二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜
日時: 2016/12/24 22:01
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

皆さんこんにちは!ひのりです!
以前まで春太郎という名前で書いていたのですが、雑談掲示板の方での名前変えたのでこっちでも変えました!
今回は二か月ぶりにフレッシュプリキュアの小説を書いていきたいと思います!
いやぁ、ブッキー可愛いよ。うん、ブッキー可愛い。
ちなみにタイトルはそこまで意味ないです。適当に考えましたw
では、稚拙な文章になると思いますが、温かい目で見てやってください。
それでは、よろしくお願いします。

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Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.18 )
日時: 2016/10/30 15:33
名前: ひのり (ID: uzSa1/Mq)

 突然、音楽を流すための機械がソレヨコーセになり、私はそれを見上げた。

「フフッ、プリキュア。さっさと変身しなさい」

 その時、どこからか現れたメイスは、そう言ってニヤリと笑みを浮かべた。
 それに、彰君はすぐにミユキさんの腕を掴んで走っていく。
 私たちはそれを見送りつつ、すぐにリンクルンを構えた。

「行くよ、美希たん、ブッキー、せつな!」

 変身した私たちは、すぐにソレヨコーセの元に駆ける。
 そこに飛んできた触手をいなしてかわし、私は両手に拳をつけて上からソレヨコーセに打ち付けた。
 ビリビリと震動が伝わってきて、私はそれに顔をしかめる。

「ダブルプリキュアキック!」

 そこにベリーとピーチのキックが加わり、揺らいだソレヨコーセの体を思い切り蹴り飛ばす。
 ソレヨコーセが飛んでいく場所にはパッションがいて、すでにパッションハープを構えていた。

「吹き荒れよ、幸せの嵐!ハピネスハリケーン!」

 赤い竜巻がソレヨコーセを包み込むが、すぐに無力化される。

「やっぱり効かないかぁ〜!」
「そうね……やっぱりピーチのピーチロッドシンフォニーを使うしかないわ」
「分かった!」

 ベリーの言葉にピーチは頷き、リンクルンからピーチロッドシンフォニーを出そうと構えた。
 その時、ソレヨコーセの触手がピーチを襲い、彼女の体を締め付けてしまった。

「ピーチッ!」
「キュアピーチさえ押さえてしまえば、ピーチロッドシンフォニーは出せまい。勝負あったな、プリキュアッ!」

 メイスの言葉に、私は唇を噛みしめた。
 どうしよう?このままじゃ、勝てない……。
 私含めた残り3人の武器もパワーアップさせる?確実にできるわけじゃない、希望論でしかない。
 もっと確実に勝てる方法……それは、ピーチをソレヨコーセの触手から解放する。

「はぁぁぁッ!」

 私は駆け出し、ソレヨコーセにエルボーを入れた。
 左肘に全体重を込め、ソレヨコーセの体を数センチ後ずさらせる。

「パインッ!?」
「私は、いつも戦闘では役に立てないし、足を引っ張ってばかりだけど……」
「そんなこと!」
「でも!彰君に教えてもらったの!人の目なんて気にせずに、自分を信じて思い切り動くことも大切なんだって!だから、私は、自分も、皆のことも、信じる!」
「キュアキュアプリプー!」

 その時、シフォンちゃんの声が聴こえた。
 それと同時に、胸のクローバーマークが黄色に光った。
 直後、リンクルンからパインフルートが飛び出し、それも光が包み込み、やがて形状が少し変わったものになる。
 それが何なのかと考えた数瞬後、頭が勝手に、この武器が何なのかを理解する。

「癒せ、祈りのハーモニー。キュアスティック、パインフルートシンフォニー!」

 そしてそのキュアスティックを奏で、振り、「悪いの悪いの飛んでいけ!」と声を張る。

「プリキュア!ヒーリングブレアフレーッシュ!」

 黄色のダイヤを作り、ソレヨコーセに飛ばすと、それは浄化されていった。

「クッ……次こそは!」

 メイスはそう言って悔しそうに親指の爪を噛み砕くと、去って行った。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.19 )
日時: 2016/11/01 16:11
名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)

