二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 【完結】
日時: 2020/04/07 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Rn9Xbmu5)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1297

どうもです、灯焔です。
調子づいて続いてしまった逃走中#CR02。今回から作者募集の逃走者も参加して盛り上がりは右肩上がり(?)!
今回のエリアは、『セブンスドラゴン2020』という作品のダンジョンの1つ『渋谷 繁花樹海』。樹海と化した渋谷を舞台に、逃走者とハンターの駆け引きが始まる―――!

無事コネクトワールドを守る四神が揃い、世界の融合の謎の解明へと一歩踏み出した運営本部。
前回の最後に起きた大砲ケーキ事件から救ってもらった十四松が、『自分も戦えるようになればあのケーキを叩けるのかな』とか思っている様子。
そしてまた新たに『混ぜられた』世界の住人が、運営本部へと集う…。様々な思いが交差して、世界は進んでいきます。



<ルール>
逃走エリア:『渋谷 繁花樹海』 エリア紹介 >>1
東京の中心街の1つともいえる『渋谷』が、竜の力で樹海と化してしまっているエリア。
普段の渋谷とは違い、どこもかしこも木々が生い茂っており、エリア内には登れてしまう巨木も存在する。
また、今回エリアに使用するのは地上のエリアのみになる為、地下への侵入は不可。
OPゲーム終了後から5分までは『駅前交差点』『道玄坂』『渋谷通り』での逃走しか出来ない。


逃走時間:90分

賞金:54万(1秒100円)

ハンター:初期2体(OPゲーム会場のハンターボックスに2体)


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細 >>2
ユーリ
ポエット
タイマー

【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細 >>3
アイク
ロイ
クロム

【星のカービィシリーズ】より (3人) 詳細 >>4
カービィ
デデデ大王
メタナイト

【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細 >>5
霧切響子
七海千秋
最原終一

【beatmania IIDXシリーズ】より (3人) 詳細 >>6
キュベリア
ルシェ
マモニス

【作者枠】 (3人) 詳細 >>7
junris
ウィオ
葉月

【逃走中#01 MVP】 (2人) 詳細 >>8
エーデルガルト
芽兎めう

計20名



逃走中#CR03 次回作出場権(シード枠)争奪予想アンケート実施中!
※締め切りました

逃走中#CR03 次回参加者募集中!&確保MVP投票受付中!
※締め切りました
MVP&作者枠発表 >>138

※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
版権キャラ応募用紙 >>139 ※4/7(火) 20時まで



◎AfterBreakTime

 ①『政府特務機関、叢雲』 >>9
 ②『カフェと邪神と道化師と』 >>19
 ③『氷の堕天使』 >>26
 ④『純白の古代兵器、襲来』 >>36-37
 ⑤『星々と暗闇の協奏曲』 >>54
 ⑥『ローティーンは何を願う』 >>74
 ⑦『汽笛はルーンの光を乗せて』 >>93
 ⑧『風の公女と滅びし暗殺者』 >>106 >>110
 ⑨『打ち上げ』 >>140-141 >>145-146





以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.89 )
日時: 2020/03/26 22:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: CwTdFiZy)

【18:15】





~道玄坂~



キュベリア「…………」

ハンターDE「…………」



物陰からハンターが視界から遠ざかっていくタイミングを見計らっているキュベリア。
しかし、中々その場を離れようとしないハンターにイライラが募っていきます。



キュベリア「(っち……。さっさとどっかいってくれっつーの…)」



眠れない。おまけに自分が動かなければハンター100体は免れない。
そんな思いがあるからか、彼女は小さく舌打ちをしてしまいました。それでも女神か貴方は。



キュベリア「別に色んな神がいたっていいだろ。ポップンのあいつとかあの朱雀野郎とか口が悪い神は沢山いるじゃねーか」

アクラル『多種多様な時代だからな!』

サクヤ『自信満々に言うところじゃないですよ兄貴』



はぁ。…おや、そんなこんなしているうちにハンターに動きがありました。
どうやら道玄坂方面から立ち去っていくみたいです!



