二次創作小説(新・総合)

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ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇 であります
日時: 2020/03/21 16:15
名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)

ケロロ軍曹のキャラ達がなんやかんやで銀魂の世界に飛ばされてしまう物語です。
毎週土曜日と日曜日の間に2話か3話ずつアップする予定です。ですが、諸事情により、1ヶ月程空く場合があるかもしれないので、そこの所はご了承下さい。
注(キャラ崩壊、捏造等か若干あるかもしれません。)

〈大長篇〉
『真選組の赤い悪魔篇』>>17-33

第28話 燃え尽きた魂 であります ( No.32 )
日時: 2019/01/13 17:19
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

目が覚めると、新八の目にはいつもの志村家の風景が入ってきた。
お妙の話によると、あの爆発の後、何事かと思い源外とクルルが廃ビルに向かうと、倒れ込んでいるケロロら、真選組、久坂一派がいた。そして、源外とクルルがケロン人3人、中学生4人、大人1人を志村家へ連れて来てくれたらしい。
しかし、何よりも衝撃的だったのが、廃ビルがあるはずの場所に、ぽっかりと巨大な穴があり、廃ビルが消滅していたことだった。
あれから5日が経ち、銀時の傷もすっかり癒えた。しかし、銀時と新八には、一つ気掛かりなことがあった。
「おい、そこの四字熟語女。」
スナックお登勢でイチゴ牛乳を飲んでいた銀時が、掃除をしているモアの方を指差した。
「え?わ、私のことですか?」
「当たり前だろ。お前以外に四字熟語頻繁に使う奴なんていねぇだろ。」
銀時はぶっきらぼうな感じでそう言うと、モアに尋ねた。
「……お前何者なの?」
突然の問い掛けに、モアは少し戸惑った。
「あの……、何者なの、というのは?」
「そのまんまの意味だよ。
お前あん時、姿を変えるなり、挙げ句の果てには廃ビル吹き飛ばすなり、何だったんだよ。普通の人間じゃ、んな事出来ねぇよ。
それとも何だ?斉○楠○みたいに、世界破滅されられる位の超能力持った高校生か何かなのか?Ψ難だらけの日常なんですかぁ?」

いや銀時さん、「Ψ」じゃなくて「災」です!それじゃ、他の作品ですから!

「そういえば、銀時殿達にはまだ話してなかったでありますな。」
ソファで寝転がっていたケロロが起き上がり、モアの方へと向かった。
「実は、モア殿は我輩達と同じ宇宙人なのであります。」
「はぁ!?」
「モアちゃんが宇宙人!?普通の高校生にしか見えないんですけど!?」
同じくスナックお登勢にいた新八も驚いた。
「実は、これは仮の姿で、本当は……。」
そう言い、モアは携帯電話を取り出し、番号を入力し、呪文のようなものを唱えた。
すると、モアの体が光り出し、宙に浮かんだ。そして、あの時と同じように、髪が白くなり、服装も変わった。
「ふぅ。これが私の本当の姿です。」
見るのは二度目だが、やはり銀時と新八は驚きを隠せなかった。
「マジでか。」
ところがさらに驚かされたのが、
「モア殿は元々、ペコポンを破壊するためにやって来た、アンゴ」
「ちょっと待て。今何て言った?」
言い終わる前に、銀時はケロロの話を遮断した。
「ペコポンを破壊するため、とか聞こえたんだけど……、ペコポンってこの地球のことだよねぇ?……ってことは……。」
銀時は恐る恐るモアの方を見た。それに対し、モアは笑顔を返した。しかし、銀時からは、その輝かしい笑顔が、邪気に包まれた恐ろしいものにしか見えなかった。
「新八。」
「はい。」
「………今すぐ荷物まとめろ。今日から万事屋は火星に移店だ。」
そう言い、銀時と新八はそそくさと店を出ようとした。しかし、それをケロロとモアは止めようとした。
「ちょちょちょ、ちょっと待つであります!一体どうしたんでありますか!?」
「どうしたんであります、だぁ!?これから地球消滅するっていう時に呑気にイチゴ牛乳飲んでる場合じゃねぇだろ!!」
「僕達だけでも絶対生き残ってみせる!!童○のまま地球と一緒に滅ぶのは嫌だぁぁぁ!!」
泣きながら新八は叫んだ。
「ちょっと銀時!何だいさっきの光は!」
モアから発せられた光が気になったのか、お登勢が出てきた。
「……何してんだいあんた達?」
「おい何してんだババア!早く地球から逃げるぞ!江戸中の皆にも伝えろ!」
「ちょっと待ちなよ。何言ってんだよあんた。……まさかあんた、それを言い訳に飲み逃げ企んでんじゃないでしょうね?」
「んな悠長なこと言ってる場合か!」
「モア!あいつらをそれで吹っ飛ばしな!」
「待て待てぇぇ………って、え?」
お登勢の発言に、銀時と新八は動きを止めた。
「おいババア……。お前、こいつの正体知ってたの……?」
「……私も初めて見たときは驚いたけど、そんな理由で締め出す程、器は小さくないよ。
あいつらがここで働き始めてから、客が殺到してね。その代わり、スケベ親父共のセクハラも増えて困ってた所なんだよ。生憎、たまは今修理中だし、かと言って私とキャサリンだけじゃ、手に負えなくてね。そこで、この子を使おうと思った次第よ。
それに、とてもと言っていい程、そんな大それた事する子だとは思えないのさ。」
お登勢はタバコの煙を吐き出し、そう言った。
「………な……なぁ〜んだ!だ、だったらあ…ああ、安心……だなぁ……!アハハハ……!」
「そそそそそううですよね!モアちゃんがそんな事す、する訳ないです……よねぇ!!」
そんな事を言っている2人だが、顔からは大量の汗が流れ出て、足はガクガクと震えていた。
「あ、そうだ。俺あいつと会う約束してたんだ。」
「ゲロ?どこか行くんでありますか?」
「ああ。じゃあな。」
そう言うと、銀時は店を出た。しかし、その後ろ姿は、何かから逃げるように見えた。
「……まさか銀時殿……。」
「あの腐れ天パ!!はなから飲み逃げするつもりだったなぁ!!」
ブチギレたお登勢は、モアに追い掛けるように指示した。
「分かりました!銀時さん、飲み逃げは許しませんよ!」
モアはルシファースピアに乗り、銀時を追った。
一目散に逃げる銀時の後ろ姿を、新八とケロロは呆れた目で見るしかなかった。



