二次創作小説(新・総合)

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逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 【完結】
日時: 2020/04/07 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: Rn9Xbmu5)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1297

どうもです、灯焔です。
調子づいて続いてしまった逃走中#CR02。今回から作者募集の逃走者も参加して盛り上がりは右肩上がり(?)!
今回のエリアは、『セブンスドラゴン2020』という作品のダンジョンの1つ『渋谷 繁花樹海』。樹海と化した渋谷を舞台に、逃走者とハンターの駆け引きが始まる―――!

無事コネクトワールドを守る四神が揃い、世界の融合の謎の解明へと一歩踏み出した運営本部。
前回の最後に起きた大砲ケーキ事件から救ってもらった十四松が、『自分も戦えるようになればあのケーキを叩けるのかな』とか思っている様子。
そしてまた新たに『混ぜられた』世界の住人が、運営本部へと集う…。様々な思いが交差して、世界は進んでいきます。



<ルール>
逃走エリア:『渋谷 繁花樹海』 エリア紹介 >>1
東京の中心街の1つともいえる『渋谷』が、竜の力で樹海と化してしまっているエリア。
普段の渋谷とは違い、どこもかしこも木々が生い茂っており、エリア内には登れてしまう巨木も存在する。
また、今回エリアに使用するのは地上のエリアのみになる為、地下への侵入は不可。
OPゲーム終了後から5分までは『駅前交差点』『道玄坂』『渋谷通り』での逃走しか出来ない。


逃走時間:90分

賞金:54万(1秒100円)

ハンター:初期2体(OPゲーム会場のハンターボックスに2体)


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細 >>2
ユーリ
ポエット
タイマー

【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細 >>3
アイク
ロイ
クロム

【星のカービィシリーズ】より (3人) 詳細 >>4
カービィ
デデデ大王
メタナイト

【ダンガンロンパシリーズ】より (3人) 詳細 >>5
霧切響子
七海千秋
最原終一

【beatmania IIDXシリーズ】より (3人) 詳細 >>6
キュベリア
ルシェ
マモニス

【作者枠】 (3人) 詳細 >>7
junris
ウィオ
葉月

【逃走中#01 MVP】 (2人) 詳細 >>8
エーデルガルト
芽兎めう

計20名



逃走中#CR03 次回作出場権(シード枠)争奪予想アンケート実施中!
※締め切りました

逃走中#CR03 次回参加者募集中!&確保MVP投票受付中!
※締め切りました
MVP&作者枠発表 >>138

※『お手伝い』として参加してくださる方向けの案内※
版権キャラ応募用紙 >>139 ※4/7(火) 20時まで



◎AfterBreakTime

 ①『政府特務機関、叢雲』 >>9
 ②『カフェと邪神と道化師と』 >>19
 ③『氷の堕天使』 >>26
 ④『純白の古代兵器、襲来』 >>36-37
 ⑤『星々と暗闇の協奏曲』 >>54
 ⑥『ローティーンは何を願う』 >>74
 ⑦『汽笛はルーンの光を乗せて』 >>93
 ⑧『風の公女と滅びし暗殺者』 >>106 >>110
 ⑨『打ち上げ』 >>140-141 >>145-146





以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

ミッション①進行中 ( No.24 )
日時: 2020/03/06 22:32
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: oN2/eHcw)

爆睡しているキュベリアとそれを何とかしようと考えているjunris、マモニスの近くに人影が―――













































七海「……何、してるのかな?」

マモニス「うぎゃーーーーっ?!…なんだ、七海さんでしたか。驚かせないでくださいよ!」

jun「…そういえば、七海さんもよく寝てるよね。実は…」



2人に近付いてきたのは七海さんだったようです。ハンターじゃなくて良かったですね。
七海さん、装置に向かわず一点を見つめている2人が気になり寄ってみたとのこと。
junrisが訳を話し何か対策は無いかと尋ねると、七海さんは一瞬首をこてん、と傾げこう答えました。



七海「鼻ちょうちんを破ってみる…とか?」

マモニス「何言ってるんですか?!仮にも七つの大罪である悪魔達を束ねる長です!爆睡するにしても鼻ちょうちんなんてふしだらな真似は……!」

七海「…うーん。でも、出てるんだよ…?」

jun「本当だ…」

キュベリア『むにゃ……ぐがー……』



改めてキュベリアの方を見てみると、彼女は気持ちよさそうに道路に寝っ転がって爆睡しています。
その整った鼻からはだらしなく鼻ちょうちんが。余程日なたに照らされての睡眠が気持ちいいのでしょう、いびきもかいてしまっています。
そんな光景を理解してしまったマモニスは思わずうなだれました。



マモニス「こんなキュベリア様は見たくなかったーーー!!!せめてベッドでやってくださーい!!!」

七海「これは気持ちよさそうだね…。なんだか私も眠くなってきたよ…。ふわぁ~」

jun「七海さんまで寝たらここまで来た意味がないと思うよ…?!」

七海「それもそうか。申し訳ないけど、早いところ鼻ちょうちん割って起こそう」



こう、と決めた時の七海さんは行動が早い。早速爆睡中のキュベリアの傍に行き、彼女の顔の近くにしゃがみます。
そして………





七海「そりゃっ」(パチンッ)