キュベリア「チャンスだな」



キュベリア、ハンターが視界から消えたタイミングを見計らってコンフュカッターが設置されている場所まで素早く移動。
そして……。





キュベリア『100体なんて御免だな!』(ポチッ)






【18:03】
キュベリア コンフュカッター起動

残り 7つ





キュベリア「…いよし。これで1つ目か。起動したらスイッチが黄色く光るんだな。残りもさっさと起動しに行くぞ」



そう思いキュベリアが移動しようと思った瞬間!
あれ、何か足音が―――?




























ハンターSA「…………!!!」









ダッダッダッダッダ!!!!








ROCK ON 【CUBELIA】





ピーーーーーーーーーーーー





キュベリア「………は?」



なんと、先程向こうに消えたハンターとは別のハンターが彼女を視界に捉え追ってきていました!
普段寝てばかりいるからか運動能力は悪魔共よりも下。彼女が逃げられるはずもなく…。









ポンッ








【17:47】
キュベリア 確保 残り5名





キュベリア「……あー、捕まった。まー、牢獄で寝れるからいいか…」



切り替え早いですね相変わらず。ハンターに確保されても何の悔しさも見せない相変わらずなキュベリアでした。
…まぁ、仕事はしたので良しとしましょう!












ピリリ ピリリ














タイマー「こんな時に通達?!えっと…『キュベリア 確保 残り5名』 …カッターを起動した直後に見つかっちゃったんだろうね…」

jun「でもキュベリアさんが起動してくれたコンフュカッターがあるエリアは鱗粉が無効化されるし、今13班がスリーピーホロウを追い込んでくれてるから、少し楽になったね」

七海「私達も続こう!もうカッター見えてるし!」

ロイ「よーし、僕も…!」









【17:41】





~道玄坂上路地~



ロイ「……あった!あれがコンフュカッターだね!早く起動しよう!」(ポチッ)





~宮下通り~



七海「これだね…。よーし、七海千秋、いきまーす」(ポチッ)





【17:37】
ロイ   コンフュカッター起動
七海千秋 コンフュカッター起動

残り 5つ





キュベリアに続くようにロイと七海がそれぞれコンフュカッターを1つずつ起動!
これで残りの起動スイッチは5つ!クリアが見えてきましたね!頑張ってください!








【16:32】





~駅前交差点~



jun「あれかな?コンフュカッター。…ハンターもいないみたいだし、起動しちゃおう!」



タイマーと別れ駅前交差点へとやってきた作者唯一の生き残り、junris。
彼の視界にはコンフュカッターが既に見えています。改めてハンターがいないことを確認し、素早く装置の場所まで近づきました!





jun『絶対に、クリアするんだ!』(ポチッ)





【16:19】
junris コンフュカッター起動

残り 4つ





jun「凄いハイペースで起動されてる気がする…。これは余裕でクリアできるかも…?」



自分が起動したものも含め半分!僅か4分弱で折り返し地点まで到達!
…もしやこれは、かなり時間を残して余裕でクリアできるのでは?と一瞬脳内にそんなことが浮かぶjunris。しかし、これは『逃走中』。その一瞬の油断が敗北を招きます。



jun「1つ起動できたからってうかうかしてられないや。されど4つ、まだ4つ!頑張るぞー!」



勢いよく、しかし辺りに響かない声で改めて気合を入れる彼。なんとまあ器用なこと。
…そんな彼の元に、『プルル』とスマホが鳴る音が聞こえてきました。



jun「ん?電話だ。誰だろう…?はい、junrisです」

カービィ『あっ jun?やっほー、カービィだよー☆ あのね、今junってどこにいるの?』

jun「『駅前交差点』だよ。それがどうしたの?」

カービィ『あ、そこなんだ。なら良かったよ。いやー、なんかまずいことに気付いちゃってさ。ボクが辺り一面吸い込んだ場所あるでしょ?そこにテーリューを追い込むってタイマーが頼んだよね?…なんかそこに1個あるみたいなんだよね。