一方、こちら真選組屯所では、会議が開かれていた。
きっかり13時20分0秒。今日の会議はこの時刻に始められる。それを守らなかった場合、どんな理由であるにしろ、土方考案の『局中法度』によって切腹を命じられる。
「……よし。始めるか。と、言いてぇ所なんだが…、入ってこい。」
土方は襖の方を見てそう言うと、一人の男が入って来た。
「…………。」
それは、今まで内通の容疑で誤認逮捕されていた入江百三だった。
5日前、真犯人が兄の十二だと分かり、疑いの目が晴れたらしい。そして今日、正式に真選組へと復帰出来るようになった。
「百三、すまなかった!!お前にどれ程辛い思いをされてきたことか……!」
近藤は百三に向かって頭を下げた。
「や、やめて下さい局長!そんな、俺なんかに頭を下げないで下さい!
それに……、頭を下げるのは俺の方ですよ。兄・十二が色々とお騒がせして申し訳ございませんでした。」
そう言い、百三はその場に座り込み、土下座をした。
「……顔上げろ百三。この件に関しては、てめぇに非はねぇ。今日はその問題、入江十二についての緊急会議だ。そこ座れ。」
土方は、一つだけ空いている席を指差し、百三にそこに座るように促した。
言われた通り、百三は座ると、沖田が隊士に資料を配った。そこには、百三の兄・十二の写真が貼ってあった。
「入江十二。奴は今も逃亡中だ。久坂一派は一人残らずしょっぴいたと思ったんだが、こいつだけ逃しちまった。
首領の久坂も、知らない、としか言ってねぇ。
恐らく、あん時の爆発に巻き込まれる前に一人逃げ出したんだろう。」
土方がそう言うと、ギロロが立ち上がり、
「今日集まってもらったのは他でもない。奴を捕まえる。奴はかなり久坂に心酔している。このまま放置しておけば、また何か企てるかもしれん。
これ以上、奴等の好きにはさせん。いいな!?」
「はい!!!」
隊士一同は返事をすると、土方から、どこを捜索するか、各々に指示を出された。だが、一人指示を出されなかった者が……。
「あの……、俺は?」
百三が土方にそう尋ねた。
すると、近藤が百三の肩を掴み、こう言った。
「百三。お前には、この件から外れてもらう。……いくら犯人だとはいえ、お前の兄貴だってことには変わりねぇ。まだ立ち直れてねぇと思う。悪ぃな。」
「局長……。いいえ、俺も行かせて下さい。」
しかし、百三は近藤の頼みを拒否した。
「……確かに、兄貴は俺をハメて犯人に仕立てあげました。ましてや、俺を利用して、久坂に情報を流していた張本人です。決して許されることではありません。
だからこそなんです!だからこそ、罪を償い、もう一度、全うな人生を歩んで欲しいのです。そして、しっかりと自分の口で、兄貴ともう一度話をしたい。兄貴を捕まえて、ちゃんと償って欲しいんです。だから局長。行かせて下さい。」
百三は頭を下げた。近藤は拒否しようとしたが、土方が間に割って出て来て、百三にこう言った。
「そうか。だったら百三。早く行け。そして、兄貴のこと、ぶん殴ってこい。」
「……副長。ありがとうございます!」
土方に礼を言い、百三は屯所を出ていった。
「……トシ、いいのか?」
「あいつ自身がそうしたいって言ってきたんだ。俺等にそれを止める筋合いなんざねぇよ。
それより、ギロロはどうした?」
いつの間にか、ギロロの姿もなくなっていた。
「何か、用事があるから今日は抜ける、とか言ってやしたけど。サボりの口実なんじゃないですかぃ?」
「てめぇと一緒にすんな。」
「それよりも土方さん。あいつと面会をしたいっていう奴が来てやすぜ。」
「……あいつと?誰だそいつは?」
「それが……。」



真選組屯所の面会室。そこに、手錠を掛けられた男が入って来た。
「……そんな警戒しなくても、私は何もしませんよ。」
そう言うと、男は椅子に座った。
しばらくすると、アクリル板の向こう側の扉が開き、一人の男が入って来た。
「……ほぉ。まさか貴方が面会に来るなんて……。白夜叉。」
「獄中生活はどうだ?久坂。」
「快適……とでも言っておきましょうか。それよりよも貴方、その頭のこぶはどうしたんですか?」
久坂は、銀時の頭から出ている巨大なこぶを指摘した。
「………ヤンキーにバットで殴られた。」
そうは言っているが、実際の所、モアに追いつかれて、ルシファースピアで叩かれたのが事実。
「(ったく……、加減ってのを知らねぇのかよあいつ………。)」
だが、誰かに会うというのは嘘ではなかったみたいだ。
「……座ったらどうです?生憎、時間は限られていますから、早く話をしましょう。」
そう言われ、銀時は椅子に座った。
「……それで、私に何の用ですか?冷やかしにでも来たんですか?」
「テロリストを冷やかす程、俺も暇じゃないんでな。
……単刀直入に言うぜ。お前あん時、『彼の言っていた通りだ』って言ってたよな?その『彼』って誰のことだ?教えな。」
「…………。」
「俺の知り合いか?赤の他人か?」
「……知って、貴方はどうするつもりなのです?」
「……てめぇとやり合った時、俺には分かった。
てめぇはただ単にやり過ぎただけ。信念自体は、どこにでもいる一般人と同じ。
てめぇだけじゃねぇよ。皆、天人に何かを奪われたんだ。あのポリ公共もそう。俺だってそうだ。皆、何かしら天人に恨み持ってんだよ。
その『彼』って奴が、てめぇの憎悪を増幅させたんじゃねぇか、って俺は思ったんだよ。だから、俺はそいつを知って、ぶっ叩く。」
「確かな証拠でもお有りで?」
「……てめぇをここまで狂わせたんだ。ぶっ叩かれて当然の奴位、馬鹿な俺でも分からぁ。」
「……フフッ。随分単純な人ですね。私の為なんですか?」
「勘違いすんじゃねぇ。もし『彼』を野放しにしてたら、またてめぇみたいなモンスター生み出されちまうだろ?そいつを止める為だよ。
あ、やっぱてめぇの為でもあるな。もしてめぇが釈放されたら、また『彼』に会って、またあんな事やるかもしれねぇからな。」
「……フフッ。安心して下さいよ。そんな事はもうしませんから。」
「安心出来るかよ。まずその笑い方やめてから言えよ。」
「ちゃんと自信を持って言えますよ。なぜなら、もう面会室に来るのもこれで最後。最後に会話する人も貴方が最後かもしれません。」
「……てめぇ、まさか……。」
久坂は頷き、立ち上がった。
「おっと、本題からずれてしまいましたが、時間が来てしまったみたいですね。」
隊士が、時間だ、と言い久坂を退出させようとした。
「お、おい!」
「……時間はしっかり守る主義でして。申し訳ありませんが、お別れです。貴方ともっと話をしたかったのですが。」
「……へっ。せいぜい、嫁の尻に敷かれてきな。」
「……とっくに、尻に敷かれていましたよ。」
久坂はにっこりと笑顔を浮かべると、面会室から出ていった。
それに続き、銀時も面会室から出ていった。



