【〜秋の夜長に〜SS小説大会にご参加いかがですか?】■結果発表!(2016.11.30 管理人更新)集計し精査した結果、壬崎菜音@壬生菜さんの「マッチョ売りな少女」(>>39)が1位となりました!壬崎菜音さん、おめでとうございます〜!今回ご参加くださった皆様、誠にありがとうございます!投票してくださった皆様にも深く御礼申し上げます!次回SS大会にもふるってご参加ください。****************************【日程】■ 第13回(2016年9月3日(土)18:00〜11月26日(土)23:59)※実際には11月27日00:59ごろまで表示されることがあります※小説カキコ全体としては3回目のためまだ仮的な開催です※ルールは随時修正追加予定です※風死様によるスレッド「SS大会」を継続した企画となりますので、回数は第11回からとしました。風死様、ありがとうございます!http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?mode=view&no=10058&word=%e9%a2%a8**************************【第13回 SS小説大会 参加ルール】■目的基本的には平日限定の企画です(投稿は休日に行ってもOKです)夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください■投稿場所毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません■投票方法スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します■投稿文字数200文字以上〜1万字前後まで((スペース含む)1記事約4000文字上限×3記事以内)⇒この規定外になりそうな場合はご相談ください(この掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」にて)■投稿ジャンルSS小説、詩、散文、いずれでもOKです。ノンジャンル。お題は当面ありません⇒禁止ジャンルR18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説■投稿ニックネーム、作品数1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがありますニックネームの複数使用は悪気のない限り自由です■発表等 ※予定2016年11月27日(日)12:00(予定)■賞品等1位入賞者には500円分のクオカードを郵便にてお送りします(ただし、管理者宛てメールにて希望依頼される場合にのみ発送します。こちらから住所氏名などをお伺いすることはございませんので、不要な場合は入賞賞品発送依頼をしなければOKです。メールのあて先は mori.kanri@gmail.com あてに、■住所■氏名 をご記入の上小説カキコ管理人あてに送信してください)■その他ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせくださいhttp://www.kakiko.cc/novel/novel_ss/index.cgi?mode=view&no=10001******************************平日電車やバスなどの移動時間や、ちょっとした待ち時間など。お暇なひとときに短いショートストーリーを描いてみては。どうぞよろしくお願い申し上げます。******************************<ご参加タイトル 一覧> ※敬称略>>1 『宇宙(よぞら)のなかの、おともだち。』 Garnet>>2 『キミの夢』 霊夢>>3 『大切な場所』 レオン>>4 『最後の英雄』 月白鳥>>5 『星空と秘密の気持ち』 霊歌>>6 『夕焼け月夜を君と』 PLUM >>7 『焦がれし子宮』 めー>>8 『知』 茶色のブロック>>9 『儚い少女』 茶色のブロック>>10 『 white lilydie 』 PLUM>>11 『音を通じて』 奈乃香>>12 『月下美人。』 鏡杏>>13 『小さい頃からスキだったの』 ユリ>>14 『折り鶴』 御影>>15 『妄想を続けた結果、こうなりました。』 