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*26*
「………?おい、アレ!ハッピーじゃねぇか!?」
「え?…本当だ!ハッピー!」
ナツ達がグレイ達を探す途中、倒れているハッピーに遭遇した。
ハッピーに外傷はなく、安堵する。
「ナツぅ…大変だよぉ…!!」
「!?な、なにがだ?」
「グレイが犠牲になって…兆年孤独唄っていうの…復活させるって…デリオラ、を…!」
ナツの視界が、白くなる。
気のせいか、叫び声が聞こえた。
「う…?」
「ナツ?起きた…?」
ゆっくりとナツは起き上がる。
すると、いきなり吐き気がこみあげた。
「うぶ…………!!」
「あー…、寝てたら?」
どうやら、馬車の中にいるらしい。
エルザが馬を操っているのが分かった。
「…ナツ、聞け。」
「?」
「一回、ギルドに戻ることにした。」
「!!な、なんで!」
有り得ない。
グレイが今、大変な事になっているかも知れないのに。
「ハッピーは怪我が軽いが、麻酔を入れられたらしい。体が思う様に動かないそうだ。」
「じゃあ、俺が背負って!」
「それと、…また詳しく調べないといけない。あの魔法…兆年孤独唄を。」
「!!」
エルザの言う事を理解すると同時に、乗り物の上と自覚しまた倒れることになった。
「どういう、ことだ…?」
ギルドに入れない。
門や扉は透明な壁により塞がれていて、出る事も入ることも出来ない。
「ルーちゃん!!」
「レヴィちゃん!どうしたの!?」
「変な犬が…、魔法を使ったらしくて……!」
声だけは届くらしい、それが唯一の救いだった。
「レヴィ、兆年孤独唄の本を届けられるか?」
「…うん、やってみる!」
レヴィは本を掴み、腕に魔力をためる。
そして、透明の壁に腕を突っ込んだ。
「っうああああああ!!」
「レヴィちゃん!」
レヴィの腕に浅い切り傷が無数にでき、血が出る。
それでも、挫けない。
「っ抜けた!早く、取って…!」
「ああ!」
エルザがすぐに本を取る。
それと同時に、レヴィの体が弾かれた。
「うあ!」
床にぶつかると思い目を瞑るが、衝撃は来なかった。
「ガジル!」
「ったく、踏ん張ってろよ。」
「…うん。」
ガジルが支えてくれたのを少し嬉しく思い、笑顔になる。
「それにしても、また頑丈になっちゃった。」
「もうこれは、手に負えねぇな…。」
もうガジルの魔力でもどうする事も出来ないほど丈夫で、壊れようともしない。