その日の夜、どこか森林のような所で、一人の男が左腕を押さえて走っていた。
「はぁ……。はぁ……。もう少しで着く……!もう少しで……!
久坂さん、貴方はもう捕まってしまいましたが、私が絶対に貴方の夢を……!」
その男は、森を抜けて、草木を掻き分けた。
その先には、廃屋があり、そこに一隻の飛行船があった。
「やっと……やっと辿り着いた……!
『困ったときはここに来い』とあの人は言っていたからな……。やっとですよ久坂さ……。」
言い終わる前に、背後から何か衝撃が来た。何だと思い、腹を見てみると、刀のような刃物が背後から突き刺さっていた。
「……ごふっ……!」
口から血を吐き出すと、男は倒れ込んだ。男は、突き刺した者を見ようとした。それは、彼にとって、とても見覚えのある人物だった。
「な……何故……。お前は……かわ」
言い終わる前に、心臓を一突きされ、男は息絶えた。
すると、数人の男がやって来て、刀を持った男が指示した。
「これで久坂一派は完全に消滅。入江十二も死んだ。後の始末は任せた。」
そう指示し、数人の男は十二を持ち上げ、森の奥深くまで運んでいった。
そして、男は刀に付いた血を拭き取り、鞘に入れると、携帯電話を取った。
「もしもし。つんぽです。」

第29話 ギロっと睨まないでね であります ( No.33 )
日時: 2019/01/13 17:22
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

翌朝、とある路上である男が血だらけの状態で発見された。とても無惨な状態だった。
「……まさか、こんな展開で久坂一派が最後を迎えるなんてな……。」
真選組は現場検証を行い、辺りの住人に聞き込みを始めていた。
「百三……。」
近藤は言葉を濁らせた。まさか、こんな状態で実兄と再会するなんて、思ってもいなかっただろうに。
百三はしばらく黙り込んでいた。
「……百三。気持ちは分かるが、ちゃんと現実を受け止めな。」
「お、おいトシ……!」
土方の手厳しい発言に、近藤は百三を庇おうとしたが、百三は、
「………兄貴は……、兄貴は最後まで侍の国を求め続けていたんですね………。たった一人になっても、誰も頼れる人がいなくなっても、最期まで求め続けていた。……兄貴は兄貴なりに、しっかり生きようとしてたんですね……。」
百三はうっすら笑顔を浮かべたが、目からは涙が流れ出てきた。
近藤と土方は、ただ百三を見てることしか出来なかった。