のあ>>16 『夏の日の物語。』 レオン>>17 『恋するティラミス』 ゼロ>>18 『貴女の望むもの』 奈乃香 >>19 『貧血少女』 PLUM>>20 『ねぇ』 はてなの子 >>21 『記念日には、貴方の言葉。』 はずみ >>22 『君も私も爆発だよ☆』 茶色のブロック>>23 『Reason for the smile』 ユリ >>24 『彼は未来を見る研究をしていた』 葉桜 來夢>>25 『Love me only』 ユリ>>26 『ワタシとアナタ』 はてなの子>>27 『匿名スキル』 とくだ>>28 『アナタだけ』 レオン>>29 『秋の夜長に君を求めて』 蒼衣>>30 『受け継がれる想い。』 レオン>>31 『素直になってもいいですか』 たんぽぽ >>32 『color』 蒼衣>>33 『二度とない日々へ』 深碧>>34 『破られた不可侵条約』 たんぽぽ>>35 『だーれだ』 ろろ>>36 『堕天使』 鏡>>37 『複雑ラブリメンバー』 とくだ>>38 『してはいけない恋……?』 マシャ>>39 『マッチョ売りな少女』 壬崎菜音@壬生菜>>40 『空想森の中で。』 ニンジン×2>>41 >>46 >>49 『あおいろ』(1)(2)(3) &>>42 『星の降る日』 安ちゃん>>43 『この感情は。』 みりぐらむ>>45 『やさいじゅーす』 とくだ>>47 『はづかし』 沖>>48 『Trick or love!』 PLUM>>50 『月が綺麗な夜』 小色>>51 『一番は』 草見 夢>>52 『名前』 草見 夢>>53 『人が死ぬとき』 草見 夢>>54-55 『天使と悪魔と』(1)(2) 草見 夢>>56 『人生最後の現実逃避』 みかん (2016.11.19 更新)
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高田周平は大あくびをした。午後4時過ぎのコンビニって、意外と客少ないんだよな……。自動ドアの開く音がして、振り向きもせず言う。「いらっしゃいませぇ〜」「しゅーへー」「祥子かよ!」現れたのは高校のクラスメイトで彼女の祥子だ。夏休みに告白してOKをもらった。付き合って7ヶ月になる。「かよ、って何よ、かよ、って!嬉しくないの?せっかく彼女が来てあげたのに、ねぇ?」隣のレジにいる店長が、同意を求められて笑う。「そうだよ高田君、油断してると盗られちゃうぞ」そんなわけで俺は、祥子の尻に敷かれているのだ。「それより祥子、今日は早いじゃん」「今日は部活ないの!先生言ってたじゃん!」「そうだったっけ?忘れた」祥子は呆れたように、すたすたと奥に入っていく。あれ?そっちはスイーツのコーナーだぞ?甘いものが嫌いな祥子は、いつもチキンやおにぎりしか買っていかない。何かを手にし、不機嫌な顔でそれを置く。目の前には240円のティラミス。「珍しいな、お前が甘いものなんて」「はい、240円でしょ!早くお釣り!」祥子はなぜかぶりぶり怒っている。「へいへい。何なんだよもう。はい、60円お釣り」そして、何も持たずに出て行こうとする。「おい!祥子!ティラミス忘れてんぞ!」振り返ったその顔は、真っ赤だった。「鈍感!バカ!」そして本当に出ていった。何なんだよマジで……。ティラミスを置いていったあげく、怒って出ていくとは。「ははっ」笑い声に隣を見ると、店長がニヤニヤしていた。「今日は早く上がりなよ」ぽかんとする俺に、続ける。「カ・レ・ン・ダ・ー」俺はカレンダーを見た。2月14日だった。「……早退します」
幼い頃から私はなんだってあたえられてきた欲しいものがあれば言えば手に入ったし、言わなくてもすでにあたえられていたでも、それが普通ではないことを幼い頃から知っていた『どうして?』わからない・・・でも、見たわけではない、教わったわけでもない貧富の差を知っていた『それは、可笑しな話ね』うん・・・いつだって、私はみんなに可愛がられて、汚いものなんて目に入らないように育てられたなのに、それを理解している私以外を知らないのに私が普通じゃないって知ってる『じゃあ、本当は貴女が見ないように忘れたようにしている何かがあるんじゃないの?』わからない・・・でも、そうなのかもしれない・・・『フフ、貴女は素直でいい子ね』どうして?