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*63*
22話「敵」
「動け、ね……。」
力をいれても、腕はビクリともしない。
すると、急に力が抜けた。
「う…!?」
「あ、融合は早いんだ。」
アイリが嬉しそうに、笑う。
言葉は話せるが、体はもう動かない。
「…アイリ、様子を見てきてくれないか?」
「アリアは?」
「こいつを見てる。」
アリアの言う事に「分かった」、了承し奥に消える。
すると、アリアはすぐにグレイの腕を引っ張った。
「っえ!?」
「はずれ、ない!くそ!くそぉ!」
今までに無かったくらい真剣な顔つきのアリアに、グレイは言葉が出なかった。
どうして、助けるのだろう。
その疑問を抱えて。
「ごめんっ…!僕、知ってたんだ…!」
「アリ、ア……。」
「男の子っ…ううん、グレイ!」
グレイを助けようとするアリアを見ると、グレイは自分もという気持ちになった。
力の入らない腕を、必死に動かす。
だが、なにも起きない。
「やっぱり、か。」
「ッッ!!!……………アイリッ。」
アイリは、無表情のままアリアに手をかざす。
瞬間、アリアから青色の何かがぬけだした。
すると突然、アリアの体が光る。
「アリア……貴方の魂の分、私がやってみせる。」
アリアは、人形に戻ってしまった。
その小奇麗な人形の目は、酷く虚ろだった。
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