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*15*
七話「人形」
「ナツ〜…早くきて〜…。」
ハッピーがぐったりと倒れている。
腹が減っているのか、グギュルルルと音がなった。
「緊張感ねえのかよ、お前は…。」
「あいぃ…。」
もう答える気力も無いのか、微妙な返事をするハッピー。
それを呆れ顔で見ながら、グレイは考え事をした。
(あのアリアとアイリ…、会ったことねぇはず…何で懐かしく思えるんだ?)
もしかしたら、昔に会っているのかもしれない。
だがそんなの覚えていない、覚えられるはずが無い。
過去なんて、かき消したいから。
チャリン…
「あ…?」
自分の胸を見ると十字の様な、剣の様なネックレス。
それはあの惨劇の際、父から譲られたもの。
少し前、とある男に「それはレプリカか」と聞かれたことがある。
その時、咄嗟に嘘をついた。
『昔に買った安物だ』と。
本当は嘘。
本当は亡くなる寸前の父から貰ったもの。
父との繋がりは、これだけだから。
その時どうして嘘をついたか、分からない。
「…はぁぁ…。」
グレイもハッピー同様、ため息を吐く。
ともかく、今だけは寝ていよう。
フェアリーテイルは無事か…そんなことを考えながら、グレイは意識を閉ざした。
―フェアリーテイル―
「私、やっぱりナツ達と行く!こんなところで待つなんて…!」
ガタン、とレヴィが席を立つ。
それをガジルが「やめろ」、と声をかけた。
「あいつ等を指定したんだ、…何か意味があるんだろ。」
ルドが指定した人物は、
ナツ、ルーシィ、エルザ、ウェンディ、ジュビアだ。
「…でも、」
「あいつ等が信じられねぇのか?」
「!!」
いつもナツ達は信じてくれた。
自分のことを、いつも。
レヴィはふ、と息をつく。
そして、優しく頷いた。
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