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*75*
29話「意識」
「これで、あとはテメェだな。」
「…アタシを、…なめるな。」
ふいに、アイリの魔力が暴走する。
アイリの体がカタカタと震え始めた。
「っアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「な、なんだ!?」
アイリの片目から、蔦が伸び始める。
すると、一つの大きな花がアイリの目を埋めた。
「…なんだ、この不気味な魔力。」
「男、ノコ?どこ、独りじゃない。よ?」
カタカタと震えながら、喋るその姿はまさしく人形だ。
それを不気味に思いながら、ナツは静かに拳を握った。
「グレイ!聞こえるかぁ!!」
「………。」
「待ってろ!絶対助けるからなああああ!」
(………ナツ……)
『グレイ。』
アリアの声が聞こえる。
多分これは、自分の意識に直接語りかけてきているんだろう。
ズプ、と音がした。
肩まで鏡に取り込まれているようだ。
胸の辺りまでも。
ルーシィの叫び声も聞かず、アリアの声に返事をした。
「アリア、」
『グレイは悪くないよ。…僕達の勘違いが、君にかかっただけで…。』
「アリア…ごめんな…、俺…。」
また、鏡に取り込まれていく。
チャポン、音がした。
「グレエエエエエエエエエエエエイ!!!」
鏡の中に、入り込んでしまった青年が独り。
意識を保つ事を、ただただ続けていた。
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