キュベリア『―――ふがっ?!』

マモニス「おはようございます…」





キュベリア起床。おはようございます。



キュベリア「なんだよ人がせっかく気持ちよく寝てたのに~…」

七海「寝るなら打ち上げ後でもいい…と、思うよ?もしかしたらミッションの結果で別の場所で寝れるかもしれないしさ。今はエリアの投票に一緒に行ってくれないかな?」

キュベリア「でも私別にどっち解放されてもいいんだよなー…」

マモニス「それなら尚のことですよ!キュベリア様が投票サボったせいでランダムに決まってしまったら元も子もないんですからね!」

jun「もし広い場所の方が解放されたら、ハンターをかいくぐってまた寝れるチャンスが現れるかもしれないし…。お願いします!」



投票に彼女は乗り気ではない様子。そんな彼女を説得する3人。
必死な3人に折れたのか、しばらくして彼女はため息をつきながら『一緒に行くよ』と投票に行くことを承諾してくれました。良かったですね。



七海「よーし。時間もなくなってきたし急いで装置まで行こう!」















【81:15】





~駅前交差点 エリア選択入力装置前~



ユーリ「ポエット、入力は終わったか?」

ポエット「ばっちりえらんだよー!ユーリ、早くとうひょうしてきなよ!」

ユーリ「ああ。早いところ入力してこよう」



入力装置にはユーリとポエットの2人が到着し、エリアの選択を行っていました。
既にポエットは入力を終えてミッションをクリアしており、残るはユーリだけ。
彼が入力装置に向かったと同時に、装置に向かって動いていた七海さん達が到着しました。





jun「あっ、ポエットちゃん!2人もエリアの選択に来たんだね」

ポエット「うんっ!今はね、ユーリがえらんでるのー。だからちょっと待っててね?」

七海「間に合って良かったね…。キュベリアさんの説得にも何とか成功したよ」

マモニス「キュベリア様ったら、『別にランダムでもいい』とか言い出すので連れてくるの大変だったんですから…」

jun「鼻ちょうちん割って説得したの大体七海さんだけどね…」

ポエット「ハンターに見つからないようにねてたのー?すっごーい!ポエットそんけいする~♪」

マモニス「尊敬しなくていいですから!」

ユーリ「なんだ、騒がしいと思ったら君達か。私は入力が終わったから、君達もさっさと入力してくるがいい」

キュベリア「言われなくてもやるっつーの…。ふぁ~…」



話している最中にユーリが割って入ってきます。入れ替わりでキュベリア達4人が入力装置へ向かいました。



キュベリア「こんなもんでいいか…」(ポチッ)

jun「僕はこっち!」(ポチッ)

マモニス「ここは安全策で…」(ポチッ)

七海「こっちかなー?」(ポチッ)





【81:07】

ユーリ   ミッション①クリア
ポエット  ミッション①クリア
七海千秋  ミッション①クリア
キュベリア ミッション①クリア
マモニス  ミッション①クリア
junris   ミッション①クリア





七海「よし、これで全員の入力が終わったね。あとは結果を待つだけだけど…。みんなはどっちが解放されてほしいと思ってる?」

jun「そりゃ自分の選んだ方が選ばれてほしいけど…。チャレンジャーな逃走者と安全策を取りそうな逃走者が半々くらいな気がするし、予測が難しいね」

ユーリ「どんな結果になったとしても、私としては逃走中を楽しむだけだ」

ポエット「ポエットもだよー!」

キュベリア「寝れればどうでもいーし…」

マモニス「まだ寝るつもりなんですかアナタ。逃走者としての自覚をですね…!!!」

キュベリア「マモニスの癖に生意気だぞおらー…」(ほっぺをつねる)

マモニス「いだだだだだだだキュベリア様やめてくだいだだだいいだいいだい!!!!!」

jun「(ハンターに追いかけられている感じがしない…。でも、面白い!)」



何を面白がっているんですかjunris!
ともかく、これで大半の逃走者の投票が終わりましたね。残り受付時間も1分を切っています。





【80:56】





まだ投票していない逃走者は―――





カービィ「うっへー!もたもたしてたらラス2じゃんか!これはハンターとのスリルを楽しんでいる場合じゃないね!」



めう「ハンターが近くうろついてて装置の場所に近付けないめう~…。うう、ここは賭けに出るべきか…」





カービィとめうの2人。仮に投票が出来なかった場合、2人の投票はランダムになってしまいます。
2人は無事に投票を済ませることが出来るのか?!そして、開放されるエリアは……?





ミッション① 逃走者進捗

【投票済み】 16名


ユーリ ポエット タイマー

アイク ロイ クロム

デデデ大王

霧切響子 七海千秋

キュベリア ルシェ マモニス

junris ウィオ 葉月

エーデルガルト




【未投票】 2名


カービィ

芽兎めう

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.25 )
日時: 2020/03/07 22:02
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: oN2/eHcw)

【80:45】






~駅前交差点 エリア選択入力装置前~





カービィ「えっと…確か装置はあっち……。って、ハンターうろつているよー…」



めう「装置に近付きたいのにハンターが近くにいて動けないめう…」





ミッション終了まで残り1分を切りました。
投票が出来ていないカービィとめう。双方装置は目と鼻の先の位置にあります。が…。
























ハンターTR「…………」





装置の近くに運悪くハンターが。2人とも身を潜めている為見つかってはいませんが、動いてしまえばほぼ確実に見つかるでしょう。
しかし、このまま身を潜めていては投票時間が終わってしまいます。



カービィ「これは見つかるの覚悟で出るしかないかー。確保されたらそこまでってことで…」

めう「見つかるかもしれないけど、時間が無いめう。行くしかないめう…!」



同じことを考える2人。
ハンターが背中を見せた隙に――――――












カービィ「装置までGo Go Go!!!」

めう「全速力でスイーツ大魔王をバリバリドッカーめう!!!」





2人同時に装置まで走りだしました!!!






