二次創作小説(新・総合)

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ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇 であります
日時: 2020/03/21 16:15
名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)

ケロロ軍曹のキャラ達がなんやかんやで銀魂の世界に飛ばされてしまう物語です。
毎週土曜日と日曜日の間に2話か3話ずつアップする予定です。ですが、諸事情により、1ヶ月程空く場合があるかもしれないので、そこの所はご了承下さい。
注(キャラ崩壊、捏造等か若干あるかもしれません。)

〈大長篇〉
『真選組の赤い悪魔篇』>>17-33

第14話 休日って、ほとんどやる事ないよね であります ( No.17 )
日時: 2018/09/09 18:14
名前: 若大将 (ID: gMmcUgGG)

ある晴れた日。万事屋には、ケロロと銀時がおり、ソファの上で寝転がっていた。
「………………暇であります………。」
「………………そうだなぁ……………。」
いつもなら、この時間帯には新八がもう来ているのだが、今日は新八にとって特別な日。あの大人気アイドル・お通ちゃんこと、寺門通のライブがあるのだ。新八は「寺門通親衛隊」隊長として務めており、その時だけは、人格が変わり、かなりの熱血漢となるのだ。
そして神楽は、冬樹や夏美たちにかぶき町を案内するという理由で、定春と冬樹をつれて外出していた。
その為今は、どうしようもないダメ主人公2人と寝ているトキキしかいないのだ。
「ほんとに暇で暇で………。どうにかなっちまいそうだよ……。」
「まだトキキが寝ているだけいいでありますよ。」
「そーだなー。また大騒ぎでもされたら、面倒だからな。ていうか、あいつどんだけ寝てんの?」
実は、トキキが寝てからもう丸2日は経っている。普通に考えたら有り得ないことだが、トキキの力の方が有り得ないので、今まで別に気にもしていなかった。
「ま、寝る子はよく育つっつーから別にいーや。」
「そーでありますな。」
適当に話を流した2人は、テレビならこの暇を潰してくれると思ったのか、テレビを付けた。しかし、生憎ながら、今の時刻は午前9時。その上、今日は平日の為まだニュース番組しかやっていなかった。
「はぁ〜……。ニュースしかやってないであります。」
「ったく……。何でこうも平日はやる事ないのかねぇ……。」
「銀時殿。仕事すればいいんでありますよ……。」
「仕事っつったって……、依頼もないのにどうしろっていうんだよ……。」
「だったら我輩が依頼するであります……。ガンプラ買ってきてー。」
「てめぇ調子に乗んじゃねぇぞクソ緑……。それただのおねだりじゃねぇか……。だったら俺が依頼する……。ジャンプとイチゴ牛乳買ってこーい。」
「万事屋が依頼してきてどーするんであります……。バカなんでありますかぁ……?」
「バカって言った方がバカなんでぇす……。お母さんから教わらなかったのか〜?」
「今さらそんな子供じみたこと、誰が真に受けるんであります……。」
気の抜けた声で口論を続ける2人は、段々馬鹿らしくなってきたのか、ため息をついて寝ることにした。そうしようとした瞬間、呼び鈴がなった。
「あのーー。すいませーーん。」
外から声が聞こえてきたが、2人は少したりとも反応しなかった。どうやらやる事がなさすぎて、動く気力すらないのだろう。しかし、ある一言でその気力が復活した。
「依頼……お願いできま」
「「ようこそ『万事屋銀ちゃん』へぇぇぇぇぇ!!!」」
ケロロと銀時が戸を突き破って出て来たものだから、依頼人であろう男性は、声にもならない悲鳴を上げた。
「あ、ずいまぜん……。何せやるごどがながっだものなんで……。」
「い……いえ……。」
依頼人の男性は怯えたような声でそう言った。
「さあさあさあ!早く中へ!」
そう言われ、男性は中へと入っていった。

