二次創作小説(新・総合)

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奇跡の星の日常物語~擬カビ小説~
日時: 2021/03/10 02:42
名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)

どうも、麻ふすさんと申します。
ここでは一般的に「擬カビ」と呼ばれるジャンルの小説を書いていきます。
苦手だなー、と思う人は、即座に閲覧を中止してください。
基本短編をちょくちょく書く形になると思いますが、たまに長編も書くかもしれません。
文章力は皆無なので気をつけてください。
あと私独自の擬カビ設定などもございますので、そちらにもお気をつけください。
これらの小説は全てタブレット端末から投稿しているので、
スマートフォンなどから見ている方は改行の仕方に違和感を感じると思いますが
ご了承下さい。ちょっとずつ修正はしております。

私事ですがツイッターをやってます
@fususan250pskt
擬カビの絵とか描いてたりするので下手くそですが興味がわきましたらどうぞ。
たまに描いた絵に沿った物語を書く時があります。

まだ始めたてなので機能の事で試行錯誤しています。
ぱっと見て変な所があったら「頑張ってるなぁ」と思っててください。

小説更新について
それぞれの世界観を順番に書くわけではなく、その時書きたいと思ったお話を書くので
いとデザが2回連続で更新されたり、いーデザを長らく更新しないなどの事態が起きます。
ご了承下さい。質問があればお気軽にどうぞ。
ちなみに長編でない限り(長編なら〇〇編その1みたいな書き方するので)どこから読み始めても
大丈夫です。

✴閲覧数1300感謝です!


◉目次

擬カビ紹介>>1
大事な設定 更新1>>21
星を見守る女神様>>33

*.いーデザ
またいつもの毎日>>2
広い海>>6
もうひとつの魂達 その1>>10
もうひとつの魂達 その2>>12
もうひとつの魂達 その3>>13
もうひとつの魂達 その4>>15
もうひとつの魂達 その5>>16
もうひとつの魂達 その6>>17
嫌いなやつ>>20
ひとりめの奇跡物質>>23
喧嘩>>29
ハロウィン>>32
積み木>>34
お絵描き>>41
ふたりの魔女>>46
理解>>47
ちぐはぐ侵入作戦>>49

*.ふすデザ
雨の日>>3
鏡の中のお祭り>>14
家計>>19
ふたりめの奇跡物質>>25
>>30
クリスマスのお昼頃>>35
パーティの合間に>>36
バレンタインについて>>39
運命>>40
>>44

*.いとデザ
忘れてはいけない事>>4
異端の暗黒物質 その1>>8
異端の暗黒物質 その2>>9
異端の暗黒物質 その3>>11
さんにんめの奇跡物質>>26
星の戦士>>28
犬猿の道化師と魔術師>>37

*.かかデザ
運命の線路>>5
終着点D-1>>7
料理をしよう>>18
終着点D-2>>24
よにんめの奇跡物質>>27
皆の姐さん>>31
仮面と白いはね>>38
家族一幕>>42
身長>>43
髪の毛>>45
機械の従者>>48
自分勝手>>50

*.失われた世界
もしもの話>>22

いーデザ・もうひとつの魂達 その5 ( No.16 )
日時: 2018/08/13 16:29
名前: 麻ふすさん (ID: PFFeSaYl)

※その4の(ry
スタアラネタバレ注意です




禍々しい祭壇の上で、2人が見つめあっている。
1人は呼び出した者に慈悲を与える虚無の神、破神エンデ・ニル。
もう1人は、ニルから生まれた別の存在、ソウルオブニル。
2人は、何も言わず一心不乱にお互いを見つめている。
……そして、その光景を、祭壇の下から何も言わずに見つめる者が。