     『コンフュカッター』』

jun「えっ……?!」





うわー?!タイマーの提案が裏目に出ちゃったー?!スリーピーホロウと直接対峙してしまえば、ユーリやデデデのように鱗粉に襲われる可能性大!
誰かがリスクを冒して13班と帝竜が戦闘している場所に向かわねばなりません。さあ、どう判断を下すのでしょうか。

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.90 )
日時: 2020/03/27 08:37
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: N0SZnmuB)

こんにちは。おろさんです。


本当にマズイことに・・・

あと結局キュベリアは捕まったんですねぇ;


ウィスパー「そちらのカービィのやったこととそちらのタイマーさんの作戦でとんでもないリスクを産んでしまったんでウィスね・・・」

カービィ「ねぇ、そっちのボク色々やらかしたって聞いたけど本当?(目が笑ってない」

ウィスパーΣ( ゚Д゚)


それと、サンプルボイスなどの件についてはありがとうございました。こちらに出すまでに時間がかかると思いますので、しばらくお待ちください。


と言うわけで、次回も楽しみにしています。
それでは、失礼しました。

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.91 )
日時: 2020/03/27 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 9ihy0/Vy)

どうもです。灯焔です。
今が大変な時ですが、我慢すればきっと光はある…と、私は信じております。



>>おろさん 様

どうもです。いつもコメントありがとうございます。

ミッション③で色々と目立ったキュベリア、遂に確保。今頃牢獄ルームで爆睡していることでしょう。
タイマーの提案が裏目に出てしまいました。誰かが危険な場所に押しに行かなければならないこの状況、どう突破するのでしょうか…。





暖かいコメントありがとうございます。

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.92 )
日時: 2020/03/27 22:07
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 9ihy0/Vy)

【15:50】





~道玄坂上路地 下路地道路前~



カービィ「あるんだよねぇ、『コンフュカッター』…」



先程ロイが起動したコンフュカッターがある場所とは少し離れた場所。
のんびりとした口調で道玄坂下路地にあるコンフュカッターを覗いているカービィがいました。
現在junrisと通話中ですが、その呆れるほどに呑気な声に彼は『大丈夫なのか』と慌てて返します。
そして、彼の目線の先には目的の装置とスリーピーホロウ、帝竜と対峙している13班がいました。



キョウカ『くっ…。錯乱と麻痺のアクセサリを予備でつけてきて正解だったな。だが、この鱗粉前に戦った時と全然性質が違うように感じるぞ』

ノア『なんつーか、幻覚より身体の痺れの方が強い感じ?魔法を使うコハクはともかく、物理攻撃主体の俺達が鱗粉に触れてしまったら壁も貼れなくなるぞ』

コハク『キョウカはともかく、ノアに関しては『攻撃を受けるのも仕事の内』だろォ?お仕事果たせよ三下ァ』

ノア『だから『三下』呼ばわりはやめろ!!色々勘違いされるだろ!!!』

MZD『呑気に喋ってる場合か!前方、15秒後に羽による攻撃が来るぞ!備えて!』



しかも、押すべきコンフュカッターはスリーピーホロウの後ろ。帝竜が常に鱗粉をまき散らし続けている為、ボタンは粉まみれ。あぁ、これは押したら痺れるやつだ。
…そんなカービィ、様子を見ながらjunrisに提案をします。



カービィ「junって今『駅前交差点』から動いてない?」

jun『うん。ハンターが道玄坂方面に2体いるから、今は草むらに隠れて様子を見てるよ』

カービィ「そっかー…。じゃあ、こっちに来ないで『センター街』方面のコンフュカッターを探してくれない?多分ねー…ハンターがこっちに集中してると思うんだ」

jun『何でそんなこと分かるの…?』

カービィ「後ろでハンターがうようよしてるのさっきちらっと見えたんだよ。…多分、そっち方面には今ハンターが少ないと思うからさ。お願い!」

jun『それはわかったけど…。カービィさんはどうするの?』



カービィ、自分のいない方向の残りのコンフュカッターの起動をjunrisに頼みました。
確かに道玄坂方面にハンターがうじゃうじゃいるとなれば、反対側のエリアは必然的にハンターの少ない場所となります。しかし…今まで2人も自分の犠牲者を出してきたカービィ、何の心変わりなんでしょうか。