『だって私の言ったことうのみにして考えてるんでしょ?』うんでも、そうするしかないからそうしてるだけ『フフ、そう、じゃあ、それでいいわ』それより、貴女は私の何を知ってるの?『さあ、どうでしょうね』あいまいな答えね・・・『いずれわかるわ』そう・・・『それより思い出した?』うんん全く思い当たる節がないの・・・私は生まれた時から私で、こうやって育ったんだものだから、思い当たる節なんてあるはずないの『本当に?』え?『フフ、まあいいわ。思い当たる節がないのなら私の質問に答えて』・・・別にいいけど、突然何?『フフ、細かいことはまだ考えなくていいの。じゃあ、一つ目の質問ね。貴女は今何歳?』え、私の歳?・・・あれ?・・・私の・・歳は・・・え・・わからない・・・え、なんで?『フフ、じゃあ、二つ目ね。貴女の名前は?』・・わからない・・・『じゃあ、貴女の誕生日は?血液型は?』・・・わからない・・・わからない・・・『フフ、貴女は貴女のこと何もわかってないのにどうして思い当たる節がないなんて言えるの?』・・わかんない・・・こんなの、わかんないよ!『フフ、泣いても叫んでも現状は何も変わらないわよ』ねえ・・何で、何でわかんないの?・・・『あら、フフ、私にそれを聞いてくるなんて予想外だったわ。フフ』いいから、答えて!『フフ、簡単なことよ。貴女が見ないようにしてるものは貴女自身だからよ』私・・自身・・?『そう、貴女の話した甘やかされてる自分は貴女の理想の自分。そうやって貴女は理想の自分を作って現実の自分を見ないふりしてるの』よく・・わかんない?『つまりは貴女の思ってる貴女は夢で現実は違うってこと』私は・・・私のこと・・・捨てたの?・・・『そう、貴女は貴女を捨てて理想を手に入れたの』じゃあ、ここは・・夢?・・・『フフ、そう。だから、こんなことを忘れようと見ないようにしようと貴女の自由ってこと』そう、なんだ・・・じゃあ、私は―――――・・・・・とある病院医「この子がここに運ばれてきてからもう、一年ですか・・・」看「そうですね・・・」医「まだ、目を覚ます気配もないし、親族の方がお見舞いにも来ない・・」看「かわいそうですね・・・」医「ああ・・」夢の中『貴女がそれを選ぶことを誰も咎めないわよ。むしろ歓迎するわ』ねえ、最後に一つ教えて『何かしら?』貴女は・・・誰? 『フフフ、私の名前は――――――・・・・
ぱち。あぁ、保健室か・・私は昔から病弱で、生まれた時から謎の発作が起きている。それは…――“貧血”だった。でも昔と比べれば、症状は軽い方だ。よくそのことはクラスメイトなどに言われたら軽く流してるけど、私の大きい悩みの種だった。多分授業の挨拶中に立ちくらみを起こしてしまったのだろう。――がらららっ。「るーちゃーんっ!授業が終わったから来たよー♪」やってきたのは、幼馴染の「うささ」こと、宇佐美東華。いつも貧血のことでからかわれる時、私を守ってくれる、優しい子。「いやー、びっくりしちゃったよ!まさか挨拶中にね。まぁ私も何回も見て来たから、なんか「心配」というより、「安心」の方が大きかったかな!」「ところで拓くんはどうだった?」「拓っくん?あぁー、発表の時にドジをして、赤面になっているのが、とても印象的だったな〜」「えぇ・・見たかったあ〜」拓くんは、中学校からの片思いしている男子だ。拓くんのことが気になって、同じ高校に入ったことは言うまでもなかった。ふらぁ・・・どさっ。「るーちゃん!?ちょっと先生―――」ここで意識が途絶える。そして目を覚ますと、近所のよくお世話になっている病院だった。まず一番に、涙で顔がぐっしょりの母に目がいってしまって、思わずクスッと笑ってしまった。「ところで今日の夜、好きなドラマが放送されるから、見ていい?」すると母は一瞬気難しい顔をして、「実は―――・・・もう倒れた日から、ちょうど一カ月が経過してるの」「!?」最初は驚いたが、入院期間はあと一週間と知った時は、大丈夫かなと思ったので安心した。―――そして入院してから一カ月と一週間。私は無事退院した。もう季節は冬に近付いているので、寒さが体にしみる。しかも雨だったので、一層寒い。家に帰ったら、久しぶりに町を散歩した。学生さんは今は学校で授業中だから見つからなかった。この曲がり角を曲がれば、昔遊んでいた公園がある。「・・そういえば、うささ元気かな」その時、がたっ!傘が落ちる音がした。そーっと見てみる。「――――・・・!!??」え?なんで・・・?!なんでうささと拓くんが・・キスしてんの!!?そしたら、ショックのあまり力が出なくなって・・また倒れてしまった。―――そして、二度と目を覚ますことはなかった―――なのでうささと拓くんはどんな顔でこっちを見たか、私は知らない。「るーちゃん、簡単に騙されちゃったね」「東華、“ストーカー退治”ご苦労さま」
