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恋桜 [Cherry Love]  ――完結――
作者: 華憐  (総ページ数: 176ページ)
関連タグ: 恋愛 三角関係 高校生 美少女 天然 
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「綾川さん!」
「逢坂くん。どうしたの?」

私は急に後ろから声を掛けられ、一瞬肩を揺らしたが、逢坂くんの声だと分かるや否や、笑顔で振り返る。
すると、少し息を切らした逢坂くんがそこに立っていた。

「さっき、下村先生が国際通りの班は自由だ、って言ってたでしょ?」
「確か…そんなことを言ってたような気もする」
「それでさ…その…」

そう言いながら俯き、何かを言うのを躊躇っている様子の逢坂くん。

一体どうしたのだろう?

そんな心配をしていると、隣の美樹が爆笑し始めた。

「あはは、あはは!!本当、逢坂!あんたって最高!」
「な、何だよ」

少し不貞腐れている逢坂くん。

そんな表情も愛おしい。
これが恋、なのかな?

「逢坂、逢坂の言いたいことはあたしが十分把握したわ」
「…っは?」
「もー、鈍いわねー?いいわよ、って言ってるの!」
「いいわよ、って…ええ!?いいの!?」
「いいよいいよ。ね?真奈」

いきなり話題を振られて困惑する私。
そんな私の様子に、

「やっぱり駄目だよね」

と肩を落とす逢坂くん。

一体何が駄目なの?
ていうか、そもそもいいとか悪いとか何の話してるの!?

一人、私が考えていると、美樹が私の両肩を掴みながらにっこり笑った。

「そんなことないわよ。今の真奈は嬉しすぎて言葉も見つからないってことよ」
「そ、そうなの?」

少し頬を染めながらこちらに尋ねてくる彼。
しかし、現状をよく把握していない私は取り敢えず首を縦に振ることにした。

「本当!?ありがと!それじゃあ、また後で!」

逢坂くんはそれだけ言うと、鼻歌を歌うかのような軽い足取りで、先に教室へと向かっていった。
私達はというと、そんな逢坂くんの背中が見えなくなるまで、ぼーっと突っ立ていた。

「…ね、真奈。聞いてる?」

突然美樹のそんな声が聞こえてきた。

「え?ごめん。聞いてなかった」
「こりゃあ、恋煩いだね。まぁ、しょうがない」
「こ、これが恋煩い…」
「そうよそうよ。それよりさ、早く教室に戻らないと不味くない?」
「どうして?」
「だって…あと30秒でLHR始まるよ?」
「…走ろう」

私の掛け声とともに一斉に走り出した私達。
そしてなんとかチャイムが鳴り終わるのと同時に教室についた。


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