カービィ「もーっ!天の声もデデデと一緒で失礼なやつだね!ボクだって『ヒーロー』の端くれだもん、これから帝竜のいる場所のコンフュカッターを起動しに行くんだよ!」

jun『き、危険だよ!そこは最後に回しても―――』

カービィ「駄目だよ。そうして集まって、ハンターに見つかって犠牲者がもっといっぱい出たらどうするの?…だったらさ、誰かが危険を冒して押しに行くしかないじゃん。なら、『ヒーロー』であるボクの適任ってワケだよね☆」

jun『言ってる意味が分からないよ…!でも、時間もないし…。カービィ、絶対捕まらないでよ?』

カービィ「へっへーん、なぁに言ってんの!ボクは『はるかぜのたびびと』カービィなんだよ?鱗粉なんかに負けないさ!」

jun『それじゃ僕、『センター街』方面に向かうから。…カービィ、頑張ろうね!』

カービィ「こっちこそ!急に電話してごめんねー☆ それじゃ!」



ピッ。自分の決意を告げたカービィ、電話を切りました。
どうやら今までのツケ(?)を返すかの如く自分が一番危険なエリアのコンフュカッター起動に挑むようです。
…彼は電話をした時から覚悟していました。『恐らく、このカッターを起動したらしばらく動けなくなるだろう』と。それでも、皆の笑顔を見る為に。彼は、『春風』として動くことを選んだのです。



カービィ「よーーーっし、タイミングを合わせて……いっくぞーっ!!!」



勢いよく道玄坂下路地方面へ飛び出したカービィ。
果たして、彼の運命や如何に―――!








【13:37】





~道玄坂路地~



タイマー「えーっと…まだこのエリアのコンフュカッターは起動されてないはずだよね」



道玄坂路地を歩いているタイマー。器用に鱗粉がある場所を避けながら移動しています。
このエリア、13班が帝竜を追い込む過程で通った場所の為、他のエリアよりも鱗粉の量が多くなっております。



タイマー「こんな鱗粉に少し触れただけでも頭が錯乱したり、手足が痺れたりするなんて…。あの帝竜と二度も戦うなんて、ムラクモ戦闘班って本当に凄いチームなんだね」



改めてそんなことを思うタイマー。…そう言えば、今回は出ていませんが13班の戦闘員に貴方によく似た性格の男性アイドルがいるみたいですよ。
ニャミが見たら虜にな…らないか。彼女はタイマー一筋ですもんね。



ニャミ『そーだよ!たとえ性格が似たダーリンみたいな人が現れたってあたしはダーリン一筋なんだから!』

ミミ『じゃあ、タイマーのドッペルゲンガーが現れたら?』

ニャミ『それは……。ちょっと迷うかも~?』

タイマー「迷わないで僕を選んでよニャミちゃ~ん!!」



…勝手に通信を奪わないでくださーい。惚気話もここまでにして、引き続き探索を続けていると…。
タイマーの目の前に、電波塔の様な装置が現れました。コンフュカッターですね!





タイマー『…あった、あれだね!早く起動しなきゃ!』(ポチッ)





【12:24】
タイマー コンフュカッター起動

残り 3つ





タイマー「残り7分弱で3つか…。いい感じのペースかな?後は…どこにあるのかな?」



4つ目の起動時間よりも少し時間はかかってしまいましたが、順調に5つ目のコンフュカッターを起動!
残り3つです!

……さぁ、カービィの様子を見てみましょう。













【12:11】





~道玄坂下路地~




ビュンっ!!!



