二次創作小説(新・総合)
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- ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇 であります
- 日時: 2020/03/21 16:15
- 名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)
ケロロ軍曹のキャラ達がなんやかんやで銀魂の世界に飛ばされてしまう物語です。
毎週土曜日と日曜日の間に2話か3話ずつアップする予定です。ですが、諸事情により、1ヶ月程空く場合があるかもしれないので、そこの所はご了承下さい。
注(キャラ崩壊、捏造等か若干あるかもしれません。)
〈大長篇〉
『真選組の赤い悪魔篇』>>17-33
- 第36話 雪は立派な兵器としても使える であります ( No.42 )
- 日時: 2019/01/20 17:13
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
ある雪の降る日、ある一人の少女が窓の外を見つめていた……。
「はぁ〜退屈アルなぁ〜。」
「ほんとそうだよなぁ〜。依頼もねぇ、特別なイベントもねぇ。俺達は今、一体何の為に生きてんのかなぁ〜。コイツは俺の頭から一向に離れねぇしよぉ〜。」
「このモジャモジャー!楽しー!」
銀時の天然パーマをおもちゃだと思っているのか、トキキは朝からずっと、銀時の頭から離れていない。
「というかさぁ〜、神楽さんよぉ〜、コタツを亀の甲羅代わりみたいにして、窓の外眺めるのやめてくれねぇかなぁ〜?」
実は、コタツを背負いながら、神楽は窓の外を見つめていたのだ。その為、銀時達は何もない所でただあぐらをかいているのだった。
「ちょっと神楽殿、寒いであります………。コタツを……!」
「まだ私の番アルよーー。」
「神楽ちゃん、皆寒い思いしてるんだからさ、独り占めはよくないよ。」
「……仕方ないアルなぁ。」
ようやく素直に受け入れてくれたのか、神楽は元の場所に戻り、コタツを元に戻した。皆はそそくさとコタツに足を入れると、先程まで寒さで強張っていた顔が、ほんわかとした顔に早変わりした。一人を除いて。
「神楽ちゃん。何で僕のメガネをコタツに入れてんの?ねぇ。」
ただ一人コタツに入っていなく、呆然と立っている者が一人……。
「新八ごめんアルな。寒かっただろーに。」
「だからそれ新八じゃねぇっつってんだよ!!いい加減その下り飽きてきたんだよ!!2019年にもなってまだやるかね!?」
2週間振りにやかましいツッコミが発動した。
「てめぇの方がやかましいんだよ!!」
「誰にツッコんでるんですか新八さん……?
ていうか神楽ちゃん、新八さんが可哀想でしょ?さ、新八さんどうぞ。」
夏美は神楽に注意すると、少し隙間を空けて、新八に入るように促した。
「……いえ……夏美ちゃん……。やっぱりいいよ………何か僕……今……結構暑くて……。」
何故か、新八の顔は真っ赤になっていた。しかも少し汗も掻いている。
「おいおい、どうした新八?夏美見て興奮してんじゃねぇのか?」
「やめてくれませんか、変な誤解与えるの?ていうか、僕そんな男じゃないんで。」
「成る程。お前の体温が、あそこに突っ立っている『器』にも通じているアルか。」
神楽は、コタツに入れっぱなしの新八のメガネに向かってそう言った。
「だから新八はそれじゃねぇっつってんだよ!!はぁ……はぁ……。」
「……あ。それですよ新八さん。」
「え?」
冬樹が何かひらめいたかのように、そう言った。
「多分、さっきのツッコミでカロリーを使って、体温が上がったんですよ。」
一同は、あぁ〜、と納得したような声を出した。
「道理で汗も掻いてる訳だな。」
「………そうネ!私いい事考えたネ!」
「い、いい事……?(ロクでもねぇことが起こりそうな……。)」
不安そうに銀時は神楽を見つめた。
「いい事って、一体何なの?」
「ふっふ〜ん……。」
場所は変わり、ここは真選組屯所……。
「てな訳で、これから雪合戦を始めるであり」
「帰れ。」
ケロロの頭を踏み、土方は機嫌悪そうにタバコの煙を吐いた。
「ここはてめぇらみてぇな暇人共の遊び場じゃねぇんだぞ。帰れ。今後一切ここに近付くな。」
「善良な市民に暇人ってどーゆー事だよ?こっちは依頼ねぇから、コタツでゴロゴロする事で忙しかったんだぞ?」
「それを世間一般では、暇って言うんだよ。
ていうか、雪合戦なら他でも出来んだろーが。何でわざわざここなんだよ?」
「しょうがないじゃん。広い庭があるのはここ位しかないアル。」
でも、新八君の家にも、雪合戦が出来る程の庭はあるはずでは……?
