二次創作小説(新・総合)
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- 北大路さくら劇場 終幕!!
- 日時: 2022/01/01 08:49
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
この作品は北大路さくらちゃんの魅力を少しでも多くの人に知って貰いたいと思い、執筆することにしました。カッコイイさくらちゃん、可愛いさくらちゃん。色々なさくらちゃんを堪能してほしいです!
それでは北大路さくら劇場、開幕です!!
- Re: 北大路さくら劇場 ( No.17 )
- 日時: 2021/11/17 07:23
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
北大路さくらは生唾を飲み込み、緊張な面持ちで向かい合った。
片方の目が隠れるほどに髪を伸ばした少年はどこか気怠い態度でさくらを見ている。
「僕に何か用? あるならさっさと済ませて」
少年に催促され、さくらは意を決して一歩前に進み、告げた。
「この北大路さくら、あなたを一目見た時から愛してしまったのでございます!」
さくらは感情が高ぶっており、すぐさま北大路劇場に突入してしまった。
「アレは忘れもしない冬のことでした。あなたの歌声を聴き、その美しさに心を惹かれ、寝ても覚めても考えるのはあなたのことばかり。
けれどさくらはアイドルの身の上。あ、特定の誰かに惚れちゃあいけねぇ。
分っちゃいるが止められねぇのが恋心、一度惚れたからにゃ告白せねば気が済まぬ。
そしてここまでやってきた。御用と興味のある方は見てって頂戴、北大路さくらの一世一代のぉ、大告白を~!」
そのまま見得を切ったところで正気に戻り、告白の続きを喋る。
「ということでございましてさくらはあなた様に惚れこんでしまったのでございます」
「君さ、何か勘違いしてない? ボク、女だよ」
「え?」
あまりに突然の真実にさくらは瞳孔を見開き驚愕する。
「いえ、でも、一人称はボクでしたし、外見や服装も、その、少年的で・・・・・・」
「とにかくボクは君とは付き合えない。さようなら」
「そうですね。せめて最後にお名前だけでも聞かせていただけないでしょうか」
「ミア・テイラー」
「ミア様。今後のご活躍、この北大路さくら心より祈っておりますわ」
ミアは何も語らずポケットに手を入れて、さくらの元から去ってしまった。
その姿をさくらは目尻に涙を浮かべながらも、笑顔で見送るのだった。
おわり。
- Re: 北大路さくら劇場 ( No.18 )
- 日時: 2021/11/17 10:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
白髪を螺旋状に結った髪型が特徴的な自称・吸血鬼の少女、藤堂ユリカは好物であるトマトジュースを飲んでいた。透明なグラスに並々と注がれた赤い液体を小さな口で飲み干し、白いハンカチで口を拭う。表が黒、裏地が赤の愛用のマントを羽織り、鏡の前でポーズをとると小さな牙をきらりと輝かせる。
「600年生きている吸血鬼の藤堂ユリカ様が今宵もアイカツで皆の血を吸うわよ」
いつもの口上を告げたところで寮の部屋がノックされる。誰かと思い開けてみると、そこには北大路さくらの姿があった。
「さくら、どうしたのよ。こんな時間に」
「ユリカ様。ユリカ様の為に特製のトマトジュースを製作致しました。もし宜しければ私と一緒にお召し上がりになりませんか」
そう言って差し出された小瓶には真っ赤な血のような液体が入っている。
普段から親交のある二人だが、この日に限って言うならばその提案は明らかに妙だった。何しろ日付が変わるまであと一時間しかないのだ。そのような時間に作ってきたという事は何かあるに違いない。疑念を浮かべていると、さくらは一礼して部屋の中に入り、先ほどユリカが飲み干したばかりのグラスに自作のジュースを注ぎ入れた。さくら特製のジュースはまるで本物の血のように赤く、トマトの独特の香りが漂ってくる。さくらは満面の笑みでグラスを差し出し、言った。
「ユリカ様、存分にご賞味くださいませ」
「わ、わかったわよ」
突然の珍客への戸惑いと自分の為に作ってきたという嬉しさからユリカは頬をやや赤らめつつ、豪快にトマトジュースを飲み干す。すると体に変化が現れ始めたのだ。無意識のうちに溜めこんでいた疲労が跡形もなく消え、全身に活力がみなぎってくるようだ。
「すっごいじゃない。このトマトジュース!さくら、よくやったわね」
「ユリカ様が喜んでいただけるのでしたら、それがさくらにとって何よりの幸福でございますわ」
