二次創作小説(新・総合)

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北大路さくら劇場 終幕!!
日時: 2022/01/01 08:49
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

この作品は北大路さくらちゃんの魅力を少しでも多くの人に知って貰いたいと思い、執筆することにしました。カッコイイさくらちゃん、可愛いさくらちゃん。色々なさくらちゃんを堪能してほしいです!
それでは北大路さくら劇場、開幕です!!

Re: 北大路さくら劇場 ( No.2 )
日時: 2021/11/16 15:10
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

再び両者は構えを取る。どちらも開掌の構えだ。
渋川は長年の経験から、さくらはごく自然に同じ構えを取っていた。
今度はどちらから仕掛けることも無く時間が過ぎて行くばかりだ。
一見すれば膠着状態に陥っているように見えるかもしれないが両者共に隙を狙っており、次の動き次第で勝敗が決まるだろうことは想像できる。
先に動いた方が負けると言わんばかりの張り詰めた空気の中―――先に動きを見せたのは渋川だった。
一気に間合いを詰め、さくらの喉元に一本拳を見舞う。
常人であればまともに食らえば間違いなく一撃必殺となる強烈な打撃をさくらは寸前で見切った。
一本拳で決まっていたはずの勝負がさくらが回避に成功したことで勝負の流れが変化していく。
その後も互いの攻め手が途切れることなく続き、徐々に渋川の方が防戦一方になる。
それでも致命傷だけは避けているあたり老練さが伺える。
やがて数発の攻撃を受け続けた後に、渋川の動きが大きく鈍り始めた。
いか身体能力が高くとも老いれば衰えるのは当然であり、それは渋川もまた例外ではない。
このまま攻撃を続ければ倒せると判断したさくらであったが不意打ち気味に飛び込んできた肘鉄を受けて後ろによろめく。
そして体勢を立て直す前に膝裏への回し蹴撃を受けてしまい転倒してしまう。
素早く起き上ろうとした時には既に目の前まで迫っていた渋川の姿があった。
渋川の足裏がさくらの眼前に迫る。
彼はさくらの喉元に十八番である踏みつけを浴びせるつもりなのだ。
回避しようとしても間に合わない距離にまで接近を許してしまった時点でさくらは敗北を認めるしかない状況に追い込まれたと言える。

「参りましたわ」

Re: 北大路さくら劇場 ( No.3 )
日時: 2021/11/16 16:45
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

素直に負けを認めた途端、場を支配していた緊張感が失われて息苦しさすら覚えていた呼吸を楽にすることが出来た。
同時に今まで緊張状態だったことで忘れていたことを思い出したかのように全身の筋肉が痛み出す。
大の字になって倒れながら苦笑する彼女を見下ろすようにして渋川は満足げな笑みを浮かべながら歩み寄ってくる。

「わしは後20年は現役でいる。また戦いたくなったらいつでも来い」
「渋川様のご厚意に感謝致します」

無邪気な笑顔を見せて何度も礼を言ってから道場を去っていくさくらを見送った後、渋川は大きく溜息を吐き、自らの右腕を見た。小刻みにぶるぶると震えているのがわかる。
経験の差が勝敗を分けたが、自分とさくらの差は紙一重ほどしかなかった。
さくらが油断した1秒にも満たなかった隙を突かなければ自分は負けていただろう。
対戦して渋川は北大路さくらは武道に対して天賦の才を持っていることを確信した。万一、格闘家の道を歩んでいたのなら、女子の世界では間違いなく最強、否、男の世界を合わせても尚、世界最高峰の格闘家になっていたことだろう。それをアイドルの世界に奪われた。
渋川は唇を強く噛みしめてから天を見上げ、呟いた。

「悔しいのう」

おわり

Re: 北大路さくら劇場 ( No.4 )
日時: 2021/11/16 17:00
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

愚地独歩は眼帯をして禿げ頭の空手家である。屈強な体格に白の空手着がよく似合う。
愚地空手十段、神の拳とも異名される伝説の空手家が立ち会ったのは背丈の半分ほどもない小柄な少女であった。
桃色のショートヘアに大きな瞳、小柄で華奢な体躯を空手着に包んでいるが、これから戦うようには思えない。名を北大路さくらと言った。さくらは一礼して独歩に告げた。

「独歩様、本日はご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します」

愚地独歩は空手の構えを取りながらも呆れたような、それでいてどこか嬉しそうな表情で言った。

「本気でやる気かい」
「さくらは本気です」
「だったら仕方ねぇなあ」

独歩は間合いを詰め、正拳突きを繰り出した。

「どこからでもかかって来いやぁ!」

さくらはその一撃を避けようともせず、右掌を開いて受け止めた。
独歩の拳を受け止めたその瞬間、凄まじい衝撃音が響き渡った。さくらの体がぐらりと揺れる。
しかし倒れることはない。彼女は平然とした顔のまま立っていた。

「さすがですね、独歩様」
「俺の正拳突きを受けて倒れない奴なんてそうはいねえよ」
「ですがその言葉は謙遜ではないようです」

さくらの言葉通り、独歩の顔には驚愕の色があった。

「なんだと……?」

さくらは微笑んだまま、右手を前に伸ばした。すると独歩の右足首がひとりでに持ち上がり、次の瞬間には地面についていた。独歩はわけがわからず自分の足を見つめた。そして気づいた。いつの間にか地面に膝をついていることに。

「馬鹿な……」

独歩は自分の右足首を見た。そこにはしっかりと握られた痕がある。掴まれたのだ。目の前の少女によって。しかしそんなことをされた記憶はない。一体何が起こったのか理解できない。だが事実として自分は地に伏している。それは紛れもない現実だ。

