二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【完結】フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜
日時: 2016/12/24 22:01
名前: ひのり (ID: uLF5snsy)

皆さんこんにちは!ひのりです!
以前まで春太郎という名前で書いていたのですが、雑談掲示板の方での名前変えたのでこっちでも変えました!
今回は二か月ぶりにフレッシュプリキュアの小説を書いていきたいと思います!
いやぁ、ブッキー可愛いよ。うん、ブッキー可愛い。
ちなみにタイトルはそこまで意味ないです。適当に考えましたw
では、稚拙な文章になると思いますが、温かい目で見てやってください。
それでは、よろしくお願いします。

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Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.3 )
日時: 2016/10/19 16:00
名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)

学校の部活で暇なのでオリキャラのプロフィール作りました

名前:北乃 彰
読み方:きたの あきら
性別:男
性格:優しくて気さくな少年。人の笑顔を見ることが好きで、その笑顔を写真に残すことを生きがいとしている。
備考:フレッシュプリキュア第18話に登場した千香の兄。桃園ラブが通う公立四葉中学校でラブ達と同級生。新聞部の部長で校内では有名人。見た目も良いのでモテるが本人は無自覚。ベタな鈍感主人公的なキャラである。カメラは幼い頃に亡くなった父の形見。

名前:メイス
人間名:迷宮 真代
読み方:めいみや まよ
性別:女
性格:独占欲が強く、自分勝手。自分に不都合になるものは平然と潰す冷酷な性格。しかし、興味があるもの、好きなものは自分のものにしないと気が済まない自己中。
備考:ラビリンスの最高幹部。その実力はノーザ、クラインを大きく凌ぐ。最初はメビウスが消えたことからストレス発散として街を荒らしていたが、ひょんなことから彰に好意を抱き、自分のものにしようとする。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.4 )
日時: 2016/10/19 20:01
名前: ひのり (ID: YVCR41Yb)

「くだらない夢ね」

 冷ややかな声と共に現れた少女に、私たちの視線は釘付けになる。
 綺麗な銀の髪に、青く澄んだ瞳。見惚れてしまいそうなほどに整った、人形のような顔立ち。
 そして、彼女の体を包む漆黒の衣装。
 青いラインで幾何学模様が描かれ、彼女の胸元では青いダイヤが光り輝いていた。
 その見覚えのある衣装に、私たちは息を呑む。
 ラビリンス……ッ!

「くだらないって……まさか、僕の夢のこと?誰かは知らないけど、他人の夢を馬鹿にするのはどうかと思う」

 そしてそれに反論する彰君。
 事情を知らないとはいえ、この状況はまずい。
 私はすぐに彰君に近づき、彼の腕を掴んだ。

「彰君。危ないから、すぐに逃げて」
「危ないって……ただの変なコスプレイヤー相手に何をそんな」

 今あっさり貶していた気がするけど……今は気にしないようにしよう……。
 そんな彰君の様子を見た少女は、彼の持つカメラを見てフッと笑った。

「メビウス様が消えて退屈していたけど……その夢を潰して絶望の顔を見るのもまた面白そうね」

 そう言って胸の前で二度拳をこすり合わせると、そこに青に黒い線が入ったダイヤが現れた。
 そして、それはすぐに彰君のカメラに刺さる。
 黒い光に包まれるのを確認するより前に、私は彰君を突き飛ばし、一緒に地面を転がった。
 彰君の手からカメラが離れ、地面を滑り、やがてそれはナケワメーケになる。

「ブッキー!彰君!怪我はない?」

 すぐに美希ちゃんがそう言って駆け寄ってくるので、私は「大丈夫だよ」と答える。
 そして彰君に目を向けた時だった。

「あぁ……僕のカメラが……」

 彼は目を見開き、ナケワメーケになったカメラを見つめる。
 私はすぐに立ち上がり、彼の手を引いてラブちゃん達の元に行った。

「どうしよう、こんな時にナケワメーケが出てくるなんて……」
「とにかく倒すしかないよ。ブッキーは彰君を避難させておいて。多分大輔達はもう逃げてるハズ。ミユキさんもいるし。その間、私と美希たんは戦ってるから」
「分かった。私もすぐに加勢するからね」