カービィ「…わっとっと!あぶないなぁ、もう!」





カービィ、寸のところで鱗粉攻撃を避けつつ、草むらを利用しながらカッターに近付いています!
ダメージを最小限に抑えつつ、装置の元までたどり着くことはできるのか?!

ABT⑦『汽笛はルーンの光を乗せて』 ( No.93 )
日時: 2020/03/27 22:08
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 9ihy0/Vy)

…また、何か『混ざりそうな』予感がひしひしと感じるこの頃。
未だ混ざっていない世界で…ひっそりと、物語は捻じ曲げられるのです。

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…どこかのまだ混ざっていない異世界。
星々が輝く夜空を、銀河のように汽笛を鳴らしながら走る列車が1台。その運転車両に、少女と青年、そして少年は乗っていました。



『本日もディーゼラ島発車、『ルーントレイン』にご乗車いただき誠にありがとうございます。この列車は、間もなく終点『アマノ島』へと到着いたします。ご乗車のお客様はお忘れ物のないようよろしくお願いします』



そう可愛らしい声で車内放送を響かせるのはこの列車の車掌兼運転士である『クレア・スチーブンソン』。
『鉄道の島』と呼ばれる『ディーゼラ』という島の社長令嬢である少女です。彼女自身、ルーントレインと幼き時より人生を共にし、こうして今も歩んでいるという訳です。
彼女の傍らには、深紅の鎧を身に纏った『紅い』髪の男性。そして、チーターの耳を生やした少年がいます。彼ら2人はクレアの『友達』であり、今回彼女の協力要請を受けて1日だけ駅員として働いていました。

…天の川の向こうに見えるのは、まるで『夢の泉』と呼べるまでに幻想的な観光地、『アマノ島』。ルーントレインの今日の終着駅です。
ポッポー、優し気な汽笛を鳴らしルーントレインは停まります。しばらくした後、列車に乗っていた客であろう人物が次々と降りていきました。
彼ら全員が列車から降りるのを見守った後、クレアは列車を専用の車庫へと動かし、待っていた2人の元へと戻ってきました。



クレア「いやー、急なお願いで申し訳ありませんでした…。ですが、凄く助かりましたよ!今日は本当にありがとうございました。グレンさん、チタさん!」

チタ「いいってことよ!チャンクレ今日何かいつも以上にバリっちゃってた感じだし?これはダチである俺らがブチアガるところじゃね?ってノリで手伝ったから気にしなくてい~の!」

グレン「私が必要だというのならいつでも呼んでくれ。…祖国関連の話が無い時ならば、喜んで手を貸そう」

クレア「そこまでかしこまらなくてもいいですよ!今日はチタさんの言う通り、いつも以上に特別忙しかったですからね…」

チタ「そーいやさチャンクレ。なんでイソガシかったの?カンコー?」

クレア「まあ、それもあるんですが…。今日は『天の川を水星が横切る日』だったんですよ。今日を逃すと次に見れるのは…えーっと、確か20年後とかそんな感じですね。ですから、一目見たいとルーントレインにご乗車になるお客様が多くてですね…」

グレン「逃すと次がそんなに長いならば、確かに見ようと押しかけるのも無理はない話だ…」



そう。この3人がいる世界…『白猫プロジェクト』の世界では、今日『天の川を水星が横切る』という珍しい現象が起きていました。
現実の世界で言うスーパームーンとかそんな感じの現象であり、今回のは特に綺麗に見れるとSNSで一気に話題になり、ルーントレインに押しかける乗客が急に増えていたのです。
やっと仕事が終わったとため息をつきながら車掌席に座るクレア。そんな彼女の頭を優しくグレンは撫でました。



グレン「何はともあれ、一日お疲れ様だクレア」

クレア「えへへへ…。ありがとうございます。なんだかほっとしますねぇ」

チタ「チャングレが火を扱うから『HOT』とする的な?……お願いだから2人とも冷めた目でこっち見るのヤメテ?」



チタの渾身のギャグ、受け流されてしまった様子。わざとらしく落ち込む彼にグレンはため息を1つつきました。
…夜も更けています。そろそろ各々の帰路に帰ろうと車掌席を離れようとしたその時。