_____ねぇ_____なぁに?_____好きだよ_____僕もだよ_____ねぇ_____なぁに?_____どこにいるの?_____君の隣だよ_____ねぇ_____なぁに?_____君はだれ?_____僕はぼく_____ねぇ_____なぁに_____僕も、そっちへ行くよ_______________
なんの通知も来ない、黒い画面を見つめてた。私には広すぎるリビングへ、大きな窓から橙色の光が射していた。ソファに寝っころがって、また黒い画面を見つめる。…………何を期待してるんだろう。私にとって特別な1日も、私以外のひとには、いつもの1日。そんなこと……分かっているのに。でも、貴方もなのね。なぜかガッカリしてしまって、気落ちして目を閉じた。ズン、と頭が重くて、目を開けてソファに座り直した。ズン、と気持ちもソファも深く沈んで、背もたれに頭を預ける。ひんやりとした空気がなんとも居心地悪くて、空を窓から眺めた。もう、星が明るく輝いている。自分のついたため息が部屋中に響いて、ビクッとした。じめじめしたのはきらいだ。ガッと立ち上がって、お守りみたいに握っていたスマホを充電器に繋ぐ。電源が入ってなかったようで、画面がいきなり明るくなった。そして、なりやまない通知音。『おめでと!』『プレゼントなにがいい?』『おくれてごめーん!よい1日を!』そして、貴方からも。『happybirthday!』はぁ……声が溢れて、床にへたりこんだ。誕生日なんかに、中学生にもなって執着しているのは、ちょっと恥ずかしい。でも、貴方からの言葉が、たくさんの明るい言葉からよりいっそう浮かび上がって、輝いて心に染み渡っていった。happy、birthday私。
ただの日常に異物がある。隣の彼女がその異物だ。ただの歩道をただ一緒に歩いているだけの行動に見えるだろう。だが、冴えない少年大雅に対し、彼女は茶の短髪で、笑うと子供のように可愛らしくなる美少女。そんな彼女に、大雅は警戒していた。彼女は、ちょっとおかしいのだ。――突如、風が吹いた。いつの間にか、二人の目の前に金髪ツインテールの大富豪お嬢様、マリアさんが現れていた。隣を見てみると、彼女はバトル漫画のような緊張した面持ちをしている。ああ、さっそく狂った……。「あ、あなたは……!」彼女、何かほざく。「ふ、ふふふふ……」マリアさん、セリフ出てこず。大雅は彼女に耳打ちをする。もうこれだけはやめて欲しかったのに。「どうすんだよ、沙羅子。なんかマリアさんが来たんだけど」彼女沙羅子は、相変わらず意味の分からないバトル漫画の緊張した面持ちで大雅に返事をした。「弟よ、これは私の聖戦だ。ここはサーヴァントセイバーである私におまかせを、マスター」「弟はどこいった!?」沙羅子がマリアさんに振り返る。マリアさんは嘲笑し、大雅達に言った。「あなた達の愚行、教会が見逃すとでもお思いですか」「俺が何をしたの!?」相変わらず笑うマリアさんに問うてみるが、効果はない。頭のネジが一本飛んでもしもボックスにでも何かお願いしたのだろうか。しつこくバトル漫画の緊張した面持ちで、沙羅子はマリアさんに言い返す。「勝つとシュークリームなのですよ」「いきなりデイブレイク!?」きっと誰にも分からないネタが出てきた。分かるのは堀江さんくらいだろうか。それか古手神社のシュー狂の方々。マリアさん苦笑。仕方がないかも知レナい。「アタックチャンス」「それはクイズだよ!」マリアさんはカードを取り出した。「マジックカード!!死者蘇生ッ!!」「まさかの魔法!?」そしてアタックではない!沙羅子はクソ笑っていた。「茶色のブロックさんの趣味が笑笑」「作者はやめようよ!」「魔神剣!」「何も起きない!?」マリアさんが喋る。「わたくしのターンだぜ!」「どういう順番!?」「巻かん交差ッ歩卯ッ!!」「漢字が分からなくて撃てない!!」そのあと、マリアさんが大雅達の仲間になった!