 私の言葉に二人が頷いたのを確認して、私は彰君の腕を引っ張ってその場を離れる。
 しばらく走って、カオルちゃんのドーナツカフェを見つけたのでその裏に彰君を連れて行き、座らせた。

「少しここで待っていてね。すぐにカメラを戻してくるから」

 私が言うと、彰君は私の腕を掴んだ。
 そして、懇願するような顔で言ってくる。

「あのカメラは父さんの大事な形見なんだ……。それに、あの中には、たくさんの人の笑顔が詰まっている。だから、必ず戻してください」

 その真剣な目に、一瞬吸い込まれるような感覚がした。
 私はすぐに、「分かった」と頷いて、ナケワメーケの元に行く。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.5 )
日時: 2016/10/19 22:07
名前: ひのり (ID: YVCR41Yb)

 そこでは、ラブちゃんと美希ちゃん……いや、キュアピーチとキュアベリーが戦っていた。
 すぐに私もリンクルンを取り出し変身すると、一気に距離を詰める。

「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア!ヒーリングブレアー!」

 手に込めた黄色の光をぶつけると、ナケワメーケの体は揺らぐ。
 その隙を逃さずに、私たちはトリプルプリキュアキックを放ち、カメラのナケワメーケを吹き飛ばし、すぐにそれぞれキュアスティックを出す。
 そしてそれぞれラブサンシャインフレッシュ、エスポワールシャワーフレッシュ、ヒーリングブレアフレッシュを放つ。
 ナケワメーケならこれで充分……だと思ったのに、なぜか技を跳ね返された。

「なんで!?」
「フフッ、馬鹿な人たち。これはナケワメーケではなく、ナケサケーベ。強さ、速さ、その他全ての力が、ナケワメーケやソレワターセを凌ぐ」

 少女はそう言って不敵に笑う。
 その時、ナケサケーベとやらの体が突然光った。
 その光に目を細めた時、背後から気配を感じた。

「パインッ!危ない!」
「ッぐ……」

 咄嗟に振り返った時、目の前までナケサケーベの腕が迫って来ていた。
 私はすぐにその腕を掴むが、力が足りず、吹き飛ばされた。
 そして、カオルちゃんのドーナツカフェのテーブルや椅子を巻き込みながら地面を転がる。

「キュアパインッ!」

 その時、ドーナツカフェの影から飛び出してきた彰君が私の様子を見て顔を青ざめさせた。
 私は「気にしなくていいよ」と言いつつ立ち上がって見せる。

「強がりだけは一人前ね。でも、それがいつまで続くかしら?」

 頭上から声が降ってきたので、顔を上げると、そこには銀髪の少女がドーナツカフェの屋根の上に立ってクスクスと笑った。
 それを見ていた時、ピーチとベリーが先ほどの私と同じように地面を転がってきた。
 私は二人の安否を確かめようとしたけど、その時にドーナツカフェの机が投げつけられるのを視認した。
 すぐに立ち止まり、私は冷静に机に蹴りを入れて破壊した。
 見ると、いつのまにかナケサケーベが両手にテーブルを持って立っていた。

「ぁ……」

 どうすればいいのか一瞬迷った瞬間、二つのテーブルが投げつけられる。
 私は咄嗟に目を瞑り頭を抱えてしゃがみ込んだ。
 その時、何かが弾かれる音がした。
 目を開けると、ピーチとベリーが立っていた。

「大丈夫?パイン」
「怪我はない?」

 ピーチとベリーの言葉に、私は「うん!」と頷き、立ち上がる。
 しかし、どうすればいいのだろうか。
 キュアスティックでの攻撃は通じない。ラッキークローバーグランドフィナーレは、パッションやクローバーボックスが無ければ使えない。
 万事休すだ。