「あそこは姉御が仕掛けたゴリラ対策用の罠だらけアルからな。危険過ぎアル。」
「そういえば、ゴリラといえば、近藤さんがいねぇな。また志村家にでも行ってんのか?」
すると、空から何かが降ってくるのが、一同の目には見えた。よく見ると、それは煙を発しながらこちらに向かって来た。
「!!てめぇら!そこから離れろ!」
土方の言う通り、すぐにその場から離れると、落下物は勢いよく雪の上に落ちてきた。
「………一体何なんでありますかぁ……?」
恐る恐るその落下物に近付くと、それは人の様な、いやゴリラの様だった。
「こ、近藤さん!?」
それは、丸焦げになった近藤だった。
「はぁ〜………。大方、志村家の地雷で吹っ飛ばされたんだろ。大丈夫か?」
「おートシ!見ての通りだ!俺は大丈夫だぜ!」
まだ体から煙が出てるのに何が大丈夫なのか、と一同は思ったが、まあそこら辺はいいとして……。
「いやいいのかよ。」
「ん?お前ら!一体何しにここに来たんだ?」
「聞いてくれよ近藤さん。こいつら、屯所で雪合戦やろうとしてるんだぞ。どう思う?」
「う〜ん……。まぁ、俺は別にいいと思うんだけどなぁ……ただ、万事屋がいるってなると……。」
「おいおいおい。どーゆー事だよ?仲間外れはよくないぜ?
それにこの雪合戦………、てめぇらに名誉挽回のチャンスを与えたっていいんだぜぇ?」
その一言に、近藤と土方はピクリと反応した。
「てめぇらと闘った時、なぁ〜んかあっさり終わっちまったよぉ〜な気がすんだけどぉ〜、あれって俺の気のせいかなぁ〜?」
憎たらしそうに銀時は2人の方をじーっと見た。
先程、近藤が墜落してきた音が気になったのか、ギロロと沖田もその場所にやって来た。
「何の騒ぎだ?」
「さっきのでっけぇ音は何ですかぃ?」
「あ〜!丁度いいとこに来たなぁ〜沖田君!ちょっと聞いてくれよ。」
そう言い、銀時は沖田の肩に手を置いた。
「どう思う?せっかく俺とリベンジするチャンスを俺が自ら与えてやってんのに、それをあいつら断るんだってさ。どう思うよぉ?」
「いやいやいや。流石にそれは人としてねぇんじゃないんですかぃ?なぁ土方?」
「てめぇの方が人としてねぇよ。つーか何でこいつの肩持ってんだよ?」
「んでさぁ、どうすんのぉ?それともぉ、あの闘い、微闘のまんまでいいのぉ?」
「そーだぞ土方。それとも、負けるのが怖いから、怖じ気づいてんのかぁ?」
ここまでドSコンビに煽られて、土方の堪忍袋の緒はもう切れる寸前だった。
「お、おいトシ!あんま挑発に乗るな!乗ったら負けだぞ!」
近藤が耳元でそう言うと、冷静さを取り戻してきたのか、土方は大きく深呼吸をしてきた。
「………ああそうだな。あいつらは所詮、そんな程度の人間なんだと思おう。」
「おおそうだそうだ!総悟もあんま、トシをおちょくんなよな!」
「あれぇ〜?でも、土方君のよりもぉ、近藤君の方が手応えなかったかなぁ〜?」
「近藤さん、気にすんな。早い所部屋に戻ろ……、ってあれ?」
気が付いたら、隣にいるはずの近藤の姿が無かった。それと同時に、雪玉が土方の足元に飛んできた。
「?……まさか……。」
「おぉーし!!てめぇら!!かかってこぉーい!!」
怒りのオーラを出しながら、近藤が雪玉を銀時達に投げ付けていた。それに応戦するかのように、ケロロ、神楽達も雪玉を投げていた。とても楽しそうだった。
「……挑発に乗んなって言ったのはあんただろーがぁ………。」
「おいおいおい土方さん。近藤さんも雪合戦してるんですぜぇ。まさか、今になってやらないってのは無いですよねぇ?」
憎たらしそうに沖田が笑みを浮かべると、土方は大きくため息をついた。
「ったく………。やらねぇと言う事聞いてくれそうにねぇしよぉ……。」
ではここで!『雪合戦 万事屋VS真選組』のルールの説明を、私ナレーターがさせて頂きます!
ルールは、相手の陣地にある自身のチーム旗を、先に取ったチームの勝ち、という至ってシンプル!それを合計3セットやり、2セット先取したチームの勝利!
ただし、雪玉に当たったら、その選手は脱落!そのセットではもう活躍出来ないので御注意を。
ではここで、チーム発表!
〈チーム万事屋〉
坂田銀時
ケロロ軍曹
志村新八
日向冬樹
神楽
日向夏美
〈チーム真選組〉
近藤 勲
ギロロ伍長
土方十四郎
沖田総悟
山崎 退
斉藤 終
っていうか……、これってただ単に雪合戦するだけなんですよね?何でこんな大掛かりな感じになってるんでしょうか……?
まあ、それはともかく!次回より、対決スタートです!ああ〜寒い寒い……!
- 第37話 ガチガチの雪玉は人を殺す危険がある であります ( No.43 )
- 日時: 2019/01/26 17:03
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
さあいよいよ!万事屋VS真選組の仁義なき雪合戦がスタート!