「………………」
「………………」
「………………」

静かな空間。

「……あの」

ようやく声を発する者が現れた。
無言の3人を物陰から見つめていた、金髪の女性だった。

「これは……なんの宗教ですか?」
「え〜、これはですねぇ〜……」

金髪の女性の問いに、白いローブを深く被っている為顔が隠れており見えない、
長身の男性が答えた。

「実は〜私にもよく分かっていません〜」
「そ、そうですか……」

金髪の女性の名前は、ザン・パルルティザーヌ。
白いローブの男性の名前はハイネス。

「じゃあ……ハイネス様は、あれを見つめて何を……?」
「………………」
「え、何を?」
「観察ですよぉ〜」
「(なにか別の目的な気がするけど……まぁ良いか……)」

ハイネスはまた2人に目を向ける。
その2人はまだ何も言葉を発さない。

「あの2人は何がしたいんでしょう?さっきからものひとつ言いませんけど……」
「さぁ〜」
「何故見つめあっているのでしょうか……?」
「シンパシーでも感じるんじゃ〜ないですか〜?それとも〜……いや、理由は明確」

急にハイネスが真面目な声を出したので、パルルティザーヌはぎょっとする。

「エンデ・ニルは私が欲望のままに呼び出し、ソウルはそれから生まれた存在。
だから、戦いや気持ちの高ぶる時にしか感情を持てない……」
「は、ハイネス様……」
「ですからぁ〜今は何も感じられないので〜ただ見つめあってるんですよ〜」

そして急にいつもの感じに戻ったので、また驚くパルルティザーヌ。

「あ、だからご飯の時は嬉しそうなんですね」
「まぁ、要するに彼らは今"暇"って事ですよ〜」
「……ハイネス様、理由ちゃんと分かってるじゃないですか。
なんでさっき「よく分からない」って言ったんです?」
「…………さ、そろそろご飯の時間ですねぇ〜ハンバーグ作りましょ〜う」
「あのぉ……」

はぐらかされてしまった。

「……まぁ、いっか。ハイネス様、今日はオムライスの日ですよ!」
「じゃあそれでいいです〜」




(はい、いーハイネス様はおどけているように見えて実はしっかりしてる……というか
シリアス担当です。パルルちゃんは苦労人。
ソウル編次回で最終回です!ようやく終わるね!)

いーデザ・もうひとつの魂達 その6 ( No.17 )
日時: 2018/08/14 06:40
名前: 麻ふすさん (ID: PFFeSaYl)

※ソウル編最終回
その1からその5を読んでから読もう!話の繋がりあんまりないけど!
あと長いよ!



「……うん、招待するメンバーはこれでいいかしら」

机に向かって、ドロシアが手紙を書き上げる。

「さて、じゃあこれを皆に届けてきましょう」

ドロシアが目を閉じると、手紙がふわっと浮き上がり、
部屋の窓の隙間から外へ出て行った。

「あそこまで届くかしら?鳥についばまれなきゃいいけど。
さーて、ケーキとお茶作ろうっ」


突然マルクの家の外にあるポストが凄い音をたてた。

「え」

外に出てポストを確かめると、入っていたのはドロシアからの手紙。

『今日の午後3時に私の家でお茶会をするわよー^^
ソウルと2人で来てね^^ ドロシア』

「なんだこれ……ソウルと2人で?ってあいついないじゃん……。
1人で行くべきかな……行かないのも悪いしなぁ」

マルクは手紙を見つめながら頭を掻いた。


所変わってクッキーカントリーの辺境。

「マスター、お手紙が届きました」
「テガミ?」
「見せてみせてー」
「ドロシアさんからですよ」

ローアは手紙をマホロアに渡す。

「エーなになに……ウン、なるほどネェ」
「何が書いてあったんだ?」
「お茶会の招待状ダヨォ。ボクと、クラマホとソウル3人」
「お茶会ー!」
「ローアも来るか?」
「あ、私は船の外に出ることは出来ないので、大丈夫ですよ」

ローアはそう言いながらくしを持ってきて、
3人の髪の毛を一瞬のうちに整えたのち、全員の服の乱れも全て整えた。

「さぁ、いってらっしゃいませ」


「手紙って誰からなの?」
「差出人の欄にはドロシアと書いてありますよ」
「ドロシアから?」
「きっとまた茶会の誘いだろう。タランザ、貸してくれ」

タランザはセクトニアに手紙を手渡す。
一通り手紙に目を通してから、セクトニアが言った。

「タランザ、留守番は頼めるな?」
「もちろんです」
「ソウル、出かける準備をしよう。やはり茶会の誘いだ」
「わぁ、楽しみね♪」
「お2人共、気をつけてください」
「大丈夫だ」