場所は変わり、江戸のとある公園。
ギロロは隊服を着ないで、歩いていた。
「(……一体、昨日のあいつは何だったんだ?)」
実は昨日、会議の後、ケロロに呼び出されていたのだ。しかし、用件はあっさりと終わった。
明日、同じ時間に公園に来てくれ、と言い、ケロロは帰っていったのだ。何の為にとは言わず。
「………それにしてもあいつ、時間を守らんのは昔からだな……。」
ケロロ、ギロロ、ドロロは子供からの馴染み。気弱な性格で病弱なドロロ、真面目なギロロ、いい加減でマイペースなケロロ。いつもこの3人で行動してきたのを、懐かしく思えてくる。
「………ん?」
誰かがこちらに来ているのが目に見えた。さらに、その誰かは、ギロロにとってとても見覚えのある人物だった。
「……………!?な、夏美!?どうしてお前が!?」
「どうしてって……、あんたが話があるって言ったから来たんじゃないのよ。」
……さては、あいつ……!
「ボケガエルが昨日、ギロロから話がある、っていうから来たのに、何であんたが驚いてるのよ?」
「………そ、そうだったな。とりあえず座ろうか。」
適当に相づちをうつと、ギロロは近くにあったベンチに腰を掛けた。その隣に、夏美も座った。
まんまとしてやられた、と呟き大きくため息をついた。
「ちょうどよかったわ。私もあんたに話があるから。」
「……そ、そうか……。」
2人で話すのはいつぶりだろう。ましてや同じベンチに並んで、2人きりで話すなんて。
実は、ギロロは夏美に淡い恋心を抱いていた。その為、ベンチに腰を掛けてから、赤い顔をさらに赤くさせていたのだ。
「……それで、話というのは何なんだ……?」
「……………あんた、本当にこの世界に残るつもりなの……?」
ずっと真っ赤っ赤だった顔が、一瞬にしていつもの赤い顔に戻った。
「……あんた、本当にこれでいいの……?あいつらのことは……、ケロン星のことは別にどうなったっていいの……?」
何て返せばいい。
俺は真選組参謀として生きていくことを決意した。男に二言はない。今までの軍人としての俺は死んだ。あいつらとの関係も断ち切った。
それなのに、何であいつらは俺のことを心配してくれたのか。どうしてあの時、ケロロ達は俺を助けに来てくれたのか。
「……ねぇ……何とか言いなさいよ……!」
「………そうか。やっと分かったよ。」
「……え?」
「……俺に拒絶されたお前達が、どうして俺のことを心配してくれたのか。一瞬だが、今までの自分を捨てたはずの俺が、どうしてあの時、お前達に助けを求めたのか……。
………切っても切っても、絶対に切れることはない腐れ縁とかいうやつで繋がっていたのかもな。
………どうやら、うつつを抜かしていたのは俺の方だったようだな。勝手な行動をし、挙げ句の果てには、お前達のことを拒絶したのだから。
俺には、あんな風な連中と、共に星を侵略しているのが、お似合いのようだな。」
「ギロロ……。」
夏美は目から涙を流した。
「……だが、この世界にいる以上は、真選組を脱退するつもりはない。」
「……え?ど、どうして?」
「……実は……、近藤にかなり気に入られてな……。どうも脱退しにくくなったのが理由で……。」
ギロロの脳裏には、脱退しちゃヤダ、と言いながらギロロにしがみつき、駄々をこねる近藤の姿があった。
「……フフッ。あんたの好きにすればいいわよ。でも、たまにはこっちにも顔出してよね?」
「………暇があったらな。」
ギロロはぶっきらぼうにそう答えた。
「ったく、素直じゃないんだから!」
強めにそうは言ったが、夏美の顔はにこっとしていた。
それを見て、ギロロは少し顔を赤くさせて、顔を反らした。
「?どうしたの?」
「い、いや…。何でもない。」
「え〜、気になるなぁ。」
夏美は顔をギロロに近付けた。
「お、お前が……気にすることではない……。(か、顔が近い……!)」
「教えてよぉ〜。」
夏美はさらに近付いてきて、今度はギロロの手を握り始めた。
「はいぃ!?な、夏美!?」
「お願い、ギ・ロ・ロ?」
顔をさらに近付けて、ギロロをじっと見続けた。
どんどんギロロの顔が赤くなってきて、しまいには、体から蒸気のようなものが出てきた。
「な……夏美……。」
「ギ・ロ・ロ?」
「…………いやいやいや!いかんいかん!そういうことは、お前にはまだ早い!ちゃんと段取りというものをだなぁ……!そういう時になったら……俺と……俺と……俺とぉーーー!」
「『俺と』何なんでありますかぁ?」
「…………は?」
夏美から、とても聞き覚えのある声が聞こえてきた。さらに、夏美はニヤッと笑っており……。
「はいカットォーー!!」
声がした方向から、一人の男が出て来た。
「ばっちしだせ!」
「いやいやいや、それほどでもないでありますよ、銀時殿!」
そう言い、夏美、いや夏美と思われたそれには、背中の部分にジッパーらしき物が付いていた。
そして、そこから蛙を思わせる生物が出てきた。
「いやぁ〜、着ぐるみの中は蒸し暑いでありますよぉ〜。」
「お前すげぇなその着ぐるみ。今度俺にも貸してくれよ。」
「いいでありますよ、5000円で。」
「おいおいおい、金取るのかよぉ。んなケチ臭ぇこと言わねぇでさぁ、負けてくれよ。
侵略作戦をあいつに邪魔されないようにする為のVTR、上手く編集するからさぁ。」
「んなこと言われてもでありま」
「おい。」
声のする方向に、2人は顔を向けると、
「そういえばお前、銀時という名前だよなぁ?……あの時、ケロロと共に俺を助けに来てくれたお礼がまだだったよ………。」
ドス黒いオーラを出しながら、ギロロは目を光らせ、2人を睨みつけた。
「………あ……あのぉ……ギロロきゅうん……?」
「お、おいおい、勘違いすんなよ……。こ、こいつは、今日来れない夏美の代理で来たんだよ……誤解すんなよ……!」
ケロロと銀時は滝のように汗を流して、後退りしようとした。
「ちょうどいい機会だ。今、ここでお礼をさせてもらうよ……。」
そう言うと、ギロロの背後から、無数の機関銃、バズーカ、ミサイル等の兵器が次々と出てきた。
それに対し、ケロロと銀時は顔を真っ青にして、お互いに抱き合った。
「「ひ、ひぃ………!」」
「………この度は、俺を助けてくれて、どうもありがとうございましたぁーーー!!!!」
そう叫ぶと同時に、背後のミサイルやバズーカが一斉射撃された。
「ゲェェェェェロォォォォォ!!!」
「いぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
爆発音と共に、2つの悲鳴が響いた。
「待てぇーーー!!!真選組の赤い悪魔の恐ろしさ、ここで思い知らせてやる!!!」
銃とバズーカを乱射しながら、ギロロはケロロと銀時を追いかけた。
まさにその形相は、悪魔といっていい程だった。
その様子を、遠くから見る者が……。
「…………だから僕はあれほどやめろって言ったのに……。」
「はぁ……。相変わらずでござるなぁ……。ま、これでいいんでござるよ。」
「あんたらいつもこんな感じなんですか……?」
「うむ。これでいいんでござるよ。」
心配そうな顔をしている新八に対し、にっこりとしているドロロはそう言った。
「待てぇーーー!!!」
「ギロロ君落ち着いてーー!!クールダウン、クールダウン!!」
「とりあえず、これだけは言わせて欲しいでありますなぁー!!」
「「ケロロ小隊に戻って来てくれて、ありがとぉーーー!!!」」
そう言うと同時に、再び2つの悲鳴が江戸中に響き渡った。







その晩………。
「……本当にこれで良かったのでござるか?」
「何がだ?」
ある川に、一隻の屋形船が流れていた。そこに、2人の男がいた。
一人は三味線を引き、もう一人はキセルの煙を吐き出していた。
「……久坂一派を完全に消滅してしまって、本当に良かったのでござるか?」
男は三味線を引くのをやめ、キセルを持った男に尋ねた。
「……くくっ。愚問だな。久坂は俺以上の黒い獣の持ち主だと思ったんだがなぁ……。俺の見当違いだったらしい。
……あっさり斬首を受け入れるような奴に、この世界を壊せる訳ねぇだろ。そんな甘っちょろい奴ら、いた所で何の価値もねぇよ。」
「……だから、ただ一人逃げ延びた入江十二を始末しろ、と拙者に命じたのでござるか?」
「ふぅ………。まぁ、そういうことだよ。
だが、銀色の鬼が現れなかったら、話は別だったんだがなぁ……。」
「……その銀色の鬼についてなんだが、どうやら今回の騒動、鬼だけではなかったみたいでござるよ。」
「どういうことだ?」
「噂で耳にしたのでござるが、何やら、緑色の天人と10代の童も、その鬼と共にいた、と……。」
すると、男は外に出て、夜空に浮かぶ満月を見た。
「くくっ………。こいつぁ近ぇうちに、ドでけぇ祭が始まりそうだなぁ……。」
いつもは黄色く綺麗に輝く満月が、今日だけは、薄気味悪く紫色に輝いているように見えた。
まるで、よからぬことが起きる前兆を思わせるようだった。

第30話 悩みがあるなら家族に話すのが一番 であります ( No.34 )
日時: 2019/01/13 17:23
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

