二次創作小説(新・総合)
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- ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇 であります
- 日時: 2020/03/21 16:15
- 名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)
ケロロ軍曹のキャラ達がなんやかんやで銀魂の世界に飛ばされてしまう物語です。
毎週土曜日と日曜日の間に2話か3話ずつアップする予定です。ですが、諸事情により、1ヶ月程空く場合があるかもしれないので、そこの所はご了承下さい。
注(キャラ崩壊、捏造等か若干あるかもしれません。)
〈大長篇〉
『真選組の赤い悪魔篇』>>17-33
- 第18話 あんこかクリームかカレーか であります ( No.22 )
- 日時: 2018/11/02 08:22
- 名前: 若大将 (ID: jQF4W0MP)
これでいい。これでいいんだ。
そう心の中で繰り返し言い聞かせた。
ケロロと銀時が屯所を去ったその後、ギロロは大量のアンパンが入ったビニール袋を持って、あるアパートへと向かっていた。
「……しかし、何故こんな大量のアンパンが必要なんだ……?土方が言うには、『最低でも100個は持っていけ』と…。まあいい。」
そうこうしているうちに、目的のアパートへと着いた。あらかじめ土方に言われた部屋のインターホンを押すと、中から、いかにもモブな感じを引き立ててる男が出てきた。
「お、もしかして、あんたが副長が言ってた新しい参謀さんですか?」
「ああ……。そして、お前が真選組監察である、山崎という奴か?」
「そう。俺が監察の山崎。山崎退です。よろしくお願いします、ギロロ伍長さん。」
「こちらもよろしくな。」
そう言い、ギロロは部屋へと入った。
「これ……ほんのささやかな気持ちなんだが…。」
ギロロは大量のアンパンが入ったビニール袋を突き出した。すると、山崎は急に動きを止めた。
「……………………。」
「……お、おい山崎?」
ギロロが山崎の肩を叩こうとすると、突然、山崎はビニール袋の中から、1つのアンパンを取り出し、袋を開けた。そして、アンパンを右手に持ち、それをギロロの顔面へと投げ付けた。
「!!!??」
「キエェェェェェェェェ!!!アンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアソパソアソパソアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパンアンパン!!!!!」
豹変した山崎は、目を充血させ、アンパンを投げ続けてきた。
「おい!!どうしたんだ山崎!正気に戻れ!」
ギロロの声など届くはずもなく、山崎はアンパンを投げ続けた。そしてそれをギロロはかわし続けた。
山崎が投げたあるアンパンが押し入れの扉をぶち抜いた。その中には、衝撃的な物が入っていた。
「な、何だこれは!!?」
その中には、おびただしい数のアンパンの袋、さらに、食べかけのアンパンが敷き詰められていた。そこから出てきた腐敗したあんこの臭いが、ギロロの鼻を襲った。
「何だこれ…!妙にあんこ臭いと思ったら……こういうことだったのか……!」
「見たな………。見たな……!」
気付いたときにはもう遅かった。振り向くと、山崎が両手にアンパンを持ち、立っていた。
「!!!!」
「キエェェェェェェェェ!!!!!スプァァァァキングゥゥゥゥ!!!!!」
その瞬間、部屋から何かがスパーキングしたような音が響き渡った。
数時間後…………。
「もぐもぐ……。どうだ……。1ヶ月振りの米は?」
「……………うまい以外何があるんですか…。」
ギロロは出前を取り、山崎と共にカツ丼を食べていた。
「それにしても、何故アンパンしか食べてなかったのだ?他にもパンはいくらでもあるだろ。クリームパンやカレーパンやら…。」
「アンパンと牛乳。これが俺の張り込みの作法ですよ。逆に、そんなもの食べたら、アンパン◯ンにボコボコにされますよ。ばいきんだけじゃなく、他のパンたちも敵視してますからね。」
いやそんなことありませんよ!?ていうか、そんな闇深い作品でしたっけあれ!?
「それより、どうだ?何か掴めたか?」
「1ヶ月も張り込みしてりゃ、そりゃ何かしら掴みますよ。間違いない。あの廃ビルが久坂一派のアジトですよ。」
山崎は、少し奥にあるビルを指差した。長いこと使われていない廃ビルのようだ。そして、今度はある1本の道を指差した。
「あの廃ビルに行くには、この一本道を通る以外手段がない。そして、その道を通っているのは、久坂一派の連中ばかり。この監察レポートを見てください。それに、この1ヶ月間俺が見てきた全ての情報が書いてあります。」
そう言い、山崎はギロロにあるレポートを手渡した。
「なになに……。『監察生活13日目、最近たまさんがこの辺りを通るようになってきた。今まで退屈なことこの上なかった監察がまた楽しくなってきた』……。
『監察生活17日目、久坂一派の攘夷浪士がたまさんに気安く話し掛けてきた。てめぇなんかがたまさんに喋りかけて来ていいと思うんじゃねぇぞ!』…………。
『監察生活25日目、ああたまさん。どうして貴方はたまさんなんだ?どうして俺の玉は◯◯◯◯(ピー)なんだ?ああたまさん。ああたまさん。』………。
『監察生活29日目、たまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまきんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさんたまさん』って貴様は何を見てきたんだぁーーーー!!!!」