2人が部屋から出て行くと、タランザはふぅ、と一息ついた。
そして、どこからか箒とちりとりを持ってきて構える。

「さて……お部屋の掃除をしなくては」


お昼時を少し過ぎた頃。

「手紙」
「手紙」
「何の〜手紙ですか〜??」
「ポップスターからお茶会の誘いです……これは、ニル様2人宛ですね」
「そうですか〜」

ハイネスはうーんと唸り、考え事をしたあとこう言った。

「2人だけで向かわすのは色々危険なので〜ザン・パルルも一緒に〜
ついて行ってくれますかぁ〜?」
「はっ、もちろんです、ハイネス様」

パルルティザーヌはさっとハイネスにお辞儀をすると、
ニル達に向き直った。

「さぁ行きますよ。久々の遠出です」
「おでかけ」
「おでかけ」

昼食を食べてご機嫌になったのか少し喋るニル達。

「頑張ってくださ〜い」
「(お茶会に行くだけなのに何故頑張るんだろう……?)」


「ただいま!絵の具買ってきたわ!」
「あら、ご苦労さま、ソウル」
「……なんだか、椅子とケーキとお茶の数が多くない?」
「せっかくだから皆でお茶会しようと思ったの。
名付けて、ソウル親睦会パーティー!みたいな?」

ドロシアはうふふ、と笑みをこぼした。
すると、ドロシアソウルが周りを見渡してから言った。

「にしても……こんな大人数の分、よくあの短時間で用意出来たわね」
「あ、1人でやったんじゃないわよ。手伝ってくれる人がいたの」
「へぇ……誰?」
「ただいまー。お、ドロシアソウル帰ってた」

感情の読み取れない声の正体は、

「あら!マルクソウル、貴方はもう来てたの?」
「うん。ドロシアを手伝いにね」
「不思議よね。マルクソウル、手紙が届く前に家を出たんですって」

ドロシアがそう言うと、マルクソウルはにやりと笑った。

「……まるで最初から、ドロシアがお茶会を開くのを知ってたみたい」
「あはは、さあ、どうかなぁ」

小言の呟きが聞こえていたようで、ドロシアソウルは少し驚く。

「……さて、そろそろ皆来るかしら?」
「3時ちょっと前だからね」

しばらくすると、玄関の扉が叩かれる音がした。

「あっ来たわ!私が出てくるわね」

ドロシアが駆け足で玄関へ向かう。
扉を開けると、道の途中で合流したのかマルクとマホロア達が一緒にいた。

「ドロシアー来たヨォ」
「いらっしゃい、4人共。さあ上がって上がって」
「お邪魔しまーす!」

4人が中へ入ると、マルクがドロシアに言う。

「あっそうだ……ソウルが出かけてるんだけど」
「マルクソウルの事?彼ならもういるわよ?」
「は?」
「手紙が届く前に、手伝いに来てくれたの。
……もしかして彼、貴女に行き先伝えてなかったのかしら」
「散歩に行くとか言って……はぁ、もうほんと嫌い……」

マルクが大きなため息をつき、頭を抱える。

「ま、楽しくお茶会しましょ。さ、こっちこっち」
「お茶会ー!」
「他のメンバーはまだかしら……」
「まだ食べちゃダメなのー?」
「えぇ、皆が揃ってから、一緒に食べましょう」