ハンターTR「…………!!!」





ダッダッダッダッダ!!!!!






ハンターに見つかったのは――――――


























































ROCK ON【MEU MEU】





ピーーーーーーーーーーーー





めう「んきゅーーー!!!見つかっためうーーー!!!」

カービィ「めうちゃんも来てたの?!でもこのチャンスを逃すわけにはいかない!」





ハンターが視界に捉えたのはめう!
カービィはハンターが彼女を追いかけた隙をついて装置まで急ぎます。めうは慌てて装置とは逆方向に逃げ出しました!






『逃走エリアを 選んでください』



カービィ「よし、装置まで着いたよ!えっと、急いでこれをこうして、こうだー!!!」(ポチッ)



『投票を 受け付けました ミッション①クリア』





















~渋谷通り 交差点前~





めう「しつこいめうー!!!」



流石めう、身体能力の高さでハンターに対して粘っています!
しかしハンターも彼女を視界に捉えたまま追いかけ続ける…。このままではめうのスタミナ切れの方が早そうです。



めう「いい加減視界からそれるめうーーー!!!」



そんなことを叫びながら走る彼女でしたが、目の前には――――――































ハンターSA「…………!!!」



めう「えっ うそ……」





別の、ハンター。















ポンッ








【80:06】
芽兎めう 確保 残り17名





めう「挟み撃ちは流石に無理だめう…。あーめう…」



まさかの挟み撃ち…!芽兎めう確保!リベンジならず!
そして―――。












ピリリ ピリリ












エーデル「通達ね。『芽兎めう 確保 残り17名』 ……えっ?捕まってしまったの…?!」

ルシェ「こっちにハンター全然来てないし、もしかして2体に追いかけられていたのかなー?」

ロイ「『また、80:00を経過した為、票数が多かったエリアを解放する。解放されるエリアは―――』」










【80:00】




~?????~




クロム「……ん?何か物音がするな?」



エリアを散策していたクロム、何か物音がしたことに気付き近付いてみます。
彼が見たものは――――――




































ハンターDE「…………!!!」

ハンターPA「…………!!!」













ダッダッダッダッダ!!!!









ROCK ON 【CHROM】





ピーーーーーーーーーーーー











クロム「うおおおおあああああああああ?!?!?!」









ポンッ








【79:56】
クロム 確保 残り16名





クロム「捕まったのか、俺?!」



未だに現状を理解できていないクロム!
なんと、解放されるエリアのハンター放出の場に運悪く立ち会ってしまったのです……!














ロイ「『開放されたエリアは、『センター街』『宮下路地』『宮下通り』。また、2体のハンターが放出され、ハンターの数は4体となる。』
   つまり、『エリア大』を選んだ逃走者が多かったわけだね…」
   
jun「あれっ まだ続きがある。『クロム 確保 残り16名』 うわっ、短時間でもう2人捕まったよ…」

ウィオ「エリアが広くなったとはいえ、4体で16人は相当きついぞ…!気を引き締めなきゃな」






【79:55】 ミッション①終了時 逃走者詳細


確保者 4名


最原終一 メタナイト 芽兎めう クロム




既存逃走者 残り16名


ユーリ ポエット タイマー

アイク ロイ

カービィ デデデ大王

霧切響子 七海千秋

キュベリア ルシェ マモニス

junris ウィオ 葉月

エーデルガルト




逃走者の多数決の結果、選ばれたのは『エリア大』!そしてハンターが2体放出され4体になりました。
前回よりも1体多い今回の逃走中。前回確保MVPのめうが早期に脱落し、運悪く聖王クロムも連続確保!
今回もハラハラドキドキです。この勝負を制するのは―――一体誰だ?!


To be continued……

ABT③『氷の堕天使』 ( No.26 )
日時: 2020/03/08 22:07
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: eldbtQ7Y)

もうそろそろ春が近づいているというのに、寒かったり熱かったり。気温の変化が激しいですね。
おや?こんな時期に雪…?何やら新しい風が吹きそうな予感。

------------------------



~運営本部 入口前~



エイリーク「すみません、マルス王子。こんな時にまで兄上の捜索にお付き合いさせてしまって…」

マルス「気にしなくていいよ。ぼくもつい最近まで同じような状況だったんだしさ。君の兄上…エフラム王子が無事見つかるように、最後まで手伝いをさせてくれ」

エイリーク「ありがとうございます。…ですが、ロイ殿やアイク殿は何も知らないと仰っていましたし…。どちらにいるのでしょうか」



運営本部の入口前でマルスとエイリークが話をしています。
前回話題に出たとは思いますが、エイリークの兄が現在行方不明で見つかっておりません。彼女は運営本部の仕事を手伝う代わりに、本部に兄を探す依頼をしていました。しかし、中々有力な情報は得られておらず…。前回の打ち上げから少し時間が経っていますし、ここで何も情報がないというのは少し不安になってきますね。



マルス「エフラム王子達の行方が分からないことに『道化師』が関わっている可能性はないのかな…。ロイやアイクは無事に見つかったわけだし関係ないとは思うけど、こう長い間見つからないと疑ってしまうね」

エイリーク「兄上だけではなく、ベレス殿の生徒も一部行方不明のままですし…。兄上、無事でいればいいのですが」

マルス「魔物に襲われてどこかに囚われている、というのは考えたくないね。ぼくより腕っぷしが…アイクと力比べをするくらい強いんだから、彼は」



そんな話を続けながら本部の離れまで歩いてきた2人。
―――ふと、エイリークが足を止めます。何か見つけたのでしょうか?



