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*16*
「!…なに、あの犬…?」
「あ?」
レヴィの声に、ガジルが振り向く。
そこにいたのは、一匹の大きい犬だった。
犬―アステリオンは大きく叫ぶ。
「ウガアアアアアアアアアアア!!」
「ぐっ!うるせっ…!」
大きく叫んだ後、犬は光と共に消えていく。
ガジルが、追おうとする が。
「んが!」
「え?ガ、ガジル!?」
いきなり、何かにぶつかった音が聞こえた。
ガジルは鼻をおさえ、呻く。
「うぐううう…!なんだぁ!?」
「…透明の…壁!?」
術式でも何でもない、透明な壁。
あの犬が出したのだろう。
「これじゃあっ、出られない!」
「大丈夫だろ。」
振り向かえると、見慣れた金髪。
「ラクサス…。」
「あいつ等がもう外に出ている、…セーフだ。」
そうだ。
ナツ達はもう外に出ている。
それに安堵し、ギルドの空気は一気に軽くなった。
「しっかし、…何で最近グレイが狙われるんだ?」
マカオが疑問に思ったことを言う。
それに反応したのは、ミラジェーンだ。
「今回のは偶然でしょ?辛い過去ならナツやルーシィ、エルザだっているもん。」
「そうだけどよ…。」
何かが気になるのだ。
その過去が見えるなら、他の人物を狙っても良い筈だ。
「…ま、考えるだけ無駄か。今はナツ達を…。」
「うん、…………今は信じよう。」
何時の間にか、外は雨が降っている。
冷たい雨が、ザアザア、ザアザア、ザアザアと。
「くっそ…。」
「グレイ様…!!」
「ナツ、ジュビア、落ち着け。」
ナツ達は霧で前が見えず、近くにあった洞窟で休憩をしていた。
「早く行きたいのはわかるけど、落ち着きなさいよ。」
「…あの男の子…。」
「ウェンディ、大丈夫?」
おまけでついて来たシャルルは、心配げに問う。
それに「大丈夫」、と少しだけ頷いた。
「あの空竜の子、私が助けてあげられるかなって…。」
「出来ると良いけどね。」
シャルルの答えは否定ともとれず、肯定とも取れなかった。
逆にそれが、いいのかもしれないが。
「……くそ!」
「ナツ、落ち着いて…。」
ナツは怒っているが、それはジュビアも同じ気持ちだ。
愛する人を奪われた、その苦しみ。
それは途轍もなく、大きい。
「そういえば。」
ルーシィは一つ、謎に思ったことがあった。
なんだ、とエルザが横目で問う。
「あのアリアとアイリって子――似てたんだ、兄妹だと思う。それと、」
「あの二人にそっくりな人形…昔にあったんだ。もしかしたら、ミッシェルと同じ―」