またしばらくすると、玄関の扉を叩く音が。

「あら、皆いらっしゃい」
「邪魔するぞ」

こちらも途中で出くわしたのか、セクトニア達とニル達が一緒に。

「3人も、遠いのにわざわざ来てくれてありがとうね」
「いや、せっかく招待にあずかったのだから、来ないわけにもいかない」
「ケーキ!」
「ケーキ!」

そして、お茶会のメンバーが全員揃った。

「ケーキもお茶も、洋菓子も、おかわりたっくさーんあるわよぉ♪
さぁ、皆好きにお食べ♪」
「いただきまーす!」
「いただきます」


楽しい時間はあっという間に過ぎていき……。

「……お、もうこんな時間なのか」
「そろそろお開きにする?」
「そうね。ケーキも洋菓子も品切れよ」
「それじゃあ帰るか」

「お邪魔しましたー!」

玄関の扉が閉まると、さっきまで騒がしかった空間に静寂が訪れる。

「はぁ……久々に張り切っちゃって疲れたわ」
「でも楽しかった!」
「うふふ、そうね、またやりましょ」





(さすがに長いのでお茶会シーンはカットしましたが、
暇だったら番外編として書くかもしれません。
長かったですね。これにてソウル紹介編は終了です!
また次のシリーズで(短編も)お会いしましょーう!)

かかデザ・料理をしよう ( No.18 )
日時: 2020/11/10 02:19
名前: 麻ふすさん (ID: PLnfHFFW)

※日常回
ジャマハルダ組書くの楽しいです。




「今日はぁ〜料理をしましょ〜う」
「料理……ですか?」

ハイネスがイメージを広げている間に、三魔官がひそひそ話しだす。

「は……ハイネス様って、料理出来るんですの?」
「いや、私にも分からない……ルージュは?」
「え?あ、アタシだって知らないよ……」
「これまでの料理は全てパルルさんが作ってましたし……」
「そもそも何故いきなり料理をし出すなどとおっしゃったのか……」
「皆さん〜?何をしているので〜しょうか〜?」

声をかけられたので一斉に姿勢を正す三魔官。

「いえ、何も!」
「我ら三魔官、全力でハイネス様のサポートを致します!」
「そうですかぁ〜……では、何を作りましょうかぁ?」
「え、えっと……」
「うーん……」
「……あ、ここは無難にカレーなんてどうでしょう」

パルルティザーヌが控えめに手を挙げて言う。

「カレー……ですか〜。いいですねぇ〜そうしましょ〜う」
「ぐ、具材持ってきます!」

ルージュが冷蔵庫に向かって走り、両腕に材料を抱えて戻ってくる。

「料理器材用意しますわ!」

キッスも台所の棚から鍋やらまな板、包丁などを持ってきた。

「ハイネス様、準備は万端ですが料理は出来るのですか?」
「……」
「ハイネス様?」
「さぁ〜作り方を教えてくださ〜い」
「作れないの!?」

思わず敬語も忘れてルージュが叫んだ。

「シッ、ルージュ、言葉を慎め」
「あっしまった……とんだ無礼を!申し訳ございません、ハイネス様」
「大丈〜夫ですよ〜」

ハイネスは長い袖をひらひらと振る。

「お言葉ですがハイネス様……なぜいきなり料理など?」
「ンジャ?そうですねぇ〜……」

長い袖をなぜか数秒見つめてから、思い出したように言う。

「自分で作ったご飯はぁ〜特別美味しいと聞きまして〜」
「……それはもしや、ずんぐりピンクに言われましたか」
「よく分かりましたねぇ〜」

ハイネスは口元に手を持っていき、くつくつと笑った。

「んー……分かりました。私共と一緒にカレーを作りましょう」
「はぁ〜い」

数分後。

「ハイネス様!カレーの具材はもう少し小さく切るんです!」
「あぁっハイネス様!ブイヨンは2個で十分ですわっ!そんなに入れたら……」
「ハイネスさまー!!火加減が強すぎます!」

「ゼェ……ハァ……は、ハイネス様……」
「カレー出来ましたね〜」
「か、カレー……そっか、アタシ達はカレーを作ってたんだっけ……」
「でもハイネス様……これはカレーとは……言えませんわ……」
「少し失礼な気もしますが……私も同感です」

