二次創作小説(新・総合)

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北大路さくら劇場 終幕!!
日時: 2022/01/01 08:49
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

この作品は北大路さくらちゃんの魅力を少しでも多くの人に知って貰いたいと思い、執筆することにしました。カッコイイさくらちゃん、可愛いさくらちゃん。色々なさくらちゃんを堪能してほしいです!
それでは北大路さくら劇場、開幕です!!

Re: 北大路さくら劇場 ( No.12 )
日時: 2021/11/17 05:42
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

いくらなんでも只者でないことを感じ取った郭はこの場から離脱しようと画策するが、そうはいかなかった。目の前に現れた少女の姿を見た瞬間に再び驚かされる羽目になったからだ。
そこに立っていたのは中国拳法の道着を着た可憐なる乙女――ではなく武人を思わせる気迫を感じさせる少女であった。先ほどの童女のような愛らしさは一切なくまるで別人のように感じられたがこれはこれでいいかもしれないなどと思いつつ構えを取る。

「さっきよりもいい面構えじゃわい!」
「ありがとうございます。ここから先は本気で行きますね?」

そういうなり一歩を踏み出した刹那、姿が完全に消失していた。それもそのはずだ。彼女は縮地と言われる歩法で一気に距離を詰めてきたのだがこれを察知できた者は極僅かであろう。事実郭ですら目で追うことは出来なかったほどなのだから。
ただ唯一わかっていることは自分の懐にまで入り込まれたということだけであった。次の行動を読み切らなければ命取りになると確信を持った矢先のこと、何かが自分にぶつかった感触を得るとともに凄まじい衝撃で後方へと吹き飛ばされた。この時点でようやく攻撃を受けたことを理解する。
しかも相手が眼前にいることから突きによるものだとわかったところでどうすることも出来なかった。

(速いだけではない。それに威力も半端ないぞ!)

この一撃によってさらに追い打ちがかかる気配を感じた郭であったがそれよりも早くさくらは自分の手に意識を向けた。
そこには鉄球付きの分銅鎖が装備されており勢いよく振り回すと郭に向かって放り投げた。狙い違わずに命中するも今度はすぐには倒れなかった。中国武術家の意地としてさくらの一挙一動を見逃さないようにする。そして今度こそ隙をついて反撃に出るつもりだった。
一方のさくらは余裕をもって分銅を振り回し終えると再度郭と向き合う。そして彼に話しかけた。

「郭海皇様?私はこれから貴方の命を奪うつもりで攻撃を仕掛けます」

(……なんと恐ろしい娘よ)

Re: 北大路さくら劇場 ( No.13 )
日時: 2021/11/17 06:05
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

郭海皇の目には今のさくらが非常に恐ろしく見えていたことだろう。同時にこのままでは不味いと直感的に悟った彼は間合いを取り直すために後ろに下がろうとしたその時だった。すでに自分の周りに壁が出来ていることに気づき周囲を見渡すと自分が壁際まで追いつめられていたことがわかった。
いつの間にかここまで移動されていたことに動揺を隠し切れない郭に対して再び語りかけるかのようにさくらが口を開いた。

「郭様。さくらは思いました。人は老いて死ぬ生き物ですけど人生そのものが無意味なものであるとは思いません。生きてる間にどれだけのことを為せるかが重要だと思うのです。そして誰だって夢を叶えられるわけではないけれど叶わぬと諦めるのは違うと思うのです……
郭海皇様は中国で最強の武術家になりたいと努力し続け諦めることなく、長い時間をかけ、誰も到達しえなかった高みへと登り詰め、遂には寿命という障壁さえも乗り越えられました。そのお姿にさくらは心より敬意を払います」
「お主まさか!?」

もはや予感というよりは確証に近いものがあったのか郭の言葉を待たずしてさくらは再び姿を消すと同時に分銅に重し代わりとして油紙に包んでいた小型の手裏剣を空中にばら撒く。

「ですからせめて最後に未熟者ではありますが、私なりに全力を込めて攻撃をさせていただきます!!」

そう言うや否やその言葉通りに全精力を傾けて最後の攻撃を開始した。両手に握られている得物を投げ捨て自らは跳躍する。着地地点はもちろん彼の頭上である。

(くっ!)

