お嬢様に虐められて虐めましょう。

作者/ 黒猫ミシェル

第三話


「流石麗華様ですわ!あんな難しい問題でしたのに//」

「ほんとうに!流石は月城家の方だと思いましたわ!」

数学の時間が終わると、クラスの皆が麗華様の方へ行く。
褒め称える為、媚びへつらう為、家柄を知ってもらう為に。

「私、涼木家のものなんです!」

「わ、私は國枝です!」

「「以後お見知りおき下さいませっ!」」

それを麗華様は冷たく、優しく見下ろす。
自分に不愉快な作り笑いを浮かべている者に、揉みてをしている者に。
自分の・・・家柄や後にある権力しか見ていない、愚かなクラスメイトを。

「麗華さん、滉大様がお呼びですわぁ」

「あら、滉大様が?」

「そうなんですよぉ。滉大様が、いらして欲しいそうですわぁ」

この聖皇興学院で麗華の事を、『様』ではなく『さん』付け出来る者は限
られている。その限られた者の一人、吹鳴清花。この聖皇興学院では、五
本指に入る吹鳴家の者である。

「滉大様、一体何のご用事なのかしら?」

「麗華さん、いらっしゃいましたわよぉ」

清花の言葉が終わったと同時に、低く落ちついた声が響いた。
麗華の幼なじみであり、麗華の生まれながらの婚約者である。
麗華の次に権力のある家柄、赤月家の跡取り息子と言う肩書きの持ち主。

「麗華ちゃん、遅いよ」

「あら、ごめんあそばせ」

「全然悪く思ってないでしょ」

この二人のやりとりを、周りは頬を染めながら見ていた。
それを、麗華は、不愉快そうに顔を顰め、叱り飛ばした。
麗華ほどではないが、かなりのお嬢様、お坊ちゃんたちに。

「不愉快ですわ!何をわたくし達に見惚れておりますの!?」

「麗華ちゃん・・・」

「誰の許しを得たんですの!?お父様!?わたくし!?言いなさい!!!」

「お、落ち着いて、ね?」

「滉大様、少し黙っていて下さる?五月蝿いですわ」

その時滉大様の顔が歪んだのを、私は見ていた。
麗華様も吹鳴様も誰も気づいていないけれど・・・・・。

「気分を害しましたわ。彼方たち、『うさぎ』を連れて来なさい」

「え・・・あ、でも・・・・・・」

「わたくしが連れて来なさいと、言ったのですわ」

「あ、はい、今すぐに・・・」

「もたもたしていると、次の『うさぎ』を、彼方たちにしますわよ!?」

その一言で、周りにいたのは全員走って散っていった。
今月の『うさぎ』・・・・桃華田由愛を麗華様の前に引きづり出す為に。


第四話


「わたくしの玩具。ずいぶんとまぁ、醜い顔ですこと」

「・・・・ぃ、ぁ」

由愛は哀れなほどに体を震わせ、涙で顔はぐしゃくしゃにねっていた。
それを麗華様は、まるで汚い汚物でも見る様な目で睨めた。
麗華様ほどではないが、由愛も可愛らしい顔のつくりをしているのに。

「今から、楽しい事をしようと思いますのよ」

「お願いします、何でも、言う事聞きますから!」

「そう?では、制服をお脱ぎなさい。彼方には似合わなくてよ」

「そん、な・・・・・・」

絶望に顔を歪めた由愛。
それを周りは、見て見ぬ振りで通していた。

「彼方のお父様・・・。確か、わたくしのお父様の部下、でしたわ」

「・・・・っ!?」

「皆さん、『あの部屋』へ行きますわよ」