大きめの鍋で煮込まれているのは、異臭を放つ黒いどろどろした液体だった__。

「えぇ〜?不評ですね〜……まぁ〜確かにどす黒いかな〜……ジャゴメーナ」

ハイネスはきっかり45度のお辞儀をする。

「……いいえ、ハイネス様が謝る必要はありません」
「そうですわ、このような結果になってしまったのは……」
「アタシ達の教え方が悪かったからです」

なぜか逆に三魔官達が頭を下げた。

「……じゃあ、食べましょうか〜」
「え」
「せっかく作ったんですし〜皆さんで食べましょう〜」

三魔官はそれぞれ顔を合わせる。
そして、力強く頷いた。

「……ハイネス様」
「ンジャ?」
「全力でお止めさせていただきます!」
「これを食べてしまったらハイネス様が大変な事になりますわ!」
「私共はいくら腹を壊そうとも構いません!ですが!」

三魔官は3人がかりでハイネスを取り押さえた。

「これだけはぜっったいに食べちゃ駄目ですー!!」

後日、リベンジしたそうだがまた黒いものが出来たらしい。




(いーハイネス様は料理出来るけどかかハイネス様は出来ません!
ちなみに私は中辛派です。)

ふすデザ・家計 ( No.19 )
日時: 2018/08/18 16:54
名前: 麻ふすさん (ID: 2cRnojto)

※日常回
いとデザの影響で暗黒物質の日常書くの凄い新鮮
あっゼロマタの過去編書かないと……((



「……今日は、卵が安いな」
「はい?」

突然ゼロが呟いた言葉に、思わず聞き返すダークマター。
ここはとある星の辺境にある、暗黒物質達の集落。
ゼロは上の空でまだ呟いている。

「ここ最近は……お惣菜の値引きを渋ってるな……あの店長……」
「あの、ゼロ様」
「粘っても20%引きだからな……前までは30%いったのに」
「あの」
「でも最近は魚がお買い得だ……カツオ2匹……」
「ゼロ様」

ダークマターがドスの聞かせた声をあげると、ゼロはようやくその存在に気付く。

「……ダークマター、どうかしたか?」
「どうかしたか、じゃないです。今はセールの話をする時ではありません」
「いや、すまん……最近どうも食費がな……」
「……」

一応ゼロは、暗黒物質を統べる親玉。
そんな立場の者が、食費の事を気にするなど……。

「はぁ……」
「今呆れたな、私に」
「主がこんなんだったらさすがに呆れます」
「なぜだ。私は一族の長として家計を大切にしてるんだぞ?」
「その点については別にいいのですが。会議中には考えないように」
「あ……そうか、今は会議中か」

ゼロは本当にその事を忘れていたらしく、手のひらをぽんっと叩いた。

「チッ……」
「今舌打ちしたよな」
「なんで本当に……この一族はこんな奴らばっかなんですか」
「お前が言いたいのは私とミラクルマターの事だろう」
「よく分かりましたね」

ダークマターは皮肉を込めてそう言う。

「私はともかく」
「はぁ」
「ミラクルマターは……あいつには、そろそろお灸をすえねば」
「何度も何度もすえてアレなんじゃないですか。あの女たらし」
「……はぁ、今日もどうせどこかでナンパ中だろうな」

その時、会議室の扉が開いた。

「ダークマター様!女たらしを捕まえてきました!」
「あぁ、ご苦労だったな、ダークゼロ」

声の正体は、片手で白い誰かを掴んでいる、黒いジャージの青年。

「皆さん会議お疲れ様です」
「今はゼロ様のおかげでストップしている」
「あー……なるほど」

状況を理解したのか、それ以上ダークゼロは詮索しなかった。
それから、片手に持っていた白いものを投げ捨てる。

「今日は気持ちが変わったんでしょうかね、川で石積んでました」
「川で石積んでた……?」
「フラれでもしたんじゃないか?」

ダークマターが白いものの前に立つと、白いものはむくりと起き上がった。

「ミラクルマター」
「……?アッはい!なんでしょうか!」

ミラクルマターは目の前に立っている人が誰かを認識すると、姿勢を正し正座をした。
心なしか少し肩が震えている。

「今日は……仕事を言い渡したはずだが」
「はい!」
「終わらせてきたんだろうな?」
「それはもちろん!終わりました!」

精一杯の大きな声で伝える。

「ふぅん……またどうせサボってナンパしてたのかと思ったぞ」
「滅相もございません!きちんと終わらせてきました!」
「じゃあひとつ聞くが」
「なんでしょうか!」
「なぜ川で石を積んでいたんだ」