「それで、依頼というのは?」
リビングのソファに座っていた男性は、懐から封筒を出してきた。その中には、一万円札が何枚も入っていた。
「報酬の方は先に渡しておきます……。今日、こちらに来たのは他でもありません。私の弟の無実を証明してほしいのです。」
男性は、深々と頭を下げてそう言った。
「つかぬことをお伺いしますが……、弟殿は何の罪を着せられたのでありますか?」
「弟は、真選組の隊士として働いていました。しかし……、ついこの間、久坂一派のスパイだという疑いをかけられ、逮捕されてしまったのです……。」
「久坂一派って……何であります?」
知らないんかい、と銀時が小声でツッコんだ。
「久坂一派ってのは、今巷で話題になってる過激派攘夷浪士軍団。さっきのニュースでもやってただろ?天人大使館連続爆破事件、天人無差別殺人事件など、随分大それたことしてる奴らだよ。」
「攘夷浪士って、ヅラ殿も確かそうでは?」
「久坂に比べたらヅラなんてまだ生ぬるいもんだよ。その首領でもあるさかげんすいは、血を見ると、興奮するっていう典型的なサイコパスだっていう噂らしいぜ。」
「そ、そんな危険な奴ら、野放しにしておく訳にはいかないでありますよ!」
「だけど、さすがの真選組も、久坂には手を焼いてるみたいだぜ。何せ、居場所が全くもって分からねぇんだからな。」
「そうなんです。それで、真選組は、隊士の中に内通者がいると考え始めたのです。」
「そして、お宅の弟さんが内通者だと疑われて、逮捕されたと……。」
「酷な話であります……。」
すると、男性は立ち上がり、銀時の前で土下座をした。
「お願いします!何としても、弟の無実を証明して下さい!弟は昔から、正義感が強く、人が嫌がるようなことが大嫌いなのです!そんな奴が……、こんな事する訳がないんです!だから……お願いします!お願いします!」
男性は今にも泣きそうな声で、何度もそう言った。
「か、顔を上げるであります!そんな土下座なんて……!」
「…………こいつは……、久々にマジの依頼だな。」
すると、個々の用事が終わったのか、新八、神楽、冬樹が帰って来た。
「ただ〜いま〜。あれ?銀ちゃんどうしたネ?」
「おいお前ら。支度しろ。仕事だ。」
いきなり仕事だと言われたので、何のことなのか、3人にはよく分からなかった。
「ちょっ、ちょっと銀さん!いきなり仕事って言ったって……!一体何のですか?」
銀時は新八達に訳を話した。今までロクな仕事しか来なかったからなのか、新八と神楽は驚きを隠せなかった。
「マ……マジアルか銀ちゃん……!」
「かれこれこのシリーズが始まって、14話目にしてようやく……!」
「久々にシリアス展開になりそうだから、オラワクワクすっぞぉ!」
「シリアスになるのがワクワクするんですか…?」
冬樹の問い掛けに銀時は答えた。
「今までコメディとして成り立ってきた『銀魂』にとって、シリアス回はごく稀なこと。これは久々に銀さんも、カッチョいい所を見せねぇと。」
銀時は着崩れた衣服を整え、机の上に置いてあった木刀を腰に収めた。
「おい緑。お前のお仲間もできるだけ連れてこい。人手が多い方が効率いいからな。」
「了解であります!」
「さぁ〜〜て!行くとしますかぁ!あ、そうだ。あんたのお名前は?」
銀時は依頼人の男性の名前を尋ねた。
「入江です!いりじゅうです!弟の名はいりひゃくぞうと言います!」
「そうか。依頼はしっかり承ったぜ入江さん。後は俺達に任せときな。よし。お前ら行くぞ!」

いやぁ〜、このシリアスな感じ!私も結構好きですよぉ〜!
という訳で、今回からシリーズ初の大長篇「真選組の赤い悪魔篇」がスタートします!
今後もよろしくお願いします!

「真選組の赤い悪魔篇」オリキャラ紹介 ( No.18 )
日時: 2018/09/09 18:25
名前: 若大将 (ID: gMmcUgGG)

いりじゅう
今回の依頼人。逮捕された弟・百三の無実を晴らしてほしく、『万事屋銀ちゃん』へと依頼した。
名前のモデルは、「松門四天王」の一人・いりいち

いりひゃくぞう
依頼人・十二の弟。真選組の隊士として働いていたが、内通者と疑われ、逮捕された。
名前のモデルは、十二と同じ、入江九一。

さかげんすい
過激派攘夷浪士軍団・久坂一派の首領。血を見ると興奮するというサイコパス。
名前のモデルは、入江九一と同じ「松門四天王」の一人・さかげんずい

第15話 根拠無しで物事を決め付けるな であります ( No.19 )
日時: 2018/09/17 17:08
名前: 若大将 (ID: gMmcUgGG)

さて、こちらは真選組屯所前。
そこに、スーツを着た男と天人がいるのですが………、どう見ても軍曹と銀時さんですよね?