「さっきの攻撃を防いだのは中々なものだが、次はどうかしら?」

 少女の言葉と共に、ナケサケーベのフラッシュで視界が眩む。
 直後、幾多ものテーブルが飛んできて、それをなんとかいなし、私とベリーは距離を詰める。

「ダブルプリキュアキック!」

 蹴りが入ったナケサケーベの体は倒れ、そこにピーチがキュアスティックを構えて一気に駆ける。

「悪いの悪いの飛んでいけ!プリキュア!ラブサンシャインフレッシュ!」

 当然のようにピンク色の光は弾かれ、平然とナケサケーベが立ち上がる。
 それを私とベリーで両側に走り込み、キュアスティックで攻撃をするが、もちろん効かない。
 そしてナケサケーベの腕が猛威を振るい、私たちはまた吹き飛ばされるが、すぐに立ち上がり、次の一手を打つべく構えた。

「なぜだ?なぜ、まだ立ち上がる。もはや、貴様らの勝ち目など、無に等しいだろう!」

 立ち上がった私たちに、少女が怒った様子で声を張り上げた。
 敵が心配するほどに、私たちは消耗しているのだろうか?

「でも、ここで倒れるわけにはいかない!」

 ラブちゃんの叫びに、私は頷く。
 そうだ。私たちは、ここで倒れたらダメなんだ。

「ここで倒れたら、あたしたち、全然完璧じゃないもの」
「私たちなら勝てるって、私、信じてる!」
「皆で幸せゲットするために!」
「「「私たちは!負けない!」」」

 私たちの啖呵を聞いた少女は、「ぐっ……」と不愉快そうに歯ぎしりをした。
 そしてすぐにナケサケーベを見て、「ナケサケーベ!トドメを刺せ!」と命令を出す。
 近づいてくるナケサケーベに、私たちがキュアスティックを構えた時だった。

「吹き荒れよ!幸せの嵐!プリキュア!ハピネスハリケーン!」

 その時、赤い竜巻がナケサケーベを襲った。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.6 )
日時: 2016/10/20 21:31
名前: ひのり (ID: YVCR41Yb)

「「「キュアパッション!」」」

 現れた赤い戦士に、プリキュアは口を揃えて叫んだ。
 ピンク色の長い髪の彼女は「待たせたわね」と言って3人の元へ行く。

「でも、なんで?ラビリンスに帰ったんじゃ……」
「説明は後よ。さぁ、トドメを刺しましょう」

 ピーチの問いに、パッションはそう言って笑う。

「でも、キュアスティックの攻撃も、ハピネスハリケーンも通じなかったわ」
「分かってる。出てきて」

 ベリーの言葉にパッションは一度頷き、茂みに視線を向けた。
 すると、そこから二匹の獣が飛び出してきた。

「ワイらも来たで!」
「プリプー!」
「タルト!シフォン!」

 それは、以前プリキュアと共に戦ったタルトとシフォンだった。
 飛び出してきたタルトをピーチが、シフォンをパインが抱きしめ、受け止めた。

「タルトちゃんにシフォンちゃんまで……一体どうして!?」
「説明は後や!それより、このクローバーボックスで早くトドメを刺すんや!」

 そう言ってタルトが出したクローバーボックスを使い、プリキュアはすぐにプリキュアフォーメーションを組み、技を放つ。
 そして、見事にナケサケーベは浄化されていった。


「ぐッ……」

 技の迫力に、少女は目を細め、浄化されていくナケサケーベを睨む。
 このまま近くにいては、一緒に技に巻き込まれると判断した彼女は、撤退しようと一歩後ずさりをして、後悔する。
 なぜなら、少女が先刻まで立っていたのは、ドーナツカフェの屋根の上だったからだ。

「しまっ……」

 一瞬焦るが、彼女の身体能力があれば、すぐに体勢を立て直そうと体を捩った。
 その時だった。

「危ない!」

 突然飛び出してきた陰に、少女の目は驚愕に染まる。
 なぜならそれは、少女がナケサケーベにしたカメラの持ち主である少年、北乃 彰だったからだ。
 そのまま勢いを殺しきれなかった彰は地面に尻餅をつき、「いっ……」と声を漏らした。