ダークマターがそう聞くと、ミラクルマターは飛び上がった。

「正直に言ってみろ。俺は怒らないからな」
「……あの、実はですね、石を高く積んで女子ウケを狙ってました」
「………………」
「お、怒らないって言いましたよね!?」
「……お前の思考回路には呆れたもんだ」

すると、いきなりガタッと椅子を鳴らす音が聞こえた。

「……ゼロ様?」
「ダークマター!大変だ!」
「何が起きたと言うのですか」
「タイムセールだ!」
「は?」
「今日は鶏肉と卵のタイムセールがあるんだ!おひとり様1点限り!!」

必死の形相で訴えるゼロに対し、終始真顔なダークマター。

「はぁ」
「さぁ行くぞ!お前も来てくれれば2個買える!50%offだ!!」
「…………………………」

ただひたすら沈黙していたダークマターの腕を掴み、ゼロは部屋を出ていった。
後に残された面子は、ただただお互いの顔を見合うしかなかった。




(なぜか知りませんがふすゼロ様は家計を大切にする親玉です。
ダークマターはとある事情からゼロ様に忠誠をあんまり誓ってません。
ダークゼロは弱いけど仕事が出来て、
ミラクルマターは強いのに女たらしで仕事しない奴です)

いーデザ・嫌いなやつ ( No.20 )
日時: 2018/08/21 03:49
名前: 麻ふすさん (ID: PFFeSaYl)

※過去編
ウルデラの事後マルクソウルがいなくなってから戻ってくるお話。
シリアス。ほんとに長い。分割も面倒だからまとめちゃいます(くそ)




僕には、僕ともう1人、僕の嫌いなやつがいる。
ずっと昔のあの日、一人ぼっちだった僕に突然話しかけてきたあいつ。
最初はどこにいるのか全然分からなかった。
誰もいないのに、話し声が聞こえてくるから。
どこにいるのか聞いたら、あいつはこう答えたんだ。

君の魂の中だよ。


「マルク」

カービィが不安そうな声で僕を呼んだ。
下に向けていた視線を上にすると、声だけでなく、
その星空のような瞳も、不安そうに僕を見つめていた。
カービィの「不安」と思うその気持ちは……僕に向けられているのかな。

「……どうしたの?」
「どうって……心配してるの。マルク、最近ずっと……」

寂しそうだったから。

寂しそう?
そんな事ないよ……ずっと嫌いだったあいつがいなくなって。
むしろ清々してるくらいなんだよ。
そんな事……ない。

「ねぇ……ちょっと聞いてもいいかな」

カービィが僕の横に座り込む。

「なに?」
「僕があの時戦ったのは……君じゃないんだよね」
「……どうしてそう思うの?」

僕がそう聞き返すと、カービィは一瞬戸惑ってから、ぽつりと答えた。

「その人がね、僕はマルクじゃない、全くの別人だって言ってた。
だから、ずっと気になってた。その人と、今マルクが寂しそうなのは、
なにか関係があるんじゃないかな……って」

カービィは、頭はあんまり良くないけど、
時々鋭い勘を垣間見る。
それは、ただ単にカービィの勘がいいんじゃなくて、
カービィに秘められた不思議な力が関係してるって、誰かが言ってた。

「そうかも、しれない」
「え?」
「カービィは僕が、寂しそうに見えるんでしょ?」
「うん。なんだか、大切なものを失ったみたいに」
「……あのね、カービィ」

カービィになら話してもいいかもしれない。
あの日から、誰にも話さず伝えず、僕しか知らない秘密だったあいつの事。
僕がこの広いひろい世界で、1番嫌いで…………
1番、大切にしてたやつ。