世界は変わり、ここは『ケロロ軍曹』の世界……。

「ふぅ〜。帰ってるのは何週間ぶりかしら……。」
昼頃、日向家の前に、一台のバイクが停まり、バイクに乗っている女性はヘルメットを取った。
「2人にちょっと心配かけちゃったかなぁ。」
バイクを車の横に停め直し、冬樹と夏美の母親である日向秋は、鍵を開けて、家の中へと入ろうとした時、
「桃華お嬢様ーー!!一体どこに行かれたのですかぁーー!!」
声のする方向に顔を向けると、複数のヘリコプターが頭上を飛んでいるのが目に見えた。さらにそこに、拡声器を持った初老の男性が誰かを呼んでいた。
「ポ、ポールさん!?こんな所で何をされてるんですか!?」
「貴方は、冬樹殿と夏美殿のお母上殿……。」
ヘリを庭に離陸させ、西澤家・桃華御付の執事であるポール森山はヘリから降りると、
「緊急事態です!桃華お嬢様が……桃華お嬢様が行方不明に……!!」
慌てふためいた口調でそう言った。
「えぇ!?」
「実は2週間前、日向家へ遊びに行かれたきり、桃華お嬢様が帰ってきていないのです。私達が声をかけても、反応はなし。それどころか、冬樹殿と夏美殿の返事すら……。あらゆる所を探したのですが、手掛かりは全く……。」
「(……ケロちゃんの作戦か何かに巻き込まれたのかしら……?そうだとしても、冬樹と夏美のことも心配だわ……。)分かりました。とりあえず、中へ。」
そう言い、秋はポール達を家に上がらせた。家の中は静まり返っていた。
「桃華お嬢様ーー!!いたら返事をして下さーーい!!」
ポールが呼び掛けるが、何も返事はない。
秋は一瞬、学校に行っていると思ったが、今日は土曜日。学校などある訳がなかった。
「一応、学校側には連絡をしているので、騒ぎになることはないのですが……。」
いや、ヘリコプターが一般市民の家の頭上に何台も飛んでいる時点で、騒ぎにはなるのでは、とは思ったが、それよりもやはり、自分の子供達の安否が心配で仕方なかった。
ポールは捜索隊に、2階を捜索するように促すと、秋とポールは、恐る恐るリビングに入った。そこには、先程まで誰かが生活していたように思われる風景があった。テレビと電気は付きっぱなし、机の上には、お菓子が置かれていた。
「夏美ーー!冬樹ーー!どこにいるのー!?」
やはり、声をかけても、反応はなし。
「一体どこに行かれてしまったのか……。」
西澤家は、世界経済の約半分を占める程の大金持ち。そのご令嬢が行方不明であると知られれば、国際的問題に繋がってしまう。
「何か手掛かりになる物があれば……。」
「…………まるで、突然いなくなった感じがしますね……。」
「突然いなくなった?それはどういう……?」
「……普通に生活していたら、突然、何かに巻き込まれて、忽然と姿を消してしまった……、と私は思えるんですが……。」
「……成程。確かに、さっきまで誰かが生活していたこの風景を見る限り、その可能性は大いにあります。吉岡平!」
ポールがある一人の名前を呼ぶと、一人の男が来た。
「すぐに技術班をここに手配しろ。」
「了解しました!」
新人隊員・吉岡平正義は、無線機で技術班を手配した。
「冬樹……夏美……。無事でいてね……。」
今の秋には、そう祈ることしか出来なかった。





さて、こちらは『銀魂』の世界……。

ソファに寝転がり、週刊少年ジャンプを読んでいる銀時は、さっきからチラチラと隣の部屋の方を見ていて、読むことに集中していなかった。
「……何かあったのか、あいつ……?」
「銀ちゃんー!ただいまネーー!」
定春の散歩から帰ってきた神楽が、自分の部屋に入ろうとしたが、何故か銀時は起き上がり、神楽の腕を掴んだ。
「?何するアルか?」
「待て待て待て。てめぇにはデリカシーってのがねぇのか?」
銀時はほんの少し襖を開けて、中を覗くと、夏美が窓から空を眺めていたのが見えた。
「夏美どうしたアルか?」
「分かんねぇよ。さっきからずっとあんな風なんだよ。ただ、何か悩んでそうな顔してんだよなぁ。」
空を眺めている夏美の顔は、どこか寂しそうな雰囲気を伝わらせる感じがする。
「何で相談に乗ってあげないアルか?」
「分かってねぇな。ああいう年頃はな、下手に保護者が首突っ込むと、すぐに反抗的になって、さらに塞ぎ込んじまうんだよ。ああいうのは、ほっとけばすぐにいつも通りになるんだよ。」
保護者面で銀時はそう言うが、神楽は心配で仕方なかった。
「でも、仕事休んでまでの悩みって……。流石にちっと心配だな。腹くくるか。」
銀時は襖を開けて、夏美の方へと向かった。
「お、おい……。どうしたんだよ、そんな空ばっか見て……。何か引っ掛かることでもあんのか……?良かったら……、相談に乗るけど……。」
「銀さん……。いえ、大したことじゃないんで…。」
浮かない顔で、夏美は返答すると、銀時はそさくさと神楽の方へ戻ってきた。
「ほらな?やっぱり、大したことじゃねぇんだよ。数日経てば元通りになってるから、あんまり首突っ込まない方がいいんだよ。」
「何言ってるアルか!何にも分かってないのはお前アル!乙女の『大したことない』は、とっても大事なことアル!それなのに、男は鈍感だから、それに気付かないのよ!全く、結局男はうわべでしか女を見てないってことよ!悲しいわ……!」
「お前どーゆーキャラなんだよ。」
神楽のブレブレなキャラに銀時はツッコミを入れると、何か思い付いたのか、机の引き出しから何かを取り出した。
それは、小さい紙の箱のようだった。
それを手に取り、銀時は再び部屋の中に入っていった。そして、夏美にそれを見せると、
「夏美……。これ、よかったら使いな。お前の悩みの手助けになるとは思うから、使ってみ」
言い終わる前に、パァンという乾いた音が響き渡り、部屋から銀時が吹っ飛んできた。
「ぎ、銀さん!?一体どうしたんですか!?」
用事があり、少し遅れてきた新八は驚くと、吹っ飛んだ銀時の所に向かった。
「………ほんとネ。デリカシーないのはテメーの方アル。」
神楽は銀時が夏美に渡そうとした紙の箱を拾うと、その箱には、『コー○ック』と書かれていた。
「だって……、JCが悩むことって、大体健康面だと思ってさぁ……。太ったようには思えねぇし、だとしたら、便秘か何かかなって思ったんだよ……。」
「流石にそれは失礼すぎますよ銀さん。もうちょっと夏美ちゃんのことも考えないと。」
新八にド正論を言われた銀時は起き上がり、夏美に叩かれて、真っ赤に腫れた左頬を、痛そうに撫でた。
「ったく。健康面じゃなかったら、何だってんだよ……。」
若干苛立った口調でそう言うと、先程吹っ飛ばされたことによって壊れた襖を元に戻した。
「でも、夏美本当にどうしたアルか……?」
神楽が心配そうに夏美の方を見たが、銀時は、もうそれ以上触れるな、と神楽に言い、再び寝転がり、ジャンプを読もうとした。
「……そういえば、冬樹君と桃華ちゃんもあんな感じだったような……。」
「え、冬樹と桃華もアルか!?」
「うん。
桃華ちゃん、朝ご飯も食べないでずっと部屋に籠りっぱなしだし、冬樹君も、さっきすれ違って、声かけようとしたけど、ずっと浮かない顔してて……。」
「……アホ毛はともかく、お嬢様に至っては、朝ご飯が問題だろ。」
ジャンプを読みながら銀時はそう言った。
「いや、あれから朝ご飯は僕が作ってます。」
『アレ』を食べて、悶え苦しむタママの姿を脳裏に浮かべて、新八はそう言った。(詳しくは第6話を)
「いや、新八。とうとうお前も……。」
「新八……!お前もとうとう姉御みたいに、真っ黒な卵焼きを………!」
「志村家の遺伝子何だと思ってんだよ!?志村家は代々、暗黒物質ダークマター生み出す悪魔の一家か!?」
久々にやかましいツッコミを新八はぶつけた。
「やかましいってどーゆーことだゴラァ!?」

