完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*54*
標的44 生きている奇跡 ツナside
京子ちゃん達が遠藤さんに呼ばれてからもう五分以上経っていた。
なんでこんな時間に呼んだんだろう?明日でも良いと思うんだけどな・・・
ここからじゃ何も見えないし、聞こえない。何が起こっているのかさえも分からない。
でも、胸騒ぎがずっとしている。そしてそれを決定付ける様に京子ちゃん達の声が聞こえた。
「「綾乃/ちゃん!!!!」」
何かあったのかと思って言ってみると、遠藤さんが倒れていた。
「おい、ツナ急いでシャマルんとこに連れて行くぞ。」
その言葉でオレは知った。今、危険な状態なんだって。
京子ちゃんは金縛りにあったようにその場から動いていなかった。怖かったんだろうな・・・
だからお兄さんが連れて帰る事にした。
急いでシャマルの所に行くと、寝ていたらしく不機嫌そうに扉を開けた。
「誰だよ・・・たっく、言っとくけど俺はヤローは見いないからな」
そう言っていたが遠藤さんを見た途端、
「急いで入れろ」
と言った。
診察中ずっとオレ達は無言でいた。その時間はとても遅い気がしたが、実際余り経っていなかった。
シャマルが出てきた。結果はどうなんだろう・・・なにもなかったら良いのにな。
「・・・こいつ何で生きているんだ・・・ってほどヤベェ」
その言葉を聞くとは思わなかった。
「内臓器官もろくに働いていない。視力も落ちていてあんまり見えていねぇ。・・・今日まで生きているのが奇跡みたいだ。」
嘘だろ・・・?何だよそれ、そんな素振り一切見えなかった。元気そうだった、明日も一緒に遊ぼうって、一緒に弁当食おうって約束したんだ。
何だよ『生きているのが奇跡みたいだ』って、なんでそんなに無理してたんだよ。なんで気が付かなかったんだよ、そんな事になっているって。ファミリーなのに・・・・・・・・・・・・
「どうすればいいんだよ・・・」
途方に暮れて呟くと、
「手なら御座いますよ」
と、幼いけど凛とした声が響いた。
だ、誰なんだ!?