「なっ、何すんのよ!私は敵なのよ!?なんで私の心配なんか……」
「敵でもなんでも、僕は人の笑顔を守りたいだけだ」

 彰のまっすぐな目と真剣な言葉に、少女は一瞬「うっ」と声を詰まらせた。
 その時、プリキュアが彼を呼ぶ声が聴こえると、すぐに少女を放置してそこに駆け寄った。
 そして、元に戻ったカメラを見て喜ぶ彼の笑顔を見た瞬間、一瞬少女の胸の奥が高鳴った。

「……彼、面白いわね」

 そう呟くと立ち上がり、プリキュアの元に近づいた。
 それにいち早く気付いたピーチが、「あっ!」と声を発した。

「貴方は!」
「我が名はメイス。ラビリンス総統、メビウス様が下僕」
「……ラビリンスでデータを調べていた時、最高幹部のデータが、ノーザ、クラウンの他にもう1人分あったの」

 少女もといメイスの言葉に、パッションが悔しそうに顔を歪めながら言った。
 メイスはニヤリと笑い、「その通りよ」と言った。

「ラビリンス最高幹部にして、最強幹部。それが私」
「最強とか自分で言うんだ……」

 メイスの自己紹介に若干引いた様子の彰。
 すると、彼を守るようにプリキュアのメンバーが前に出る。
 それを見たメイスはため息をつき、踵を返す。

「今日のところはやめておくわ。疲れたし、帰る。でも……」

 一度視線を彰に向け、微かに口角を上げた。

「次は容赦しないわよ。プリキュア」

 そう言って、メイスは去って行く。夕陽に向かって。

Re: フレッシュプリキュア!〜過去の恩と因縁と〜 ( No.7 )
日時: 2016/10/21 21:59
名前: ひのり (ID: YVCR41Yb)

 メイスが去って、しばらく静寂が流れる。
 しばらくしてその静寂を破ったのは、変身を解いたラブちゃんだった。

「それで!ねぇねぇ!なんでせつな達帰ってきたの!?あと、あの敵は何なの!?」
「落ち着いてラブちゃん。そんなに迫ったら、せつなちゃんも答えづらいわ」
「そうよ。ラブはホント、迫りすぎ」
「え〜そうかなぁ」

 私と美希ちゃんの言葉に、ラブちゃんは軽く頭に手を当てながら言った。
 そのやりとりを見ていたせつなちゃんは、クスッと笑った。

「どうしたの?せつな」
「え?あぁ……ちょっと、こういうやり取り見ていると、帰って来たんだなって思って」

 せつなちゃんの言葉に、私たちは顔を見合わせて、そして笑い合った。
 その時、ずっとそれを見ていた彰君が、「あのぉ……」とおずおずと手を挙げた。

「そういうプリキュアの会議とかって、あまり僕は聞かない方が良いよね……?」
「いえ、大丈夫よ」
「できればそこで盗み聞きしている男子トリオもこれくらい気を遣ってほしいくらいだけど」

 美希ちゃんが言うと、木の陰から3色団子のメンバーが誤魔化すように笑いながら出てくる。
 いつのまにか、その近くに立っていたミユキさんは「だから言ったのに」と苦笑しながら言った。

「それで、あの敵は何なんだ?もうラビリンスとやらは倒したハズなんだろ?」
「ラビリンス自体は、前のデータを使って順調に新しい国に生まれ変わっているわ。でも、今日国民のデータを色々整理して、簡単な書類にまとめる作業をしていたら、メイスのデータが出てきたの」
「あの……最高幹部の?」

 私が聞くと、せつなちゃんは頷いて、「えぇ」と言った。

「メイスの実力は、ノーザやクライン、二人の合体ですら歯が立たないほどの力。そして、私がイースだった頃に一度使ったナケサケーベや、ノーザが使っていたソレワターセは、メイスの使っていたモンスターの力を再現するという目的で作られたものだけど、実際、メイスの本気で出すモンスターと戦わせたら、瞬殺されたわ」