落ち着いて下さい新八君。てか誰にツッコんでるんですか?

「……ともかく、あいつらが何かで悩んでるってのは確かだな……。」
「その何かが分かれば、僕達も相談に乗れるんですけどねぇ……。」
すると突然、インターホンが鳴った。
「お届けものでーす!」
万事屋宛てに何か届いたみたいだ。
銀時と神楽に、早く出ろ、と促され、渋々新八は出て、荷物を受け取った。
何か、電子機器のような物だったが、それよりも疑問に思ったのが、からくり堂から送られた物だということだ。
「新八。すぐに捨てろ。」
「分かりました。」
どうせ嫌がらせだ、と思ったのか、銀時は新八に捨てるように命じた。ましてや今は、あの黄色い奴もいるから、嫌な予感しかしなかっのだ。
と、その時、
「ちょーーーーっとぉ!!ストップストーーーーップ!!」
「捨てちゃ駄目ですぅ!!」
玄関の扉をぶち破って、緑と黒の生物が飛び出てきた。
「あ、ケロロ!タママ!どうしたアルか?」
「おい!何人ん家の玄関ぶち破ってんだ!」
「ちょっとちょっと!何勝手に捨てようとしてるんでありますか!?」
「……これまさか、てめぇらが送ったのか?だとしたら、目的は何だ?説明しろ。」
起き上がり、銀時はぶっきらぼうな感じでケロロに尋ねた。
「我輩達は、送ったのではなく、作らせたのであります!」
「はぁ?」
「これは、フッキー達の為に、僕達がクルル先輩に作らせた物なんですぅ!」
「冬樹たちの為?ていうか、結局これ何アルか?」
神楽が包装紙を破り、荷物を見てみると、それはノートパソコンだった。
「うひょー!!すげぇアル!」
「でも、これがどうして冬樹君達の為なんですか?」
「今に分かるでありますよ。って!!ちょっと神楽殿!?」
ケロロの目には、ノートパソコンをぶん投げようとしている神楽の姿が映っていた。
「何してるんでありますか神楽殿!!ぶん投げちゃ駄目ぇ!!」
「え?てっきり、これで遊んで、冬樹達を元気付けるんだと……。」
「何ドッジビー感覚で遊ぼうとしてんだよこいつ!?万事屋から金が逃げてもいいのか!?」
毎日馬のせいで金が逃げてるのは誰のせいだよ。
新八は白々しい目で銀時を見つめた。
「でも、このパソコン……。何かちょっと……こう……特別なことが出来そうな感じがするなぁ。」
神楽からパソコンを取り上げて、銀時はパソコンの電源を入れると、黄色い渦巻きマークが浮かび上がった。クルルの帽子と腹にある、あの渦巻きマークとほぼ同じだ。
「……ん?何だこれ?」
銀時が何もしていないのに、勝手にビデオ通話が始まった。そして、液晶画面にとある場所が映し出された。その場所に、銀時は見覚えがあった。
「ここって、からくり堂じゃねぇか。」
『……お、やっと届いたみてぇだな。』
液晶画面から、嫌らしい声が聞こえてきた。
『く〜くっくっく〜。問題無さそうだな。』
「てめぇは……。」
画面に、クルルの姿が映し出された。
そして、クルルの右手には、水色をしたほんの数センチの正八面体があった。

第31話 ワンパク小僧にはお尻ペンペン であります ( No.35 )
日時: 2019/01/13 17:23
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