ギロロは山崎に飛び蹴りをくらわし、銃を乱射した。
「よく見たらこれ、『久坂一派監察レポート』じゃなくて『たまさん観察レポート』じゃないか!この1ヶ月間なに見てきたんだ!!」
「ひぃぃぃぃぃ!!久坂一派のやつならちゃんとあります!渡しますからぁぁ!」
怯えながらも、山崎はちゃんと久坂一派の情報が記されている『久坂一派監察レポート』をギロロに手渡した。確かにちゃんと久坂一派の情報が書いてある。
「………若干あんこがこびり付いてるが……、まあいい。」
あんこの臭いを気にしつつも、ギロロはそれを読んだ。
「………お前の情報が確かなら、この廃ビルでほぼ間違いないな。」
「ん?あれは………!」
ふと山崎は、何かを見たのか窓の方へと向かった。
「どうした?まさか、久坂一派に動きが…!?」
「あ、いえ。たまさんがいたもんでぇぇぇぇぇぇ!すいませんすいません!!!」
「貴様……まだ引きずってたのか……。」
ギロロはギロッとした目をさらに鋭く尖らせ、山崎にバズーカを向けた。
「勤務中に女にうつつを抜かすとは……。真選組隊士として恥を知れ。」
完全にご立腹なギロロは、バズーカの引き金を引いた。爆発音とあるモブの悲鳴が響いた。
「………ごほぁ……。」
真っ黒焦げになった山崎は、部屋の壁にめり込んでいた。
「………まったく……。」
ギロロは大きくため息をついた。
「えぇ!?たまさんって、からくりなんですか!?」
「はい、そうです。」
「とてもそんな風には見えません。てゆーか、吃驚仰天?」
「それは私の台詞ですよ。モア様も人間に見えて、実は天人だなんて。」
この声……もしかして……。
ギロロはそう思い、窓から外を見た。そこには、たまと夏美とモアがいた。
「(夏美……!それにモアまで……!)」
「ところで、さっきの爆発は……?」
「ああ。気にしなくてもいいですよ。大方、真選組が攘夷浪士でも発見したんでしょう。」
「真選組……ですか……。」
夏美は少し浮かない顔をした。モアも同様に。
「……どうされたのですか?」
「……ギロロさん、本当に戻って来ないつもりなんでしょうか……。」
「あいつ……。もう元の世界に帰っていい、ってふざけたこと言ってんじゃないわよ……。あんたのこと置いていけるわけないでしょ…。早く戻ってきて…ギロロ…。」
夏美の涙を見て、ギロロは申し訳なさそうな顔をした。
「………夏美……。……すまない……。例えどんなことを言われようと…、俺は考えを変えるつもりはない。」
「何ですか?あんたも女にうつつを抜かしてんですか?人のこと言えませんよ?」
アフロの山崎が壁から抜け出してきた。
「貴様と一緒にするな。というか、お前がやってることはただのストーカーだ。」
「うっ……。」
気まずそうな顔をすると、山崎の携帯電話が鳴った。
「あ、はい。山崎です。副長どうされましたか?」
『山崎か?本来なら、今日で張り込みは終了なんだが、もう3日だけだ。もう3日間だけお願いできるか?』
「いえ、別にいいですが、何かあったんですか?」
『新情報だ。久坂の奴、頻繁に江戸中の機械技師たちの所に立ち寄ってるらしい。おそらく、機械を使って何かでけぇことでもするんだろう。そこでだ。お前の任務を変える。久坂を尾行しろ。この3日間で、久坂を尾行し、何を企んでるのか調査してほしい。』
「はい。分かりました!」
『それと、そこにギロロがいるな?あいつにも同行してもらう。』
「ギロロさんもですか?…分かりました!必ず情報を掴んでみせます!」
『ああ。頼んだぞ。』
電話を切り、ギロロにも同行することを伝えた。
「そうか。お互い頑張ろう。」
「はい。って……、一ついいですか?」
「どうした?」
「……………この部屋、どうします?」
「あ。」
辺りを見渡した。先程のせいで、部屋はボロボロになっていた。
そして、あの爆発のせいで、押し入れの中の食べかけのアンパンがそこら中に散らばっていた。
………どうしよう?
ギロロと山崎は同時にそう思った。
- 第19話 人は利点もありゃ、欠点もある であります ( No.23 )
- 日時: 2018/11/09 22:58
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
さて……、ケロロ軍曹達が『銀魂』の世界にやって来て、1週間が経ちました。
「新八さん。なかなか情報掴めませんね。」
「そうですねぇ…。」
今日も、各自分かれて聞き込みに行っている万事屋一行。
冬樹と新八、神楽と夏美と桃華とモアと小雪、タママとドロロ、ケロロと銀時にそれぞれ分かれているのだが、有力な情報は全然掴めないまま。このままでは、百三の無実は証明されない。
一方、ダメ主人公サイドでは、ある男に会いに行っていた。
「え?桂さんの居場所?」
公園のベンチで昼寝をしていた623に、桂の場所を聞きに来たのだ。
「そーそー。ヅラに聞きてぇことがあってな。ていうか、何話振りすぎて、すっかりお前の存在忘れてたわ。」
「そいつは酷いなー。じゃあ教えてあーげなーい。」
「子供みてぇなこと言うなよ。あいつの居場所知ってる知ってんのは、一緒に行動してたお前しか知らねぇんだからよぉ。」
「うーん……。桂さんから口止めされてるしなぁ…。それと、確か銀時さんって、昔からの馴染みなんだっけ?『いい加減で、チャランポランで、天パで、足臭くて、やっぱり足臭いし、挙げ句の果てに足臭いし』って桂さんからの情報なんだけど。」
「それ情報じゃないよね?ただの人権侵害だよね?ていうか俺=足臭いってイメージ定着し過ぎてない?」