エイリーク「………?何か、向こうで光っているような」

マルス「どうしたんだい?」

エイリーク「一瞬、向こうの茂みが緑色に光ったような…。本当に一瞬だったので、私の気のせいかもしれませんが…」

マルス「雨が降っていたわけでもないのに急に煌めくのは不思議だね。確認してくるよ。エイリーク王女はここで待っててくれるかな?」

エイリーク「ま、待ってください!私も行きます!」



エイリークが指差したのは、運営本部の近くの庭園の茂み。あそこには魔族共が育てた地上の花が植えられています。時折ベレスが勝手にお茶会を開いては親密度を上げてたりします。
彼女はその茂みが一瞬だけ光ったとマルスに話しました。彼女を危険にさらさない為、自分が見て来ると足早にその場を去ってしまいました。エイリークも彼を追います。



しばらく歩いた後、庭園へと着いた2人。そこで見つけた『人物』に慌てて駆け寄りました。



マルス「………っ!!!」

エイリーク「大丈夫ですか?!」





そこには―――。『宝石の様に髪の毛が煌めく白い肌の青年』が倒れていたのです。



エイリーク「ど、どうしましょう…!」

マルス「いったん落ち着こう、エイリーク王女。脈は―――弱いけどある。亡くなっているわけじゃなさそうだね。身体は冷たいけど…気絶しているだけみたいだ。すぐに本部に連れて行って休ませれば大丈夫だと思うよ。
    …エイリーク王女は先に戻って、サクヤさんにこのことを話してくれないかい?」
    
エイリーク「は、はい!すぐに向かいます!」



倒れていた青年は弱弱しく呼吸をしていますが、大事には至っていなさそうだとマルスは判断しました。
エイリークに伝言を任せ、彼女が本部へ走って行ったのを見送った後…彼は、ゆっくりと青年をおぶりました。



マルス「…よっと。ちょっと揺れるけど我慢してくれ」



優しく声をかけながら、彼はゆっくりと本部への道を急ぐのでした。

















~運営本部 エントランス~



マルスが本部の入り口をくぐると、心配そうに顔をしかめたサクヤがそこにいました。
エイリークの伝言を受け、罪木さんとコハクをすぐに医務室に呼び出してくれたようです。



サクヤ「エイリークさんから事の顛末は大体伺いました。すぐに医務室に向かいましょう」

マルス「ありがとう。あと、手の空いている人に暖かいタオルを準備してもらえるように頼めないかな?」

バンワド「あっ、それならボクが準備します!ちょうど牢獄ルームのお茶菓子の準備をしていたので、そのついでに持っていきます!」

サクヤ「ありがとうございますバンワドくん。既に人員は手配しています。行きましょう」



バンワドはとてとてと可愛らしい足跡を弾ませながら給湯室まで走って行きました。
彼の姿が見えなくなった後、彼女達も医務室への道を急ぎました。





~運営本部 医務室~



罪木「だ、大丈夫なんですかぁ~?!」

マルス「脈は弱いけどあるよ。―――体温が低いかもしれないから、今バンワドに暖かいタオルを準備してもらっている。…急いで診てくれないかな?」

コハク「わーってる。呼吸が弱弱しィ、さっさと診ンぞ蜜柑」

罪木「は、はいぃ!!!」



医務室では罪木さんとコハクが既にスタンバイしており、青年を待っていました。
マルスは軽く状況の説明を2人にした後、青年を部屋にあるベッドに下ろしました。「う…」と、彼の呻き声が軽く聞こえます。…苦しいのでしょうかね?
ちなみに13班のコハク、見た目は怖いですがムラクモに配属されるまでは某有名大学の『医学部』に通っていたそうで、医者志望だったそうなのです。そりゃ手際が良いわけだ。
…よく見ると、青年は髪色は綺麗なままですが、白い肌のところどころに痣があり煤がついています。また、碌に服も着せて貰えていなかったのでしょう。ボロボロの布きれ一枚しか羽織っていなかったことにマルスはやっと気づきました。



サクヤ「随分と煤だらけですね…。火事にでも巻き込まれたんでしょうか」

マルス「こっちに連れてくるのに夢中で脈と体温しか確認してなかったけど、はっきり見てみると痣とかもあるよ。…誰かに酷いことをされていたんだろうか」

コハク「案外そーかもしンねェなァ。見てみろ、背中の羽が一部分抉れてヤベェことになってる。…これは人為的なモンだ。庭にぶっ倒れるまで酷ェ目に遭ってた可能性は高ェな」

サクヤ「羽…。人間ではない。天使か、その類の種族ですかね」

マルス「でも、黒い羽の天使なんて滅多に見ないよ?ブラックピットは…彼は、ピットのコピーみたいなものだし」

ノア『コハクー?お湯とタオル持ってきたから入る……うわぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!』