「皆ッ!」

 戦いが終わり、変身を解いた皆に、僕は駆け寄った。
 今までは、戦っているのが知り合いでもなんでもなかったから、写真を撮る余裕なんてものが存在していたが、今は僕を守るためにと戦ってくれる、女子。
 写真を撮る余裕など存在するはずもなく、ただ心配しながら見守っていることしかできなかった。

「彰君……」
「怪我とかしてない?打撲とか、擦り傷だとか」
「大丈夫だよ。なんたって、ブッキーがナケサケーベを浄化してくれたんだもの!」

 桃園さんはそう言ってサムズアップをした。
 僕はそれにホッと安心しつつ、山吹さんに目を向けた。

「山吹さんもお疲れさま。すごかったね、新しい技」
「う、うん……えと、ありがとね、彰君」

 山吹さんの言葉に、僕は首をかしげる。
 ありがとうと言われる覚えがない。一体、何に対しての感謝なのだろうか?
 僕の態度に、山吹さんは「えっとね」と続けた。

「彰君が、人の目とか気にせずに思い切り楽しんでみなよってアドバイスしてくれたから、ダンスも、今回の戦いでも、皆の役に立つことができたんだよ」
「えっ……いや、そんなの大したことじゃないよ。それに、最終的に行動したのは、山吹さんでしょ?」

 僕が聞くと、山吹さんは首を横に振った。

「彰君のアドバイスがあったから、私は行動に移すことができた。彰君のおかげだよ。ありがとう」

 そう言って、彼女はニッコリと微笑んだ。
 その笑顔を見た瞬間、僕の心臓はドキッと音を立てた。
 彼女の笑顔は、なんだか、他の人の笑顔よりも輝いて見える。
 まるで、心の中の冷たい部分を解かされてしまいそうな暖かさや、傷ついた部分を治す、癒しの力を、感じるんだ。

「こちらこそ……ありがとう」

 だから僕も、お礼を言った。
 彼女は首を傾げるが、僕は一人で満足した。

−−−

「……なぜだ」

 離れた場所から、私はとある光景を眺めて呟いた。
 私の視線の先では、北乃君とキュアパインが、二人で笑い合っているのだ。
 二人の頬はどこかほんのり紅く染まり、傍から見ればお似合いのカップルでしかない。

「あらあら、美男美女の可愛いカップルがいるじゃない」

 そんな私の思考を知ってか知らずか、近くを通りかかったおばさん二人の内の一人が言った。

「本当ね〜。あら?女の子の方は、山吹動物病院の、祈里ちゃんじゃない?」
「あらまぁ、別嬪さんに育っちゃって。良いわねぇ、若いって」

 私はそんな会話を聞きつつ、二人を睨む。
 その二人のところに、キュアピーチやキュアベリーなどが茶化すように何かを言い、それを聞いたキュアパインは顔を真っ赤にして否定する。
 北乃君は普通にごまかしているような感じだが、耳まで顔を真っ赤にしていた。

「……私以外の人間の幸せなんて、消えてしまえばいいのに」

 私は呟き、すぐにその場を去った。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.20 )
日時: 2016/11/02 18:25
名前: ひのり (ID: uzSa1/Mq)

「ただいま〜」

 僕が家に帰ると、タタタッと廊下を走ってくる音が聴こえた。
 見ると、それは妹の千香だった。

「お兄ちゃんおかえり〜!」
「千香。遅くなってごめんな。すぐに晩ご飯作るから」

 僕が言うと、なぜか千香はフフンと胸を張り、僕の制服の袖を引っ張った。
 そして彼女に連れていかれ食事をする部屋に行くと、そのテーブルには料理が乗った皿が並べられていた。

「これは……」

 ……ベチャベチャしたご飯(というかお粥?)に、やけに色の濃い味噌汁。八割が黒い肉らしきものに、唯一まともに見える不格好なサラダ。
 こんなもの食べられるかと言えればどれだけ救われるだろうか。
 しかし、隣にいる妹の輝く目を見ると、そんなひどいことは言えない。