迫りくる脅威に郭は観念したのか目を瞑ると防御に徹することにした。いかに達人といえどこの状態からの回避は不可能だと理解していたためだ。
だが、さくらの蹴りよりも早くに命中したのは先ほど空中に投げた無数の手裏剣だった。
幾つもの手裏剣が身体に突き刺さり身体の至る箇所から流血すると、郭海皇はそのまま重力に従い地面に叩きつけられた。
ようやく勝負あったと思いきや、まだ終わっていなかった。

「ま、まだまだじゃあ!」

郭海皇は執念で立ち上がる。146年もの長きに渡り武術に身を投じてきたという誇りが敗北を許さなかったのだ。
だが既に精神も肉体も限界を迎え、郭の口から気管を通って血が吐き出された。
そしてかすかに聞こえるような声で郭海皇は呟いた。

「わしの負けじゃ……」

それが最期となったようで静かに倒れたまま動かなかった。

「郭海皇様!」

その体を仰向けにさせ胸元に手を置くと思いっきり押し込むようにして心臓マッサージを行った。
何度もそれを繰り返し何とか蘇生に成功するもダメージが深刻で呼吸が止まっていることも多々あり危険な状態であったためすぐさま応援を呼ぶ。
駆け寄ってきた海王たちに状況を伝えると共に郭を引き取ってもらうようお願いをする。
一方でさくらの方も体に限界が来たらしくその場にへたり込んでしまう。
疲労困ぱいの様子であったがなんとか立ち上がり先ほどの戦いを思い出しながら自分に語り掛けるように言葉を発する。

「私は此度の闘いで郭海皇様を満足させることができたのでしょうか?」

おわり。

Re: 北大路さくら劇場 ( No.14 )
日時: 2021/11/17 06:58
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

2mを超える筋骨隆々の巨体を誇るラオウは厳つい顔で目の前に立ちはだかろうとする少女を黒王号の上から見下ろす。
桃色の短い髪に澄んだ瞳をした少女、北大路さくらは祈るように手を組み、ラオウに言った。

「ラオウ様、侵攻をお止めください。覇道で世をお治めになられたとしても人々の悲しみが癒えることはないでしょう」
「断る。そこを引けい!」
「ラオウ様が進軍をお止めになられるまでは、私は決して引きません」
「うぬは我が怖くはないのか?」
「私はラオウ様を恐ろしいと思ったことはありません。それよりも、多くの人が虐げられる姿を見る方が恐ろしく辛いのでございます」
「あくまで引かぬと申すか」
「あなたと拳を交えたとしても」

少女の発言に拳王の配下はどよめき、一斉に嘲笑した。ラオウの腰ほどの高さもない小柄な、しかも女が戦うなど正気の沙汰とは思えない。しかし少女の目は真剣そのものだ。ラオウは小さく嘆息し、言った。

「ならば拳で主張を通してみせよ」

ラオウは北斗神拳を習得している。
大の男でさえ拳の一撃で容赦なく体を粉砕し命を絶つ威力を持つ。
構えを取るさくらに対し、ラオウは黒王号に跨り泰然と待ち受ける。
静かな戦いが幕を開けた。
最初に仕掛けたのはやはりさくらだった。軽く助走をつけ跳躍すると両手を広げて突進する。
そして次の瞬間には地面に転がり腹這いになって必死に手を伸ばしていた。
なんという無様な光景だろうか?誰もがそう思ったに違いない。
事実ラオウも目を丸くして立ち尽くしていた。
当然の結果になることが、この小娘にはわからぬのであろうか。
そんな両者の反応を見て周囲の者は爆笑するがさくら本人は至って真面目である。
さくらは倒れたままで口を開いた。

「お願いです……どうか……進軍をお止めください」

ラオウは無言だが、何を思ったのか黒王号から降りた。
普段はいかなる相手であろうとも格下と判断すれば馬から降りることはないラオウが地に足をつける。
これは相手を対等を認めた証だ。

「小娘よ・・・・・・再び立ち上がり、我に攻撃を与えてみせよ!」
「わかりました」

Re: 北大路さくら劇場 ( No.15 )
日時: 2021/11/17 07:10
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

この言葉を聞き配下の者たちは再び嘲った。今度は先ほどの比ではない笑い声を上げて馬鹿にする始末だ。
中にはひゃっほーいなどと奇声を上げる者もいるくらいだから相当愉快なものらしい。
ただひとりだけさくらだけが立ち上がった。
その姿を見ただけで周囲の人間は笑うことを忘れたかのように固まる。
立ち上がるとは思ってなかったのだ。ましてやラオウの前に再度立つとも予想していなかった。
それほどまでに見事なまでの醜態であったはずなのにどういうわけだろう?
皆の目には美しく映っていた。それはまるで戦乙女のように凛々しく清廉な姿でさえあったからだ。
再び挑もうとする少女の姿に周囲は静かに見守っている。
さくらは瞬時に間合いを詰めていく。
一方のラオウは完全に油断をしていたせいもありあっさりと懐に入られてしまった。
すぐさま拳を放つがすでにそこに少女はいない。
それどころかいつの間にか背後にいたばかりか後ろから手を回され胴を抱き締められていた。
完全に動きを止められている上に後ろ手に回り込まれたため腕を引き離すことができない。
それだけではなかった。
体重差がありすぎるためか全く身じろぎすらできなかった。
まさか女の細腕でここまで力負けするなど考えてもなかったことだ。
驚きとともに僅かに恐怖を覚えた時はすでに遅かった。
少女の腕によって持ち上げられたラオウは身体を反らされ投げられようとしていた。
体格でははるかに上回る男が少女に投げられる。
これは信じられないことではあるが紛れもない現実なのである。
この情景を目撃した配下たちはようやく事を理解し始めたようだ。
ただ呆気に取られるばかりで誰も言葉を発しようとしない。
そのままの状態でラオウは頭を大地へ叩きつけられたが瞬時に起き上がり、口角を上げる。