コハク「仮にもビョーニンがいる部屋で叫ばないでくれませンかねェ、三下サンよォ?怪我に響いたらどうすンだ!」

ノア「いや、ごめん!でも……。というか三下って呼ぶな!色々と勘違いさせるだろ?!」

罪木「お二人とも十二分に煩いですぅ」

ヘリオ「包帯とか必要なら持ってき、――――――!!!」

サクヤ「ヘリオさん…?」



コハクが傷を見せていると、お湯の入ったポットとタオル、桶を持ってノアとヘリオが部屋に入ってきました。三下呼ばわりとは。もう確実に一方○行さんと上○当麻さんではないですか。いやそれは置いておいて。
ベッドで蹲っている青年を見たヘリオの表情が崩れます。…彼に、覚えでもあるんでしょうか。



サクヤ「…酷なことを言うかもしれませんが聞いていただけますか?『彼』と、知り合いなのですか?」

ヘリオ「……『部下』、なんだ」

マルス「『部下』?」

ヘリオ「ここで話すと彼の傷に響くかもしれません…。部屋の外で話します」

サクヤ「承知しました。コハクさん、この場は任せてもいいですか?」

コハク「訳アリみてェだし?落ち着いたら戻って来な」

サクヤ「助かります」



『部下』? ヘリオと『青年』に関係性が…?これは詳しく話を聞く必要がありそうですね。
医務室に4人を残し、サクヤとヘリオ、マルスは部屋の外へと出ます。
―――そして、改めて彼に話を伺いました。ヘリオは少しの沈黙の後、ゆっくりと口を開き『彼』について話し始めました。



ヘリオ「彼の名前は『ニフルヘイム』。神々の領域の軍の1つ『太陽軍』所属の天使だった」

サクヤ「やはり天使の類でしたか…。その口ぶりを見るに、軍での上司部下的な関係だったのでしょうか」

ヘリオ「御明察の通りだよ。元々は僕もニフルも神々の世界で秩序を守るために働いていたんだ。だけど…『腐敗した神々』の暴挙によって、彼は魔界へと堕とされてしまった。何故かはわからない。でも、『腐敗した神々』にとっては僕達が邪魔だったんだろう。これだけは分かるよ」

マルス「ということは、彼…ニフルヘイムは『堕天使』だということになるね。随分と服もボロボロだったし、魔界に落ちてからずっと彷徨っていたんだろうね…」

ヘリオ「彼が魔界に堕ちてから、僕は死に物狂いで彼を探したよ。『ゼウス様』にも頼んで、天界も地上もあらゆるところを。でも…見つからなかった。神に魔界を探すことは出来ない。もう彼は見つからないと諦めかけていたんだよ。困り果てて、ゼウス様に相談したんだ。そしたら、『アリアンロッド』を頼れと言われて。そして、地上に降りてきたんだよ」

サクヤ「なるほどです。『アリアンロッド』…アシッドさんの元には魔界に通じる邪神がいますからね。彼女達の力を借りれば魔界も捜索できる…そう考えての提案だったのでしょう」

マルス「ま、待って?話が飛躍しすぎてついていけないんだけど…」

サクヤ「んー…。かいつまんで話をするとなると、『ヘリオさんはニフルさんを探す為、地上に降りてネクストコーポレーションを頼った』ということになるのですよ」

マルス「そこまでは分かるよ。でも…アシッドさんが『アリアンロッド』?アリアンロッドって確か、『運命の神』って呼ばれる凄い神様だよね?まさか……」

サクヤ「流石マルスさんです。お察しの通り、アシッドさんの正体は『運命の神』アリアンロッド。…他人の運命を簡単に操ってしまう、とんでもない神ですよ」



あ、喋っちゃうんですかサクヤ。ならばこちらも解説しなければなりませんね。
前回急に逃走中本部へと現れた謎の社長『アシッド』。彼の正体は、運命の神『アリアンロッド』。現在は力を隠していますが、本来は四神はおろかMZDをも片手で諫める程の強い力を持つ神様なのです。…目的は分かりませんが、訳ありの神を雇って社員として働かせているのだけは確かなようです。
で、ヘリオもそのうちの1人。堕ちた部下を探してアシッドを頼ったことがこれで明らかになりましたね。



ヘリオ「…社長を頼って社員になったところまでは良かったんだけど…。ニアさんの力を借りてもニフルは見つからなかったんだ。その際に『緑の崩壊』が起きたって聞いて、一瞬見つかったんじゃないかって希望を持ったよ」

サクヤ「あ…。あれニフルさんのせいだったんですか…」

マルス「『緑の崩壊』って、日光がないと成立しないもんね。太陽神の部下だったニフルヘイムが魔界にいたのなら、その力が作用して崩壊が起きてもおかしくはないよね…」

ヘリオ「それで、もしかしたら見つかるかもしれないんじゃないかって社長に言われてさ。『逃走中を見学する』という名目で本部にお邪魔することにしたんだ。こんな形で見つかるとは思わなかったけどね…」

ソティス「何はともあれ、探し人が死なずに見つかったことは素直に喜ぶべきじゃ」

マルス「……うわっ?!2人ともどこから話聞いてたの…?」

MZD「『緑の崩壊』がどーたら辺りから?巻き込まれた当事者だからな、原因がはっきりして良かったぜ」



背後からぬっと現れたソティスと、その後ろからMZDが現れました。どうやら3人の話を途中から聞いていた様子。随分と珍しいコンビですね。
…ベレスとヴィルヘルムはどうしたんです?



