完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~
*3*
二話「コントロール」
「じっちゃーん!」
帰ってきて早々、ナツはマスター・マカロフの下へ足を進める。
マカロフは少し酒が入っているのか、酒のにおいがした。
「なんじゃ、ナツ。」
「マスター、この依頼書を見てください。」
ナツの後ろに居たエルザが、少年の依頼書をマカロフに渡す。
その内容を理解したのか、マカロフは少しうなった。
「お前達は自分の力に、自信はあるか?」
「あるに決まってんだろ!」
「アタシはー…、微妙だなぁ…。」
「俺は馬鹿ナツみたいに過大評価しねぇから、わからねぇな。」
グレイの一言に、ナツが言い寄る。
「それどういう意味だ変態野郎。」
「まんまの意味だよ、わかんねぇのかクソ炎。」
二人の悪態で二人がキレ、喧嘩が勃発した。
それをエルザの拳が止める。
「やめんか!…私はこの魔法を信頼します。」
「そうか…。」
それぞれのバラバラな答えに、マカロフは頷く。
「こやつ等は、一人につきギルド一つを潰す力を持つ。」
「ええ!?嘘でしょ!!」
「ルーシィ〜、ここで嘘ついても意味ないでしょ?」
「知ってるわよ!」
ハッピーの腹が立つ答えは、ルーシィを苛立つかせた。
ミラジェーンがまぁまぁ、となだめさせる。
「それでも、自信はあるんじゃな?」
「あるっつーの!」
「私もです。」
「ルーシィとグレイは〜?」
ハッピーの質問に、グレイは冷たい目で全員を見た。
「この魔法に、俺は誇りを持つ。でもな…」
少しだけ、少しだけだがギルド中に冷気が漂う。
それはグレイ自身から放たれていた。
「俺はお前等よりは、現実を見てるよ。」
どんなに頑張ったって、結局は死ぬんだから。
グレイの冷たい声は、全員の耳に残った。
何時の間にか、ナツがグレイの胸倉を掴んでいる。
「っ、なんだ、よっ」
「ふざけんな…。結局ってなんだよ!!わからねぇだろ!」
「な、ナツ!やめて…!」
弱々しいルーシィの声が聞こえる。
まだナツはルーシィの答えを聞いていないことに気づく。
「お前はどうなんだよ、ルーシィ!」
「アタシ、は…。」
答えられず俯かれ、ナツは舌打ちをする。
グレイから手を放し、ギルドから出て行った。
すぐにグレイもナツと正反対の道を歩く。
「ちょっと、二人とも!!」
ルーシィの叫びは届かず、二人は去ってしまった。
アタシのせいだ、とルーシィは泣き出す。
それを、鍵から出てきたロキが慰めた。
「あれは、魔法だ。」
「え…!?」
「感情をコントロールしていたんだ、もう解かれてるけど。」
「さすが、だな。」
一人の少女が、ギルドの近くの高い樹に立つ。
少女は軽く舌打ちをし、その場を去った。