「うぬを女と侮るわけにはいかぬな」

ラオウは羽織っていたマントを外し身軽になると、巨体で威圧感を与えながら前進していく。
そしてさくらの眼前に到達すると巨大な拳を浴びせにかかる。

「北斗百裂拳!」

秒間20発のパンチが襲ってくる。まともに食らえば間違いなく致命傷になるのは必定。だが、さくらは避けることもせず、顔面と腹部への二連撃のみを的確に見切ってかわした。
さらに次の瞬間、ラオウの頬が弾け飛ぶ。さくらは素早く動いて顎先に掌底を食らわせたのだが、それが『寸頸』だったことはラオウ自身さえ気付かない。
空中に飛び上がったさくらはそのまま回転しながら飛び蹴りを放った。それを腕で防ぎ、ラオウも拳を放つ。
交差する互いの足と拳。
さくらは着地し、ラオウは再び黒王号に乗った。
2人の死闘を見守る者は息を呑むばかりだがその表情からは余裕が失われていた。
突如として現れた少女は強い。これほどまでに強かったとは思わなかった。
ラオウは黒王号に乗馬した状態で剛拳を放つ。
さくらはそれを華麗に身を翻して回避する。

「なかなかやるではないか。だが我も本気で参ろうぞ」

Re: 北大路さくら劇場 ( No.16 )
日時: 2021/11/17 07:17
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

(本気?あれでもまだ全力じゃなかったっていうのか?)

周囲の者はざわつき始める。
ラオウほどの強者が今まで手を抜いていたことに対して納得できない者も多いに違いないが、さくらだけは違った。
ようやくラオウ様が本気で挑んでくださるのですね。
それにに打ち勝てば、お考えを改められるかもしれません。
さくらは自分の大好きな街を守る為に全力をもって拳王を迎え撃つ。
拳王は世を拳で制圧する為に先へ進むべくさくらと戦う。
正々堂々戦い、勝利する。ふたりの考えは一致した。
こうして仕切り直しで行われた勝負も最初と同じ展開を見せた。
だが今回はお互いに全力を出しているためにさすがに無傷とはいかない。
それでも決着がつくには相当な時間を要した。
戦い始めてすでに半日近く経過していただろうか?
ようやく終わりが訪れた。
勝者となったラオウは無言のまま振り返り馬上から見下ろす。
敗者となり仰向けに倒れたまま空を見るさくら。
その姿を見たラオウはわずかに眉根を寄せた。
彼女の美しい顔に走る無数の切り傷と鼻血の跡。乱れきった髪と相まってまるで乱戦の戦場を生き抜いた後のような有様だ。
少女とは思えないほどに凄惨な姿でありながらも何故か美しかった。
そんな感情はラオウ自身初めて抱いたものである。不思議な気分になっていた。
天を手中に収めるはずの自分に対し女の身で真っ向から挑んできただけでなく。
北斗百裂拳を食らい損傷を受けた体で半日もの間、一歩も引くことなく我と激闘を演じるに至った。
敵ながら天晴。
ラオウは厳かな口調で言った。

「うぬの名は?」
「・・・北大路、さくらです」
「うぬの名を覚えておくことにしよう」
「ラオウ様・・・・・・これで、お考えを改めて、いただけ、ます・・・・・・ね」

そしてさくらはゆっくりと瞼を閉じる。
まるでそのまま眠ってしまいそうな様子で静かに呼吸しているだけだが、見る者からすれば死んでしまったのかと思われるような状態なのである。事実、近くにいる者達が慌てて駆け寄ってきたところを見ると、それは間違いではないだろう。
ラオウはさくらから背を向けたまま黒王号の手綱を引き、街とは反対方向に馬の歩を進める。
北大路さくらは勝負ではラオウに勝つことはできなかったが、大好きな街を守り通すことはできたのだ。


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