MZD「PERFECT TEA TIMEしてる。何かハートがホワンホワン鳴ってる」

サクヤ「好感度上がりまくってますね」

マルス「ぼくも参加したかったなぁお茶会…。講義…。風花雪月…参加したかったなぁ…」

MZD「FEHでやって?」

ソティス「1日で支援Cは軽く超えそうな勢いじゃったな。いやそれはどうでもいいのじゃ!…入口から妙な気配を感じてのう。気になったから音の神を引き連れて身に来たのじゃ」

MZD「その妙な気配ってのが、お前さんの部下である『ニフルヘイム』ってヤツなんだろ?今治療中みたいだし面会はご遠慮したほうがいい感じ?」

サクヤ「どうでしょうね。危篤状態という訳ではなさそうでしたし、そろそろ大丈夫な時間帯だとは思うのですが…」

罪木「あのぉ…。お話中よろしいでしょうか?意識を取り戻しましたのでぇ、お部屋に入っても大丈夫ですよぉ」

サクヤ「タイミングが読めてしまいました。ありがとうございます、罪木さん。…ヘリオさん、折角の再会なのです。会ってあげてください」

ヘリオ「うん…」



サクヤにそっと背中を押され、ヘリオは医務室の中へと再び足を踏み入れました。
そこには眠そうにあくびをするコハクとそれを呆れて見ているノア、そして―――。





ニフル「……ヘリオス、さま」

ヘリオ「久しぶりだね、ニフル」





現れたオレンジ色に、ただ驚いている『宝石の様な青年』が、そこにはいました。
ヘリオは懐かしい顔を見て、安堵の表情を崩せずにはいられませんでした。





サクヤ「さて、感動の再会の中申し訳ないのですが…。ニフルさんをこちらでしばらく預かりたいと思っています。どうでしょう?」

ヘリオ「えっ?…いや、僕としては有り難い申し出だけど、そんなに世話になる訳にも…」

サクヤ「随分とちょうどいいタイミングで貴方のところの社長から通信が来たと兄貴から連絡がありまして。彼をしばらく預かってほしいとの要請がありました」

ニフル「いいんですか…?」

サクヤ「良いも何も、あの社長に逆らえば後が怖いですからね…。それに、私としても何故貴方が堕天使にされなければならなかったのか気になります。―――もしかしたら、『道化師』と繋がっている可能性がありますし」

MZD「ニアも『邪神』が絡んでるとか言ってたからなー。道化師と繋がってても何ら不思議は無いと思う」

サクヤ「久々の再会なのでしょう?しばらく―――上司と部下でゆっくりくつろぐ選択も、私は有りだと思いますよ?」



なんてタイミングでなんて要請をしてくるんでしょうかあの社長は。
何はともあれ、ニフルはこれからしばらく運営本部で預かることにしたようです。人手が増えて良かったですねサクヤ。



…そんな微笑ましい光景を、空から見つめる『影』が3つ。


















『…本部の位置を割り出したよ『メフィスト』。これからは私達の仕事と行こうじゃないか』

『なぁるほどぉ?なら、こちらもそろそろ『古代兵器―――Zirkfied』の投入といこう。少し、遊んであげるといいよ』








『―――やっと見つけたよ?『ジョマンダ』』





―――ひええええ?!古代兵器『Zirkfied』?!えっ あいつ?あいつなんですかー?!
しかもジョマンダを知っている…?!ま、まさか、見つめる影の正体って……!

Re: 逃走中#CR02 渋谷の松野大作戦 ( No.27 )
日時: 2020/03/08 22:07
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: eldbtQ7Y)

【77:33】





~センター街~





葉月「なるほどね~。これはハンターが放出される数も多いのがよーく分かるわ!」



そう言いながら解放されたエリアを歩いている葉月。
ハンター1体の方がどのくらいの広さかは知りませんが、何か自分で勝手に納得している様子。



葉月「それにしても今回の逃走中、本当に運が悪い人が沢山参加しているわよね。…カオス展開本当に無いの?」



ありません!何を期待しているんですかこの逃走中に!
前回のケーキの惨状は向こうが勝手に暴走したんです!別に不幸が重なって起こったわけではないんですからね!



葉月「運が天に見放された人達が本部にも2人いる時点で言い訳はできないんじゃないかしら?さぁ、すっごく面白いギャグ展開を私に見せなさい!裸族でもOKよ!」

カービィ『なんだなんだ?!カオスなお話かな?!』

ユーリ『面白いならば私は何でも大歓迎だぞ!』

jun『面白い展開は僕も好きです!』



そこ、乗らないでください!何なんですかこの妙なチームワークの良さは!
…まぁ、このノリの良さも逃走中には大事なんでしょうけど?



葉月「そうなのよねー。うんうん、ギャグもだいじ…………Uターンしよーっと」



葉月、くるっと歩いていた向きを変えUターン。そしてそのまま歩いてきた方向を進んでしまいました。
実は――――――










































ハンターPA「…………」





ハンターが近くにいました……!彼女が先にハンターを見てその場を離れた為ハンターには見つかっておりません。
葉月、危機一髪で回避…!危ない危ない。






【76:49】





~道玄坂下路地~





マモニス「あーあ。キュベリアさんもエリアが解放した途端にまた眠りに行っちゃいましたし、あの人ちゃんと参加してる自覚あるんでしょうかねぇ?」

七海「うーん…。一応ミッションには参加してたし、大丈夫じゃないかなぁ…。この緊張感の中爆睡できるって逆に凄いよねー。…私も眠くなってきたなぁ」(あくび)

マモニス「七海さんまで眠られたら私が困るんですけど?!勘弁してくださいよ!!」

七海「冗談……だと、思うよ?すぴー…」(zzz)

マモニス「言った傍から寝ないでくださぁい!!立ちながら寝るなんて器用だなあ!!」



…何やってるんですか。カービィの前にミッションをクリアした6人。別れた後、七海さんとマモニスはしばらく一緒に行動することを決めたようです。
七海さん、どうやらキュベリアの爆睡っぷりに睡魔が移ってしまい…。立ちながら居眠りとはなんて器用なんだ。いや感心している場合ではありません。
寝ていたらハンターに見つかってしまいますよ!



