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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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*25*

「あの、お誘いはありがたいんですけど、私、あなたのこと、知らなくて…」

「やだ!なんて謙虚なの!?浅井の言う通りじゃん!綾川さん!あなた…絶対モテるわよ?」

「は、はい!?」

「もー、超可愛い!あ、それじゃあ、あたし達友達ってことで!それじゃあ、男子ども、GOODBYE!」


そう言って、私の腕をしっかり掴んで歩き出したボブヘアの少女。

私はこの子の名前知らないのに、この子は私の名前を知ってる風だった。

それに凜のことを浅井、って呼び捨てしたってことは、凜と同じ中学だったということだから…この子も内部生ってことか。


「あの、えーっと、あなたは内部生、なんですか?」

「そうだよー?」

「凜とは友達、なんですか?」

「うん、男友達だね!あ、もしかして綾川さん、浅井と付き合ってんの!?」


ボブヘアの少女が目を輝かせながら、私の顔を覗く。


「う、ううん!そういうわけじゃないの。ただの幼馴染だよ?」

「そっかぁ。それは残念だぁ」


そう言って、肩を落とす少女。

この少女は私に一体どういう返答を期待していたのだろうか…。


「あ、それよりさ!」

「はい!?」

「あぁ、そんなに硬くならなくていいよ!普通にタメでいいから!」

「た、タメですか…」

「そう!あ、そうそう!あたしの名前は枝下美樹!美樹って呼んでくれてもいいし、ミキティーって呼んでくれてもいいし…とにかく何でもいいよ!あなたの下の名前は確か…」


そう言って、ボブヘアの少女は顎に手を添え、考える素振りを見せた。

私は、それを見て慌てて自分の名前を名乗った。


「私は、真奈。綾川真奈、です」

「そうそう!真奈ちゃん!真奈って呼んでもいいかな?」

「う、うん」

「よーし、それじゃあ真奈、手始めにちょっと質問していい?」

「私が答えられることならば何でも」

「OK。えーっと、それじゃあ、浅井とは本当にただの幼馴染?」

「うん」

「逢坂くんって知ってるよね?」

「うん。今日一緒に登校したよ?」

「マジで!?やるね、真奈!」

「え?なんか不味かったかな?」

「不味いも何も、あの男子超モテモテだよー?もう噂になってるくらいだからね。学校来て数分しか経ってないってのに。やっぱイケメンは違うのねー」


そう言って、一人で頷く美樹。

今までの私の友達に、このタイプの少女はいなかったので、何だかとての新鮮だ。


「あ、話を戻すね!他に何か聞きたいことあったかな…?あ!思い出した。ねぇ、真奈には彼氏いるの?もしくは好きな人とか!?」

「か、彼氏なんて滅相もない!」

「えー!?真奈、すっごく可愛いのに彼氏いないの?」

「う、うん。てか、そんなお世辞要らないよー」


私はそう言って頭を左右に激しく振った。

って、あ…!私、普通に話せてる!


「お世辞なんかじゃないって!…で?」

「で、とは?」

「好きな人はいないの?」

「す、好きな人!?」

「お!その反応は…居るわね。誰なの誰なの?」

「そ、それはちょっと…」

「そーだよね!また言いたくなった時に、話してくれたらいいし!」


案外あっさり引くんだね。

もっと粘るのかと思った。


「うん、分かった」


私はそう言って、美樹に微笑んだ。

すると、美樹も微笑み返してくれた。


「よーし、質問も済んだことだし、後は入学式だねー!第一印象は大切よね!」

「そうだね!」

「よっしゃ、あたし、超笑顔でいっちゃおう!って言っても、内部生だからあんまり変わり映えしないんだけどねー」

「それでも、その努力はいいと思うよ?」

「…わー!なんか嬉しい!」

「え?」

「だって、いっつもあたしの言葉って皆に流されがちなんだよねー!だから、まともに答えてくれたのって真奈くらいっていうか…」


そう言って、寂しそうに美樹は笑った気がした。

でも、すぐに先ほどまでの明るい笑顔に戻った。


「ま、とにかくこれからもよろしくね!」

「うん!」


こうして私たちは廊下を駆けて行った。

まさに、私たちの”青春”の幕開けだった。

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