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魔天使マテリアル×妖怪ナビ・ルナ  ?
作者: ルル  (総ページ数: 238ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル 妖界ナビ・ルナ 
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「はぁ、はぁっ・・・」
ルナが手を膝につき、荒く呼吸を繰り返している。
「ルナ、いけるか?・・・どうやらまだ力の気配が残っている」
タイの言葉で、ルナは勢いよく背筋を伸ばした。
「邪気は・・・?」
「無い。おおまかに人質かなにかだろう。急ぐぞ、かなり精神的にまずい」
「わかった。 サーヤちゃん、皆、今からもう少し奥へ行きます!」
ルナの言葉に全員が即座に頷き、体力や傷は霧亜が回復し、ルナたちは宮殿の奥へと急いだ。
_____
「いや・・・いやよ・・・やめてよ・・・うして・・・どうしてこんなことにならなきゃ・・・・いけな・・・・・」
女は、ついに狂ったように叫びだす。
鎖で縛られていることなど気にも留めていない。
ただ、逃げたかった。この、暗い檻から抜け出したい。
そのときだった。
「はぁ、はぁ・・・・・・・・?」
女は、なんらかの気配を感じる。
何人?
・・・・15,6人・・・

妖怪?悪魔?  
ちがう、人間だ。

女は足音が近づいてくるにつれ、安心感が沸いてくる。
「気づいて・・・もらわないと・・・!」
鎖で転ばないように慎重に立ち上がり、叫ぶ。
喉がかれようと問題ない。
ただ助けて欲しい。  わたしをあの世界へ・・・還して欲しい。
「れか・・・・だれか、助けて・・・!!」
_____
「――――――――――――――――!!」

誰かの叫び声が聞こえて、ルナたちはピタリと立ち止まる。
「どこ・・・?」
あたりを見回すが、正直、この状況で、前も後ろもわからないほど暗い。
「・・・方角的にはこっちだ・・・でも道が・・・」
タイが舌打ちをする。
そのときだった。
「ルナ様、タイ様、こっちです!!」
ゆのりが、ルナたちの前を通り過ぎ、走っていく。
「ゆ、ゆのりちゃん!?」
「お前、わかるのか!?」
「この手の作りの宮殿の中は何度も歩いています!
この形からして、その方角へいくにはこの道です!!」
ゆのりは走りながら質問に答える。
妖界へ来て、艶やかな黒色になったゆのりの髪が舞う。
「・・・次、右に曲がってください!!」
ゆのりに従い、ルナからつづきマテリアルたち、霧亜も速度を少し落とし、右へ曲がる。
元から暗かったのだが、奥にすすむとともに更に暗くなってくる。
でも泊まっているわけにはいかない。
つかまっているかもしれないのだ。
それを放っておくという考えなど、16人全員さらさらなかった。


「ッここです!」
ゆのりの叫びで、ルナたちは足を止めた。
「ここに、あの気配の人が?」
ルナが、隣にいたタイに確認する。
「ああ、間違いない。が・・・・暗くてよく見え・・・」
言いかけたそのとき、またあの声。
今度ははっきり聞こえた。
近い。
おそらく鎖で縛られているのだろう、金属音もした。
「こっちだっ・・・」
ルナはいい、音のする方向へ走り出す。
マテリアルたちも、その後へ続き走り出した。

その中で、サーヤ、レイヤ、ユウヤは、不思議な感覚に包まれる。
言いようのない、安心感。
なつかしい・・・・・・暖かさ。
考えながら、今はただ走った。

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