「……何の為に雪合戦なんか……。」
若干ふてくされながらも、土方がブツブツ言いながら雪玉をものすごいスピードで作っているのを見て、一同はこう思った。
ツンデレやん。
「プフッw副長ってウブな所ありま、ぐほぉ!!」
山崎が言い終わる前に、山崎の顔面に雪玉が直撃した。だが、その雪玉は崩れず、綺麗な球体のまま山崎の顔面にめり込んでいた。
「手ぇ動かせ。」
ドスの効いた声でそう言い、土方は山崎を睨み付けた。
「ふいはえん(すいません)……。」
「にしてもトシ、この雪玉めちゃくちゃガッチガチなんだが……。」
近藤が山崎にめり込んだ雪玉を取り、不安そうにそれを見た。
「何言ってんだ近藤さん。雪合戦だぞ。その名の通り、雪で血の飛沫撒き散らす合戦なんだぞ。こん位固めとかなきゃ駄目だろ?」
「いや雪合戦そんなグロい遊びじゃないから!!死人出るような遊びじゃないから!!
ていうかトシ、『え?違うの?』みたいな顔やめて!!お前今までそんな雪合戦してたの!?」
流石鬼の副長、子供の遊びも鬼みたいに恐ろしくしてしまってます……。
「おーい!準備出来たアルかー!?こっちは準備完了アルー!」
雪で作った壁から、神楽が顔を出してそう言った。
「おー、こっちも出来たぜぇ。土方を殺る準備が。」
「何しれっととんでもねぇ事言ってんだてめぇ。俺味方だから。」
「ルールは、前話ナレーター殿が言っていた通り、相手の旗を先に取った方が1セット獲得、2セット先取した方が勝ちであります!」
「んじゃ、そろそろ始めるとしますかぁ。」
「(それよりも仕事はどうした……。)」
皆が盛り上がる中、赤い蛙のみ渋そうな顔をしていた。
「それでは!1セット目、スタートォォ!!」
銀時の声と同時に、無数の雪玉と雄叫びが飛び交った。
「うおるぁぁぁぁぁ!!!」
「くたばれやぁぁぁぁぁ!!!」
「(……銀さんと神楽ちゃん、ガチになりすぎじゃ……?)」
血眼で雪玉を投げる銀時と神楽を見て、夏美は少し不安そうになっていた。
「ふっ!やはりそう来たか!しらみ潰しに俺達を全滅させて、確実に旗を取れるようにしてから旗を取る作戦か!だが!そう簡単にはいかせん!終!」
近藤がそう言うと、終が『了解!』と書かれたカンペを出し、とんでもないスピードで雪をかき集め始めた。かき集められた雪は、瞬く間に高くなっていき、巨大な壁へと変わっていった。
「な……何でありますかこれは……!?」
「ガーハッハッハ!!見たか!これが『Z解』につぐ終の奥義、『絶対に壊れない壁』略して『Z壁』だぁ!これを壊せるものなら壊してみやがれ!!」
Z壁、それは、真選組三番隊隊長・斉藤終のみが使える、伝説の奥義!雪をかき集め、雪を瞬く間に鉄をも凌駕する最強の壁へと変化させるのだ!
「いやこれ冬でしか出来ねぇし、雪合戦でしか効果なさねぇだろ。だけど………。」
土方の目には、Z壁のせいで苦戦しているチーム万事屋の姿があった。思ってたよりも、効果は大きいみたいだ。
「ゲロォ……この壁を何とかしなければ……!」
「今だぁ!叩き込めぇぇ!」
近藤の合図と共に、チーム真選組から銃弾の雨の様に、無数の雪玉がチーム万事屋の方へと向かって来た。
流石にかわし切れなかったのか、冬樹のみが当たってしまった。
「ゲロ!?冬樹殿!」
「すいません、当たっちゃいました……。」
「まずはひとーり!さあ、そろそろ"アレ"を使うぞ!!トシ!」
「はいよ。」
そう言われ、土方は事前に作っておいたガッチガチの雪玉を近藤達に手渡した。
「万事屋に負けたくないからって、必死になっちまってる……。ま、いいんだけどさ。」
「土方さんも協力して下せぇよ。それとも何ですかぃ?また万事屋に負けたらどうしよう、と思ってやるのが怖いんですかぃ?」
沖田が煽るような口調でそう言い、土方を見つめた。
「………チッ。俺もやりゃあいいんだろ?言っとくけど………、俺結構強い方だからな。」
笑みを浮かべると、土方も雪玉を手に取った。
「おーし!トシも加わった!これで俺達の勝利はもう目前だ!行くぞぉー!!」
近藤の掛け声と同時に、ガッチガチの雪玉がチーム万事屋の方へと向かって来た。見た瞬間、この雪玉はヤバいと思ったのか、銀時は皆に壁の陰に隠れろ、と指示をした。その通りに陰に隠れたものの、あまりにガッチガチに固めすぎたのか、雪の壁を突き破り、新八の背中に直撃してしまった。その瞬間、鈍い音と悲痛な叫び声が木霊した。
「いだぁぁぁぁぁ!!!」
「新八!」
「銀さんヤバいですこの雪玉……。硬すぎます……。」
新八に当たってもなお、この雪玉は綺麗な球体状だった。
「銀ちゃん、危ないネ!」
銀時がよそ見している間に、あのガッチガチの雪玉が銀時の方へと向かって来た。幸い、神楽が日傘でガードした為、銀時はリタイアすることはなかったが、弾丸をも弾く神楽の日傘が少し凹んでいた。
「おいおいおい。この雪玉どんだけ硬ぇんだよ。こんなの股間に当たったら男としてやってけねぇよ。」
「何の心配してんだヨ。とゆーか、何かフラグっぽいアル。」
「あ、ヤベ。」
「どうした!?トシが作った『鬼の雪玉』に手も足も出ないか!?」
Z壁の向こう側から、近藤の挑発が聞こえてきて、ガッチガチの雪玉がどんどんこちらに向かって来た。
「マズいでありますよ!ちょっとやそっとじゃ壊れないこの雪玉をどうにかしないと……。」
「……?……そうか。あんがとな、緑。」