「いや……正直なこと言うと……ちょっと……。」
「わ、我輩も……。」
623とケロロはあからさまに嫌そうな顔をして、鼻をつまんだ。
「ぶっ殺されてぇのかてめぇら!んな訳ねぇだろ!何で靴越しからも臭いが伝わってくるんだよ!」
流石にそのような態度を取られて、銀時はキレてツッコんだ。
「いやだって銀時殿……、あれを見るであります……。」
ケロロが指差す方向には、2羽のカラスが地面に横たわっていて、この公園を住みかにしていた野良犬達が、息を荒くして痙攣していた。
「あれも俺のせいってか!?だったらお前らとっくに死んでんだろーがぁ!!」
「ゲロォ……!息苦しくなってきたであります…!」
「ねぇお前ら、わざとなの?それともマジで臭いの?俺結構傷ついてんだけど。」
ただの芝居なのか、それとも本当に苦しんでるのか分からなくなってきた。
「ねえねえ。何か臭くない?」
「ほんとー。ねぇ、あのおっさんから臭いしてくんだけどー。」
「うわ、ほんとー。マジ最悪なんですけどぉ〜。」
何か後ろからコソコソ聞こえると思い振り返ると、2人のギャルが銀時の方を見て悪口を言っていた。よく見ると、公園にいたほとんどの人が銀時の方を向いて何かコソコソ言っていた。
え……………。マジで……。マジなの……………。
銀時の顔がだんだん白くなっていった。
「……ちょっと、足切断してくる。」
そう言い、銀時は公園から出ていこうとした。
「……そうかぁ。皆平然を装って、俺の足の臭いに耐えてたのかぁ…。そうかそうか。だったら、これ以上被害が拡大する前に、その元凶を絶たなきゃあな…。」
「その前に銀時殿…。靴の裏を見るであります。」
言われた通り、靴の裏を見ると、そこに赤い字で何か書いてあった。
「………『ドッキリ大成功!!!!!』…!!?」
その瞬間、周りからドッと笑い声がした。
「ゲーロゲロゲロ!!見事に大成功でありますよ623殿!」
「ご協力してくれた皆さん、ありがとうございます!」
まだ状況が掴めず、銀時は棒立ち状態できょとんとしていた。
「いやぁ〜!この『真選組の赤い悪魔篇』、シリアス回でありますけど、ずっとシリアスってのもねぇ〜!そこで!我輩が提案した説、『マジの反応されたら誰でもそう受け入れてしまう説』を623殿と協力し検証してみよう、という発想に至ったわけであります!銀時殿、なかなかいいリアクションでありましたよ!」
「……ああ。そうか。ドッキリか。…そうかそうか。いやぁ〜ケロロ君。いましがたはっきりと分かったよ。」
「そうそう!そこまで足は臭くないんでありますよ!」
「よーく分かったよ…。……てめぇがどれほど腹が立つ奴だってことをなぁぁぁぁぁ!!!クソ緑ィィィィィ!!!!」
銀時は木刀を右手に持ち、それでケロロを殴り付けた。
「ゲェェェェェェェェロォォォォォォォォ!!!」
「それで、彼はこんな風になっているのか。」
その後、ケロロと銀時は623に桂のもとに連れていってもらった。ケロロは全身包帯だらけの状態で、銀時の木刀に縄で縛られていた。
「しかしケロロ殿。人の欠点をドッキリに使うとは、いささかどうかと…。」
「人の欠点他人に言いふらしてる奴にそんなこと言えんのか?」
「ちょっ、あんま足近付けないで…。」
「いい加減にしろよ!どいつもこいつも足臭ぇって!」
そう言い、銀時は立ち上がり、桂を殴ろうとした。
「まあまあ、落ち着いてよ銀時さん。」
散々足の臭いのことを馬鹿にされ、少し機嫌が悪い銀時は、舌打ちをして座った。
「それで銀時。俺に用とは何だ?」
銀時はお茶を一口飲み、ようやく本題に入ることができた。
「お前、久坂についてどれ位知ってる?知ってる限りでいいから教えてくれねぇか?」
「久坂……だと?一体何故…?」
「実は、ある依頼人の弟が久坂一派だっていう疑いで逮捕されててよぉ。それで、その依頼人が無実を証明してほしいんだと。その上で、久坂一派について何か知っておきたくて、同じ攘夷浪士であるヅラに聞きに来たわけ。」
すると、桂は少し表情を曇らせた。そして、しばらく黙り込んだ。
エリザベスが『桂さん?どうしたんですか?』と書かれたプラカードを出した。
「……正直、久坂とはあまり関わりたくなかったから、あまり情報はないのだが、これだけは言っておこう。
久坂一派は、天人に対して異常な位の恨みを持った攘夷浪士達の集団で、数々の残虐非道な事件を起こしてきた。そして……、今度も何か企んでいる可能性が高い。」
「マジかよ…。それで、その何かって一体…。」
「具体的には分からぬ。だが、天人を標的とすることには間違いはなかろう。」
それを聞いて、銀時はケロロを縛り上げた木刀を持った。
「ってことは、こいつも標的ってことだな。」
「ゲロォ!?ちょっと銀時殿!何企んでるんでありますか!?」
「後できっちりとドッキリのお礼、させてもらうからなぁ。」
そう言い、銀時は薄ら笑いを浮かべた。
「だから悪かったって言ってるでありましょ!」
「桂さん、大変です!」
突然、部屋から1人の男が入ってきた。おそらく、桂一派の攘夷浪士だろう。
「どうした!?」
「真選組がここを突き止めたみたいです!すぐに逃げましょう!」
「何だと!?銀時、詳しい話は後だ!623殿、エリザベス!逃げるぞ!」
そう言い、桂と623はエリザベスに乗り、エリザベスは窓から飛び降り、逃げて行った。と、同時にすぐそこから爆発音が聞こえてきた。
「おわっ!危ねぇ!」
破壊された襖から、オレンジ色の髪をしたアフロな男性が出て来た。
実はこの男、真選組三番隊隊長で、『アフ狼』と恐れられている斉藤終。斉藤は、銀時を見るとカンペを取り出し、『あ、あなたは!』と書き銀時に見せた。
