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*97*
「そ、その秘策とは!?」
優那が美樹に顔を近づけながら、興味津々といった輝いた目で言う。
すると、美樹は少し後退りながら答えた。
「まず、あたしと真奈が”じゃあ、こっち行ってくるわ”的な感じでサーッと消えてくでしょ?」
「うん」
「え!?優那、”うん”じゃないでしょ!!」
「で、次に優那と石島が”それじゃあ、ストロベリータイムなんで”と言って消えてくでしょ?」
「おー」
「さっき無視したよね?てか、”おー”じゃない!」
「すると…あら不思議。涼香と篠田くんだけの時間が流れ始めるのです!」
「おー!」「おー!」
私と優那が同時にぱちぱちと拍手を送る。
「ぱちぱちじゃなーい!」
しかし、反論する者が一人。それは涼香だ。
「そ、そんなのあからさますぎるし、バレるし、恥ずかしいって!」
「それが青春じゃないのかい?」
美樹が涼香を宥めるように言う。
「青春は一生に一度なんだから、謳歌しないとつまんないでしょ?」
そう言ってにっこり笑う彼女。
それを見て涼香はいくらか落ち着いたようだ。
そして最終的には首を縦に振って、ホテル宿泊最終日を終えた。
―翌日
「…それでは、2時間後にここに集まるように。解散!」
先生の掛け声と共に、国際通りを歩き出した生徒たち。
他校の制服も混ざって、まるで文化祭のような気分だ。
「それじゃあ、まずはちんすこうから!」
そう言って私達を率いる心強いリーダーは、勿論美樹だ。
「枝下は元気だなぁ」
優那を見つめながら石島くんが言う。
そんな視線を感じてか、優那は少しはにかんだ様に笑う。
「はい、そこー!早速いちゃいちゃするなー」
涼香が両手でメガホンを作るようにしながら言う。
それを見て、篠田くんが笑っている。
「皆楽しそうだねー!」
美樹の隣に立っている私も思わず微笑んでしまう。
「でしょー!?やっぱ、修学旅行はこうでなくっちゃ!」
こうして、美樹は歩みを進め始めた。