「……お前一人で作ったのか?」
「うん!いつもお兄ちゃん勉強とか頑張ってるから、ちかも手伝いたいなって思って」

 なんて良い子なんだ!
 僕は可愛らしい妹の目に負け、結局食べることになった。

「……もぐもぐ」
「どう?美味しい?」
「あぁ……すごく美味しいよ。ただ、どれも少し味が気になるかな」

 あぁ、サラダが一番おいしい……。

「そっかぁ……」
「そうだ、今度の土日に一緒に料理しようか」
「本当に?」
「あぁ、約束だ」
「やったぁ!」

 喜ぶ妹の頭を撫でながら、僕は晩ご飯を完食した。味に関してはノーコメントで。
 そういえば、千香も同じメニューを食べていたけど、何も言わなかったな。
 味覚狂ってなければいいんだけど……。

 食事を終えた後は、千香が小学校で起こったことなどを話すのを聞きながら、お茶を飲むのが日課だ。
 今日の話は休憩時間のドッジボールでの大活躍のことだった。

「えっとね、コートの中でちか一人になっちゃったんだけどね、投げられたボールをちかがキャッチして投げたら、二人に当たったの!」
「へぇ、それはすごいじゃないか」
「うん!結局当たっちゃったんだけど、後で皆がすごかったねーって褒めてくれたんだよ!」
「良かったな。去年は入院していたのが嘘みたいに元気になって」
「えへへ。これも全部プリキュアのおかげだね!」

 千香の言葉に、僕は山吹さん達の顔を思い浮かべた。
 というか、すぐに顔が出てきたのが山吹さんだったんだけど、なんでだろう。

「そういえば最近、前に千香がお世話になったお姉ちゃん達と仲良くなったんだ。もしお姉ちゃん達が良いよって言ってくれたら、今度一緒に遊んでもらうか?」
「本当!?」

 僕の言葉に、千香はパァーと顔を輝かせ、大きく頷いた。
 よしよし。明日聞いてみるか。
 その後もしばらく話した後で、千香は小学校の宿題をするために自分の部屋に行った。
 僕も写真の整理や、明日の準備をするために部屋に行こうとした。
 その時、家の電話が鳴った。

「もしもし?」
『あ、彰?千香は元気してる?』

 相手は母さんだった。

「あぁ。千香も僕も元気だよ。母さんは?」
『最近仕事が忙しくて、今日も中々帰れ無さそうなのよ。だから』
「はいはい。千香の世話をよろしく、でしょ?分かってるよ」
『そう……ありがとう。明日には帰ってくるから』
「それじゃあ、仕事頑張ってね」

 僕はそう言いつつ、電話を切った。
 母さんは、編集者の仕事をしている。
 千香が入院していた頃は、彼女を心配してしばらく仕事を休んだりしていたが、今ではバリバリ働いている。
 今日は母さんの会社の漫画家さんの締め切りが近いらしく、徹夜で描かせているらしい。

 そんな母さんは、昔、カメラマンである父さんと出会った。
 父さんは、よくモデルなどを撮ったりしており、その写真のやり取りなどで意気投合し、交際、結婚に至ったという。
 父さん曰く、「母さんの仕事に一生懸命な笑顔に、惚れたのさ」らしい。

 でも、一昨年、父さんは亡くなった。
 いや、亡くなったなんて言い方はダメだな。僕が殺したようなものだ。
 その日は、学校の参観日に父さんが来た。
 駐車場が混んでるからと、父さんは歩きで来ていたので、帰りは歩いて帰った。
 僕は父さん子だったので、父さんと一緒に帰れて、テンションが上がっていた。
 そして、赤信号に気付かず、父さんはトラックに轢かれて……———。

「うッ……」

 思い出す度に吐き気に催される。
 僕はトイレに駆け込み、そこに千香が作った晩御飯を吐き出してしまった。
 食べている間は何度も吐こうと思ったけど、それでも無理矢理食べたのに。

「ハァ……ハァ……ぐッ……オエッ……ハァ……」

 何度も肩で息をして、ようやく落ち着く。
 こうなるから、今まで忘れていたのに……なんで、思い出したのかな。それに……———。

「なんで……山吹さんが……」

 そんな僕の頭の中では、未だに彼女の笑顔がちらついていた。
 僕は立ち上がろうとしたが、久しぶりに吐いたりしたせいか、そのまま扉に背中を預けて座り込んでしまう。
 でも、なんでかな……。瞼の裏に焼き付いた山吹さんの笑顔を見ている内に、少しずつ心が軽くなっていくような感覚がした。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.21 )
日時: 2016/11/03 15:53
名前: ひのり (ID: uzSa1/Mq)

