複雑・ファジー小説

白線お流れ〜迷想奮闘記〜
日時: 2019/08/18 00:04
名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)  

清純な田舎の女子高生の物語。優秀な開業医を父に持ち、何不自由なく一人っ子の箱入り娘として生まれた。長野県松本市内の優等校に通い、将来に迷っている三年生。…じゃなくて……………………同市内の底辺校に通い、ドラッグストア薬剤師兼レジ係りの父を持ち、精肉工場のパート勤めの母を持つ高校三年生、八倉園美のお話し。7人兄弟の三番目、次女として生まれて毎日醜い兄弟ゲンカを繰り返し、外面は一人っ子の清楚な女子高生を演じて回りを辟易させる。そんな彼女がある日、父が借りてきた「白線流し」というTVドラマDVDをたまたま視てしまってからが大変。回りを巻き込んで主人公、七倉園子になりきろうとドタバタ騒ぎを展開する。しかし意外な結末が待ち受けていた。ハートフル?青春コメディが幕を開ける。

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Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.21 )
日時: 2019/10/12 01:43
名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)  

…まっちゃんがピザとたこ焼きに目がないのを知っていた園美は、ちらつかせて手懐けた。やがて一時間ほどカラオケトイサウンドで楽しんだ後、本屋に立ち寄った。「ほら、まっちゃん。参考書、万引きして。」「はぁ、いよいよ園美とち狂ったわけ。いくらなんでも今度ばかりはたこ焼きじゃ釣れないからね。」「んもう、わかった。太陽になれなかった木星って本で小遣い奮発したのにまた出費…お金払うからせめて制服の下に隠しながらレジ行って。」「はぁ、ますます意味わかんない。」立ち去るまっちゃんを追いかける矢先、次男の義郎を見かけた。「あれ、あいつ…」まっちゃんも思わず止まる。「ん、そのちゃんちの、がり勉君…」「あいつこんなとこで何を。」言ってる間に二人は信じられない光景を目の当たりにする。「ま、万引き…」外へ出ようとする義郎を引き止める園美。「ちょっと待って。あんた。」「ね、姉ちゃん。」しかし運悪く万引きGメンに捕まる三人。「君達、まだ清算してないものあるでしょ。ちょっと来なさい。」やむなく事務室に入る三人。「ですから、私達は弟を引き止めようと…」「よくいるのよね〜兄弟で企んで万引きする中高生が。」「ですから…」話しても大人は信じてくれない。しかしながら初犯と言うこともあり、万引きしようとしたマンガを支払うことで許してもらえた。夕日の中帰る三人。「あんたね、うちは金持ちじゃないけど、盗みや万引きは御法度だってあれほどお母さんに言われてたでしょ。なのに何で…」「いいんだ。どうでも。」まっちゃんがいたたまれず割り込む。「もしかして義君いじめられてる…」「ち、違うよ。マンガが欲しかったんだ。」「このマンガあんたの好みじゃないでしょ。兄弟としてお姉ちゃん、万引きは許せない。」「どの口が言う。」呆れるまっちゃん。「でも、いじめはもっと許せない。お姉ちゃん力になるよ。」「ほっといてくれよ。妄想馬鹿女っ。」走り出す義郎。しばしショックを受ける園美だった。時は過ぎ、西山高校文化祭当日。慎二の伝手でたこ焼きの出店を構えることができ、一応の賑わいを見せた。しかし…「キャンプファイヤー。うちの学校そんなもんやらないだろ。」「そこを何とか。磯山マジックでね。お願い。」慎二に頼み込む園美。「グラウンドで火起こしなんて学校が許可するわけないし。」雅春が割り込む。「八倉、花火ぐらいなら大丈夫じゃないか。ほら、大量に夏休みの余りあるし。」「え〜。わかった。」…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.22 )
日時: 2019/10/14 21:57
名前: 梶原明生 (ID: SKF4GgT1)  

