伝え方 ( No.128 )
日時: 2017/06/15 00:55
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)


悪戯をしかけた子供のような笑みをそのままに、挑発とも挑戦ともとれる言葉を放つリンクをルフレはギロリと睨み付けた。そのまま数秒間、言い様のない沈黙が場を支配する。


ルフレ「……ちっ、言われなくてもそうしてやるっつの!!ルキナ、行くぞ!!」
ルキナ「え?ちょっルフレさんその言い方は失礼ですよ…ってルフレさんどこにいくんですか!……あ、リンクさん今日はありがとうございました!また後で!」
リンク「はいはい、上手くやれよ〜。あ、そうそうルフレ、剣士組の会議について後でLINE送るからちゃんと見ろよ。ルキナに夢中になりすぎて既読無視とかは止めてくれよ〜」
ルフレ「うるっせぇ分かったから黙ってろ!!つか、いちいち茶化すんじゃねぇ狼勇者が!!」
ルキナ「ルフレさん!!!;」


と、やがてルフレは舌打ちを一つ溢すと、そのままぐいぐいとルキナの手を引っ張ってテラスを離れていく。リンクはそんな失礼な後輩達の様子など気にすることもなく、むしろ茶化しすらも交えながら呑気に手を振り、去り行く二人を見送った。




リンク(…さてと、あいつらはもう向こうに行ったな?ルフレもちゃんと男を見せてくれればいいんだが…)

二人が去った後リンクがくるりと周囲を見わたせば、お悩み相談室もといルフルキカップルの痴話喧嘩会場となっていたテラスはあっという間に静かになり、スマブラ屋敷屈指のくつろぎ空間へとすっかり逆戻りしている。そのまま数秒間耳を澄まして二人の声が聞こえなくなったのを確認したリンクは、何をするつもりなのかポケットからスマホを取りだすと、ホーム画面に軽く触れてLINEを立ち上げた。

リンク(…本当なら、相談に乗った後はまた一人でティータイムの続きをするつもりだったんだがな。まさかこんなに当てられるとはな)

左手で画面をタップしてメッセージ送信欄を立ち上げ、そこに手早く文章を打ちながらリンクは内心一人ごちる。
初々しくて甘酸っぱく、時にはすれ違いをしながらも結局は互いに互いを深く思っているルフレとルキナ。からかっている最中こそ表情には出さなかったものの、後輩二人の恋路にリンクは内心すっかり当てられてしまっていた。

…そして若いカップルに当てられた今、彼は「彼女」に無性に会いたくて仕方がなかった。


リンク「ついお節介しちまったが、俺も案外あいつらと大して変わらないのかもな」

さて、メッセージを受け取った彼女がここに来たら、まずはどろどろにとろけるくらいに甘やかそうか。それから沢山自分の気持ちを伝えてあげよう。その時、彼女はどんな顔をしてくれるだろうか…。
リンクははやる気持ちを抑えながらLINEの送信ボタンをタップするとスマホを傍らに置き、左手で苺をひょいっとつまんで口に放り込んだ。





ルキナ「ルフレさん……あの、きゃあっ!!」
ルフレ「…………」


さて、テラスを後にしたルフレがそのままルキナの手を引き向かったのは、スマブラ屋敷の自分の部屋。部屋にたどり着くや否やルフレは、室内にルキナを招き入れ…というよりも部屋に放り込むと、そのまま素早く後ろ手に鍵をかけてしまう。これでルキナは、ルフレから逃げることが出来なくなった。
鍵のかけられた部屋で恋人と二人きりという、本来ならばこの後の展開への期待で胸をドキドキさせるであろうシチュエーション。しかし残念なことに、現在ルキナの目の前にいるのは、これでもかというくらい不機嫌さをにじませた顔で自身を壁際に追い詰め、身長差を持って為てギロリとルキナを見下ろし睨みつけるルフレ。当然ながら、そこに少女漫画のような雰囲気などあるはずがなく、ルキナの心臓はひたすら警鐘を鳴らし続けている。


ルキナ「…あ、あの、ルフレさん。その…どうしてそんなにお怒りになってるんですか…?」
ルフレ「…じゃあ聞くが、ルキナはどうして俺が怒ってるのか心当たりはないのか?」
ルキナ「え?えっと………?」

ルフレに壁際に追い詰められながらも恐る恐る訪ねるルキナだが、逆に質問に質問で返されてしまい、ただただ狼狽えることしかできない。一方のルフレは、そんなルキナの反応は想定内だったようで、はぁとため息を一つ溢した。