■□■□■Reason for the smile・U■□■□■「僕はね、今まで色んな人達とあったんだ。」 少年が言った。十代半ば程の、痩せこけた少年だ。「だから?それは説明にならないよ」 少女が言った。十代前半の、大きな目が印象的な可愛らしい少女だ。「その"色んな人達"は、皆それぞれの考えを持っていて、それぞれの"逃げ道"があったんだ。」 少年はそう言って、柔らかく微笑んだ。それに少女は大きな目をくりくりさせて応える。「じゃあ君の逃げ道は笑うことってこと?」「そうだね」 少年はまた笑った。少女は怪訝な顔をする。「嘘だ、そんなこと言って、そんなのキレイゴトだよ、ヒトなんて皆同じだもの」 少女の言葉に少年は微笑む。そしてゆっくりと口を開く。「そうかもね、君や誰かには、"可笑しいこと"かもしれない、"狂っていること"かもしれない。」 少女は怪訝な顔を更に歪めた。分からなかった。少年の心情が。「でもね、笑うことで、嫌なことが忘れられるんだ、楽しい気持ちになれるんだよ。それは僕がおかしいんだとしても、狂っているんだとしても、笑うことだけが、唯一の"救い"で、"逃げ道"なんだ。」 少年は無邪気に笑った。嘘偽りのない、心からの。少女はふぅんと興味を無くしたように目を逸らした。少年はそんな少女の様子に苦笑して、口を開く。「それじゃあ僕は眠るよ、おやすみなさい。またね、瞳ちゃん。」「おやすみなさい、ルカくん」 布団に潜った少年はやがてスースーと寝息をたてる。その音も少しずつ小さくなっていく。やがて、消えた。ーーーーーーーーーーーーそこにはもう少女の姿は無かった。■□■□■Reason for the smile・T■□■□■「今日のは〜…と、あった、魅月ルカくん、生まれながらの心臓病、今日の21時かぁ」 ××病院の前にいた少女は、スケジュール表をパラパラめくりながら呟いた。そして何かを確認した後、病院の階段を慣れた様子で三階まで昇る。 305号室の病室を開けると、痩せこけた少年がいた。少年は少女を視界に捉えると、微笑んで挨拶をした。「やぁ、君は誰?」 少女は考えるような仕草をした後、言った。「あたしはーーーーーーーーーーーー名前はないよ」「そうか、じゃあ瞳ちゃんって呼ぶね」 少年は無邪気に笑って言った。"目がおっきいから"とつけ足した。少女は分からなかった。何故笑えるのか。死期が近いことは当事者の彼が良く知っているだろうし。だが彼からは死への恐怖が微塵も感じられない。少女は好奇心が涌いてきて、ルールを忘れて訊いてしまった。「ねぇ、君、今日死ぬよ?」 少年は少女の言葉にきょとんとしたが、やがて笑いだした。「あはは、なんだ、今日なんだ、短い人生だったなぁ」 少女は更に分からなくなった。好奇心にかられ、ルールなど、もう頭の片隅にも無かった。「ねぇ、どうして笑えるの?」 他の人達とは違うタイプだったから、好奇心で自分の目がキラキラするのがわかった。「ん?そうだなぁ…」 少年は間をおいて、口を開いた。
彼は未来を見る研究をしていた。そんな彼の机の上には機械類が散乱していた。パソコンや測定器など、仕事柄必要になってくるものである。彼はそれを使って未来を見る研究をしていた。そしてある日、ついに彼は未来を見ることに成功した。◆ ◆ ◆今見ているのは近い未来なのか。人類は、自らの仕事を全て機械に任せてしまっている。行き過ぎた快適化になんの意味があろうか。行き過ぎた快適化になんの疑問も持たないのか。ただ人類は椅子に座っているだけだった。一歩も動かずに生命活動をとっていた。彼はとても驚いた。自分が今見ている世界の姿に驚いた。「便利」が暴走してしまった世界の姿に驚いた。そして嘆いた。伝統が崩れ去ってしまった世界を嘆いた。ただ人類が惰眠を貪るだけの世界を嘆いた。人類は、知識を持ち過ぎた。持ち過ぎてしまった。既に動物を遥かに超越していた。動物という領域の外に出てしまった。世界のルールブックを、破ってしまった。そして人類は機械を造った。自分の言いなりになる機械を造った。これでもっと生活が豊かになると。これでもっと生活が便利になると。それなのに。それなのに。この未来を見る限り職業は随分と減ってしまっている。遊園地の入口でチケットの半分をもぎ取っていた人は。レストラン店内の案内をしていた人は。スポーツには欠かせない筈の審判は。みんな、いなくなってしまった。自動車はもうドライバーを必要としていない。名前の通り、自動で動くようになってしまった。人類はさらに動物味を失ってしまった。でも、誰もそれに気付かない。気付こうとしていない。彼は怯えた。これは果たして生きていると言えるのだろうか。 全てを機械に任せて、苦労一つしない姿を。全てを機械に任せて、生きる為に行動しない姿を。そして彼は考えた。自分達の未来の姿は果たしてこれでいいのだろうか……。◆ ◆ ◆―彼は、未来を見る研究をやめた。それから彼は、一体なんの研究を始めたのだろうか。ただ、彼の机の上にあった機械類は全て姿を消して。ノートと鉛筆だけが彼の机の上に置かれていた。そして、窓際に置かれた小さな小さな観葉植物が、太陽の光を浴びて輝いていた。