 つまり、先ほどのモンスターはまだ本気じゃなかったということ?
 それに気づいた瞬間、私の背中に寒気が走った。

「まぁ、私たちならなんとかなるよ!」

 しかし、それもすぐに、ラブちゃんの言葉で消え去った。

「そうね。あたしたちは世界を救ったんだもの。今更あんな女の子一人、勝てなくてどうするのよ」

 美希ちゃんがそう言ったのを聞くと、ラブちゃんは二度ほど頷き、右手をだす。

「メイスとやらをさっさと倒して、幸せゲットするために!」

 その右手に美希ちゃんが自分の手を乗せて、「完璧に」と言った。
 私も手を乗せ、「自分たちを信じて」と続ける。
 そして私たちがせつなちゃんを見ると、彼女は笑顔を浮かべ、「精一杯、頑張りましょう」と手を乗せた。
 それから、全員で手を上げ、「おー!」と声を発した。
 その声は、空高く吸い込まれていった。

−−−

 私はしばらく歩くと、息をつく。
 頭の中では、一人の少年の顔がちらついていた。
 公園の出入り口まで来ると、変身を解くことすら忘れて私は地面にしゃがみこむ。

「何、これ……胸痛いし、鼓動うるさいし……こんなのまるで、こ……」

 その続きを言おうとして、言いよどむ。
 自分が彼に、恋をしたとでもいうのだろうか?
 もしそうなら……別に、それでも良いか。

「メビウス様も消えて退屈していたし、目的があった方が燃えるわよね」

 そう呟きながら立ち上がった時、こちらに走ってくる影が見えた。
 それは、見覚えのある顔だった。

「まったくイースの奴、自分だけ瞬間移動して俺達には走らせるとか、おかしいだろ!」
「隼人、文句言ってる暇があったら早く行かないと怒られるよ。あと、イースじゃなくてせつな」
「あー……クソッ、ややこしいぜ!どっちでも同じだろ!つか、瞬!お前遅いぞ!」
「隼人が早すぎるだけだよ。この脳筋!」
「はぁ!?」

 そんな会話をしながら彼らは、私の顔を見て足を止めた。
 そして、すぐにキッと私を睨んだ。

「なぜお前がいる……メイスッ!」
「あら。昔の上司をお前呼び捨て呼ばわりとは、酷いじゃない。ウェスター、サウラー。いえ、今は西 隼人、南 瞬。だったかしら?」

 私は軽く挑発しつつ、彼らの力を見る。
 改心したと聞いていたが、確かに、ラビリンスにいた頃に比べて力は上がっているようだ。
 もしも、この力をそのまま闇に変えて、さらに私の力を分け与えれば……。

「良いわ。かかってきなさい。二人がかりでね」
「なんだとぉ!?行くぞ!瞬!」
「はっ?おい待て。これは何かのわn……」
「スイッチ!オーバー!」

 予想通り。単純なウェスターはすぐに変身して私に殴りかかってくる。
 彼の攻撃は、威力はあるが動きが鈍い。
 私はそれをかわしつつ、その腕に手を添える。

「力ばかり上げていても、それに見合う力が無ければ意味はないわよ」

 そして、その腕をしっかり掴み、背負い投げを決める。
 ウェスターを地面に打ち付けた時、背後から気配がしたので、振り返るより先にウェスターの体を投げつけてみた。
 これも予想通り。サウラーだった。

「あなたは知的な動きもできるし。力だってそこそこある。でも、私には敵わなかった。それだけね」

 私は地面に倒れる二人を見下ろしつつ、右手と左手、それぞれにナケサケーベを作り出す種を出した。

「な……にを……」
「ちょっと私の部下に戻ってもらうだけ。それだけよ」

 私は彼らの返事を聞かずに、ナケサケーベの種を押し付けた。
 やがて、黒い光が彼等の体を包み込んだ。

「うわぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああッ!!!!!」
「ぐぅぅぅぅぁぁああああああああああああああああッ!!!!!」

 二人の男の絶叫が響き渡る。
 その絶叫を聴きながら、私はしばらく待っていた。
 どれくらい経っただろうか。やがて絶叫は小さくなり、二人の男は立ち上がる。
 その衣装は、漆黒に染まり、その目は黒く濁り切った虚ろな目をしていた。

「フフッ、行きましょうか」
「「はい。メイス様」」

 その返事に私は満足し、歩き出した。


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