「ちょっと銀時殿。何で我輩達スーツ姿なんでありますか?」
「銀時?それは誰ですか?私は入江百三殿の弁護人、坂田堂銀一ですよ?」
銀時、いや坂田堂銀一はギザギザの銀髪を直しながらそう言った。
「正直な話、こうでもしねぇと話なんてさせてくれねぇんだよ。ここは頭の固い奴らしかいねぇから。」
「いやだからと言って、バレたらバレたで色々マズいでありますよ!」
「そん時はそん時だ。」
「『そん時はそん時だ』って、もうちょっと段取りというものをでありますなぁ!」
「さっきからごちゃごちゃうるせぇぞ。ここに何の用だ?嫌がらせだったら、公務執行妨害で現行犯逮捕だぞ。」
ケロロと銀時の口論が癪に触ったのか、屯所から真選組副長・土方が眉間にシワを寄せて出てきた。
「い、いやぁ〜。少々仕事のトラブルで揉め事が…。あ、そうそう。私が入江氏の弁護人である、坂田堂銀一です。よろしくお願いいたします。早速なんですが、入江氏との面会をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
銀時は、いつもの気の抜けた声を少し高くし、入江との面会を要求した。しかし、土方は相変わらず眉間にシワを寄せたままだった。
「………どっかで見たことある顔と銀髪だな。それに、その蛙みたいな天人……。」
「蛙みたいなじゃないであります!ケロロ軍曹であります!」
「ケロロ軍曹………。何か軍人みたいな名前だな。」
ケロロの発言により、土方はさらに不審に思った。これはマズいと思った銀時は、ケロロを連れて、少し離れた場所へと走っていった。
「バカヤロー!何が『ケロロ軍曹であります!』だ!ますます怪しまれてんだろーがぁ!」
「いやだってぇ……!我輩一応軍人だし……!」
「何とか誤魔化さねぇと……!」
銀時達は、再び元の場所へと戻ってくると、ケロロを片手に持ち、こう言った。
「いやぁ〜。実は彼、僕のアシスタントでして、親が軍人だったもんで、こういう名前なんですよぉ。いくら軍人だからって、流石にねぇ!ケロロくぅん?」
「そ、そうなんでありますよぉアハハ!小さい頃随分からかわれたでありますなぁ。」
若干苦し紛れな言い分だが、土方は……。
「………フゥー。そうか。入りな。」
納得したのか、土方はタバコの煙を吐くと、ケロロと銀時を屯所の中に入れ、面会室へと連れていった。
「しばらく待ってな。」
そう言い、土方は面会室から出ていった。
「……何とか誤魔化せたでありますなぁ。」
「ったく……。変な汗かいたぜ……。」
しばらくすると、アクリル板の向こう側から、1人の若い男性が2人の隊士に連れてこられた。おそらく、あれが入江百三なのだろう。
「割とイケメンだなぁ。」
「いやそこでありますか?」
百三は椅子に腰かけた。その顔は、すごく浮かない顔であり、下を向いていた。
「えー、私があなたの弁護人である、坂田堂銀一です。よろしくお願いいたします。早速なんですが、入江さん。あなたが逮捕された日のことを詳しくお聞かせ願えませんか?」
銀時が尋ねたが、百三は相変わらず顔を下に向けたままだった。
「百三殿、嫌だったら無理せず答えなくていいんでありますよ!」
「……いえ……。全て……お話します……。」
百三は、か細い声で話し始めた。
「僕が逮捕された日の前日の夜、偶然久坂一派の攘夷浪士を見つけたんです…。これはチャンスだと思い、後をつけてみたんです……。そしたら予想通り、久坂一派がそこにいました……。首領である久坂玄帥もいました……。」
「久坂達は、そこで何をしていたのですか?」
「……ある計画の話し合いをしていたのです………。しかし、僕はそれに夢中になりすぎて、背後から仲間が来ているのに気付かず、そのままスタンガンで気絶させられました……。」