…残念がりながら、夏を呼び止めた。「なっちゃん。頼みたいことあるんだけどいい。」「何よ急に改まって。」「私に、叶さんに向けてラブレターを書けって言ってくれる。」「はぁ、どういうことよ。あの定時制の人でしょ。別に書けばいいんじゃない。わざわざ私が言わなくても。…」「そこを何とか。」「しょうがないな。…そのちゃん、小河さんにラブレターでも書いたら。これでいい。」「サンキューなっちゃん。」そそくさと教室に戻り、既に用意していた可愛いレターセットを取り出して文字通りラブレターを書き始めた。「ドラマ通り机に入れて…しかし小河家のポストへ。」勿論星座を書いてる机に入れたところで届くはずない。文化祭そっちのけでコンビニに行き、ラブレターのコピーを取ってから小河家へ。ポストに入れると折り返し学校の掲示板にコピーを貼り付ける園美。意気揚々と自宅に帰ると父、武史が非番で休みを取っていた。寝転がってテレビを見てる。「お父さん。」「なんだ 改まって。」「一眼レフのカメラ…貸してくれないかな。文化祭に使いたくて。」「へーっ、珍しいな。園美がカメラに興味持つなんて。よし待ってろ。」徐に立ち上がってタンスをガサゴソし始めた。「あった、これだよ園美。懐かしいな。お前が生まれた頃記念に買ったんだよな。当時はデジタル一眼レフカメラなんて出たばかりで高かったんだよな。」「私の…記念に。」「ああ。懐かしいな…使い方はな…」武史のカメラ講義が始まった。翌日、そのデジタル一眼レフカメラを首から下げて登校した。「なんっじゃこりゃっ」またGパン刑事よろしく、園美は掲示板を見て驚愕した。ドラマなら面白半分の人集りができてラブレターを誹謗中傷する所なのに…誰一人注目してない。「あ、八倉さんオハヨー。」「オハヨーじゃなくてこれこれっ…」指差すもラブレターは無視。「そのちゃん。」「あ、なっちゃんにまっちゃん。これよこれ。」「ああ、これ。もうSNSに上がってるから誰も見ないよ。」「がーっ。」時代を感じさせる。もう1996年ではないのだ。「そんなぁ。誰か注目してよ〜っ。」彼女の設定はことごとく崩れる。「あ、八倉。オハヨー。どうした頭抱えて。」「おお我が友よ。見て長田君。これは小河叶が貼りだしたの。だから彼の家に抗議しに行って。」「はぁ…」朝の突然の申し出に、頭を傾げる。やがて西山祭最終日の終わりに園美達は線香花火をグラウンドでやった。「キレイだね。」「うん。…」…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.23 )
日時: 2019/10/16 21:25
名前: 梶原明生 (ID: W4UXi0G0)  

…文化祭の思い出を惜しむように点けては消えてまた点けて…高校最後の文化祭を花火に見ていた。「長田君、これお父さんのカメラなんだ。写してくれる。」「ああ、いいよ。」快く受け入れる雅春。花火と共にハイチーズっと、パシャパシャ5人の思い出をシャッターに収める。「いっけない、私待ち合わせしてたんだ。ごめん、先帰るね。」「お、おーい八倉、カメラはっ。」叫んだがもう遠くを走っていた。「よし、計算通り。叶さんが来てたら、この後の松本電鉄の電車に乗ってすれ違うはず。」ラブレターにはラブレターらしからぬ緻密な計算による指示がなされていた。「○時○分までに坂浦見公園に来なかったら○時○分の電車で帰ってください。そして○駅で、私を見つけなさい。さもなくばお前の母親の命はない。以上」後半は完全に場違いな脅迫文だが、この時既に半分園美が面白くなっていた叶は、従うことにした。「よし完璧。後は離合の待合い駅に電車が来ればドラマ通り。…イシシシ。」不敵な笑みを浮かべる彼女に、乗客は距離を取った。やがて待合い駅に到達すると、先ずは降りて叶を探す。「あ、いた。ちょっと何で降りてんのよ。あ…」言ってる間に両車の扉が閉まり、互い違いに電車は走り去る。「嘘ーっ。叶さんの馬鹿っ。何で降りてんのよ。設定違うもうっ。」「え、そんなこと言われても…」「それは愛するのセリフ。とにかく隣駅まで走る。」「は…」わけもわからず駅を出て走るしかない二人。「んー、どうしよう。えーと、ここ右に真っ直ぐ走る。私はここを真っ直ぐ走るから、踏切まで。さぁ急いだ。」「へーっ何でだよ。」駆け足の二人は別れて走り出した。やがて踏切に到着。「えーっ、遮断機降りてないっ。」そう都合良くドラマみたいに電車が通るわけもなく…「ちょっと八倉君、遮断機壊れる。やめようよ。」「だって…硬いなこの…遮断機…」無理にバーを下ろそうとする姿の何と醜いこと。「君一体何がしたいんだよ。」「何って、ハァハァ秘密ハァハァ」息切れしてもいないのにいきなり踏切前で膝を着いた。「大丈夫君。」「だって私…叶さんにハァハァ会いたかったもん。」いきなり叶に抱きつく園美。「あなたは木星じゃない。木星じゃない。」「た、確かに木でできてないけど…」「それ木製。」「うっ…なんで。」叶の股間に膝蹴りが入った。…次回「台風のような恋の破壊」に続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.24 )
日時: 2019/10/19 07:53
名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)  