「おー。久し振りだなアフロ君。って言ってる場合じゃねぇぇ!早く俺も逃げねぇと!」
銀時は、ケロロを縛り上げた木刀を持ち、全速力で逃げた。
すると、それ以上の速さで斉藤が迫ってきた。
「!!!」
『まさか貴方が桂一派だったなんて…、粛清するZ!』と書かれたカンペを持ち、斉藤は銀時に切りかかった。
「いやいやいやいや待ってぇぇ!誤解だよ!俺はあのロン毛とは無関係な善良な一般市民です!むしろ、この緑が桂一派でぇす!」
「何擦り付けてるんでありますか!ていうか我輩、ヅラ殿と今日初めて会ったんでありますよ!そんなことよりも後ろ!」
後ろを振り向くと、斉藤に続いて大量の隊士達が追い掛けてきた。
「「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
「準備は順調ですか?」
「はい。おかげさまで。」
とある廃ビルに、2人の男がいた。
「これでようやく、天人を……!」
「そう。ようやく私たちの夢が達成される……。決行は3日後の日が昇り始めた時。それまでに何としても終わらせて下さい。」
そう言い、赤い着物を着た男、久坂一派の首領である久坂玄帥は、赤黒いちぢれた髪を掻き分けた。
- 第20話 いざという時に頼れる奴もいる であります ( No.24 )
- 日時: 2018/11/03 19:20
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
斉藤に誤解だと何とか納得させることができたのに、丸2日かかったケロロと銀時。真選組屯所から出てきた後、ある一軒家に向かっていた。だが、
「何でお前までついてくんだ。ていうかその格好何なんだよ、ヅラ。」
「ヅラじゃない。ヅラ子よ。」
女装した桂が何故かついてきていたのだ。
「案ずるな銀時。ほんの少しの間だ。真選組がこの周辺を去っていくまで、しばらくお前達についていくことにした。」
「すげぇ迷惑なんだけど。こっちは仕事してんだ。てめぇみてぇな暇人に構ってる場合じゃねぇんだよ。」
「そんなこと言わないで下さいよ、あ・な・た?」
「『あ・な・た』って何だ!気持ち悪ぃ!!」
完全に女になりきった桂は、銀時の腕を掴んだ。
「しばらく夫婦のふりをしてくれ。幸い、子供要員もいるし、こうすれば……。」
そう言い、桂はケロロの方を見た。きょとんとした顔でケロロは、『え、我輩?』と自分に指差した。
すかさず、桂はケロロに服とカツラを付け、そしてケロロの緑色の肌を肌色に塗り立てた。
「どうよあなた?これなら絶対バレないわ。」
「ゲロォ……。」
確かに、パッと見は子供ですが…………、近くで見るとまんま軍曹ですよ?
「……そう見えなくはねぇけど……。まあいいわ。」
かれこれしているうちに、目的地へと着いた。銀時がインターホンを押すと、ある1人の男性が出てきた。
「あ、あなた方は…。」
「久し振りであります、十二殿!」
「一体…どうされたのですか?それと……その女性は…?」
やっぱり触れてきたか、と銀時が小声で言った。
「あ、初めまして。私、坂田銀時の妻の坂田ヅラ子です。夫婦で万事屋をやっています。よろしくおね、がぁぼぉ!!!」
言い終わる前に銀時が蹴りを食らわし、桂を路地裏へと連れ出した。
「お前やっぱどっか行け。後々面倒なことになんだろーが。つーか、俺についてくる意味あんのかよ?」
「随分冷たいじゃないのあなた!そんな男だったなんて……!」
「だからぁ!そのいい感じの奥さんキャラやめろぉ!」
これ以上は埒が明かないと、銀時は桂を縄で縛り上げ、たまたま近くにあった廃屋に放り込んだ。
「ちょっと銀時ィィ!」
「しばらくここでじっとしてろ。用が終わる頃には、もう真選組も帰ってんだろ。」
そう言い放ち、銀時は十二の家に入っていった。
「あの……奥様は?」
「奥様じゃない、攘夷浪士です。」
「き、今日はどのようなご用で?」
「……残念ながら、未だに手掛かりが掴めておりません。そこで、貴方の方から、百三さんのここ最近の言動についてお話をお聞かせできれば、と参りました。」
これを聞いておけば、少しは何か手掛かりを掴めると踏んだみたいだ。
「そうですか。なら、お話しします。
百三は昔から、心優しく、正義感に溢れた奴でした。こう言うのも何ですが、百三が弟で誇らしく思ってます。だから、決してあんなことをするような奴ではないんです。でも……。」
「でも、何なんでありますか?」
「……このことを言うのは、あなた方が初めてです。実は…、私達は幼い頃、両親を天人に殺害されました。」
「ゲロ!?さ、殺害!?」
「はい……。動機は理不尽なことこの上ありませんでした……。今でも悔しいです。あんな理由で両親は死んだと思うと、天人共が憎くて仕方ありません…!ですが、それ以上に…、百三はもっと悔しいことでしょう。目の前で両親の最期を見たのですから…。」
十二は歯を食い縛り、大粒の涙を流した。こんな悲惨な過去を聞かされて、前話とは違い、かなりシリアスな空気になっていた。
「ですけど、もうしょうがないんです。今更そう思ってもどうこうなる問題じゃないんで。百三も同じ考えです。結局、天人がいるこの世界を受け入れるしかないんですよ。」
「………………。」
銀時はしばらく黙り込んだ。
「坂田さん、どうされましたか?」
「………いや……、あんたの考え俺のに似てるなー、って思いまして…。」
「どゆことでありますか?」
「……実は、俺攘夷戦争に出てたんだよ。」
「え!?あ、あなたが!?」
「……え?攘夷戦争?我輩、全然話が分からないんでありますけど?」
ここで、分からない軍曹のために説明しましょう!