「どうなってやがる! てめえ今何をしやがった!?」

さくらは答えることなく、今度は左手を突き出した。

「うおおおっ!」

独歩は咄嵯に飛び退いた。その刹那、彼の左足首もまた持ち上がった。それも先程よりも強い力で。独歩は再び転倒する。彼は信じられないものを見るかのような目つきで、自分を見下ろす少女を見上げた。

「お前さん……いったい何もんでぇ?」

さくらは笑みを浮かべたまま言った。

「僭越ながらアイドルをさせていただいております」

Re: 北大路さくら劇場 ( No.5 )
日時: 2021/11/16 17:12
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

それからしばらくの間、二人は組み手を続けた。互いに攻撃を繰り出すが、全て寸止めで終わる。攻撃を避けることも防ぐこともなく、全ての攻撃を受け止める。しかしその全てが有効打にならない。さくらの攻撃は全て完璧に受け止められていた。しかも彼女の方は息一つ乱していない。一方独歩の方は既に満身創痍であり、立っているだけでやっとという有様であった。

「はあ、はあ……くそぉ」

やがて独歩の動きが完全に止まったところで、さくらは彼の前に立った。

「もう終わりですか? 独歩様」
「まだだぜ」

独歩はまだ戦意を失っていないようだった。しかし彼我の力の差は歴然である。とても勝てるとは思えない。それでもなお立ち向かわんとする姿に、さくらの心が動いた。

「いいでしょう。それならば私も少しだけ本気を出しますね」

さくらの全身から凄まじい闘気が溢れ出た。あまりの圧力に耐えきれず、道場の壁が崩れ落ちる。

「おらあああっ!」

独歩は渾身の力を込めて飛びかかった。さくらはそれを片手で受け止めた。独歩の拳を握り締めるさくらの手から血が流れ出る。

「まだまだぁああ!」

独歩はさらに攻撃を仕掛けるが、さくらはその全てを受け止め続けた。独歩の体力が尽きるまで、彼女は手を離さなかった。

「はぁ、はぁ、はぁ……くそぉ……」

ついに独歩は倒れ込んだ。さくらは彼を見下ろしながら言った。

「私の勝ちのようですね」
「認めねえぞ俺はぁ!」

独歩はよろめきながらも立ち上がった。

「こんなものまぐれ当たりじゃねぇか!」
「往生際が悪いのではありませんか?」
「うるせぇ!」

独歩は大声で叫んだ。

「もう一度勝負しろ!」

Re: 北大路さくら劇場 ( No.6 )
日時: 2021/11/16 19:50
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

さくらは無言のまま構えを取った。独歩もそれに応えるかのように構えを取る。

「参る!」

独歩が再びさくらに向かって突っ込んで行く。さくらは冷静にそれを捌き、反撃を加える。独歩の体が吹き飛ぶ。さくらは追撃を加えようとするが、そこで動きを止め、呟いた。

「やり過ぎましたかね……」

独歩はぴくりとも動かない。
さくらは倒れた独歩の傍に行き、彼に手を差し伸べようとしたその時だった。

「油断したな、小娘ェエエッ!!」

独歩が跳ね起き、さくらの胴着を掴んだ。そのまま押し倒そうとする。
しかしさくらも負けてはいない。
独歩の腕を掴み、逆に投げ飛ばす。
独歩は地面を転がり、壁に激突した。そしてその衝撃で壁が崩れ落ちた。

「はあ、はあ、はあ……」
「ここまでやるとは思いませんでしたよ。独歩様」
「はあ、はあ……」
「でもこれで終わりです」
「はあ、はあ……馬鹿め。この程度で勝ったつもりとは片腹痛いわ」
「どういう意味でしょうか?」

独歩は瓦礫の中からゆっくりと体を起こした。そして口元の血を拭いながら、不敵に笑った。

「勝負ってのはなぁ、たとえ何回負けても最後の最後に勝てばいいんだよ。お前さんは俺に止めを刺しちゃいないんだから、勝ち名乗りは受けられんわな」
「……」
さくらは自分の懐に手を入れた。そして一振りの脇差を取り出した。彼女の髪と同じ色の、美しい刀身を持つ業物であった。
「おい、何をする気だ?」

独歩が怪しむような声を出した。さくらはそれを無視して、刃を抜いた。独歩の顔が青ざめる。

「まさか、本気で俺を仕留める気か?」
「そのつもりです。独歩様は止めを刺すようにと仰いました。そうでなければ勝ち名乗りを受けることはできないと。
ですから私も独歩様の息の根を止めるべく全力を尽すべきだと思いました」
「待ってくれ。謝るから許してくれ。頼む。何でも言う事を聞くから」
「残念ながら、私は独歩様に命乞いなどされた覚えは一度もありません」

さくらの目が光ったように見えた。次の瞬間、彼女は信じられぬ速さで動いた。
独歩の眼前に現れ、その喉笛を一閃のもとに切り裂いたかに見えたが、寸前で止めた。
独歩の首筋から血が流れる。彼はその場に座り込みながら言った。

「降参だ。俺の負けだ。だから命だけは勘弁してくれや」

さくらは脇差を鞘に収めながら言った。

「お立ちなさい。独歩様。勝負はまだ終わっておりません」
「まだ闘る気かい」
「独歩様が心から敗北を認めご満足していただけるまでは、このさくらは勝負をやめることなどできません」
「・・・・・・わかったよ。次が最後の勝負だ」
「ありがとうございます」


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