マモニス「天の声さんの言う通りです!起きてください!この私を起床係で終わらせるつもりですか?!」

七海「ある意味爪痕残るからいいんじゃないかな…?」

マモニス「なんですか逃走中で『他人を起こして逃走成功しました』って!!なんの名誉にもなってないじゃないですか!!『強欲の悪魔』の名に傷がつきます!」

七海「どんな名誉も誇りに思ってこそ強欲、…だと、思うよ? ……ん?」

マモニス「どうしたんです?」

七海「むむむ……」



緩いボケとツッコミを繰り返す中、七海さんが急に目を凝らします。
様子が変わったのを不思議に思いマモニスが訪ねますが、七海さんは集中しているらしく聞こえていません。
しばらく目を凝らしたまま、ある一点を見つめて彼女は言いました。





七海「あそこ―――。誰か、いる。『逃走者』じゃなさそうだし、『保留組』の3人でもなさそうだよ」

マモニス「…えっ?じゃあ、本部の方々…?」

七海「ううん?…なんだろ、凄い『派手な色の服』を着てるみたい。まるで『ピエロ』って言葉が似合いそうな感じ」

マモニス「ピエロ…?」

七海「―――あっ。消えちゃった。気付かれたかなー」





追っていた視線が急に消えたことで、七海さんは目をぱちくりさせながらマモニスの方を向きました。
ピエロの様な格好と言えば、本部にマルクがいますが…七海さんの言葉だとそういう訳ではなさそうですね。帽子ならまだしも、『服を着てる』と言っていましたし。
―――今回の逃走中、本部の知らないところで何か起こりそうな予感。どうなってしまうんでしょう…?
次回、保留組の大冒険が続きます!そして、ミッション②開始!

保留組の大冒険 ② ( No.28 )
日時: 2020/03/09 22:06
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: eldbtQ7Y)

よーく話し合った結果、広い場所の調査から始めることにした保留組。
キリノにそのことを伝えると、彼は選んだ場所の簡易マップをホログラム化して3人の目の前に展開しました。…今思えばなんですが、ゲームの世界の未来の技術ってその時代よりも随分と先取りしているような気がするんですよね。メタネタはやめておきましょう。
早速マップに映し出された新しいエリアを探索する3人でしたが、歩けども歩けども目の前に広がるのは緑、緑、緑…。樹海の気配が全く消えない都会の景色に、一同は少し萎え気味でした。



十四松「どこを見てもじゅかーい!リザードンをダイマックスすれば一気に焼けそうだね!」

チョロ松「縁起でもないことを言うな!!!はぁ…こんなののどこにこの『アイテム』を置けって言うんだよ…」

カラ松「しかし、受けたのならば完遂しないと意味がないだろう。折角サクヤがオレ達にチャンスをくれたんだから、答えないと男が廃るだろう!」

チョロ松「そりゃそうなんだけどさー…。別に僕戦えなくたって何の問題もないんだからね?この際言っておくけど」

十四松「あははー!でも戦えるようになったらあのケーキから守れるかもしれないもんね!がんばろー!」

カラ松「その前におそ松に盾にされそうだがな…」

チョロ松「あの悲劇を語らないでお願いだから」



おそ松にケーキ砲の盾にされた悲劇をつい思い出してしまい、一気に歩みが遅くなるチョロ松。
心配そうに歩幅を合わせるカラ松でしたが、彼の気分は優れることは無く。
先を歩く十四松との距離はどんどんと離れて行ってしまいます。様子がおかしいことに気付いたのか、キリノも心配そうに通信を繋いできました。



キリノ『…大丈夫ですか?弟くんとの距離がどんどん離れているみたいだけど』

チョロ松「兄に酷いことされたことを思い出してげんなりしていただけです…。気にしないでください…」

カラ松「チョロ松はオレが大怪我してから何故か情緒不安定になってしまったからな…。ここに飛ばされてから少しは安定したとは思っていたから安心しすぎていたな」

チョロ松「―――っ!そもそもそれはお前が……!!」

キリノ『…何か、深い事情がありそうですね?良ければお聞かせ願えませんか?愚痴くらい流したって誰も文句は言いませんよ』

カラ松「い、いや、大したことじゃないなんだ。本当にな…」

チョロ松「大したこと全然あるんだけどな…。黙ってくれるって言うなら話しますよ、僕は」

カラ松「チョロ松!」

チョロ松「黙ってたって時が解決してくれる問題じゃないだろ。それに…この『カーディガン』を着てる間だけ、僕の心の不安定さとかお前の体力の問題とか不思議と解決してるじゃないか。変だと思わない?多分…本部の人気付いてるよ?」

カラ松「う、うぅ…」

キリノ『話したくないというのなら無理に聞き出しはしないけど…。聞いてもらうことでスッキリすることもあると思いますよ』

チョロ松「そう…だよね。話すよ。実は―――」



…皆さんは、前回ソティスが指摘したようにあのカーディガンに『神の加護』がかかっていることはご存知ですよね?実は、水陸松、特にチョロ松が薄々感じていたようで。まぁ、前回アクラルに指摘されたことがきっかけで彼は確信を得たんだそうですけれど。
どうやら『神の加護』で、水陸松が元の世界に降りかかった災厄が一部無効化されている様子。2人はそれについてかなり負い目を感じているようで、それがチョロ松の心身を負担しているようなのです。
キリノがゆっくりと彼らを諭し、チョロ松はゆっくりと『自分の世界で何が起こったのか』を話し始めました。