攘夷戦争とは、20年前、天人襲来によって起こった戦争のことで、天人を排除しようという考えを持つ『攘夷志士』と天人及び幕府軍が戦ったみたいですよ。そしてそれに、銀さんと桂さんも参加していたんです。
「ほーー。ご丁寧な説明、ありがとうございますナレーター殿。」
「しかし……、貴方が元攘夷志士だったなんて…!」
「なぁに。んな大したことじゃねぇよ。ただ、俺もあん時は天人のこと、心底恨んでたよ。大事な人を奪われたからな……。でも、俺もあんたとおんなじ考えだ。今更もうどうにもならねぇ、って思った次第だよ。」
「…やっぱりそうだ。弟から聞いたことがあります。『この辺りに伝説の攘夷浪士がいる。確か、白何とか、って言われてた』と。……あなたがそうなんですよね?白夜叉さん。」
「おいおいおい。随分勘が鋭いなぁ。まあ、そうなんだけど。」
銀時は少し渋そうな顔をして、頭を掻いた。
「銀時殿がそんな凄い人だったなんて……!今は足臭いだけのちゃらんぽらんなのに。」
「いつまで足臭ぇの引きずってんだてめぇは!!」
銀時はケロロの頭を掴み、窓から放り投げようとした。
「まあまあまあまあ、落ち着いて下さいよ。」
「……まあ、何があったにしろ、俺らがやることは1つだけ。弟のことは任しときな。」
「はい!よろしくお願いします!」
銀時とケロロは十二の家を出ると、桂を閉じ込めた廃屋の扉を開けて、桂を引きずり出した。
「おのれ銀時…。」
「むしろ感謝してもらいてぇな。真選組の追跡を逃れられたんだからなぁ。」
ふてぶてしそうにそう言うと、銀時は縄をほどいた。すると、ある1人の男がやって来た。
「桂さん!捜しましたよ!」
「おおすまない。白髪のテロリストに捕まってて、ぶべらぁぁ!!」
「誰がテロリストだゴルァ。」
そう言い、銀時は桂の顔面を蹴り飛ばした。
「何を言う銀時。俺達は共に戦った同士ではないか。いわば、俺とお前は今でも仲間なのだよ。」
「おめぇみてぇなのが仲間だったら、俺はどこぞの無能なド底辺カエル型天人とそうなるね。」
「誰が無能でド底辺でありますか!!」
「しかし、今回も君のおかげだよ。忍の力を使い屯所に忍び込み、事前に情報を俺に話してくれたおかげで、迅速に逃げることができた。」
その男は、桂に向かって少し頭を下げた。
「へぇー。お前にしては頭使ったな。」
「ああ。ここだけの話、俺は数人真選組にスパイを送っている。そして、事前に情報を掴み、行動しやすいようにしているのだよ。」
「へぇー。(ゲロゲロリ……。これは侵略作戦に使えるであります……。)」
ケロロは怪しげな笑みを浮かべた。
「スパイねぇ……。そういやぁ、百三もスパイだって疑われ……………………ん?」
銀時は何か引っ掛かったような顔をして、突然黙り込んだ。
「?どうした銀時?」
「…………………!!ヅラァ!たまにはおめぇも役に立つなぁ!緑、行くぞ!」
「よ、よく分からんが、あ、ありがとう…。」
何か思い付いたのか、銀時はケロロを連れては走り出した。
「ぎ、銀時殿!突然どうしたんでありますか!?」
「分かったんだよ。どうして真選組がスパイがいるって疑ったのかが。
これはあくまでも俺の推測なんだけどよぉ、久坂達もヅラ達と同じだよ。スパイを派遣して、事前に情報を掴んで、迅速に逃げれるようにしてたんだよ。そこで、あまりにスムーズに逃げられるもんだから真選組は、この中に内通者がいる、って疑ったんだろ。そして、百三が疑われて、逮捕された次第なんだろ。」
「確かに、筋は合ってるであります!しかし……、結局その内通者というのは…。」
「まだ分かんねぇ。だけどぉぉぉ!?」
「ゲロッ!?」
突然銀時が立ち止まったものだから、ケロロは銀時の足に激突した。
「ちょっと!いきなり走り出したと思ったら、今度はいきなり止まって、一体何なんでありますか!?」
「あれ?銀ちゃんとケロロ、何やってるアルか?」
「おじさま!銀時さんまで!」
おやおやおや!お久し振りですね!神楽ちゃん、モアちゃん、桃華ちゃん、小雪ちゃん………って、あれ?1人足りないような?
「ゲロ?夏美殿はどうしたんでありますか?」
「そうなんです!突然、夏美さんがいなくなってしまったんです!」
「ゲロォ!?何ですとぉ!?」
「今、タマちゃんとドロロさんも捜しています。」
「ナッチーどこ行っちゃったアルか?」
「こんなこと考えたくないでありますが……、銀時殿……!」
「……その筋はあるな。早ぇところ見つけねぇと!」
ここでまさかの緊急事態!突然の夏美ちゃんの失踪!これもまさか、久坂一派の仕業なのか…!?次回に御期待です!
