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*107*
番外編 【甘いモノにはご注意を。】
「ねぇ、凜」
真奈がなぜか俺の部屋の勉強机に座っている。
「真奈、なんで俺の机の上に座っているんだ。行儀が悪いぞ」
「はーい」
真奈はニコニコしながら、机から降りる。
そして、何かの間違いだろうか。俺の背中に抱きついてきた。
背中に温かいものを感じる。
「これならいーい?」
真奈が甘えたような声で言う。
そんなの…いいに決まってるだろ!
「駄目?」
俺からの返事がないからか、少し残念そうにしながら、俺の後ろから顔をちょこっと出して尋ねる。
可愛い。
素直にそんなことを思ってしまった。
ていうか、俺の心臓煩すぎだろ!これだったら真奈に気付かれてしまう。あいつは鈍感だからなー。どうして凜の脈拍は速くなってるの?とか聞いてきそうで怖い。
そんなことを一人で思っていると、真奈が次の行動に出た。
「これも駄目なのかー。それなら!」
そう言って真奈は俺のベッドにごろんと寝転がった。
真奈の長い黒髪が弧を描くように広がる。
…真奈は俺を殺す気か。男の衝動に駆られそうになるじゃねーか。
「駄目だ。そんなことされたら俺の身が持たない」
「どうして?」
真奈が寝転がりながら俺のほうへと向きを変える。
何というか、いろいろ見えてしまいそうで危ない。
俺は目を瞑りながら
「どうもこうもない。とにかく、そこから降りろ」
「分かりましたー」
またもやニコニコしながら降りる。
今度は何を考えているんだ?
俺はそう思いながら、真奈がゆっくりと俺のベッドから降りるのを見ていると、急に腕を引かれて、俺のベッドへと顔面から突っ込んだ。
「痛ぇ」
俺が顔を上げながら素直にそんな感想を述べていると、いきなり目の前に真奈の足が現れた。
「は!?」
俺が驚いて声を上げると、なんと俺は真奈の上に覆いかぶさっているような形になっていた。
「ど、どうなってんだよこれ!?」
俺が慌てふためていると、真奈が可笑しそうに笑いながら言った。
「ねぇ、凜?私眠くなっちゃった。一緒に寝よう?幼稚園の頃みたいに、ね?」
真奈はそう言いながらだんだん俺の頬へと手を伸ばし、俺の頬に触れた。
俺はその手を掴み、ゆっくりと真奈へと顔を近づけた。
そしてお互いの距離が数センチとなった時――
チリリリリリリリリ
目覚ましの音が耳元で聞こえ、ゆっくりと目を開ける。
窓から心地よい日差しが入っているのが目に入った。
そして俺の背中に暖かいものを感じる。
「真奈!?」
俺はそう言って振り返ると、そこには親父が俺に抱き着いている姿があった。
「なんじゃこれぇ――!?」
俺の叫び声が家中に木霊した。
fin.