チョロ松「…僕達がまだこの世界に飛ばされる前の話なんだけど…。その世界で『カラ松事変』っていう事件が起きてさ。カラ松はその事件で一回死にかけて、今激しい運動が出来ない状態になってるんだ。『就職祝いだ』って贈られたカーディガンを着ている間だけは十四松の人間離れした動きにもついていけているんだよね」

キリノ『なるほど。カラ松君の事情は分かりました。さぞ大変な思いをされてきたんでしょうね…』

カラ松「いや、オレ達の世界ではそれが『当たり前』だったんだ。おそ松が六つ子のカースト頂点で、オレが一番下。身体をボロボロにされようとも、心をボロボロにされようとも、それが『赤塚ワールド』の普通だったんだよ」

キリノ『そ、そうなんですね…?にわかに想像しがたいんですが…。まぁそれはいいでしょう。それで、どうしてチョロ松君の情緒不安定に繋がるんだい?』

チョロ松「これは、十四松以外にはまだ誰にも喋ってないんだけど…。僕とカラ松は『共感覚』を持ってるんだ。互いに思っていることや喜怒哀楽が何となく相手にも伝わってしまうというか、『相手の考えていることが分かってしまう』って能力だ。
     ―――カラ松が大怪我をして病院に運ばれた時、こいつの身体の痛みとか絶望とか全部分かっちゃって。その場は取り繕うようにあいつらに従って笑顔作ってたけどさ。母さんに連れられて病院に行って、『カラ松の心臓が一回止まった』って聞いた時。頭の中が真っ白になった。僕の中の『六つ子のカースト』が全部崩れていったよ」

カラ松「…………」

キリノ『…カラ松君の当時感じた絶望は、それほどに酷いものだった。そして、チョロ松君は『共感覚』を通じてそれを感じ取ってしまい、情緒不安定になってしまった。ということでいいのかな?』

チョロ松「…その通り。何もかもが真っ黒に塗りつぶされた気分で。真面目を取り繕うのにも精神使って。多分、この世界に飛ばされなきゃ僕、もうとっくに壊れてたのかもしれない」

カラ松「チョロ松!そんなことを言わなくてもあいつらは―――」

チョロ松「お前だってわかってるだろ?!火あぶりにされた時さ、お前に大怪我させて―――一回命奪ったの―――ぼく『言うな!!!』」

カラ松「オレはもう気にしていない!それに、お前がオレの今の身体のことばらしてくれたおかげでちゃんと和解出来てるじゃないか!……『あいつ』を除いて、だけど」

チョロ松「だからさ。お前がケーキ弾の盾にされてた時、カーディガンがなかったら多分お前死んだなってあの時一瞬思っちゃって…。そんな風に思った自分が不甲斐なかっただけだよ」

キリノ『(サクヤさんが『彼らの心の傷が少しでも癒えるようにサポートしてあげてください』と言っていたのは、このことだったのか…)』



―――『カラ松事変』。おそ松さん1期をご覧になったことがある方は覚えていると思いますが。そうです、5話のあれです。この事件がきっかけで、水陸松の心身に何かしらのダメージがかかり、今でも引きずっている状態みたいですね。
カラ松の心の傷は大分癒えているみたいですが、身体には二度と戻らない後遺症が。そして、チョロ松は今でもこの事件に対して向き合えていません。チョロ松、ケーキまみれになりながらそんなことを考えていたんですか…。



キリノ『君達に刺さった根深い棘。多分、乗り越えるにはまだまだ時間がかかりそうですが…。君達はもう少し周りを頼ってもいいと思うんです。幸いにも受け入れてくれる場所が、ちゃんとあるでしょ?』

チョロ松「…………」

キリノ『悩みがあるなら口に出すことも大事です。それで、解決の糸口のきっかけになることもありますよ』

カラ松「それは、そうだけど…」



本部の面子にも言えていないようで、口ごもる2人。
そんな彼らの元に―――急にどたどたと駆け寄る黄色が。何があったんでしょうか。





十四松「そーしきー?!そーしきっすかー?!」

キリノ『葬式じゃないよ、十四松君』

カラ松「あ、いや、ごめんな十四松。一人で先に進ませてしまって」

十四松「うーうん!ぼく戻って来ただけだから!それよりも向こうやばいよ!」

チョロ松「ヤバい…?」

十四松「―――なんか『ぴかー』って光ったよ!3つくらい!」



十四松が指を指した先には―――。






















キリノ『なっ……!何でフロワロシードが浮かんで……!!』

十四松「フロワロシードっていうんだ、あれ」

カラ松「えっ えーーーーーーっ?!」





チョロ松『凄い勢いでこっちに飛んでくるーーーーーーーー?!?!?!?!』



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進捗が一旦切り替わると共に、3つの『フロワロシード』がエリア内のどこかに飛び散った!
また、ハンターボックスが設置された!



アクラル「上手く着地出来なかったら割れるかもなアレ」

MZD「割れない割れない。そんなヤワに創ってないからアレ。…ま、逃走者が『仕掛けにいつ気付くか』がミッションクリアの鍵かなー?」


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