- 第21話 帰って来て であります ( No.25 )
- 日時: 2018/11/04 17:44
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
「はぁ……はぁ……。駄目だ。全然見つからねぇ。」
「銀ちゃん、こっちも駄目だったアル。」
既に捜し始めてから4時間は経っている。もう日が暮れるというのに、夏美は一向に見つからない。冬樹と新八も途中で合流し、共に捜していたが、駄目だった。
「銀ちゃんどうしよう……。もし夏美が…夏美がケダモノ共に襲われでもしてたら……!」
「ケ、ケダモノ?」
「そうネ!男は夜になると、女を見境なく襲うケダモノに豹変するって、パピーが言ってたアル!冬樹だってそうなるはずネ!」
そう言い、神楽は冬樹を指差した。冬樹は何のことを言ってるのか全然分からなそうな顔をしていた。
「神楽殿……。冬樹殿に限って、そんなこと絶対ないであります……。」
ケロロと同じように、他の皆も同じような反応をした。
これにはしっかりとした理由があった。冬樹の恋愛に対する無関心さ、鈍感さには、一同は呆れる程だからだ。その為、桃華が冬樹に好意を抱いてるのにも、冬樹は全く気付いていない。
「確かにこいつ、女とかに一切興味無さそうだからな…。」
「あるのはせいぜいオカルト位であります。」
「僕今どういう心境していればいいのか分からないんだけど……。それより、姉ちゃんはどうするんですか!?」
「……しょうがねぇ。ポリ公共に任せるしかねぇ。もう日も暮れてるし、こんな時間帯に年頃のガキを外に出す訳にもいかねぇしな。お前らはもう帰りな。後は俺らに任せとけ。」
一同は浮かない顔をしていたが、さすがに危険だということもあり、各自それぞれ居候させてもらってる所へと帰っていった。一部を除いて。
「あ、あり?我輩達は?」
「何言ってやがる。おめぇらケロロ小隊は俺と一緒に仕事の続きだ。」
「えぇ!?何で僕達だけ!?」
「おめぇらみてぇなカエル型天人を襲う輩なんて、いる訳ねぇだろ。それと、ポリ公共に頼るなんざ、俺のプライドが許さねぇ。あれは嘘だ。休めると思うんじゃあねぇぞぉ?」
銀時は憎たらしい笑みを浮かべた。
「あんまりですぅ!今で言う、ブラック企業ですぅ!」
「そうであります!そうであります!」
「だったらてめぇら、俺のスクーターどうするつもりなんだぁ?」
「「!!」」
ケロロとタママは気まずい顔をした。あの後(詳しくは第13話を)、源外に直してもらうことになったのだが、未だに修理費を払ってなかったのだ。
この件を終え、その給料で払うつもりだったのだが……。
「……分かったであります…。」
「やるですぅ……。」
「物分かりのいい奴らだぁ。早速行くぞ。」
歩み出した銀時の後ろを、トボトボと歩くケロロとタママを、ドロロは黙って見てるしかなかった。
「隊長殿……、タママ殿……。💧」
その頃、とある廃ビルでは……。
「……山崎。見つかるリスクを減らすため、ひとまず二手に別れよう。」
「分かりました。」
ギロロと山崎が久坂の後をつけていた。この3日間、尾行を続けた結果、明らかに機械を使って何かを企んでいることは明白だった。そして、夜明けにそれを決行することも。
そして今、久坂一派の本拠地である廃ビルに足を踏み入れたのだ。
「この件……。絶対にしくじることはできん…。何としても…。」
ギロロは柱の影に隠れ、見つからないように、慎重に上の階へと上がっていった。
「………………。」
そして、階段を上り、ある一室に入ると、急に動きを止めた。さらに何故か、銃を入口に向けた。
「………何故さっきから俺の後をつけている?気付かないとでも思ったのか?」
「………………。」
すると、ある人影がスッと出てきた。その人物にギロロは驚きを隠せなかった。
「な……………夏美!!?」
「……やっぱりバレちゃった?ギロロ。」
実は、夏美は久坂一派に連れ去られたのではなく、ずっとギロロの後をつけていたのだ。
約4時間前、神楽達と一緒に行動していた道中、たまたまギロロと山崎を見つけ、それからずっと後をつけていたらしい。
「な……何をしている!?ここは危険だ!早く帰れ!」
「そう言われて、『はい帰ります』って言う訳ないってのは、あんたが一番分かってるでしょ?」
「………………早く中に入れ。」
言い返す言葉が見つからなかったのか、ギロロは夏美を部屋に入らせた。
「腹減ってるだろ?これでも食べろ。」
そう言い、ギロロは1本の魚肉ソーセージを夏美に手渡した。
「あ……ありが…とう?(何で魚肉ソーセージ?)」
若干疑問に思ったが、断る理由もなかったので、これを食した。
「……これは、山崎が隠密行動をするときに必要不可欠な『真選組ソーセージ』だ。他の隊士達も、隠密行動をする際にはこれを食している。」
すると、夏美はプフッと吹き出しそうになった。
「…?何かおかしいことでも言ったか?」
「…いや、あんた……完全に真選組に馴染んでるなーって思っただけ。……昨日テレビで見たわよ…、真選組参謀として活躍してるあんたを。すっかり有名になってるじゃない…『真選組の赤い悪魔』ってさ。」