どこぞの名探偵のような展開ですが、まあその部分はいいとして……。

「しかし、何故百三殿は逮捕されてしまったのでありますか?」
「……僕の携帯に、久坂一派の連絡先や、通話もしていないのに着信履歴があって……。それが証拠となり、結果、今の状態になっているのです……。」
「……銀時殿。これは……。」
「ああ。おおかた、気絶している間にあいつの携帯に連絡先を登録し、こいつを『内通者』とさせたんだよ。いわゆる冤罪。ただ……。」
「ただ?」
「その証拠がない限り、どうすることもできねぇ。どんなにその人が悪くなくても、証拠がねぇ限りその結果を覆すことはできねぇんだよ。酷ぇ話だろ?」
「……確かにそうであります……。」
銀時の言っていることは、何一つ間違っていない。だが、これが現実であると思うと、ケロロは辛く思えてきた。
「ですが、まだ希望はあります。顔を上げて下さい。」
「坂田堂さん……。」
「僕達が必ず、あなたの無実を証明してあげ」
銀時が言い終わる前に、大爆発がケロロと銀時を襲ってきた。どういう訳か、アクリル板の向こう側にいた百三は助かったが。
何が起きたのか分からず、ただアフロ状態のまま倒れているケロロと銀時に、2人の男が近付いてきた。
「おやおや。一体全体どうしたんですかぁ?坂田堂銀一さん。いや、坂田銀時くぅん!!?」
「旦那ぁ。何やってんですかぃ?」
土方が鬼のような形相で、沖田がバズーカを持ちながらこちらを見ていた。
「な、何をするんですか!?警察が一般市民にこんなことして、許されると思ってるんですか!?」
「不法侵入した挙げ句、職業偽装してる奴にそんな事言う資格があんのかぁ!?」
完全にご立腹の土方は、刀を抜き取り、銀時の方へと刃を向けた。
「だから言ったんでありますよぉ!どうするんであります!?」
「……チッ。せっかくいい話ムードだったのに、お前らのせいで台無しじゃねぇか。」
「(まさかの逆ギレでありますか!?)」
全然反省の色を見せない銀時に、ケロロは驚いた。
すると、土方の後ろに、困った顔をしている男性がこちらを覗き込んでいた。
「本物の弁護人はこの人だよ。何か怪しいと思ったら、やっぱりてめぇか。総悟。もう一発くらわせてやれ。」
「へい。」
土方の指示通り、沖田はバズーカを再び構えた。しかし、バズーカは銀時達ではなく、土方の方へと向いていた。
「……おい。何してんだてめぇ?」
「何って、指示通りもう一発くらわせるんでさぁ。土方さんに。」
「誰がそんな指示出した!?勝手に改ざんしてんじゃねぇぇぇ!」
「総太郎くぅん。この人うるさいからさ、発射しちゃってよぉ。」
「総悟です。んじゃ、遠慮なく。」
「待て待てぇぇぇぇぇ!!」
沖田が引き金を引こうとした、その時。
「そこまでだ。」
面会室の外から、声が聞こえてきた。
「沖田。貴様は勤務中だという自覚を持て。」
「……ケッ。めんどくせぇ奴が帰って来やがった…。」
「それと土方。すぐに感情的になるなと何度言えば分かる。」
「……何だ。帰って来てたのか。」
やけに低い声。その声に、まさかとは思ったが、ケロロは聞き覚えがあった。
「何事かと思って来てみれば……。懐かしい顔があるな……。」
その声の主は、面会室へと入ってきた。その姿は、ケロロと全く同じフォルムの天人だった。ただ一つ、違う所を上げるならば、体の色が赤色だということだった。
「こ……こんな所にいたんでありますか……!ギロロ伍長!!」
「……久しいな。ケロロ。」
そこには、真選組の隊服を着た、ギロロ伍長がいた。

第16話 目付きの悪さはしょうがないこと であります ( No.20 )
日時: 2018/10/07 18:46
名前: 若大将 (ID: Hh73DxLo)