銀時は何かを企む様な笑みを浮かべると、ガッチガチの雪玉を手に取った。
「お前ら……。これ、あいつらの物だからよぉ、返してやらなきゃなぁ。」
「……そういうことアルな!」
「ゲロゲロリ……。ちゃんと綺麗に球体のままでありますからなぁ……。そのまま返してやるでありますよ。」
「まさか……。」
「ああ。このガッチガチの雪玉、あいつらに全部お返ししてやらなきゃなぁ!!」
銀時と神楽とケロロは、そのガッチガチな雪玉を投げつけた。
「……ん?あれって………、!!お前ら、よけろ!」
気付いた時にはもう遅く、近藤はよけ切れず、自分達の元に返ってきたガッチガチの雪玉に当たってしまった。しかも、それが一個だけではなく、無数に当たってしまったものだから、これまで以上にない悲鳴が江戸中に響き渡った。
「近藤さん!」
さらに、終が作ったZ壁に、何かをぶつける様な音が聞こえてきた。その音は次第に大きくなっていき、終いには、ヒビが入ってきた。
「こいつはヤベぇな……!」
そして、ヒビが全体に入っていき、崩れ始めてきた。
さらに崩れた壁の残骸に、終と山崎が当たってしまい、戦闘不能状態になってしまった。
「どうよ!神楽の怪力と、硬度抜群のこの雪玉を合わせれば、こんな壁、楽に壊せんだよ!」
「これで形勢逆転であります!!ゲ〜ロゲロゲロゲロゲロリ!」
マズいです!絶体絶命チーム真選組!残るは土方さん、沖田さん、ギロロ伍長………って、あれ?ギロロ伍長は、どこに?というか、あの小さい雪の壁の裏側にある、穴は何なんですか?
「あり?ギロロがいないでありますよ?」
「もうリタイアしたんじゃねぇのか?というより、この穴何?」
ギロロの不在に戸惑う銀時達を見て、土方はタバコの煙を吐き出し、不敵な笑みを浮かべた。
「絶体絶命はてめぇらの方だよ。」
「ど、どーゆーことでありますか?」
「忘れたんですかぃ?この雪合戦のルール、最終的には敵陣地にある旗を先に取った方が1セットもらえるんですぜぇ?俺の言ってる意味、分かりやすかぃ?」
実は数分前……。
土方まで加勢したのを見て、一人だけ参加しないのはいかがなものか、と思ったのか、あの後ギロロも参加したのだ。
「おー、ギロロ殿!ようやく参加してくれるのか!」
「ま、まあな……。やるからには本気を出させてもらう。」
若干、照れ臭そうにそう言うと、ギロロは小さい雪の壁の裏側に、穴を掘り始めた。
「何やってるんだ?」
「……この雪合戦、最終的には、旗を取った方の勝利。先に全滅させた方の勝利ではない。なら、いかにズルい手を使ってでも、旗を取らなきゃいけない。」
「……成る程。いい考えですねぃ。」
「……この穴を使って、俺が旗の方まで行く。それまで、何とかごまかしておいてくれ。」
「………まさか………!!」
察しがついたのか、銀時は慌てて自分の陣地の旗へと向かった。
が、もう遅く、すでにギロロが穴から顔を出している状態だった。
「悪いな。これも立派な戦術なんでな。」
「させるかぁぁぁぁ!!!」
たまたま手に取っていた雪玉をギロロに投げ付けたが、当たる前に、ギロロが旗を手に取ってしまった。
「俺達の勝ちだ。」
「よぉし!!ナイスだギロロ殿!!あいだだだ………!!」
この瞬間、1セット目は、チーム真選組の勝利!
「まんまとしてやられたアル……。」
「しかし、結構動いたから、暑くなってきたな……。」
「汗も結構ヤバいですぜ。旦那、2セット目は後で」
「何言ってやがる?すぐに2セット目を始めんぞ。」
憎たらしそうな笑みを浮かべて、銀時がそう言った。
「……まさかてめぇ……。」
「ああ。1セット目はてめぇらを疲れさせる為だったんだよ。そして、2セット目で確実に勝つ。残念だったなぁ。」
「上等だよ。受けて立つよ。」
「何言ってんですかぃ土方さん。流石に休憩しやしょうぜ。」
「てめぇの方こそ何言ってやがる。そんなんでへこたれてて、雪合戦で勝てるとでも思ってんのかよ?はぁ……はぁ……。」
「息が荒いよぉ?ま、いいや。そんじゃ、第2セット目、スター」
スタートしようとする前に、突然、とんでもない吹雪が彼らを襲った。
「!?な、何だ?」
「ささささむむむむいいいい!!」
「そういえば……、午後から吹雪が襲うってニュースで……。」
「えぇー………。」
「……中止します?」
「……中止しよ」
「「んだとコルァァァァァ!!!」」
銀時と土方は、鬼の様な形相で新八を殴り飛ばした。
「ちょっ!!何すんですかあんたら!?」
「てめぇ……ナメた事ほざいてんじゃねぇぞ。吹雪?だからどうした?合戦ってのは、勝敗決まんねぇ限り、終わらねぇんだよ!」
「だから、天気がどうこう関係ねぇ。どっちか勝つまで終わらねぇんだよ!」
「(目がガチだよこの人達……!)」
「はぁ……。結局あの2人だけでやり始めましたよ……。」
銀時と土方が、猛吹雪の中、雪合戦の続きをしているのを、他の一同は暖房が効いた部屋で見ていた。
「結局一番楽しんでんのは、大人達だなんて……。」
「もっと言うなら、土方なんて、一番やりたがらなかったのに、最終的には誰よりも楽しんでるし……。」
「風邪引かなきゃいいアルけど……。」
「……あ、チャイナ。てめぇも行ってこいよ。馬鹿は風邪引かねぇって言うから、お前も大丈夫だろ。」
「んだとチワワ!?喧嘩売ってんのかぁ!?」
「まあまあ落ち着け二人共!