■□■□■Love me only・U■□■□■ 「”月がキレイですね”」 彼からの告白はその言葉だった。 いつかの誰かが”I love you”を間違えて翻訳したとされている言葉だ。 彼がそれを知っていて言ったのか、それは分からないけれど。私がその夜に身を委ねようと思ったのは確かにその言葉があったからだ。■□■□■□■□■□■「ねぇ、君は今どんな気分?」 仄暗い寝室に、男女がベッドで”戯れて”いる。 引き締まった身体をしている彼が訊く。「そうね、とても幸せよ」 私は微笑んでそれに答える。「…そうか」 彼のはだけたシャツの中の、パッと見気付かない様な脇腹や腰の辺りには、多数のキスマーク。そして、”自分の物”ではない花の香水の香り。「なら、貴方は今どんな気分なの?」 私は彼の質問をオウム返しにした彼が答える「もしも、もしも何だけれど」 彼が言葉を濁しながら、目を伏せる。間をおいて、悲しそうに眉を八の字にして彼が言った。「自分だけを愛して欲しいって言ったら、 君はどうする?」■□■□■Love me only・T■□■□■「はい、happybirthday!」 今日は僕の誕生日だ。付き合い始めてまだ日が浅い彼女からプレゼントを貰った。中身は花の香水だった。試しに匂いを嗅いでみて、彼女に言う。「有難う、大事にするよ」 どういたしまして、彼女は微笑んだ。 ** 目を覚ますとベッドの中にいた。腕の中には彼女が眠っている。 起こさないように腕をはずし、水を飲みに行く。 鏡を覗くと、気付きにくいところにある無数のキスマークが見えた。彼女はいつもここらへんにしか印を付けないので案外助かっていたりする。ピロリン ピロリン スマホの音が鳴る。彼女のスマホだった。好奇心で手に取ってみると、知らない男性らしき人から、あられもない言葉が送られて来ていた。 From-健 今会える? ××ホテルで待ってる 簡潔な、それだけのメール。だけど、僕に衝撃を与えるには十分だった。 驚きで声も出ない。もうそのまま寝ようとベッドに寝転んだ。 **「おはよう、もう朝よ」 朝になって、彼女の声が頭から聞こえる。目を開けると、僕の上に乗っている彼女がいた。 そして僕は彼女に訊いてみた。■□■□■□■□■□■「月がキレイですね」 男性が訊いた「でも、月って案外ボコボコしていて汚い のよ」 女性が応える「だけど、やっぱり僕にとっては月はキレ イだ」 彼女は儚そうに微笑んだ。夜空を仰ぐ横顔に見とれていると、彼女がゆっくり振り向いた。「そう、なら私、死んでも良いかもしれな いわ」 ふふっと、彼女は楽しそうに笑った。それに、つられて、僕も微笑んだ。
アナタのコトガ嫌いダカら、思いッキり憎む。アナタの手首カら血が噴キ出すように、アナタを噛む。アナタカら距離を置いテもラえルように、アナタをナイフデ切る。_____ナのに。「まだ、許してくれてないのか」アナタは、自分よりワタシの傷ヲ治しテいク。アナタは、ワタシのコとを思いっキり抱きしメる。アナタは、ワタシの心にカかっタ鎖を、縄を解くよウに解いテく。「裏切られルと分かっていテ、なんデこんナことをスる……?」ワタシが聞くト、アナタは驚いた顔ヲする。「初めて嗚咽以外の声を聞いた」ワタシは下を向イて言う。「質問に答えろ」アナタは考えてカら言う。「キミは、絶対にボクを裏切らないから」アナタはなんデそんナに前向きでいらレるの………?______________________願っテも、祈ってモまた同じユメを見ル。小さなスれ違いで、ワタシがアナタを裏切る"ユメ"「アナタはワタシを裏切らナいの?」「ワタシはアナタを裏切るかもシれない」アナタは目を伏せて、「そんなことないよ」と微笑んだ。嘘ツき。______________________"アナタ"は死んだ。"ワタシ"に殺されて死んだ。信頼なンて、やっぱリなかっタんだ。ワタシはアナタに嘘をつカれただケで、アナタを殺した。でモ、涙が止まラない。アナタが最後に残しタ言葉が頭カら消えない。______________________「ワタシはアナタを裏切った。今からワタシはアナタを殺す」「そうかい」「言い残すコとはナいのか」「キミに殺されるなら別に良い」「…………」「悲しそうな顔しないで」アナタは微笑ンで言う。「_______笑っていて」