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28話「その笑顔は」
「行くぞっ、ルーシィ!」
「うん!」
ルーシィはリッカに向けて、星の大河を巻きつける。
く、と薄いうめきが聞こえて、ルーシィは少し緩めてしまった。
「っ甘甘お嬢さん!そんなんじゃ倒せないね!」
「しまっ…うああああ!」
リッカは素早く縄抜けすると、ルーシィの足を蹴る。
それにバランスを崩し、ルーシィは倒れてしまった。
まさに形勢逆転だ、リッカは鼻で笑った。
「妖精の心を、壊してあげるのね……。」
「え…!?…や…!」
リッカはルーシィのフェアリーテイルの紋章に、手を重ねる。
紋章から、魔力が消えていった。
「紋章を、永遠に消してあげるね。」
「っいや!やめてよ!…っ、放してぇ!」
ポロポロと涙がこぼれ、ルーシィは目を瞑った。
嫌だ嫌だと首を振るが、失敗に終わる。
このままでは。
「ルーシィ!!」
「!?っくは、う!」
リッカの背中に、アイリがぶつかった。
はずみでルーシィの手から、リッカの手が放される。
「アイリ!」
「っぐ…ごめん。」
「ルーシィ、大丈夫か?」
「ナツ…!ありがと!」
「おうっ!早く、やるぞ!」
「うん!」
ハイタッチをして、ルーシィは鍵を取り出す。
「開け、『草子宮』の扉!」
「っ!?星の大河!?」
その場から逃げようとするも、何時の間にか出てきたロキが星の大河で
押さえつけている。
「っはなせ!」
「ルーシィ、早く!」
「うんっ、ジェミニ!やるよぉ!」
ジェミニは「ピーリ、ピーリ!」といいながら、ルーシィの姿へ変わった。
ルーシィは強気で笑う。
形勢逆転の逆転、これで勝利の後光はこちらのものだ。
「はあああああああ!!」
「やあああああああ!!」
「「ウラノメトリアッッッッ!!!」」
「ッキャアあああああああああああああ!!!!!!!」
「…『我、は…ノア…拳の契約は…解除…され…た…。』」
「リッカ!!」
「ナイス、ルーシィ!」
リッカは、泣きながらその場に倒れる。
「…わた、しの…方が魔力…高い、のに…。」
「思いの力は時に、魔力を高める。貴方にどんな思いがあったかなんて、知らないけど、」
優しげに、ルーシィが微笑んだ。
その微笑は、まさしくレイラ・ハートフィリアのよう。
「愛から、すべてが始まったの。…自分を、愛せるから。」
「え…、」
「弱い自分でも、愛せば強くなれる。だから、貴方も自分を信じて!」
違う涙が、こぼれた。
リッカは「ごめんなさい」と、繰り返しながら泣く。
大丈夫だから。
ルーシィはリッカの頭をなで、グレイがいる所へ行くため階段へ向かった。