『地響き』が起こったのです。





クレア「わ!わ!地震?!地鳴り?!何なんですか!」

チタ「確か『アマノ島』って浮かんでる島だから、地震なんて起きなかったと思うんだけど…でも、揺れてるよね確かに?」

グレン「…揺れが強くなっているな。どこかに捕まっておいた方がいい」



ゴゴゴ、という音と共に徐々に地響きが強くなっています。
そして―――彼らは見てしまいました。『渦』を。飴細工のようにどろどろと溶けていくような『あの』渦を―――。



クレア「ルーントレインが溶けていきますぅ!なんで?!」

チタ「タダゴトじゃなさげ的な?……ってチャンクレ、近付いたら危ないって!」

グレン「地鳴りが強すぎて彼女に近づけない…!」

クレア「あああ……わたしの……わたしのきょうだい……ルーントレインが……」



自分の『兄弟』とも呼べるルーントレインがぐちゃぐちゃになってしまう。そんな思考回路に頭が塗りつぶされたクレアは、男2人の制止も顧みずトコトコと渦に近付いてしまいます。
何故地鳴りが起きているのに普通に歩けるのかは疑問ではありますが、今はそんなことは関係ありません。クレアを助けようと手を伸ばしますが、彼女は随分と先に進んでしまっており空を切るだけ。



クレア「やめて…!私のルーントレインを傷つけないで…!」

チタ「チャングレどーしよー?!このままじゃチャンクレがヤベーってぇ!」

グレン「どうしろと言われても…!―――!!!」



グレン、何かに気付き地響きの中走りだしました。チタは彼の咄嗟の行動に戸惑うだけ。
―――チタが思わずグレンの向かった方向を見た時。

彼は『見たこと』を後悔してしまいました。



彼の見たものは――――――『渦』そして――――――





チタ『――――――!!!!!』





誰の名前を呼んだんだろう。思考が追いつきません。
―――そのまま、彼の意識は黒く塗りつぶされました。














~運営本部 住居区~





マルク「オイオイ、カービィがまた食べ物じゃないもの吸い込んじゃったのサ?!相変わらずだなぁアイツは…」

バンワド「冒険する時はとても頼りになるんだけど、たまにボク達を振り回しますからね…」



一方コネクトワールドの運営本部。住居区では、マルクとバンワドがカービィの暴挙について話し合っていました。
スリーピーホロウについては13班に一任してくれとのサクヤからお達しがあり、一部のメンバーはいつも通りの日常を送っていました。



バンワド「それにしても…鱗粉って怖いですね…。大王さまがあんな目に…。代われるものなら代わってあげたかった、お~いおいおいおい…」(号泣)

マルク「(あのトロさだと庇うのも一苦労だろうなぁ…)」



バンワドが号泣しているのを呆れながら見ていると、ふと―――『空』に渦が。
この渦、どこかで見たことがあるような。マルクはそう確信し、よく目を凝らして見てみました。



マルク「(あれ―――『世界が混ぜられる』渦……?!)」



絵の具でぐちゃぐちゃに混ぜられるような『渦』…。これは、セブンスドラゴンやぷよぷよの世界が『混ぜられた』時と同じものです。
…ということは、また新しい世界の住人がこちらに落ちてくる。マルクは渦が空に溶けていくのを眺めつつ、警戒を解かずに辺りを見回していました。