さくらとユリカは互いに見つめ合い、トマトジュースで乾杯。
ゆっくりと流れる夜を優雅に過ごすのだった。
おわり。
- Re: 北大路さくら劇場 ( No.19 )
- 日時: 2021/11/17 11:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
赤い髪の三つ編みとそばかすが特徴のエマ・ヴェルデはピクニックをしていた。
芝生の上にシートを敷いて腰かけ、一緒に付き合ってくれた北大路さくらに手招きして言った。
「さくらちゃん、私のお膝で眠ってもいいよー」
「エマ様の膝枕など滅相もございません」
「もしかして、嫌、だった・・・・・・?」
青く澄んだ瞳を潤ませるエマに対し、さくらは慌てて手を振って言葉を返す。
「そんなそんなそんな!エマ様の枕を嫌がるなどあり得ません。ただ」
「ただ?」
「私にはあまりにも勿体ないのでございます。それにエマ様の枕は虹ヶ咲スクールアイドル同好会の皆様が優先されるべきでしょうし」
「さくらちゃんは優しいんだね。でも今日は誰もいないし、たまにはさくらちゃんも好きなだけ甘えていいんだよ」
「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」
丁寧に膝をついてシートに腰かけたあと、座っているエマにゆっくりと傾いていき、頭を乗せてみる。ちょうど良い弾力感があり、温かさのある膝はとても柔らかく寝心地が良い。
(なんという気持ちよさなのでしょうか)
エマの美しい歌声と柔らかな膝枕にさくらの瞼はゆっくりと閉じていく。
爽やかな風に美味しい空気。山の中だからこそ味わえる至福の時間だ。
エマはすやすやと静かな寝息を立てるさくらの髪を優しく撫でながら、歌を歌い、飛んでいる鳥たちを見て微笑むのだった。
おわり。
- Re: 北大路さくら劇場 ( No.20 )
- 日時: 2021/11/17 17:22
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
矢吹丈は怪訝な顔をして対戦相手を見据えている。今夜の対戦相手は何と少女だった。女と男がボクシングで対決するなど、ジョーの辞書にはない。ボクシングは男の世界であり女が入る場所ではないというのが彼の考えなのだ。
対戦相手である小柄な少女、北大路さくらの細い顎を掴んでクイと上に持ち上げ言った。
「ここはお前のようなお嬢さんが来るところじゃねぇ。帰りな」
「矢吹様、不快に思われたのでしたら申し訳ありません。ですが私は試してみたいのです。自分の実力がどの程度なのかを」
そう語るさくらの瞳をジョーは覗き込んだ。緑色の大きな瞳の中に蘭々とした闘志が燃え滾っているではないか。
当初は単なる小娘、世間知らずのアイドルと高を括り相手にすらならないと踏んでいたが、あの目の色は本物だった。
互いに踵を返し、自軍のコーナーへと戻る。セコンドの段平が呆れたように言った。
「全く、あのお嬢さんは何を考えとるんだか。ジョーとボクシングをしたいってのは無謀にもほどがあるぜ。まあ、ジョー、くれぐれも顔面だけは狙わず適当にあしらって終わらせてきな」
するとジョーはいつものように特徴的な笑い声を出した。
「へへッ・・・・・・。さあぁて、やっこさん、そううまいことさせてくれるかねぇ」
「そりゃどういう意味だ?」
「見てりゃわかるよ」
セコンドアウトになり、両雄が並び立つ。青のボクサーパンツのジョーに緑のタンクトップに同色のボクサーパンツのさくらだ。試合開始の鐘が鳴り響き、極めて異色な第一ラウンドが開始された。
ジョーは小手調べのつもりで軽くジャブを打つ。さくらはそれを身軽に回避していく。ストレートやフックも同様に躱され、一撃も当てることができない。ジョーは嘗ての青山戦を思い出していた。さくらはジョーの攻撃をかいくぐって懐に潜りこむと鋭いボディーブローを放つ。小さな拳だが命中した威力は強くジョーの身体に重く響く。体勢が傾いた途端にジャブ、ストレート、フックの速攻が放たれ、ジョーは鮮血を飛ばす。突然の連続攻撃に面食らいながらも反撃を試みるが、さくらは瞬時に間合いを取り、ジョーの攻撃は命中しない。攻撃が終わったと判断するや一気に接近してジャブを放ってくる。ヒット&アウェイを使用しているのだ。ジョーは口の端が切れ鮮血を流しながら思った。どうやら挑戦を挑んでくるだけのやり手ではあるようだ。
第1ラウンドのゴングが鳴り、セコンドが入った後、第2ラウンドが開始される。
- Re: 北大路さくら劇場 ( No.21 )
- 日時: 2021/11/17 17:43
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