「どうしたの?」
「僕、誰にも伝えてない事があるんだ。誰にも教えられない事。
だから、カービィにだけ教える」

カービィに全部を伝えた。
僕の魂の中には、もうひとつ、全くの別人の魂がいた事。
カービィが戦ったのは、それだという事。
……カービィが戦ったあと、そいつがいなくなった事。
カービィは、黙って僕の話を聞いていた。
話が終わると、カービィは静かに口を開く。

「……ひとつ、教えて」
「なに……?」
「どうしてその人は……僕と戦ったの?」

あまり答えたくはない質問だった。
でも、いつまでも黙ってても……仕方がない。

「あいつは……本当、たまに……何もかもを忘れて……狂ってしまうんだ」
「狂う……?」
「元々一人用の体の中にふたつも魂が入ってるんだから、
そのうち色々なものが溢れ出てしまう。
あいつは、僕が壊れないようにするために、自分で自分を壊してる」

どうして……って、いつも思ってる。
あいつが僕を守る為に……何もかも失うなら、どうして?
どうしてあいつは僕と一緒にいるの?

「あいつは怒らないし、悲しまないし、喜ばない」
「……」
「その感情を忘れたから」
「……」

カービィは何も言わない。

「なんでだろうね……なんであいつと僕なんだろう」
「……マルクと、その人じゃないと駄目だったのかな」
「だって、無理やり……ひとつの体にふたつも魂を入れる理由ないじゃんか」
「何か……理由があるんだよ」
「なにかって、なに?」
「その人はきっと……君の心が成長できるようにしてくれてたんだよ」

カービィが言っている事の意味が正直理解出来ない。
あいつが?僕を?そんなわけない。
でも……
そうだったら、いいなって。

「ねぇ、カービィ」
「え?」
「カービィ……もしかして、自分があいつを倒したから……いなくなっただなんて、
考えてないよね」
「え……っと」

やっぱり。
カービィは、いつもいつも自分ばっかり責めるから。

「もしもカービィの言う通り、あいつが成長させてくれたんなら、
いなくなったのは……もう、自分が必要ないからなんじゃないの?」
「……そうかな?」
「カービィはなーんにも悪くない。ひとつも悪くない。
別に僕は、あいつの事が嫌いだし、いなくたって生きて行けるから」

そう言い切って、僕は立ち上がった。
カービィがまだ何か言いたそうにしてたけど、聞かないでその場を立ち去った。
その言葉を聞いたら、僕はきっと……。


あいつがいなくなってからもう数週間が経つ。
いつもなら2人で話して潰していた時間が、途方もなく長く感じる。
不気味なくらい感情の読み取れない笑い声も、
今は聞けない。聞きたくないけど、聞けない。
嫌いで、嫌いで、鬱陶しくて、鬱陶しくて。
二度と声も聞きたくないって、思ったり、
早くいなくなればいいって、いつも思ってた。
でも……やっぱり。
俯いて小さく呟いた。

「1人は……嫌だな、ソウル」
「あはは、そうだね」

…………………………

「……え?」

聞き慣れた、感情のない声、不気味な笑い声、

「1人にしててごめんね、マルク」

僕の……この世界で1番嫌いな、あいつ。

「……ソウル?ソウルなの?ねぇ」
「そうだよ、君の嫌いな僕」
「……どこにいるの?」
「君のそば」

咄嗟に顔をあげると、
僕の横に、僕によく似た、長身で、髪も長い……誰かが立っていた。
僕と目が合うと、そいつは、にっこりと笑った。
どこからも感情を感じられない笑顔で。