『よぉ。お前が銀時、とかいう奴か?』
「……ってなると、てめぇがクルルって奴か?随分憎たらしそうな顔してんなぁ。」
モニター越しだが、クルルと銀時が直に話すのはこれが初めて。
『褒めんなよ。くっくっく〜。
それよりも、このパソコンの説明がまだだったな。』
「まさかてめぇの悪戯かなんかじゃねぇよな?」
『いつもならそうだけど、今回ばかりはそうじゃねぇんだな。残念だな。』
嫌らしそうにクルルはそう言うと、右手に持っていた正八面体のような物体を銀時達に見せた。
「それ何アルか?新種の飴アルか?」
『こいつは、あのトキキとかいうガキのエネルギーを、固体化した物だ。
こいつのエネルギーについては、まだ未知な所が多すぎる。だが、現段階で分かってんのは、このエネルギー、時空及び次元を司る摩訶不思議なもんだってことだ。
ま、どーせお前らの脳じゃ、どーゆーことか分かんねぇだろうから、仕方ねぇから俺様が詳しく説明してやるよ。くっくっく〜。』
一同はこう思った。
やっぱり腹立つなこいつ……!!
『要するにどーゆーことかっつーと、現段階では大きく分けて3つの能力が、このエネルギーにはある。
まず一つは、触れた物の時間を巻き戻したり、早送りすること。二つ目は、半径3メートル以内の生物のみを別の次元の世界に飛ばすこと。そして三つ目は、触れた物を過去や未来へと飛ばす。この3つが、今分かってることだ。』
「……ということは、拙者達がここに飛ばされたのは……。」
『そう。さっき言った二つ目の能力だ。
ていうかドロロ先輩、いつからいたの?』
「えっ……。」
いつの間にか万事屋にいたドロロに、一同も気付かなかったのか、驚きの表情を見せた。
「い、いや……隊長殿とタママ殿と一緒に……。」
「…………あ!そういえばドロロいたね!」
「途中からすっかり忘れてたですぅ。」
すると、どこかからカチッという音がして、ドロロは部屋の隅で体育座りをしていた。
「ひどいよ皆ぁ……。」
「……何か、俺も気付かなかったから、凄い申し訳ない気分だな……。」
「同情します、ドロロさん。」
凄く申し訳なさそうに銀時と新八はドロロを見つめた。
『話を戻すぜ。
そこでだ。俺はこいつのエネルギーを何かに利用出来ないかと考えた。そして考え続けた結果、こいつを作った訳よ。』
そう言い、クルルは正八面体の物体が大量に入っている箱を見せた。
『その名も「次元レアメタル」。
こいつをあらゆる電子機器に埋め込むことによって、別次元の世界の情報や、物質等を入手出来るようになる。
例えばこのパソコンなら、別次元の情報やゲーム、さらには別次元の奴と情報交換することだって出来るんだぜぇ。』
「おいおいおい……!ってことは、これさえあれば、あの海賊王になるかもしれねぇ奴とか、No.1ヒーローになるかもしれねぇ奴とも通話出来るってことじゃねぇか!!こいつはすげぇ!!」
早速、銀時はそれらの方達と通話をしようと、パソコンを操作しようとした。しかし、何故かケロロがパソコンをひったくった。
「ちょっと待つであります銀時殿!これは銀時殿宛てではないんでありますよ!」
「んなケチ臭ぇこと言うなよ。な、ほんのちょっとだけだからさ。」
「これは、冬樹殿と夏美殿を、ママ殿と会話させる為に作った物なんでありますから!」
「………は?マ、ママ殿?」
「そうであります!冬樹殿達が元気がないのは、きっと、ママ殿やポール殿と連絡が取りたいからであります!」
「そこで、僕達が頼みたくもないクルル先輩の所まで行って、わざわざ頭を下げてまで作らせたんですぅ!」
『くっくっく〜。頼みたくもないってどーゆーことだよ。』
若干、眉間にシワを寄せてクルルはツッコんだ。
「……成程なぁ。いわゆるホームシックって奴だ。それなら納得するよ。好きに使いな。」
銀時は寝転がり、再びジャンプを読み出した。
「でも、ケロロさん達はちゃんと冬樹君達のこと見てるんですね。」
「いやいや。そうでもないでありますよ。」
頭を掻きながらケロロはそう言うと、スマートフォンを取り出して、冬樹と桃華に万事屋に来るように言った。どうやら、この世界でも電波は通じるみたいだ。
だが、タママは先程から、一つ気になってることがあった。
「……それよりクルル先輩。一つ気になってるんですけど……。」
『んあ?何だ?』
「………何でそんなにボロボロなんですか?」
小説の為、一切の描写がないから分からないと思うが、クルルは全身包帯まみれだった。渦巻き眼鏡にはひびが入っていて、後ろの背景もよく見たら、酷く荒れ果てた状態だった。
『……次元レアメタル作る為に、新八とかいう眼鏡に、このガキ連れていってもいいか、って頼んだのはいいけどよぉ……。ちっとワンパク過ぎねぇ?』
『おいクルの字!このガキンチョ何とかしてくれぇ!』
『キャッホォーー!何これ楽しーー!!』
クルルの声の他に、2つの声も聞こえてきた。クルルの背後をよく見ると、トキキが源外のからくりをいじくり回して、それを源外が止めているのが目に見えた。
『ねーねーおじいちゃん!この赤いボタンなぁに?』
『お、おい!!そいつだけは絶対に押すなぁぁぁぁ!!!』
源外の叫び声が聞こえた直後、爆発音が聞こえて、からくり堂との通信はプツリと途切れた。
「………………………………。」
ケロロ達一行は、本当に無事に帰れるのかどうか、尚更心配になってきた。このまま、次元の狭間にさまよい続けるかもしれない、と不安で仕方がなかった。

特別篇 新年になっても何も変わんねぇよ であります ( No.36 )
日時: 2019/01/01 11:40
名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)