―――そして、『渦』が完全に消えた時でした。





ドゴン!と近くで大きな音が。泣いていたバンワドも流石の音に驚き正気を取り戻します。



バンワド「な、なんなんですかー?!」

マルク「近くに何か落ちたみたい!確認しに行くぞバンワド!」

バンワド「は、はいぃ~~~~~!!!」



バタバタと足音を響かせながら音の正体を確認しに行く2体。
数刻程なくして目的地には到着、そこで彼らが見たものは……。



マルク「なに、これ……」

バンワド「れ、れ、れっしゃだ~~~~~!!!」

マルク「興奮するなっ!!!……待って、車掌席に誰か倒れてるよ?!」

バンワド「おっとっと、興奮してしまいました。助けに行きましょう!」



―――大きな列車が。『ルーントレイン』が。地面にめり込んでいました。
車掌席に金色の籠手のようなものが見え、中に誰かがいると確信したマルクとバンダナワドルディ。急いで扉を開けて中をのぞいてみると……。



車掌席の近くで意識を失っている獣耳の少年。
そして、少し離れたところの床に倒れている桃色の髪の少女と、一瞬で重傷だと分かる程の傷を負い彼女を庇うように倒れている深紅の青年がいました。



マルク「―――これはまずい」

バンワド「きゅうごにーん!!要救護人ですーーー!!!」



バンワドの大きな声に追いかけて来た罪木さんが彼らを見つけ、田中くんと石丸くんを呼んで3人がかりで医務室へ。その間にマルクはメインサーバへ、バンワドは一緒に医務室へと向かいました。
……白猫プロジェクトの世界が混ぜられてしまいました。彼ら、無事に助かるといいんですが。








~運営本部 医務室~



アクラル「お手柄だぜ2人とも。もう少し発見が遅れてたらあっちの紅髪ヤローの命が危なかったかもな」

罪木「コハクさんが渋谷で帝竜退治をしていますので、少し時間はかかると思いますが…。今の状態で回復すれば、『命』に別状はないと思いますぅ」

マルク「そりゃよかったぁ…。目の前で死なれたりしたら後味が悪すぎるのサ」

バンワド「それを悪役が言うか…。いやそれは置いといて、ですね。罪木さん、『命』に別状はない…って、別のところに異常があるみたいな言い方ですけれど…」

罪木「言葉の通りですぅ。簡易的に脳内の回路も診させていただいたんですけれどぉ…。あちらの軽傷の2人は問題ありませんでした…。でも…」

石丸「重症の彼の脳内に異常あり、ということなのか」



医務室ではマルクからの連絡を受けたサクヤがアクラルを既に派遣しており、救護用の道具を揃えて待っていました。重症の青年を田中くんが素早くベッドへと横たわらせ、罪木さんが手際よく治療を施していきます。
彼女の素早い判断の元、田中くんや石丸くんも軽傷の2人に応急処置を行います。
―――しばらくして、少女の青い瞳が小さな声と共に開かれました。



クレア「……あれ、ここは……?」

アクラル「だいじょーぶかー?お前ら、列車の中で怪我して倒れてたんだぜ?」

クレア「れっしゃ……?あ、そうだ、ルーントレイン……」

罪木「まだ動かないでください…。応急処置を施して軽傷だとはいえ、無視できない怪我ですぅ」

クレア「でも、ルーントレインが…」

サクヤ「それについてならば心配いりませんよ。貴方の車両はソティスさんに預かっていただいています」



クレア、やはりルーントレインで頭がいっぱいの様子。それを落ち着かせるかの如くサクヤがそう言葉を発しながら医務室へとやってきました。
…ミッションの管理はアカギとMZDに任せ、容態を伺いに来たようです。



サクヤ「軽くぶつけられた痕はありますが、適切に修理を行えば元通りになる程度の損傷です。気になさらないで」

クレア「そ、そうですか…。取り乱してしまってすみませんでした」

アクラル「取り乱すのも無理はないよなぁ。突然自分の大切にしていたものがぐちゃぐちゃになる幻覚を見るなんてよ」

バンワド「幻覚…?どういうことですか?」

サクヤ「今まで混ざった世界では、こうした重症の方々がおりませんでしたのであまり気にしてはいませんでしたが…。こうして、『渦』に直接巻き込まれた場合のことを想定していませんでした。
    …恐らく、彼女に起こった幻覚もそうですし、獣耳の彼、そして紅髪の彼にも何かしら影響が出てしまっている可能性は高いです」