すると、さくらは華麗なフットワークから一転して足を止め、オードソックスな構えを見せた。
どうやら正面から殴り合うつもりらしい。
「面白れぇ。そっちがその気ならとことんやらせて貰うぜ。さくらのお嬢さんよぉ!」
ジョーは猛然と飛び掛かっていき足を止めての殴り合いを開始する。ジョーはさくらと比較すると身長と腕の長さに勝る。
そのため打ち合いになると有利に働き、放ったパンチが面白いようにさくらに命中していくのだ。
いかに自分から挑戦してきたとはいえ、歌舞伎の名門である北大路家の令嬢に容赦なく打撃を与え続ける様子を見た段平は嬉しさ半分ながら焦りを覚えていた。
「ジョー、もうそのくらいにしときな。相手はお嬢様だぞ」
「うるせぇ!あっちから挑んできた勝負なんだ。これぐらいのことは覚悟して貰わねぇとこっちが困るんだよーッ」
段平の言葉に反論しつつ防戦一方となるさくらに止めのストレートを打ち込む。だが、さくらはにっこりと微笑むとストレートを上体を反らして躱してのけたのだ。パンチが空を切り、KO必至と思われていたところからの予想外の回避に観客も実況も驚愕の声が上がる。最も戦慄を覚えたのは他ならぬジョーだった。先ほどまで燃え滾っていた全身の血が一瞬で覚め、拳は硬直し額からは冷たい汗が流れる。その隙を突いてさくらは下からジョーの顎目掛けてアッパーを打ち込む。完璧に顎を捉えた一撃をまともに喰らい、ジョーは吐血し崩れ落ちるようにしてダウン。会場が騒然となるなかカウントが開始されるが、ジョーはカウント5で立ち上がってくる。ここで第2ラウンド終了のゴングが鳴った。
椅子に腰かけたジョーは口角を上げて言った。
「驚いたぜ、あのお嬢さん、あんな技術を持っていたとは」
「わしもだ。まさかあれほどのボクシング技術があったとは思わなかったぜ。だがなぁ、ジョー。キャリアは何倍もお前の方が上なんだ。得意の両手ぶらり戦法に切り替えりゃ必ず勝てる!」
「へへッ・・・・・・」
ジョーは笑って第3ラウンドのリングへと出陣していく。
ジョーが遂に両手ぶらり戦法を解禁すると観客席からわっと歓声が上がる。さくらも柔和に微笑んで、迎え撃つ。
さくらが渾身の威力を込めてストレートを放った時だった。ジョーは目を光らせ、言った。
「待ってたぜ。この瞬間を!」
互いのパンチが交錯するジョーの最大の得意技、クロスカウンターが炸裂。リーチの差の影響もあり、通常の何倍もの威力を誇る打撃を顔面に食らったさくらはマウスピースを吐き出し、盛大に吐血しながら前のめりに倒れる。
場内がどよめきに包まれる中、さくらはカウント8で立ち上がりファイティングポーズを取ってみせる。
試合再開されるがさくらはダメージが深刻なのかガードに徹し、先ほどまでの華麗なフットワークも鳴りを潜めてしまう。
だが、ジョーだけが野性的な勘で何かが起きることを察知し始めていた。第2ラウンドでも追い込まれてからが驚愕の上体反らしをやってのけたのだ。もしもこれ以上追い込んだら何が飛び出すか分からない。すると、さくらがゆっくりとガードを下げ始めたではないか。両腕をだらりと下げた戦法には観客もジョーも度肝を抜かされた。まさか、この局面で両手ぶらり戦法を発動してくるとは誰が予想したであろうか。
「矢吹様。ご遠慮なさらず存分に打ち込んできてくださいませ」
ジョーとさくらは向かい合い、両手ぶらり戦法で向き合う。先に手を出した方が負ける我慢比べの勝負だ。
ジョーとさくらは全てにおいて対極の存在だった。
親も知らず孤独な人生を歩んできたジョーと歌舞伎の名門に生まれた多彩な才と多くの友人に恵まれたさくら。
どん底から這い上がってきたジョーと最初から全てを手にしていたさくら。
互いの人生はあまりにも乖離があり過ぎて接点が無かったが、ここにきてボクシングという存在が互いを出合わせた。
あまりにも恵まれ才に溢れすぎる一方で敗北の経験が薄い為にさくらは劣勢に追い込まれると脆くなる欠点があった。
これまで2度、ジョーによってかつてないほど追い詰められ、心の中は少しずつ恐怖心が沸き上がってきつつあった。
それでも平静で渡り合おうと試みるが、ジョーの瞳を覗き込んだ途端、彼のどろりとした底知れぬ孤独を垣間見てしまう。
恐怖を振り払おうと反射的に拳を突き出したことが、結果的に敗北の要因となった。
ジョーのクロスカウンターを受け、再度倒れるさくら。一度目は立ち上がることができたが、二度目は無理だった。
試合終了のゴングが鳴らされ、皆がジョーを称える中、ようやく目を覚ましたさくらはゆっくりとジョーに歩み寄る。
無駄な言葉は要らない。ジョーは微笑し、がっちりとさくらの手を握り締めて健闘を称えるのだった。
おわり。