〔ケロロ〕
地球ペコポン人の皆様!」
〔銀時〕
「新年、明けましておめでとうございます!」
〔一同〕
「おめでとうございます!!」
〔ケロロ〕
「いやぁ〜、今年もあっという間だったでありますなぁ〜。」
〔新八〕
「本当そうですよねぇ。2018年は僕達『銀魂』にとっても、印象深い年でしたからね。」
〔クルル〕
「くっくっく〜。何てったって、今年上映された『銀魂2 掟は破るためにこそある』の興行収入は、36.5億円らしいぜぇ〜。」
〔夏美〕
「嘘!?凄いことじゃない!」
〔新八〕
「2017年に上映した一作目は、『どーせ失敗するだろ』『何でもかんでも実写にすればいいってもんじゃない』とか、上映前はあまりネットからいい声がありませんでしたけど、それに反して、まさかの大ヒット!続く二作目は一作目を超える位の出来でしたからね!」
〔銀時〕
「ほんとにそうだよ。何で銀さん役に小○旬?何でゲロイン役に橋○環○?何で駄メガネなんかに菅○将○?俺もちょっと文句はあったけど、まあ結果オーライっつーことだな。」
〔ドロロ〕
「なら、拙者達も、2018年は『ケロロ軍曹 生誕20周年』で持ち越しでござったな。」
〔ギロロ〕
「確かにそうだったな。20年というのはこんなにもあっという間だったのだな。」
〔銀時〕
「…………は?え?生誕20周年?」
〔冬樹〕
「ど、どうしたんですか?」
〔銀時〕
「生誕20周年ってことは………お前ら………、1998年に誕生したの!!?」
〔タママ〕
「え、まあ、正式に漫画が連載したのは1999年ですけどぉ。」
〔新八〕
「じ、じゃあ、あなた達、僕達より先輩ってことですか!?」
〔ギロロ〕
「お、おい……?先輩って……?」
〔銀時〕
「おい新八。俺達がジャンプに連載したのっていつだったっけ?」
〔新八〕
「えっと確か………。2003年12月に発売された、週刊少年ジャンプ2004年2号ですね………。」
〔神楽〕
「ってことは……、私達より5年位先輩ってことアルか!?」
〔銀時〕
「マジかよ!!てっきり後輩としか思ってなかったぞ!」
〔新八〕
「ていうか銀さん……!僕達が初連載したその4ヶ月後には、『ケロロ軍曹』はアニメ化してますよ!」
〔銀時〕
「アニメでも先輩だったのかよ!?」
〔ケロロ〕
「……よく分からんでありますが……。銀時殿。後輩なら後輩なりに、先輩に対してそれなりの態度という物があるのでは………?ゲロゲロリ……。」
〔冬樹〕
「軍曹、あんまり調子に乗り過ぎると……。」
〔銀時〕
「んだとゴラァ?たった5年違ぇだけで調子こいてんじゃねぇぞ?」
〔ケロロ〕
「先輩に対してその口調は何でありますかな、銀時ぃ?」
〔銀時〕
「おい今呼び捨てにしなかったかてめぇコラ?」
〔夏美〕
「あーもう!ボケガエルと銀さんもその辺にして!新年早々から喧嘩なんてしないでよ!」
〔銀時〕
「そもそもこの小説、作者がサンライズアニメ好きだからっていう、とっさの思い付きで始まったみたいじゃねぇか。そして、一時期サンライズでお世話になってたギャグアニメ、『ケロロ軍曹』『銀魂』をコラボしてみたらっつー、のほほんとした考えの下、今に至ってる訳みたいじゃねーか。
何でよりによって『ケロロ軍曹』なんだよ?もっと他にギャグアニメあったじゃん。アニメ終わったの何年前だよ、もうすぐ8年経つみたいじゃねぇか。」
〔ケロロ〕
「ゲロー!!さっきから聞いてれば好き勝手!!正式に言うなら、8年前じゃなくて、4年前であります!!2014年にフラッシュアニメで復活したんでありますからな!!」
〔銀時〕
「はっ!!よりによってフラッシュアニメかよ!30分アニメじゃなくて3分アニメって!!
その上、こっちは実写もしてんだよ!てめぇらに出来んのか?出来ねぇよなぁ!おめぇらケロン人なんて、定春みてぇにCGでしか再現出来ねぇだろ!?ガッハハハハ!!」
〔新八〕
「ちょっと銀さん……!言い過ぎですよ……!」
〔ケロロ〕
「……散々言ってくれたでありますな……。ならこっちからも言わせて貰うでありますよ……。」
〔銀時〕
「何だよ?言ってみやがれ。」
〔ケロロ〕
「…………あと2話で本当の最終回みたいでありますなぁ。」
〔銀時・新八・神楽〕
「……………ぐほあっ!!!」
〔タママ〕
「と、吐血したですぅ!!」
〔夏美〕
「だ、大丈夫ですか!?」
〔銀時〕
「お………お前…………どうしてそのことを………。」
〔ケロロ〕
「聞いたでありますよぉ〜?確か、9月に最終回を迎えるはずだったけど、結局終われなくて、挙げ句の果てに、ギガという所で本当の最終回を迎えるみたいでありますなぁ〜。」
〔クルル〕
「お、ほんとだほんとだ。今回ばかりはマジの方で完結するみたいだぜぇ〜。くっくっく〜。」
〔新八〕
「新年早々から、痛い所突かないで下さいよ……。あと2話で漫画の世界から、さよならしなきゃいけないなんて…………。」
〔神楽〕
「今回ばかりは、銀魂お得意の『終わる終わる詐欺』じゃないみたいアルな。」
〔ケロロ〕
「まあ、我輩達はまだ続くんでぇ。終わる気配全然ないんでぇ。」
〔ドロロ〕
「隊長殿、もうその辺にしといては……。」
〔ケロロ〕
「散々先輩をコケにしてきたんであります!それなりの礼儀というも」
〔銀時〕
「……………え?お前ら、まだ連載してたの?」
〔タママ〕
「……………………………………。」
〔ケロロ〕
「…………ムキィーー!!!どこまで馬鹿にすればいいんでありますか!!もう容赦しないであります!!
我輩達は、銀時殿達みたいに制作会社側から怒られたことなんて一度もないんでありますからな!」
〔銀時〕
「それがどーした!?あんなの屁でもねぇわ!あん位ギリギリを攻めなきゃ視聴率なんざ取れねぇんだよ!!所詮『ケロロ軍曹』なんて、ただ単にチキンなだけだろ!?」
〔ケロロ〕
「何だと!?我輩達は程よいパロディを視聴者の皆さんに提供してきたんであります!だから、チビッ子達に大人気だったんであります!
それに比べて『銀魂』は過激なパロディ、下ネタって何でありますか!子供に見せる気あるんでありますか!?影では『PTAの敵』って言われてるみたいでありますからなぁ。納得いくでありますよ!」
〔銀時〕
「せっかくの機会だ。今日のこの場を『ケロロ軍曹』の最終回にしてやるよ。」
〔ケロロ〕
「上等であります。やれるもんならやってみるでありますよ!!」
〔銀時〕
「くたばれやぁぁぁ!!」
〔ケロロ〕
「おらぁぁぁ!!」
〔夏美〕
「ちょっとー!!お正月早々何してるのよー!!」
〔新八〕
「二人共落ち着いて下さいよ!」
〔ケロロ・銀時〕
「「黙ってろや腐れメガネ!!!」」
〔新八〕
「誰が腐れメガネだゴラァ!!てめぇらダメ主人公を人生の最終回にしてやろうか!!?」
〔冬樹〕
「新八さんまで…!姉ちゃんどうしよう……?」
〔夏美〕
「……大丈夫よ冬樹。こういう時、いつも誰が喧嘩を止めてたっけ?」
〔冬樹〕
「………あ。そうか。なら、大丈夫だね。」
〔ギロロ〕
「お、おい夏美………。それってまさか………。」
〔夏美〕
「皆。志村家に行きましょ。」
〔一同〕
「はぁーい。」
〔夏美〕
「それじゃ、よろしくお願いね。
モアちゃん。」
〔モア〕
「はい。てゆーか、忠実義務?それでは、いっきまーす!2019年初の、ハルマゲドン!100万分の1ー!!」
〔ケロロ・銀時・新八〕
「……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



〔夏美〕
「……という訳で、お正月早々大騒ぎとなってしまいましたが、改めてまして!」
〔冬樹〕
「新年明けましておめでとうございます!」
〔神楽〕
「2019年も、『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』をよろしくお願いしますネ!」
〔一同〕
「よろしくお願いします!!」


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