お嬢様に虐められて虐めましょう。

作者/ 黒猫ミシェル

第十一話


「…洸大様」

「ごめんね、芽衣ちゃん…」

「いいえ!!洸大様、どうか謝らないで下さいませ!!」

苦渋の表情をする洸大様に、芽衣さんは涙目で首を振った。
周りの人たちは同情の眼差しは向けるも、誰も近寄ろうとしない。
バラバラと、自分の教室に帰って行った。

「洸大様、大丈夫でしたかぁ~」

「聖花か…」

「麗華さんがとても不機嫌だったので、何かあったのですわよね?」

「僕もう、耐えられる気がしないよ…」

その言葉に、聖花は鮮やかに笑ってみせた。


第十二話


「ねぇ、洸大様?私たち、同志だと思うんですぅ」

「…どう言う事だい?」

「はっきり言って…洸大様は、麗華さんの事をお嫌いでしょう?」

聖花は、洸大の目を真っ直ぐ見て言葉を重ねる。
良く見ると顔にはかすり傷があり、シルクから透けて見える腕にはアザがあった。

「その傷…」

「ええ、麗華さんに付けられましたわぁ。八つ当たりでしたのぉ…」

「僕と芽衣の事で…?」

その質問には答えず、洸大を憎悪の表情で睨んだ。
もちろん、洸大が憎いのでなく、この会話から察するに、麗華を思っての顔だろう。

「私、もう我慢出来ないわ!!王女様面されるのもたくさん!!」

「だからって…僕たちには何も出来ないよ?」

「だから…私に考えがあるんですよぉ?」