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*32*
「え…?」
私は驚いて目を見開いた。
そして、再び尋ねる暇もなく、先生からの招集がかかった。
「これから入学式だ。君たち1年生は、堂々と胸を張って、歩きたまえ」
恐らく、私たちの学年主任であろう、少し頭の露出度の多い50代くらいのおじさんが私たちを見渡しながら言う。
それに、私たちは黙って頷く。
「よし、それじゃあ入場だ」
そう言って、そのおじさんが、今までしまっていた講堂の扉を開けた。
そして、私たちの前に講堂に足を踏み入れた1-Aの子達が物凄い拍手で迎えられるのが聞こえた。
「す、凄いな」
滅多に感激しない凜がそう呟いた。
そんな様子に私は小さく笑みを零しながら、適当に相槌を打った。
すると、何かを私の声を聞いて思い出したのか、凜が私の方へ振り返った。
「何?」
「そういえば、お前、いつ枝下と仲良くなったんだ?」
「美樹ちゃん?えーっと、美樹ちゃんとは…無理矢理腕をつかまれて、ここに向かう途中に色々話して仲良くなったっていうか…」
「…そうか」
「でもなんで?」
「いや、お前がすぐに人と馴染めるなんて、成長したんだなーと」
「そうだよ!私だってただの高校生じゃないんだから!それに身長だって…」
「あー、はいはい。そのことは…」
凜がそう言いかけた途端、先生からの罵声が飛んできた。
「そこ!何話してる!次はもうお前たちなんだぞ?」
「す、すいません」
「…すいませんでした」
私たちは同時に頭を下げ、3秒ほどしてから顔をあげた。
すると、名簿番号1番の逢坂くんが講堂に足を踏み入れるところだった。
それを見た凜は慌てて後を追い、私もそれに倣った。
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