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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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*32*

「え…?」


私は驚いて目を見開いた。

そして、再び尋ねる暇もなく、先生からの招集がかかった。


「これから入学式だ。君たち1年生は、堂々と胸を張って、歩きたまえ」


恐らく、私たちの学年主任であろう、少し頭の露出度の多い50代くらいのおじさんが私たちを見渡しながら言う。

それに、私たちは黙って頷く。


「よし、それじゃあ入場だ」


そう言って、そのおじさんが、今までしまっていた講堂の扉を開けた。

そして、私たちの前に講堂に足を踏み入れた1-Aの子達が物凄い拍手で迎えられるのが聞こえた。


「す、凄いな」


滅多に感激しない凜がそう呟いた。

そんな様子に私は小さく笑みを零しながら、適当に相槌を打った。

すると、何かを私の声を聞いて思い出したのか、凜が私の方へ振り返った。


「何?」

「そういえば、お前、いつ枝下と仲良くなったんだ?」

「美樹ちゃん?えーっと、美樹ちゃんとは…無理矢理腕をつかまれて、ここに向かう途中に色々話して仲良くなったっていうか…」

「…そうか」

「でもなんで?」

「いや、お前がすぐに人と馴染めるなんて、成長したんだなーと」

「そうだよ!私だってただの高校生じゃないんだから!それに身長だって…」

「あー、はいはい。そのことは…」


凜がそう言いかけた途端、先生からの罵声が飛んできた。


「そこ!何話してる!次はもうお前たちなんだぞ?」

「す、すいません」

「…すいませんでした」


私たちは同時に頭を下げ、3秒ほどしてから顔をあげた。

すると、名簿番号1番の逢坂くんが講堂に足を踏み入れるところだった。

それを見た凜は慌てて後を追い、私もそれに倣った。


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