それに……、あんなに楽しそうな顔するトシは、あんま見ねぇからな。今日位、こーゆーのもあっていいと思うけどな。」
「……確かに、銀さんの楽しそうな顔、あんまり見ませんしね。」
銀時と土方が、楽しそうに雪合戦をしているのを見て、どこか和やかな感じがするのを、一同は感じ取っていた。
たまには、初心に戻り、無邪気に遊ぶのも、いいのかもしれませんねぇ……。
- 第38話 手洗いうがいは案外侮れない であります ( No.44 )
- 日時: 2019/01/27 18:46
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
皆さん一度はなったことがある、冬に大流行する"アレ"。私も3回なったことがあります。辛いですよねぇ……。
「しかし、恐れていた事態が起きてしまうとは……。」
「フッキーと銀さんが……。」
いつも以上にケロロとタママの表情は暗かった。一体、銀時と冬樹に何があったのだろうか。
「……銀時殿……おいたわしや……。」
「何でこんなことに……悲しいですぅ……。」
「……緑……おたまじゃくし……。
いや、俺らただのインフルエンザだからね。そんな死ぬ間際な感じ出さないでくれる?」
「大げさだよ二人共……。僕は大丈夫だって…。」
とある一室に、マスクを付けて横になっている冬樹と、何故か巨大な鉄の箱の様な物があった。どうやら二人共、インフルエンザになってしまったみたいだ。
だが、明らかに不自然なのが、巨大な鉄の箱が部屋にあり、その中に銀時がいるということだった。
「何が大丈夫なの冬樹。あんた、毎年のようにインフルエンザになってるじゃない。」
マスクを付けた夏美が部屋の中に入ってきた。夏美が持っているお盆の上には、小さめな土鍋と水があった。
「はい冬樹。お粥、食べたくなったら食べていいわよ。」
「ありがとう姉ちゃん……。」
「それと、ボケガエルとタママもいつまでこの部屋にいるの?付きっきりで看病してあげたいのは分かるけど、あんた達までインフルになったらどうするの?」
「軍曹……気持ちは嬉しいけど……僕は大丈夫だよ。」
「そうでありますか……。」
浮かない顔をして、ケロロとタママは部屋から出た。それとすれ違うかの様に、今度は新八と神楽が2Lペットボトルに入った水を大量に持って、部屋に入ってきた。
「銀ちゃーん。大丈夫アルかー?」
大量に持ってきた水を、銀時が入っている鉄の箱の中に入れると、銀時は嫌そうに水を飲み始めた。
「はぁ〜……。何で水ばっかり……。」
「しょうがないじゃないですか。冬樹君は普通のインフルですけど、銀さんは『インフルエンザNF型』なんですから。」
新八君、インフルエンザNF型とは?
「通称『インフルエンザ ノーフード型』。最近、江戸で大流行中の新型インフルエンザです。症状は普通のインフルエンザと同じで、たった3日で治るんですけど、その3日の間は、なにがなんでも食べ物を口にしてはいけないんです。口に含んでいいのは水だけ。それ以外の物を食べれば、命の危険にさらされる、政府認定の超危険ウイルスなんです。」
では、この巨大な鉄の箱は……。
「国から来ました。ウイルスの広がりを防ぐ為、NF型になった人は皆、この『NF完全隔離ボックス』の中で3日間過ごさなければなりません。」
厄介なのにかかってしまいましたねぇ……。御愁傷様です。
「他人事のように言ってんじゃねぇよ。昨日から水しか口にしてない俺の気持ちが分かるか……?それでなくても、昨日から糖分取ってないから凄ぇイライラしてんだよ……。それによぉ…。」
銀時はガラガラな声で文句を言い続けた。
「とにかく!安静にしといて下さいよ!イチゴ牛乳も駄目ですからね!」
「私達買い物に行くから、じゃあネ〜。」
そう言って、新八と神楽は部屋を出て、買い物に出掛けた。部屋の中には、銀時と冬樹の二人だけだった。
「…………………。」
辺りは静まり返っていた。インフルエンザのせいで、話す気力もないのもあるが、何よりも……。
「(………こいつと話す話題がねぇ。
……いや確かに、ちょくちょくこいつと話した事はあったけどさぁ、必要最低限の事しか話してなかったし……。何よりもこいつがどーゆー奴なのかもいまだにはっきりしてねぇし……。)」
確かに、銀時さんと冬樹君が話してる所なんて、ほとんど見ませんからねぇ……。というか、軍曹達がこの世界に来てしばらく経ってるのに、冬樹君がどういう人かも知らないんですか?