ルフレ「じゃあ単刀直入に聞くぞ。テラスであいつに何されたんだ?」
ルキナ「…え?あいつって……」
ルフレ「テラスにいた時にお前はあの勇者とやたら接近してただろ?しかも、顔を離した後はやけに顔が真っ赤だったじゃねーか」
ルキナ「接近……あっ!もしかして先程のこと、気にされてましたか?あれは本当に違うんです!私はただ、ちょっとリンクさんに相談事があって、それでその時に食べていたパイのクリームが口についてしまったって言われて…」

どうやらルキナは、ルフレが先程のテラスでのやりとりについて何やら勘違いをしていることに思い至ったようだ。なんとか彼の誤解を解こうと、たどたどしくも必死にルキナが弁解する。

ルフレ「はぁっ?た、食べかす!?じゃあ、あんなに顔を赤くしてたんだよ!?」
ルキナ「いきなり異性、しかもあんなにお綺麗な顔立ちの方が急接近してきたんですから、あんなの誰だって赤くなりますよ!!…あ、そういえばあの後、あのあたまでっかち?に伝えとけとか何とか言ってましたっけ」
ルフレ「伝える?何をだ?」
ルキナ「なんでも、意地はってると大切なものを横取りされるとか…頭でっかちって、多分ルフレさんのことじゃないですか?」
ルフレ「横取り……?」


ルキナの言葉にルフレは、ある程度頭をクールダウンさせてこれまでの展開やリンクの言動の意図などを考え始めた。相変わらずルフレを見上げる格好のルキナも、ここで下手に刺激しても後が怖いだろうとそのまま静かにルフレの様子を伺う。
……そしてそのままたっぷりと間を置き、言い様のない沈黙が場を支配すること数十秒。





ルフレ「…あぁぁぁぁぁ!!つまりそういうことかよ……!くっそ、俺としたことがしてやられた……!! 」
ルキナ「る、ルフレさん!?」




ルフレが額を抑えながら、がっくりと膝から崩れ落ちた。慌ててルキナがルフレの顔を覗き込めば、ただでさえ深かった彼の眉間の皺がますます深くなっている。

ルキナ「あの、してやられた…というのは……?」
ルフレ「要は、俺らは二人揃ってまんまとからかわれたんだよ…。あいつ、こうなることを見越して俺に見せつけるためにお前にわざと顔を近づけたんだ」
ルキナ「え……そうだったんですか!?でも、道理でお顔が近い割には何もされないなと思いました…」

そうだ、あの時はついつい様子を伺うことに夢中になっていたが今になって考えてみれば、人一倍気配に敏感な彼のことだ、背後にいた自分の存在に気がつかないはずがない。恐らく、それも全て見越した上で彼はあえてあんな行動をとったのだろう。
というよりもそもそもの話、スマブラ公認の嫁ラブで有名なリンクがルキナを「そういう対象」として見ているかと聞かれたら、10人中10人がノーと答えるだろうし、彼がルキナに抱く印象自体ピットやブラピやムジュリンに対してのそれと何ら代わりないはずだ。その証拠に、別れ際に彼が放った「ここにいるとルキナが俺に何されるかわからないぞ?」という言葉を某エキサイトな翻訳にかけてみれば、そこに出てくる説明文は恐らく「やべぇ剣士組の後輩兼妹分が悩みまくってて見てられねぇこの子を泣かせる奴は許さん」という父性本能丸出しの文章になることだろう。おい、ゆがみねぇな剣士組のお父さん。


ルフレ「……ったく、お陰でこっちはとんでもなく焦ったんだぞ…。そもそも、意地とか横取りとか余計なお世話だっつの!!忠告するならするで普通にしやがれってんだ!!つーか、あんなどこぞの堕天使みてーなたちの悪いやり方するとか聞いてねーぞこっちは!!!クソガキがクソガキならその父親も父親だな!!!」
ルキナ「まあまあ、落ち着いてください;というか、父親ってそんな大袈裟な…;」

ルフレは、剣士組のお父さ……じゃなくて先輩にまんまとしてやられた悔しさと、冷静になれなかった数分前の自分を恨むように髪をかきむしりながらひたすらに怒鳴り散らした。ルキナはそんなかんしゃく玉よろしく荒れまくる恋人をまあまあとたしなめながらも、彼のこんな、お気に入りの玩具を取られて八つ当たりする子供のような姿は初めて見るかもしれない、とふと考える。