田中「脳波に異常が出ているというのも…『渦』―――『世界が混ぜられた影響』を色濃く受けた…ということでいいのだな?」

クレア「す、すみません。私バカなんで、事情が呑み込めてないんですが…。説明してくれませんか?」

サクヤ「それは失礼しました。…信じられないかもしれませんが、今から私が申すことは全て本当のことです。それを、理解してお聴きください」



混乱しているクレアを落ち着かせるように、サクヤはゆっくりとコネクトワールドについてを語りました。そして…彼女がいた世界。『白猫プロジェクト』の世界も混ぜられてしまったのだろうという推測も一緒に。
彼女は当然のように訳の分からないという表情をしていましたが…。周りの人間を見て、そう信じざるを得ないと確信しました。
みんな、生きている世界が違ったんだ…。根拠のない確信ですが、彼女の中ではそう結論づいていました。



クレア「なるほど…。それで、私達はもろにその影響を受けてしまったということなんですね」

サクヤ「既に貴方の幻覚は消え去っているようなので問題ないでしょう。―――寧ろ、問題になるのは…」

チタ「―――いっててて…何かスッゲー時間眠ってたような…」

マルク「あっ 起きた」

チタ「……紫のボールがベシャってる?!」

マルク「その例えは初めて聞いたなー…」



医務室に声が響いていたのか、チタが飛び起き辺りを見回しています。
罪木さんが何か異常はないかと軽く問診と検査を行いましたが、彼には特に異常は見当たりませんでした。



サクヤ「なるほど。恐らく『渦』から一番離れた場所にいたから影響を受けずに済んだわけですね」

チタ「エーキョー?ちょっとタンマ、説明して?」

クレア「それなら私が説明します。割と混乱してるので、上手く出来ないかもしれないですけど…」



クレアが先程サクヤから受けたことをそっくりそのまま彼に伝えると、チタはその大きな目を更に大きくして驚きの表情を見せました。
…しかし、それも一瞬。すぐに状況を理解し飲み込んでしまいます。



チタ「オーケー理解した、的な?つまり俺らは『異世界に飛ばされちゃった』ってことだよね?」

アクラル「厳密には違うんだがそれでいいわ、もう。説明するのも面倒くさくなってきた」

サクヤ「端折らないでください兄貴。…お2方とも、心身共に影響が大きくなくてよかった。ですが…問題は、『彼』ですね」



そう言いながら彼女はちらりと奥のベッドで横たわっている深紅の青年を見やります。
罪木さんが『脳に異常がある』と言っていたことから、世界が混ざった影響を一番強く受けているでしょうが…。それがどんなものかまでは本人にしか分かりません。…いや、本人にすら分からないかもしれません。



サクヤ「今すぐ起きそうにないですし、しばらく3人まとめて預かりましょう。…もしかしたら、同じような境遇の仲間がこちらに連絡を寄越してくれるかもしれません」

クレア「すみません。お世話になります…」

アクラル「まぁそう落ち込むことは無いぜー?『逃走中』のゲームでも見てテンション上げやがれ!」

チタ「…『トーソーチュー』……。ってあの、『逃走中』?!」

石丸「知っているのか?」

チタ「知ってるも何も、俺出てみたかった的な?ハンターと鬼ごっこすんでしょ?マジチーター的なスピードで逃げ切れるんじゃねーかってずっと憧れてたんだよねー!」

サクヤ「なるほど。……クレアさんもまとめて、次回の参加者の候補に入れておきますかね」

罪木「…病人の前でなんて考えをしてるんですかぁ」

マルク「サクヤは色んな意味で気まぐれマイペースだからなぁ。気にしたら負けなのサ」





青年の様子が気になりますが、それだけ気にしていても埒があきません。今は様子を見ましょう。
…白猫の世界自体が混ぜられたということは、彼ら以外にも誰かやってきそうな予感はしますね。


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