「久しいな。ケロロ。」
ケロロは戸惑いを隠せなかった。今まで行方が分からなかったギロロが突然、真選組の隊服を着て現れたのだから。
「えっ?この赤いの、お前の仲間なの?」
「……そうであります!我が小隊の機動兵、ギロロ伍長であります!いやぁ〜ギロロ君!心配したんでありますよ!無事で良かったであります!」
ケロロはギロロの肩を組み、ギロロの無事を喜んだ。しかし、ギロロはケロロの発言に対して、全く反応せず、顔を反らしていた。
「………あり?ギロロくーん?」
「……………………………。」
「おいおいおい。何か怒ってるみたいだよぉ?」
相変わらず無反応のままだった。
「あ、あれでありますよ銀時殿!実はこいつ、照れ屋さんだから、あんまり初対面の人と接するのが苦手なんでありますよ!アハハハハ!」
「その割には随分顔険しいんだけど。明らかに嫌がってる顔だよね?怒ってる顔だよね?眉間にシワ寄せてるもん!」
銀時の言う通り、ギロロは眉間にシワを寄せていた。誰がどう見ても、不快に思っている顔だった。
「………ギロロ、どうしたんでありますか?」
さすがに不思議に思ったケロロは、ギロロに問い掛けた。しかし、先ほどと同様、無反応のままだった。
「ちょっとギロロ!聞いてるんでありますか!?」
さすがにいつまでも無反応のギロロに痺れを切らしたケロロは、ギロロの胸ぐらを掴もうとした。しかし、胸ぐらを掴もうとする前に、ケロロの手をギロロは払いのけた。
「………へ?」
ケロロは顔をキョトンとさせた。すると、ギロロはギロっとした目をケロロへと向けた。そして…。
「……ケロロ。単刀直入に言おう。……………俺はケロロ小隊を離脱する。」
突然の発言にケロロは戸惑った。

ケロロ小隊を………離脱……?

「…………銀時殿、V字殿、サディスト殿……!」
「いやV字殿って何?土方だ。土方十四郎だ。」
「誰がサディスト殿でい。俺は沖田総悟でさぁ。」
「いやお前は何にも間違ってねぇよクソサド殿。」
「そして、ギロロ………!我輩……、こんな悪質なドッキリは好きではないんでありますよ!!」
…………………え?
ケロロの発言に、辺りはしんと静まりかえった。
「こんなどこにでもありそうなドッキリ、数々の番組に出てきた我輩にとってはすぐに分かるんでありますよ!そうなると、どこかに隠しカメラでもあるんでありましょ?どこかに『ドッキリ大成功!』とかのパネルでも隠してるんでありましょ?全く、ドッキリにしては随分ベタでありますなぁ!もうちょっとひねりというものをでありま」
「緑。」
銀時がケロロのロングトークを遮断した。いくら事実を受け入れたくないとはいえ、ありもしないことを言い続けるケロロに対して、銀時は事実を受け入れさせようとした。が………。
「お前、これがドッキリだとしてもだな、その発言はマズいだろ。例えドッキリだって分かっても、そこは黙ってなきゃ。」
「そうでさぁ。番組がぶち壊しになっちまうだろ。これ、テレビ業界での常識でさぁ。」

いやツッコむところそこなんですか!?今までのシリアス展開はどこにいったんですか!?

「ちょっと待てぇぇ!何でいきなりテレビの話になってんの!?横見てみろ!百三凄い気まずそうな顔してるんだけど!」
「外野は黙ってろやクソ方。」
「誰がクソ方だゴラァ!少なくとも、魂までクソなお前に言う資格なんてねぇんだよ!」

あーちょっとちょっと!土方さんまで!皆さん落ち着いてくださいよ!一回冷静になって下さい!




