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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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*107*

番外編 【甘いモノにはご注意を。】

「ねぇ、凜」

真奈がなぜか俺の部屋の勉強机に座っている。

「真奈、なんで俺の机の上に座っているんだ。行儀が悪いぞ」
「はーい」

真奈はニコニコしながら、机から降りる。
そして、何かの間違いだろうか。俺の背中に抱きついてきた。
背中に温かいものを感じる。

「これならいーい?」

真奈が甘えたような声で言う。
そんなの…いいに決まってるだろ!

「駄目?」

俺からの返事がないからか、少し残念そうにしながら、俺の後ろから顔をちょこっと出して尋ねる。
可愛い。
素直にそんなことを思ってしまった。
ていうか、俺の心臓煩すぎだろ!これだったら真奈に気付かれてしまう。あいつは鈍感だからなー。どうして凜の脈拍は速くなってるの?とか聞いてきそうで怖い。
そんなことを一人で思っていると、真奈が次の行動に出た。

「これも駄目なのかー。それなら!」

そう言って真奈は俺のベッドにごろんと寝転がった。
真奈の長い黒髪が弧を描くように広がる。
…真奈は俺を殺す気か。男の衝動に駆られそうになるじゃねーか。

「駄目だ。そんなことされたら俺の身が持たない」
「どうして?」

真奈が寝転がりながら俺のほうへと向きを変える。
何というか、いろいろ見えてしまいそうで危ない。
俺は目を瞑りながら

「どうもこうもない。とにかく、そこから降りろ」
「分かりましたー」

またもやニコニコしながら降りる。
今度は何を考えているんだ?
俺はそう思いながら、真奈がゆっくりと俺のベッドから降りるのを見ていると、急に腕を引かれて、俺のベッドへと顔面から突っ込んだ。

「痛ぇ」

俺が顔を上げながら素直にそんな感想を述べていると、いきなり目の前に真奈の足が現れた。

「は!?」

俺が驚いて声を上げると、なんと俺は真奈の上に覆いかぶさっているような形になっていた。

「ど、どうなってんだよこれ!?」

俺が慌てふためていると、真奈が可笑しそうに笑いながら言った。

「ねぇ、凜?私眠くなっちゃった。一緒に寝よう?幼稚園の頃みたいに、ね?」

真奈はそう言いながらだんだん俺の頬へと手を伸ばし、俺の頬に触れた。
俺はその手を掴み、ゆっくりと真奈へと顔を近づけた。
そしてお互いの距離が数センチとなった時――

チリリリリリリリリ

目覚ましの音が耳元で聞こえ、ゆっくりと目を開ける。
窓から心地よい日差しが入っているのが目に入った。
そして俺の背中に暖かいものを感じる。

「真奈!?」

俺はそう言って振り返ると、そこには親父が俺に抱き着いている姿があった。

「なんじゃこれぇ――!?」

俺の叫び声が家中に木霊した。

fin.


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