完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~ 200~
*186*
「―――なんで、こんなことしたんですか?」
「―――っ」
2人とも、答えようとしない。
でも、綾美たちがじっと見続けると、ユリが口を開いた。
「…みなさんに…迷惑掛けたくなかったんですっ…。わたしのためにいろいろやってくれるのは、すごくうれしかったけど…でも、申し訳なくって…」
ポロポロと、ユリの目から涙が溢れ出てくる。
「―――ユリさん」
綾美が、ユリに向かって、歩んでいく。
そして、ふわりと微笑んだ。
「わたしたち、ユリさんが大切だから、守りたいんです。自分でやりたくて、やっているんです。それは、今までユリさんがわたしたちに優しさをくれたからです。―――ね、おあいこでしょ?」
「でも、わたし、何もしてな「してますよ」
みんなも、にっこりと笑う。
「今まで、みんなを気遣って、自分から行動してましたよね。手伝いもしてましたよね。それも全部、ユリさんの、優しさです」
そう、これは、恩返し。
いろいろ、優しくしてくれて、ありがとう、って
「ユリさん、あなたが好きだから、みんなは命をかけて守るんです。――――信頼してるんです。だから、迷惑掛けたくないのなら、迷惑をかけたくない、って、ユリさんから言ってほしいんです―――」
みんなの気持ちを乗せた、綾美の言葉。
ユリの目から、また涙があふれてきて―――。
でも、これは悲しいんじゃない。苦しいのでもない。
―――うれしいから
「―――はい…。すみませんでした、それから、ありがとう―――…」
ユリも、にっこりと微笑む。
まるで、花が咲く瞬間のように、美しく―――。