ルキナ「それにしても…ふふっ」
ルフレ「…何がおかしいんだ?」
ルキナ「いえ。だだ、なんだか意外だなぁって思って。ルフレさんにもそんな子供みたいにイライラする時ってあるんですね」
ルフレ「当たり前だろ…俺だって人間なんだ、イライラの一つや二つくらいするさ。お前だって何度も見てきたんじゃないか?」


感想まだ

「I love you」の伝え方 ( No.129 )
日時: 2017/06/15 00:33
名前: 抜間さん (ID: z/hwH3to)


ルキナ「確かにギャグカオス組や裸族への反応は何度も見てきましたが、私関連でこんなにルフレさんが感情的になるのは初めてじゃないでしょうか?だってルフレさんって淡白ですし、私にそんなに執着してくださらないでしょう?」
ルフレ「……は?」

ルキナは何気なく言ったつもりであったが、ルフレは突然自身が「淡白」だの「ルキナに執着してない」だのと言われたことに納得がいかなかったのか、思わず素っ頓狂な声を上げながらルキナの肩をガシッと掴んだ。


ルフレ「お前に執着してないとか、それ本気で言ってんのかルキナ…さっきの俺の慌てようを見ても??;」
ルキナ「え?え、えぇ?何のこと、ですか…;」
ルフレ「お前何で俺があそこであの勇者からお前を突き放したのかわかってるのか!?つか、お前俺をなんだと思ってたんだ!?;」
ルキナ「え、だってルフレさん、ちっとも私に好きとか愛してるって言ってくれないじゃないですか…!この前だって、頑張って私からアプローチかけても私ばっかりドキドキして、ルフレさんはいっつも涼しい顔で返すだけですし。それでルフレさんの気持ちが分からなくて不安になって、リンクさんに相談して……」
ルフレ「相談……あー…そういうことか…」

確かにルキナの前では素直になれずに言葉がきつくなったり、つい突き放す態度をとっている自覚はあった。あったのだが…まさかそれが原因でこんなに振り回される羽目になるとは思ってもいなかった。これでも言葉少なながらもルキナを大切にしてきたつもりだし、誰にも取られたりしないように目を光らせてきたつもりではあるが…やはり好意の表し方が極端すぎただろうか、とルフレは頭を抱える。と同時に、ここにきてようやくルキナがリンクにしていたという「相談」の内容と、恋人がいるはずの彼があんな大胆かつリスキーな行動をしてまで自分達二人を振り回した、その本当の理由を悟った。
これは即ちルキナから受け取った「意地はってると大切なものを横取りされる」という伝言の通り、彼なりの自分に対する警告だったのだ、と。



ルキナ「…ルフレさん…私、ルフレさんの気持ちをもっと沢山知りたいです…」
ルフレ「き、気持ち…?」
ルキナ「ですから私、ルフレさんが私のことを愛してるって思いたいんです!もっとルフレさんに沢山触ってほしいですし、好きとか愛してるって言ってだってほしいんです…!!私はルフレさんのこっ、恋人、なんですから!!;///」
ルフレ「うっ……;」

警告されたのは正直なところ癪ではあるが、どちらにしろここまで彼女を不安にさせてしまったのは他でもない自分の言動なのだから、ルキナに自分の気持ちを伝えて安心させてやりたい、という気持ちは勿論ルフレとてある。
…だが、かといって「好きと言ってほしい」と言われたから「好き」と言っても今のルキナに迫られてるシチュエーションでは嘘くさく聞こえかねないし、何よりその…そういう言葉を言うのは自分がこっ恥ずかしい。

ルキナ「ルフレさん……!」
ルフレ「うううううううぅ…………!!!///;」

ルフレはルキナへの想いと、それに勝る程の羞恥心とで板挟みになった頭でぐるぐるぐるぐると思考をめぐらせる。そして…





ルフレ「だーーーーーー!!もうこうなったら思い切ってやってやる!!だからそんな目でこっち見んなルキナ!!!////;;」
ルキナ「え?ってきゃああああああぁっ!!!!?;;////」



何とルフレがいきなりルキナを無理矢理抱き寄せ、その腕の中に閉じ込めたではないか!!ルキナは突然の出来事にじたばたともがくが、ルフレは一向にルキナを離そうとせず、ルキナを抱きしめ手に力をこめる。
そして、ルフレの腕の中でもがきながらも、何とかルキナが彼の顔を見上げた時。