「……ギロロ……、何ででありますか!?何でいきなり……!」
ようやく、シリアス展開に戻れたので、改めてギロロに問い掛けた。
「……俺は……、今までの自分を捨てた。」
すると、土方がタバコの煙を吐き出し、口を動かした。
「6日前、俺の部屋から爆発音が聞こえてな。何事かと思って見てみたら、真っ黒になってアフロ状態になっていたこいつがいてな。どうやら、総悟が仕掛けた爆弾が起動して、その爆発に巻き込まれたみたいでな。」
「元は土方さんを極楽浄土へと導くためだったんですけどねぇ。」
「誰を極楽浄土へと導くだって?」
土方は沖田を睨み付け、刀を鞘から抜き取り、沖田の方へと向けた。
「ただの独り言でさぁ。」
棒読みで沖田はそう答えた。
「ちょっと待つでありますギロロ!『今までの自分を捨てた』って……どういうことでありますか?」
「………ケロロ。今まで俺達が地球ペコポン侵略できなかった理由は何だと思う?」
「そ……それは……。」
「おそらく、ここが『銀魂』の世界なんだろう。貴様のせいで俺達まで連れてこられたな。今までの貴様の身勝手な行動には、痺れを切らしていた。こんな奴が自分の隊長だと思うと、情けなく思えてきた。そして何より………、1人の女ペコポン人にうつつを抜かしていた、不甲斐ない自分に嫌気がさしてきた……。」
ギロロは右手を強く握り締めた。そして、ケロロは少し顔を下に向けていた。
ギロロの言っていることは、何も間違っていない。ほとんどの原因は、隊長である自分。それ故に、幾度も作戦に失敗してきた。そんな風に思われて当然だ。
「だから……ケロロ小隊を抜けるんでありますか?」
「……まあ、そういうことだ。だから、お前らはもう元の世界に帰っていい。」
「えっ!?じ、じゃあギロロはどうするんでありますか!?」
「………さっきも言ったが……、俺はもう今までの自分を捨てた。つまり、軍人であった自分を捨てたことになる。今度からは…………、真選組参謀・ギロロ伍長として、この世界の治安を守る。」
「……………………。」
「緑…………お前……。」
ギロロの決意に対し、ケロロは何も言わなかった。
「それと土方。さっき近藤が呼んでいたぞ。」
「ん?そうか。」
そして、ギロロは土方と共に真選組局長・近藤の元へと行くため、面会室を出ていった。
ギロロはケロロの方を振り向くことなく、向かっていった。その背中は、どこか悲しそうな様子にケロロには見えた。

第17話 涙はラストシーンで流せ であります ( No.21 )
日時: 2018/10/08 18:56
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

「てな訳で、今日はもう帰って下せぇ。」
「いやね沖田くん。帰るのはいいんだけどさぁ……、何これ?」
真選組屯所の広大な庭に、巨大な大筒が1つ。その中には、ケロロと銀時が入れられていた。
「ちょっとーーー!!何で我輩達大筒に入れられてるんでありますか!?◯すつもりでありますか!?」
「◯す?何言ってんですかぃ。心優しい親切なお巡りさんが、あんたらをお家まで送り届けてやろうとしてるんでさぁ。」
「聞き間違いかなぁ!?魂腐った外道な腐れポリ公が、俺達を地獄に突き落とそうとしてる、って聞こえたんだけどなぁぁ!!?」
「この人ほんとに警察なんでありますか!?」
沖田は笑みを浮かべてこちらを見ていた。しかし、その笑顔に善なる要素は全く無く、目には一切光がなかった。
「んじゃ、そろそろお帰りの時間なんで。」
そう言い、沖田は導火線に火を点けた。
「いやいやいやいや!!ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!」
「ゲロォォォォ!!助け」
言い終わらないうちに、ケロロと銀時は遥か上空へと飛んでいった。そして、空の彼方から、悲痛な叫び声が木霊した。
「ばいばぁい。」
沖田は先程の笑顔で、上空に手を振っていた。



その頃、万事屋銀ちゃんでは……。

「軍曹さん達遅いですぅ。」
中には、新八、神楽、定春、タママ、ドロロ、冬樹、夏美、桃華、モア、小雪、そして何故かクルルもいた。
「あの……あなた誰ですか?」
まだクルルのことを知らない新八が、クルルにそう尋ねた。
「あ?クルル曹長だ。んま、よろしくな。くっくっく〜。」
「(凄い嫌らしい人だな……。ていうか、この人の声……どこかで…。)」
「それにしても、ボケガエルと銀さん、何してるのかしら?ボケガエルが『聞き込みを手伝ってほしい』って言うから手伝ってあげたのに。」
「まあまあ姉ちゃん。すぐに戻ってくるよ。」
冬樹がそう言った直後、勢いよく天井が崩れ落ちた。
「えぇぇぇぇ!!?」
「夏美さん!危険だから下がってください!」
小雪が夏美の前に立ち、短刀を構えた。
「………あれ?これは……!」
「ほんとネ冬樹。……すぐに戻ってきたアル。」
そこには、真っ黒焦げになったケロロと銀時がいた。
「「た………だい…ま……。」」

「ったく……。酷い目に会ったぜ…。」
墜落したその後、新八とモアに手当てをしてもらったケロロと銀時は、全身包帯だらけの状態で横になっていた。
「あの沖田という奴、絶対許さないであります…!あいたた…!」
「おじさま、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫でありますモア殿…。ちょっと痛むだけで…いててて…。」
「おじさまにこんな酷い事するなんて…、そんな人はどんな人だろうが、まとめて吹き飛ばします!」