「……まあな…。今となっては、すっかり幕府のお偉いさんからも注目されてるみた」
言い終わる前に、部屋からパチンという音が響いた。それと同時に、ギロロは部屋の隅に飛ばされた。
「な…何をする!?」
「………………………。」
夏美の顔から一粒の雫が垂れてきた。
「何が『まあな』よ……。何が『真選組参謀』よ…。ふざけるのも程々にしなさいよ…。皆があんたのこと心配してたのに…、ボケガエルが必死にあんたのこと捜して、ようやく見つけたと思ったら………。皆あんたの帰りを待ってるのが分からないの!?……それなのに……それなのにあんたは…!」
夏美の泣き崩れた姿を見て、ギロロはケロロの手を払いのけたあの時のことを思い浮かべた。
「…………………………。」
皆、そこまで俺のことを……。それなのに俺は……。だがしかし……俺はどうすれば……。
「お願い…………帰って来て……ギロロ…。」
「夏美……………。!!!伏せろ!!」
突然、ギロロは夏美を伏せさせた。その直後、壁から銃弾が出て来た。
「まさか…………!!」
そして、扉から数十人が刀を持って、ボロボロになった壁から銃を持った者が部屋に入ってきた。
「おやおやおや…。こんな所でデートですか?フフッ…。」
不敵な笑みを浮かべて、赤い着物を着た男が現れた。
「ギロロ…あれって……!」
「ああ……。久坂一派の首領、久坂玄帥だ……!」
「……ほぉ。私のことを知っているなんて……いつの間にか有名人になっていたんですねぇ…フフッ…。」
久坂はちぢれた赤黒い色をした髪を掻き分けた。そして、刀と銃を下ろすように促した。
「…あなた方……あんな尾行で私が気付かないとでも思いましたか…?もうちょっとマシな尾行をしてもらいたかったですねぇ……。」
そう言うと、久坂は何かを出すように攘夷浪士に促した。すると、縄に縛られた何かが出て来て、地面に倒れ込んだ。
「や……山崎!!」
「すいません……しくじっちゃいました……。」
すると、久坂は刀を取り出し、それを山崎の首元に向けた。
「……少しでも抵抗するような真似をしてみて下さい……。このお方の首から、赤いものが噴き出しますよぉ……?フフッ…。」
「クソッ……。」
「……どうするの?」
「……………さぁ、御決断を。」
「………………分かった。好きにするがいい。」
そう言い、ギロロは持っていた銃、懐に入れていた手榴弾を全て床に置いた。
「ギロロ……。」
「いい決断です……。では、貴方たちにもショーを御見せ致しましょうか……。」
そう言い、久坂はギロロと夏美を縛るよう命令した。そして、縛られた3人をビルの最上階へと連れていった。
「フフッ…。さあ、着きましたよ…。ここがショーの舞台です……。」
何もない殺風景な場所だった。だが、一つ不自然な所をあげるとするならば、元々ヘリコプターの離着陸場の所にぽっかりと穴が空いていたことだった。
そして、柱に3人を縛ると、久坂はギロロをまじまじと見た。
「……いい……。貴方のその肌の赤……。実に私の好みにピッタリだ!!貴方を殺めるのは非常に勿体ない!!とてもいい赤色をしている!!フハハハハハ……!!!」
こいつ……何を言っている?
「おっと……私としたことが……。取り乱してしまったよ。どうやら、ショーの準備が出来たようです……。せっかくですから、今回の主役に登場してもらいましょうか……!」
そう言い、久坂は指を鳴らした。すると、すごい地響きが起き、ビル全体が揺れた。
「お前……一体何を…!」
「いやね…、この準備には機械技師の協力無しでは出来ないため、少々時間が掛かりまして……。ですが今、ようやく完成した………!!今日の主役が……!!」
久坂が手を仰ぎぐと、巨大な穴から何かが出て来た。それは、何か大筒を思わせるような巨大な機械だった。
「こ……これは……!!」
「そう!!これこそ、天人撲滅ウイルス発射砲、通称『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング久坂砲』だぁ!!!」
「いや下ネタじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
- 第22話 中坊は反抗期真っ只中 であります ( No.26 )
- 日時: 2018/11/11 15:43
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
「そう!!これこそ、天人撲滅ウイルス発射砲、通称『ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング久坂砲』だぁ!!」
「いや下ネタじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「下ネタ?一体何を言っているのですか?」
「いやそれもろにアレだろーがぁぁ!」
「玉2個の間に棒1本。これのどこが下ネタなんですか?」
「『銀魂』だけで扱うならまだしも、今回は『ケロロ軍曹』とのコラボ小説!こんな健全な作品を汚す訳にはいかないんだよ!コラボするのはいいけど、もうちょっとそういうの考えろよなぁ!」
いや山崎さん、あなたそれ誰に言ってるんですか?