「……全然。」
なら、今がチャンスなんじゃないですか?
もっと冬樹君のことを知るいいチャンスだと思うんですけど……。
「………………それもそうだな。」
銀時は起き上がり、アクリルで出来た窓から、冬樹の事を呼んだ。
「……銀さん……?どうしたんですか……?」
「…………なぁ………お前……その……えっと……。」
「?」
「……やっぱいいわ。言う事忘れちまったわ。」
「は、はぁ……。」
ちょっとちょっと銀時さん!何してるんですか!?
「いやぁ〜ちょっと厳しいなぁ!だってあいつ、何の趣味も無さそうだもん!何に対しても興味無さそうだもん!」
そんな事ありませんよ!冬樹君には、ちゃんとしたオカルトという趣味があるんですから!
「……オカルト?………はっ!何だ!オカルトか!生憎、俺はそーゆーの信じない主義なん」
あ!髪の長い女がこっちを覗いてる!
「ぎゃぁあああぁあぁぁ!!!!」
「って!なに人を幽霊扱いしてんのじゃぁぁ!!」
ぶほぉぉぉ!!
「……………って、お妙じゃねぇか。何しに来たんだ?」
「全く、失礼しちゃうわ。人を幽霊扱いして。」
「お邪魔します……。」
ナレーターが言っていた髪の長い女、志村妙は桃華と一緒に、見舞いの為、万事屋にやって来たようだ。
「それより銀さん、大丈夫ですか?よりによってNF型にかかるなんて。」
今は完全隔離ボックスに入っている為、NF型が感染する危険はないが、それでもインフルエンザの一種。絶対に感染しないとは言えない為、お妙と桃華もマスクを付けて、ここにやって来た。
「西澤さん……。来なくてもいいのに。移っちゃうよ……。」
「いえ。少しでも冬樹君の具合が良くなる力になれるなら、インフルエンザになっても構いません。(これで少しでも冬樹君と長く一緒にいられるぜ……!!)」
桃華の本音はそんな所だが、生憎、冬樹だけではなく、銀時もいる。邪魔だと思ったのか、黒いガムテープを取り出して……。
「……あのぉ、桃華さぁん?何で黒いガムテープなんか……?それに、何でそれをアクリル窓に貼り付けてるのでしょうか……?それでは私、外の景色が見えないのですがぁ?」
完全隔離ボックスに付いているアクリル性の窓に、桃華は黒いガムテープをびっしり貼り付けた。そして、中から外が全く見えないようにした。
「(うっし!これで邪魔者はいなくなった……!!)」
「……そこまでするかねぇ……。」
「それと銀さん。お見舞い持ってきましたよ!」
インフルエンザごときでお見舞いは大袈裟なのでは、とは思うが、NF型は政府認定の超危険ウイルス。入院と同様な扱いをされてもおかしくないのだ。
「あんがとな。って言ってもどーせ……。」
「はい。水です。」
笑顔でお妙は銀時に2Lペットボトルに入った水を手渡した。
「はぁ……。昨日だって、九兵衛と青いのが見舞いに来たけど、渡されたの富士山の雪解け水だし……。地味に高級なのが腹立つし……。NF型ってこんなに辛いものなのかよ……。」
「まあまあ。今日と明日乗り切れば、たらふく美味しい物食べられるじゃないですか。それまでの辛抱ですよ。それでは、お大事に。」
そう言って、お妙は帰っていった。そして、桃華は……。
「(はぁ〜まさか私が冬樹君を看病するなんてぇ〜!こんなの夢にも思ってなかっ)」
と、思ったのも束の間、インターホンが鳴った。
「(ちっ!また邪魔が入った!)」
「おーい桃華さーん。出てくれねぇかなぁー。」
渋々桃華は玄関に向かい、戸を開けると、そこには重そうに風呂敷を抱えている長髪の男がいた。
「ん?君は……。」
「あなたは……えっと……確か……………、カツラの人!」
「カツラじゃない桂だ!」
「(……何でよりによってお前なんだよヅラァ……!)」
- 第39話 やっぱ手洗いうがいが一番の予防法 であります ( No.45 )
- 日時: 2019/02/04 16:18
- 名前: 若大将 (ID: 7xR3brgP)
「いやはや、まさかお前がインフルエンザNF型にかかってしまうとはな。」
「うるせぇよ。ていうか何しに来たんだよ?」
完全隔離ボックスの前であぐらをかき、銀時と話をしている桂。
銀時は嫌そうに相づちを打つが、妙に桂がニコニコしているのが、余計に銀時の気持ち悪さを悪化させた。
「何でそんなにニコニコしてんだよ?ただでさえ気持ち悪ぃのに、さらに気持ち悪ぃテメェの面見てると、もう気持ち悪い通り越して何になるんだよ、えぇ?頼むから帰ってくれよ。」
「まあまあ。とりあえずテレビをつけてみろ。お前に朗報だぞ。」
渋々銀時は、あらかじめ完全隔離ボックスの中に入っていた小型テレビをつけると、お昼のニュースが放送されていた。
生憎、銀時が愛してやまないお天気アナウンサー・結野アナでなく、花野アナが現場リポートをしているのが映っていたが、銀時は目を見開かせ、テレビに釘付けになっていた。その理由は……。