「ふわぁ〜〜」

 朝。私は、いつもの通学路を歩きながら大きくあくびをした。
 眠い……私は目をこすり、前を見た。
 その時、前の脇道から、見覚えのある姿が出てくるのを見かけた。

「あっ!真代ちゃーん!」

 昨日転校してきた真代ちゃんだ!
 私は手を大きく振って、彼女を呼んだ。
 そして、鞄を持ち直して駆け寄ろうとした。

「……ッ!」

 しかし、彼女が私を見た瞬間、一瞬、足が止まってしまった。
 冷酷で、まるでゴミを見るような、冷たく、残酷な目。
 蛇にでも睨まれたように、私は足を止め、唾を飲み込んだ。

「あっ……ラブちゃん!おはよう」

 そこで、真代ちゃんがそう言って手を振った。
 気のせい……かな?きっとそうだろう。
 私はそう思い込み、自分の頬を思い切り叩いて、改めて彼女に駆け寄った。

「一緒に学校に行こっ!」
「えぇ。良いわよ」

 そんな感じで、二人で話しながら学校に向かった。
 校門を入った時、目の前をすごい速さで誰かが横切っていくのが分かった。

「今のは……?」
「北乃君ね」

 困惑した私の隣で、真代ちゃんは冷静に言った。
 えっ。今の目で追えたの?

「彰君って足速いんだね〜!運動部入れば良かったのに」
「……彼は今の部活が好きなんでしょう?だったら、彼が好きなことをするのが一番よ」

 大人びた意見に、私は多少驚きつつも、「そうだね」と言った。

「それにしても、なんであんなに急いでいたんだろう?折角だから、後追いかけてみる?」
「そうね。行きましょうか」

 私に同意するや否や、真代ちゃんはスタスタと早歩きで歩いて行く。
 あまりの行動の速さに、私は驚きつつもすぐに駆け寄った。

 彰君が行ったのは運動部で、そこで彰君が朝練をしている部活の写真を撮っていた。

「あっ、彰君おは———」
「北乃君。おはよう」

 私が挨拶するより前に、真代ちゃんはそう言って彰君に近づいた。
 しかし、彰君は特に気付かずに、シャッターを切り続ける。

「あ、彰君……」
「よし。良い写真撮れた!おーい!」

 写真が撮れた彰君は、ちょうど休憩に入った野球部の所に駆けて行った。
 それを見た真代ちゃんは目を見開き、しばらく考えた後で俯いた。

「ねぇ、真代ちゃん……」
「……なぁに?ラブちゃん」
「真代ちゃんは彰君のこと、好きなの?」

 私が聞くと、真代ちゃんの目は大きく見開かれた。
 そして、しばらく目を泳がせた後で、「なんで分かったの?」と聞いてきた。

「そりゃ分かるよー!それだけアピールしていれば!」
「そ、そうかしら……?」
「でもそっかぁ〜。彰君かぁ。まぁ、イケメンだからね〜。優しいし」

 そうやって、私一人で納得していた時、昨日ブッキーと彰君がいい関係になっていたことを思い出した。
 ブッキーの態度とかから察するに、少なくとも、二人とも好意くらいは抱いていそうだ。
 どうしよう……真代ちゃんを応援するわけにもいかないし、だからってブッキーを応援したら……。

「ねぇ、ラブちゃん……」
「な、なに?真代ちゃ……」
「私たちって、友達だよね?」
「っ……」
「だったら応援……してくれるよね?