いや、この星の人全員吹き飛んじゃうんで、それはちょっと……。

「それにしてもあんたら、真選組に行ってまで何してたんですか?」
「決まってんだろ。入江百三に聞き込みに行ったんだよ。その情報をお前らに言う前に……、こいつから言わなきゃいけねぇことがある。」
銀時は親指をケロロの方へと向けた。あまり言いたくなさそうな顔だが、ケロロは今まであった出来事を全て話した。当然、ギロロ伍長のことも……。
「………真でござるか……隊長殿……。」
「嘘よね……ボケガエル……?」
「……全部事実であります。ギロロ伍長は今日をもって、ケロロ小隊を抜け、真選組参謀として、この世界に残るつもりであります……。」
「……………………………。」
しばらく沈黙が続いた。受け入れがたい事実を突き付けられ、何と言えばいいのか分からないのだろう。
先に口を開いたのはドロロだった。
「隊長殿は、それで良かったのでござるか?ギロロ殿がこの世界に残ることに……、異議はないのでござるか……?」
「………………。」
「軍曹……。」
「……これは、ギロロ自身が決めたこと……。我輩に……それを止める権利はないであります……。」
「軍曹さん……。でも……、ギロロ先輩がいなくなるのは……。」
タママは少し目に涙を浮かべた。
「ボケガエル……ほんとにいいの……?」
夏美も目に涙を浮かばせた。
ケロロは小さく頷いた。だが、ケロロの体は小刻みに震えていて、顔から雫が垂れてきた。
「……本当は……我輩だって……!我輩だって……!」
右手を強く握り締めて、ケロロは涙を拭った。
「ケロロさん……。」
「……何だかんだ言って、結局一番辛いのはてめぇだったんだな……。」
「おじさま………。」
すると、銀時はふと窓を見た。どうしたのかと思い、冬樹が銀時の方へと近付くと、突然、
「てめぇら!!伏せろ!!」
と銀時が叫んだ。状況が分からないまま、言われるがに伏せると、窓から何かが勢いよく飛んできた。
「これって………火炎瓶!!?」
飛んできたのは、火炎瓶だった。
「早く水持ってこい!!」
「そういうと思って、もう持ってきたネ!」
「おお!でかしたかぐ……ら?」
そこには、確かに神楽がいた。しかし、神楽はお腹がパンパンに膨らんでいるタママを手に掴み、まるでバズーカを放つような体勢をとっていた。
「行くアルよ、みんな!!」
「ちょっと待って神楽さん!タマちゃんどうしたんですか!?」
「うぷっ………苦…しい……。助け……て…。」
タママは、いかにも何か吐き出しそうな顔で助けを求めた。
「……まさか……神楽殿……!」
「行くアル!!ハイドロポンプならぬ、タマドロポンプネーーーー!!」
そう言い、神楽は思い切りタママの腹を殴ると、タママの口から大量の水が出てきた。それは、とんでもない勢いで皆の方へと向かうと同時に、火炎瓶の方にも向かっていった。
バッシャーンという音が室内に響き渡った。通行人は、万事屋の窓から少量の水が外に出てきたのを不思議に思った。
「フゥーー!鎮火完了!!」
そう言い、神楽は手に持っていたタママを床に放り投げた。
「神楽ちゃん。僕達の怒りの炎も鎮火してくれないかなぁ?」
水浸しな新八達が怒りを露に神楽を睨み付けた。
「まあまあ、火は消せたから、結果オーライアル!」
「にしても……、誰が火炎瓶を…?」
「銀さん。さっきやたら窓を気にしてましたけど、どうしたんですか?」
冬樹が銀時に尋ねた。
「ん?ああ、何か人の気配を感じてな。覗いてみようと思った瞬間、これが飛んできてな。」
「そういえば私、ちらっと見えたんですけど、走り去っていく2人の男を見ました!」
小雪の発言に、銀時は何か思い付いたかのように、目をぱっちりさせた。
「その2人の男の服って………何色だった?」
「えっ……確か、赤でした!」
「…………マズいな……。」
銀時が少し気まずそうな顔をした。
「えっ?何がマズいんでありますか?」
「……どうやら、俺達はもう嗅ぎ付けられちまったみたいだな。」
「嗅ぎ付けられたって……まさか!」
「ああ。……久坂一派にな。」


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