『こちら、現場の花野です。今私は、大江戸ウイルス研究所の前にいるのですが、あのインフルエンザNF型に新しい発見があった模様です。
教授、一体どんな発見があったのですか?』
『えー、今世間を脅かしているインフルエンザNF型。水以外の物を口に含むと、死に至るかもしれない超危険ウイルス。ですが、研究を重ね続けてきた結果、一つだけ、口に含んでもよい食物が新たに発見されました。』
「!?お、おいヅラ!どーゆーことだよこれ!?」
「ヅラじゃない桂だ。見ての通りだ。今までは水しか飲む事が許されなかったが、これからは水の他に、一つだけ口にしていい食べ物が見つかったみたいだ。」
「ってことは、水だけの生活からやっと解放されんのかぁ……。」
銀時は安堵の表情を見せると、桂はパンパンになっている風呂敷の中から、何かを取り出そうとした。
「そこでだ。その新しく食べられるようになった物を、見舞品として持ってきたのだ。」
「お前にしては珍しいな。
それでよぉ、その食べ物って何なんだよ?甘い物ならなおさらだけど、もうこの際何でもいいよ。とにかく腹を満たしたいからな。」
腹を満たせるという、昨日からの願いがようやく叶う事に喜びを感じ、銀時はソワソワしていた。
「ふふ……これだよ。」
「……………………。」
喜びで満ちていた銀時の顔は、一瞬で硬直した。桂が風呂敷から取り出したのは、何やら箱のような物だった。それにその食べ物が入っているのだが……。
「えーっと………………その……………。何それ?」
「ん?見て分かるだろ?青汁だよ。」
「…………ん………ああ、あの苦いけど体の健康にはいいあの緑色の、って食い物じゃなくて飲み物じゃねぇかぁぁぁ!!!」
銀時の叫び声が部屋中に響いた。
「はぁ!?青汁!?ふざけんじゃねぇぞ!!ただ水が苦くなっただけみたいなもんじゃねぇか!!今までと何にも変わってねぇじゃん!ただ飲むだけの生活だってことに何の変わりもねぇじゃん!!」
「これまでは、水以外の物を食すと、それに含まれている成分がNF型ウイルスと化学反応を起こし、有害物質を誕生させてしまう。
しかし、先程ニュースで言っていた通り、青汁の成分のみが化学反応を起こさない事が判明してな。」
「誰も聞いてねぇんだよそんな事!じゃあお前、その風呂敷の中にあるのって………!」
桂は風呂敷を広げると、その中にはおびただしい数の『粉末青汁3g×30本』の箱があった。
「ほんのささやかな気持ちだが、まあ遠慮せずに受け取ってくれ。」
「………ちょっと高級な所が腹立つな……。💢」
「……さっきから聞いていれば、せっかくお前の為に持ってきてやったというのに、何だその態度!人の善意を無駄にしおって!」
「善意もクソもねぇだろ!つーか元はといえば、テメェのせいで俺は昨日から水だけの生活する羽目になったんだよ!!」
え?で、ではもしかして、銀時さんがNF型になったのって……。
「ああそうだよ。全部こいつのせいだよ。こいつにウイルス写されたんだよ!
俺より前にNF型になって、そんで完治した日、飲みに行こうって誘われんだよ。まだこいつに菌が残ってるかもしれねぇから、嫌な予感はしてたけど、見事に的中したよ!そして今こんな状態だよ!」
「だったら断ればよかっただろ!別に強制な訳ではなかったのだから!」
「テメェがNF型にかからなければ良かっただけの話だろーが!」
どんどん銀時と桂の口論はヒートアップしていき、先程まで眠っていた冬樹も起きてしまった。
すると……。
「……冬樹君。ちょっとうるさいから静かにさせてくるね。」
と、冬樹の耳にはそう聞こえた。
寝ぼけているのか、よく状況が分からないのだが、何かを蹴り飛ばす様な音、次に窓から何かが墜落した様な音は聞こえた。
「ん……。西澤さん……?」
「あ、冬樹君!起きちゃった?」
「……あれ?桂さん帰ったの……?」
「……あ、うん!真選組が来たからって、窓から逃げていったわ。」
何故、すっと言わなかったのかは、冬樹には分からなかった。気にせず再び眠りにつくと、桃華は完全隔離ボックスに近付き、銀時に向かって、
「……また騒いだりしたら、あのロン毛みたいに窓から突き落とすからな?箱ごと。」
裏桃華状態でそう囁いた。
「…………はぁい…………。」
震えた声で銀時はそう言った。
「………ったく……。青汁ねぇ。苦いのはあんま好きじゃねぇんだよな。……まあでも、贅沢言ってらんねぇしな。」
銀時は箱から粉末青汁の袋を一つ取り出し、コップの中に入れた。そのコップに水を入れて、青汁の完成。
「……んん……この苦々しい色……。」
生まれて初めて青汁を飲む銀時にとっては、少し抵抗があった。だが、せっかく桂が持ってきてくれたのだから、意を決してコップを持ち、緑色の液体を口へと運んだ。
「んぐ………。」
どうですか?初めての青汁は?