「台風のような恋の破壊」…………………………………翌日叶と抱き合ったことを想像しながら悦に入る園美。「ちょってあんた、いつまで寝てるの。」カイロに入れてた体温計を出す。「45℃ですって〜っ大変救急車っ。」「あーっ待ってお母さん。大丈夫。1日休んだら治るから。」「何言ってんの…あれ、何か血色いいわね。熱も…あれ、触っても平熱。何でかしらね。」「でしょ。だから…」「学校行きなさい。」「ああ〜苦しい。ダメだ死にそう。」結局仮病でズル休みすることとなった。貞治、香子、乙美がやたらからかいながら一階に降りる。次の日、設定通り西山祭の影響で机がバラバラに配置されていた。「よしよし。そこで七倉園子は自分の机を教壇側に発見し、可愛らしくしおらしく何も言えなく…」呟いてる隙に肘を机に乗せて机を移動する慎二の姿が…「お〜い八倉。これお前の机。交換だ〜っ。」拍子抜けた口調で接近する。「ダ〜〜ーっ何で気がつくよーっ。」園美は思わず足で机を止める。「な〜に怒ってんだよお前。」「やだ、私ったらはしたない。ウフフ。」「はぁ…」呆れるなっちゃんとまっちゃん。「立嶋。後で話しがあるんだ。いいか。」「う、うん。」生返事のなっちゃん。「う、もしやこれは…」勘ぐった園美とまっちゃんが怪しむ。やがて昼休み、中廊下で話し合うなっちゃんと雅春。「もういい加減優柔不断はやめてくれないか立嶋。僕は真剣なんだ。君が歯科医師を目指せないことを悟って歯科助手を目指していることはわかってるんだ。だから大学も八王子にしたんだ。頼む。俺と真剣に付き合ってくれ。」「長田君。…わかった。私も長田君のことが好き。だけど、お父さんが気になってた。でももう迷わない。よろしくお願いします。」「やっ…ありがとう立嶋。」小さくガッツポーズを取って喜ぶ雅春。「ちょっと、二人は別れ話するんでしょ。」「ちょっと何言ってんのそのちゃん。」思わず引き止めようと引っ張るまっちゃん。「まっちゃんが磯山君と付き合わないならこっちに設定するしかないでしょ。」「出た、また設定。」呆れるまっちゃんをものともせず突き進む園美。「ごめん八倉。どういうつもりか知らないが、もう決まったことだ。邪魔しないでくれないか。」園美はやむなく引っ込む園美だった。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.25 )
日時: 2019/10/21 16:16
名前: 梶原明生 (ID: 0zy7n/lp)  

…その日の夜。「雰囲気を出すために…」などと呟きながら一階に降りて23:00の深夜、スマホをピンクの受話器にくっつけて電話する。受話器はメルカリで落札した年代物。「もしもし、叶さんですか…」「あ、八倉君。こんな時間にどうしたの。」「いえ、あの、声が聞きたくて…きゃっ、いやいや、蜘蛛。」「え…」園美はわざわざ弟の蜘蛛の玩具まで持ち出してドラマの再現を試みる。「ど、どうしたの…」「蜘蛛が…叶さんはゴキブリ出たでしょ。」「え、害虫対策してるから一度もないよ。」「何でーっ。」思わずデカい声になった。「何よ。」「ギャーッ。」幽霊かと思ったらお婆ちゃん。「何だお婆ちゃん、脅かさないでよ。」「蜘蛛まで設定して。ほどほどにね。」「へ…何でそれを。」「いやいや何でもない何でもない〜」鼻歌で誤魔化しながらトイレに入った。「変なお婆ちゃん。あ、叶さん。気にしないでください。死にかけたババァの戯言ですから。」「八倉君…」 「あ、すみません私としたことが…あの、週末デートしませんか。」「え、いきなり…」この様子を貞治、香子、乙美の三人は頭を階段の壁に並べて聞いていた。その週末。意気揚々と出掛けた園美は、勝手に設定した「七倉園子ファッション」を身に纏っていた。松本のデートスポットを総なめにしていたが、貞治達に尾行されて、ことあるごとに妨害された。しかし気づかない園美。やがて月曜日を迎えて二学期の期末テストを終了していた。「そのちゃん、私たちに当てつけて小河さんと進展し過ぎじゃない。昨日デートスポットで見かけたよ。」「え〜っ見られてたんだ。なら、ほら、ほら、あれ言うべきでしょなっちゃん。」「え、あれって…」「午前中で終わったから、んんお〜お作って持って行ったら…」「うんこを…」「誰がうんこじゃーいっ。弁当だろがワレっなめとるんかーい。」ヤクザ顔負けの啖呵を斬る園美。「じ、自分でもう言ってるし…」「そうだった…私といたしましたことが。」急に上品ぶる園美。早速下校してお弁当作り。「ふんふん…そうだ、佳乃さんに弁当捨ててもらわないと。小河電子にいるか確認しないと。」鼻歌混じりに電話する。「はい、こちら小河電子ですが。」「暗号名を言え。」「は…何のことでしょうか。」「CIAだ。ガチャン。」と、電話を切る。「何よ、イタ電…」首を傾げながら受話器を置いた。「あれあれ、彼氏にお弁当。」いつの間にかお婆ちゃんが後ろに立っていた。「何だお婆ちゃん。」…続く。

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