「な、何だ……?ネオアーム…ストロング……何だ?」
「ていうか、何あの形…………?」
健全な『ケロロ軍曹』出身のギロロと夏美には、当然それが何を示しているかなんて、分かるわけがなかった。
「あーあー!知らなくて大丈夫ですから!これは『銀魂』サイドの話なんで!」
あまり深入りしないように、山崎は話を遮った。
「これに電流を流し、筒を刺激する。そして、溜まるに溜まった白く輝くウイルスを発射す」
「いやそれも下ネタじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!もうちょっと言い方考えろぉぉ!」
やっぱりそれが何を意味しているのか、ギロロと夏美には、分からなかった。
「それより……、また観客が来てくれたみたいですね………。」
久坂の見る方向には、無数のパトカーがビルの前に止まっている光景があった。真選組だ。
「おやおや、真選組の皆さん!わざわざ私のショーを御覧に来られるとは!歓迎しますよ!」
「ああそうだよ。お巡りさんが残虐な攘夷浪士共を成敗するアクションショーをな。」
土方は刀を抜き、久坂のいる方向に刃を向けた。
すると、久坂は浪士3人に山崎とギロロと夏美を連れてくるように命じ、見せびらかすように、3人を縁に座らせた。そして、浪士3人は刀を3人に近付けた。
「妙な真似したら、この御三方から綺麗な赤が噴き出しますよ……フフッ……。」
「山崎!ギロロ!それに、あいつは……あん時の……!」
「そんなことになりたくないのなら……、ショーを見ていて下さいね………フフッ……。」
「近藤さん……どうする?」
土方が問い掛けたが、近藤は腕を組んで屋上の方を見ていた。
「トシ……………………、あの大砲随分完成度高けーなオイ。」
「いやどーでもいいわ、んな事!突入するのかどうか聞いてんだよ!」
「ああすまんすまん!そうだな………。トシ。」
「……行くか?」
「………どうすれば、あの大砲のように俺もデカい男になれる?」
「さっきから何考えてんだてめぇぇ!!あの大砲から離れろ!!」
さすがに近藤の意味深な発言にブチギレた土方は、胸ぐらを掴みツッコんだ。
「しかし……!突入したらしたで……!」
「だからと言って、アレが発射されてもいいのか……?」
近藤は言葉を濁らせた。下手に動けば、3人の命が危ない。かと言い、このまま立ち往生してても、あの大砲が発射されてしまう。完全に久坂の思い通りになってしまった。
「フフッ……。さあ、ショーの開演までもうしばらくです!!夜明けと共に、天人共が悶え苦しみ、無様に死んでいくザマを楽しんでいって下さい!!フフ……ハハハ…………ハハハハハハ……!!!」
笑い続けながら、久坂は天を仰いだ。その様子を真選組は黙って見ているしかなかった。
「おぉ〜。随分綺麗に直ってんじゃねぇか。」
その頃、銀時達は源外から、スクーターが直った、との連絡を得て、からくり堂にいた。ただ、1つ心配なのが……。
「何にも仕掛けてねぇよな?」
修理に出すと、毎度のように何かを仕掛けてくるので、そのことが少し心配だった。ましてや、今はクルルもいる。
「さぁ〜?どうだろうねぇ?くっくっく〜。」
クルルの憎たらしそうな笑みと嫌らしい声で、またか、と思うのはすぐだった。
「なぁに。んな大した仕掛けはしてねぇよ。ほれ。」
そう言い、源外はハンドルバーに付いていた黄色のボタンを押した。すると、スクーターから煙が出て来て、スクーターが変形し出した。
「……え?」
「く〜くっくっく〜。すげぇだろぉ?これが俺様発案『いつでもどこでもカレークッキングセット』だぜぇ〜。」
「これさえあれば、どんな時、どんな場所でもカレーを作れてまあ便利」
「じゃねぇんだよ!!もうスクーターとしての役目全然ねぇじゃねぇかぁぁ!!」
ブチギレた銀時は、クルルと源外を殴り飛ばした。
「よく見たらこれ、ちょっとカレーこびりついてんじゃねぇか。お前ら1回これ使ってカレー食っただろ?」
殴られて横たわっている2人は親指を突き立てた。
「よぉし。この横たわっている材料で『カエルとジジイのカレー』作ってみよーかなー。」
棒読みでそう言うと、2人を木刀で叩き付けた。
「まあまあ、落ち着くでごさる銀時殿。」
「……ったく。こんな事してる場合じゃねぇってのに……。」
大きくため息をつき、銀時は再び黄色のボタンを押して、スクーターに戻した。
外れかけたゴーグルを源外は調整し、クルルは先程殴られたことにより壊れた眼鏡を新しいのに取り替え立ち上がった。
「それと銀の字。用ってのはてめぇだけじゃねぇんだ。クルの字。」
「ああ?あーそうだったなぁ…。隊長、ドロロ先輩、ガキ。中に入りな。」
そう言い、クルルは3人をからくり堂の中に入れた。そして、すぐ正面にある布を取った。
「こ、これは……フライングボード!!」
「な、何故この世界に……!?」
何故か、元いた世界にあるケロロ達のフライングボードがそこにはあった。
「ここからでは呼び出せないはずでは……?」
「細けぇ話は後だ。急いでんだろぉ?」
今はその事より、夏美を見つけるのが先決。各自のフライングボードに乗り、銀時はスクーターのエンジンを掛けた。
「これなら行動範囲も広くなるであります!さあ銀時殿!行くであります!」
「ああ。………と、言いてぇ所なんだけども……。」
銀時は後ろを向いた。何だと思い、他の3人も振り向くと、
「……はぁ〜。中坊は反抗期真っ只中だっていうけどさぁ……。」
そこには、帰れと言われたはずの、冬樹、新八、神楽、定春、桃華、モア、小雪がいた。
「すいません銀さん…。僕も引き止めたんですけど……。」
「しっかりしろよな新八。一応最年長なんだからよぉ。」
気まずそうに新八は頭を掻いた。
「んで、何でここに来たんだ?」
「………やっぱり、姉ちゃんのことが心配で……!僕達にも、何かやれることがあるなら……!」
「夏美さんを助けたいんです!銀時さん、お願いします!」
他の者も一同に同じようなことを言ってきた。危険な目に逢わせたくないという銀時の気持ちを押し跳ねてまで、夏美のことが心配なのだろう。
「………………………。」
「銀ちゃん!お願いネ!」
「………銀時殿……。」
「………冗談抜きで、死ぬかもしれねぇんだぞ?……いいのか?」
「……銀さん。僕達、軍曹と数々の経験をしてきました…。楽しかったこともありましたし、本当にピンチだったこともあります……。覚悟くらいできてます!何かできることはありますか!?」
「…………定春。中坊4人、乗せられるか?」
定春は頷き、ワンと大きく吠えた。
「銀さん……!」
「その代わり、怪我しても一切責任問わねぇからな。いいな?」
「……はい!!」
冬樹は大きく返事をして、定春に乗った。桃華とモアと小雪も同様に。
「よっしゃー!しっかり捕まってるヨロシ!行くアルよ定春!」
「ワン!!」
「てめぇらぁぁ!!残業代は払わねぇからなぁぁぁ!!」
そう言い、銀時はスクーターを発車させた。それに続き、フライングボードに乗った3人と定春が出発した。