「…………まあ、苦いだけの液体だよ。お世辞にも、上手いとは言えねぇ。でも…………、水以外の物を口に出来たと思うと…………ぐすっ……えぐ………。」
え、えぇー……?
「……感動の余り…………涙が……どまらねぇ……!」
そんな青汁ごときで……。どんだけ水だけの生活が嫌だったんですか……。
「分かったよーな口で言ってんじゃねぇぞゴルァ!!」
ぐぇぇ!!
最近私殴られ過ぎませんかぁ………!?
「ふぅ………。気分悪くなってきた。」
NF型とはいえど、食べ物を食べてはいけないのを除き、症状は普通のインフルエンザと同じ。あれだけツッコんできた為、体がフラフラしてきた。そして、その場で横になり、そのまま眠りについてしまった。
そして翌日……。
「ふぅぅぅ!!!完全復活!!!」
感染してから3日が経ち、医師からの許可も出た銀時。外の空気を吸えることに喜びを感じていた。
「大変だったアルな。青汁臭いけど。」
「青汁臭いけど、よく耐えたでありますな!」
「とりあえず、青汁臭いはもういいだろ?てかそんなに臭い?」
「臭いネ。足が。」
「青汁関係無くなってんじゃねぇか。」
あの後、青汁と水を交互に飲み続け、何とか水分だけで過ごしてきた銀時。そのせいなのか、かなりブクブクしているが、まあそれはいいとして……。
「とりあえず!!」
「はいはい、分かってますよ。僕と夏美ちゃんで作っておきましたから。」
先程から、台所からほおばしいいい匂いがするのを、銀時は逃していなかった。
「遠慮はいらないわ。たらふく食べていいですよ、銀さん。」
夏美が台所から、大量の肉が盛られた皿を持ってきて、テーブルに並んだ。さらにそのテーブルには、肉の他にも数多の料理が置かれていた。
「3日間大変でしたね。」
「3日分の栄養、蓄えて下さい。」
ちゃんとした食事は実に3日振りだ。当然銀時は遠慮などするはずもなく、
「いただきます!!」
と両手を合わせて、料理を口に頬張った。
インフルエンザNF型、とても恐ろしいですねぇ。皆さんも、手洗いうがいはしっかりとして下さいね。当たり前な事なんですが、これが一番の予防法なんです。
しかし銀さん、見事復活出来て良かったですね……
数日後。
って、あれ?
「………………………。」
新八と夏美は、マスクをして、ある一室に座っていた。まだ冬樹が治っていないのか、と思ったが、その冬樹は今、冷蔵庫から何かを取り出していた。もうとっくに治ったみたいだ。
「夏美ちゃん。NF型には、もう一つ恐ろしい点があるんです。それは………。」
新八の目線には、何故か再びあのNF完全隔離ボックスが部屋に置かれていた。しかもその中に入っていたのは………。
「………普通のインフルエンザとは違って、何度も何度もかかってしまうんですよね、銀さん。」
「あーぞーだおー……。(ああそうだよ!!)」
中から思い切りボックスを叩き、ガラガラな声でそう言う銀時の姿があった。
えぇー!?ぎ、銀時さん!またNF型になったんですか!?
「さっきも言いましたけど、普通のA型は、一度かかったら連続でかからないんです。B型を除いて。でも、NF型はそんなの関係ありません。何度も何度もかかってしまうんです。」
「銀さん、水持ってきましたよ。」
冬樹は冷蔵庫から、ありったけの水を持ってきて、ボックスの中に入れた。だが、冬樹は何故か、二人分のコップも中に入れた。
あれ?銀時さんの他にも、誰かNF型になったんですか?
「あ、見ない方がいいですよ。とんでもない絵図になってますから。」
ナレーターが中を覗いてみると、そこには、銀時に抱きつこうとする一人の女がいた。
「三日間も銀さんと同じ空間にいられるなんてぇ〜!!至福!!」
「こーつだえなんどましでくれ……。まーでうーとーすぃー……。(こいつだけ何とかしてくれ!!マジでうっとうしい!!)」
さっちゃんがいるだけでも異質なのに、ボックスの中は納豆のネバネバがそこら中に引っ付いていた。まさにとんでもない絵図だった。
ところがさらに驚かされたのが……。
「……この人、わざわざ銀さんと一緒になりたいからって、自分からNF型にかかったんです……。バカですよね?」
「とりあえず銀さん。また三日間頑張って下さいね。」
心配そうに見る夏美の目には、必死にさっちゃんに抵抗する銀時の姿があった。
「(何で俺だけこんな目に遭わなきゃいけねぇんだぁぁぁぁぁ!!!)」
- お知らせ であります ( No.46 )
- 日時: 2019/02/04 23:42
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
「ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇」、「スーパーマリオアドベンチャー 〜SEVEN BRAVERS〜」の作者の若大将です。
再び諸事情により、2、3週間程投稿出来なくなりました。次回投稿日は2/23(土)を予定としております。それまでどうかお待ち下さい。