「なんで……なんで?」
「なんで、かぁ……さぁ、どうしてだろうね」
「……なんで、いなく……なったり、したんだよ!」

結構大きな声だったと思う。
でも、そいつは驚きもせず、怖がりもせず、こう言った。

「もう君の中にいる必要はなくなった」
「じゃあ……」
「でもね、側にいる必要がないわけじゃないんだ」

そいつは……ソウルは、しゃがんで僕の顔を覗き込んだ。
僕に似てるけど、よく見れば、少し大人びてて中性的な顔立ち。
瞳の色も、ソウルは暗く美しい赤紫色だった。

「……じゃあ、どうして今……」
「あはは、思った通り、だいぶセンチメンタルになってる」
「う、からかうな!」

……やっぱり、嫌いだ。


結局、なんでいなくなったか、
どうして僕のじゃない、別の体を持って外に出てきたのか、とかの、
細かい事情は説明してくれなかった。
でも、こいつは紛れもない、僕の中にいたあいつ。
なんだか暗く落ち込んでたのが馬鹿みたいだ。

「はぁ……魂の中にいた時以上にめんどくさそう……」
「んー、あぁ、そうだ」

ソウルは僕の方を見て言った。

「会わせたい人がいるんだ。ちょっとついてきてくれない?」
「帰ってきて早々なにそれ」
「あと、カービィも連れてきて欲しいな」
「はぁ?カービィにお前を会わせるわけないだろ」
「なんで?」
「……」
「まぁどうせ、僕達の事話したんでしょ」

これもこいつの嫌いなところ。
こいつは、まるで全部見えてるみたいに僕の心を読んでくる。
色々な事、僕の知らない僕の事までこいつは知ってる。

「いいのいいの。僕達の事知ってるから、カービィにも来て欲しい」
「……分かったよ」

……待って。
"僕達"って、どういう事?僕とソウルの事じゃないよな?

「まぁ、行けば分かるって」


「あ、マルク!大丈夫?しばらく見かけなかったけど……
って、その人だれ?」

カービィは僕の隣にいるソウルを見て、首を傾げた。

「説明はあとあと。さ、カービィも一緒に来て」
「え、なに?」

僕はカービィの腕を掴んで、先を歩いていったソウルについて行った。
そしてたどり着いたのは、深い森の奥に佇む、一軒のログハウス。

「わー……いかにも魔女が住んでそうだね」
「いるよ、魔女が」

ソウルがカービィに向かって言うと、カービィはまた首を傾げた。
扉をノックしてしばらく経つと、玄関が開いた。

「はーい、どちら様?」
「……あ、ドロシア!」
「え?あら、カービィじゃない!久しぶり!……と、そちらの2人は?」

この家の主は、大きな紫色の三角帽子を被った女性だった。

「初めまして。僕達は、君と同じだよ」
「同じ……?…………まさか」

ドロシアは一瞬、焦りの様子を見せると、僕達を家に入れてくれた。

「まさかとは思ったけれど……ソウルの言ってた事、本当だったのね」
「え?」
「驚いた?」

もしかして。
ドロシアが、僕に向き直った。

「えぇと……改めまして、私はドロシアよ。あなたと同じ……
かつて、ひとつの体にふたつの魂があった」

頭を打ち砕かれたような衝撃だった。
僕と同じ?どういうこと?

「驚くのも無理ないわ……私も、ソウルに言われた時はびっくりしたもの」
「……って事は、貴女も、こいつみたいなのが……?」
「えぇ。カービィと戦ったあと……ずっといなくなってたんだけれど、
最近戻ってきたのよ」

そう言うドロシアの声は穏やかで、安心感を感じた。
きっとドロシアとソウルとの関係は良好なのだろう、羨ましいかぎりだ。

「今は出かけてるけど、ソウルから私以外にも同じような人がいるって」
「……おい」
「なに?」
「どういう事だよ」
「あはは、さーぁ、知らない」

ソウルは僕の1番嫌いな笑い声で、小さく笑った。



(長いっすね。終わり方を見失いました。
いーデザのソウルさん達は元の人達の体にいた魂だけの存在です。
なので、分離した今でも、その体は入れ物にすぎないので、
いくら攻撃しても魂にダメージがいかないかぎり倒せません。
ストーリー上でカービィと戦った時は、
元の人の体を乗っ取って表に出てきているので攻撃は通ります。)


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