ルキナ「…あ」

ルフレの形のよい唇がかすかに動き、二文字の言葉を発したのを見た、ような気がした。 もしルキナに読唇術の心得があれば、あるいは猫のように並外れて優れた聴覚を持っていたなら、きっと彼女は不器用な恋人の愛の告白をはっきりと聞くことができただろう。しかし、今ルキナが聞くことが出来るのはルフレの心臓の音だけである。

ルフレ「ルキナ…聞こえるか?」
ルキナ「…告白なら聞こえませんでした」
ルフレ「ちげぇって。そっちじゃなくて、こっちだよ」
ルキナ「こっち…あっ……」

自身の心臓の音を聞かせるかのように、ルキナの頭を抱えるように抱き込むルフレ。手厳しい忠告を受けたのも勿論だが、何よりもルフレだって一人の男なのだ。振りだったとはいえ、恋人が男に目前まで迫られて何もしないでいられる程ルフレも聖人君子ではない。しかし、いざ彼女を前にすると意地が勝ってしまいついついそっけなく接してしまう。

でも、だからこそこうして彼女に触れていると強く実感させられるのだ。



ルキナ「…ルフレさんの心臓の音…すごく早い……私に負けないくらいどくんどくんって、早いです…///;」
ルフレ「んなもん当たり前だろ…ルキナが、こんな近いんだから…///;」



…結局のところ、どう言葉や態度で自分に言い訳しようが、ルキナのことを本気で好いていることに変わりはないのだ、と。




ルフレ「…お前、これを聞いてもまだ俺がお前の前でなんとも思ってないって言うのか?」
ルキナ「いえ、言いません……;///」
ルフレ「ん、素直でよろしい…」

ルキナの顔は誰が見ても分かるくらいに真っ赤に染まっており、そろそろとルフレの胸に頬をすり寄せると幸せそうにほうと息をついた。ルフレもほんのりと赤みを帯びた顔でそれを受け入れる。
ふと、ポケットに入れたスマホからLINEの通知音が聞こえた気がしたが、ルフレは聞かなかった振りをする。そして、ルキナのこんな顔が見られるのなら、たまにはあんたの言うとおり素直になるのもいいかもな…と、メッセージの贈り主であろう時の勇者に心の奥底で悪態をつきながらルキナの頭をそっと撫でた。


ルフレ「…まあでも、このままあの勇者に鼻で笑われ続けるのは勘弁だしな?…俺も、もっとはっきり伝えられるように努力はしてやるよ…」
ルキナ「ううううぅ……お、お手柔らかにお願い、します、ね…////;;」



終わり


【あとがき】

はい、今回は以前書いたまともなノマカプ文が甘々ラブラブなリンゼルだったので、今回は初心者カップルのノマカプを書いてみよう、ということでルフルキを執筆してみました。一応テーマとしてはあんまり好きと伝えられないけど本当はルキナが大好きして時には嫉妬だってしちゃうルフレと、そんなルフレにもやもやしてしながらも結局ルフレ大好きなルキナの恋模様だったりします。なので地の文章もそれっぽくなるようにしたのに加えて、某ジャンルの二次創作でたまたま目にした「恋人が知り合いにキスされそうなくらい近づかれて、それにやきもきして思わず嫉妬してしまう」シチュがかなりドストライクで、それをルフルキでやったらどうかと思って作中で取り入れてみました。しかし、頑張ったもののうちにはこれが限界でした;甘々ってムズイネー…。
ちなみに恋愛相談役を勇者にしたのは、一番ルフルキを引っかき回してくれそうな常識人だったからです。マリピチだと高確率でギャグになるし、ファルサムは論外だし、ゼルダだと絵面が完全に百合だし。我ながらこの勇者いい仕事してくれたよ、うん。



今回はここまで。コメントあればどうぞー。

Re: SNS的(非)日常観察日誌2 ( No.130 )
日時: 2017/06/15 10:54
名前: 竜 ◆CmqzxPj4w6 (ID: Mg3hHTO1)

二次選考の結果を今か今かと待ち続けて、若干憂鬱気味になりかけてるゴリラ作者の竜です。

ルフルキカップルは相変わらずですねー。自分に彼女がいないからか、何回か爆ぜろって思いましたけど。(笑)
それぐらい嫉妬してるってことですね。

リンクはやっぱりイケメンだな・・・。


うちんとこのルビサファなどの公式(非公式)カップル勢もこういう話をかけたらなぁと思いながらクトゥルフやってます。(笑)最近エヴァ組も増やしましたのでまたどうなることやら。相変わらず古いネタから新しいネタまでカオス満載の卓ですけどね。

そちらも忙しい中更新お疲れ様でした。お互いに頑張りましょう。


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