 真代ちゃんの吸い込まれるような真っ青な瞳に、私は口ごもる。
 なんとなく危険な気配を悟った私は、すぐに視線をずらした。

「あっ、そういえば私、今日提出の宿題まだ終わらせてなかったんだ〜!早く教室に行ってやらないと〜」

 自分でも苦しい言い訳をしながらどうにか鞄を持ち直し、踵を返してその場を去った。
 後ろから舌打ちが聴こえたのは、気のせいだと思いたい。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.22 )
日時: 2016/11/05 21:31
名前: ひのり (ID: uzSa1/Mq)

「桃園さん」

 今日提出する課題をしていた私に、頭上から声が降ってくる。
 顔を上げると、それは彰君だった。

「あ、彰君。おはよう」
「おはよう。ところで、いきなりで悪いんだけどさ、実は、昨日千香に桃園さん達と仲良くなったこと話したら、一緒に遊びたいって」
「千香ちゃんが!?」

 私がガタッと音を立てて立ち上がると、彰君は笑顔を引きつらせて後ずさった。
 しかし、すぐにいつも通りの笑顔に戻ると、「うん」と答えた。

「桃園さん達に迷惑じゃなければ、今日中にでも小学校に千香を迎えに行って、連れて行くんだけど」
「迷惑なんてとんでもない!きっと、美希たんやブッキーも喜ぶよ!せつなは千香ちゃんとは初対面だけど、きっと迷惑じゃないよ!」
「本当?じゃあ、今日千香を連れて公園に行くよ。……あっ、でもその時にメイスとかに狙われる可能性もあるか」

 彰君の言葉に、私も、メイスが彰君を狙っていることを思い出した。
 こんな時に!と思ったところで、良いことを思いついた。

「そうだ!じゃあさ、先に公園で合流してから、小学校に迎えに行かない?」
「あぁ、それは良い考えだね。うん、賛成」
「二人で何の話をしているの?」

 彰君が少し上機嫌な様子で賛同した時、おしとやかな声が割り込んできた。
 見ると、それは真代ちゃんだった。

「ま、真代ちゃん……」
「ラブちゃん。彰君とどんな話をしていたの?教えてくれないかしら?」

 言い方は疑問形だが、その奥底には、嘘は許さない。本当のことを言え、という、強い意志を感じた。
 それを聞いた彰君は、「別に大したことじゃないよ」と言った。
 それを聞いた真代ちゃんの眉は、ピクリと動いた。

「……なんで彰君が答えるの?それに、その言い方は何かを隠しているように聞こえるけれど」
「本当に大したことじゃないってば。ただ、僕の妹と桃園さんが知り合いで、妹が桃園さん達と遊びたいって言うから、その予定を話していただけ」
「……ふぅん」

 真代ちゃんはそう言って私の顔を見た。
 その目が、なんだかとても冷たいもので、私はつい目を逸らす。

「まぁ、そういうわけだから、迷宮さんが気にする必要は何一つないよ」
「……」

 真代ちゃんの目が、どんどん鋭くなっていくような気がした。
 私は、慌てて二人の仲裁に入った。

「真代ちゃんは彰君と仲良くなりたいんだよ!そうだよね?」
「えっ……えぇ……」
「だったらさ、明日辺り、二人でどこかに出かけてみればいいじゃない!」
「えぇ!?」

 彰君は、私の言葉に目を見開き、裏返った声を出した。
 私はすぐに彼の腕を引っ張り、真代ちゃんから離れると、彼の肩に手を置いた。

「彰君。一生のお願い!真代ちゃんとデートして!」
「えぇ!?やだよそんなの……迷宮さんが嫌いってわけじゃないけど、その……」

 そう言って、乙女のごとく頬を赤らめ目を逸らす彰君に、離れた場所でこちらを見ている真代ちゃんの顔が明らかに曇る。ヤバい!

「お願いだよ!真代ちゃんのことは私もよく分からないけど、きっと良い子だし、仲良くなれるから!」
「うぅ……まぁ、桃園さん達にはお世話になっているし、その恩返しになるなら……」
「本当!?ありがとぉー!」

 私は感謝し、彰君の腕を握ってブンブン振った。
 そこで、真代ちゃんの冷たい視線を感じて、慌てて手を離す。
 その様子を見て彰君は苦笑しつつ、真代ちゃんの所に行き、何か予定を合わせていた。
 彰君の言葉に、真代ちゃんが嬉しそうに笑うのを見て、私の心はなんだか嬉しくなった。
 しかし、ブッキーのことを思い出すと、複雑な心境になった。
 私は、どっちを応援すればいいのかな……。


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